京都大学 新技術説明会
【日時】2018年05月22日(火) 11:00~15:55【会場】JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
【参加費】無料
【主催】科学技術振興機構、京都大学、関西ティー・エル・オー株式会社、iPSアカデミアジャパン株式会社
【後援】特許庁、関東経済産業局
【参加費】無料
【主催】科学技術振興機構、京都大学、関西ティー・エル・オー株式会社、iPSアカデミアジャパン株式会社
【後援】特許庁、関東経済産業局
発表内容詳細
11:00~11:25
材料
1) 純度・安全性に優れたカーボンフリー格安めっき液
【新技術の概要】
難溶性の金属塩に対して有機物を用いずにこれらを溶解させためっき液。塩化カルシウムは1kgあたり数十円と格安である。この塩化カルシウムを水と重量比約1:1で溶解させた溶液において、塩化銀を格段に溶解することができた。このめっき液は、純度・安全性・コストの面で有利であり、銀以外の他の金属にも応用できる。
【従来技術・競合技術との比較】
薬剤コストが非常に安い。シアンのような毒性がない。キレート剤由来のCやN、Sのコンタミがない。
水の電気分解が起こりにくいので、これまでに水溶液からめっきできる金属でも、本技術によって電流効率が向上すると期待。
水の電気分解が起こりにくいので、これまでに水溶液からめっきできる金属でも、本技術によって電流効率が向上すると期待。
【新技術の特徴】
・CやN、Sのコンタミがない:高純度
・水素発生が起こりにくい:高効率
・CaCl2は1kgあたり53円:低コスト
・水素発生が起こりにくい:高効率
・CaCl2は1kgあたり53円:低コスト
【想定される用途】
・シアンめっきの代替
・有機系錯形成材の代替
・ホウ素フリーめっきの可能性
・有機系錯形成材の代替
・ホウ素フリーめっきの可能性
11:30~11:55
アグリ・バイオ
2) 植物ステロイドホルモンの非ステロイド化を目指した分子設計
【新技術の概要】
本発明は、非ステロイド型でブラシノライド様活性を持つ新規化合物です。数種類の類縁体を合成しており、化合物によってアゴニスト活性、もしくはアンタゴニスト活性を発揮します。合成に手間がかかるステロイド骨格をもたないため合成が簡便であり、実用面で優れています。
【従来技術・競合技術との比較】
ブラシノライド(BL)は植物ホルモンの1種で成⻑促進剤としての活用が期待される化合物群ですが、植物に含まれている量が少なく、また合成においてはコストがかかるステロイド骨格をもつことと、多くの不⻫炭素をもつことなどが実用化の障壁となっています。
【新技術の特徴】
・成長促進剤/成長抑制剤のいずれでも作用
・簡便な合成方法
・コンピューターを利用した構造単純化の技術は,他の複雑な構造の天然物の構造単純化にも応用可能
・簡便な合成方法
・コンピューターを利用した構造単純化の技術は,他の複雑な構造の天然物の構造単純化にも応用可能
【想定される用途】
・植物用成長促進剤
・植物用成長抑制剤
・植物研究用試薬
・植物用成長抑制剤
・植物研究用試薬
【関連情報】
・外国出願特許あり
13:00~13:25
アグリ・バイオ
3) ヒトiPS細胞から気道・肺胞上皮細胞への効率的な分化誘導法
【新技術の概要】
肺はガス交換を行なうために外界と広く接する肺胞領域と異物や病原体を除去するための繊毛や粘液細胞に覆われた気道領域に分かれた構造となっています。私たちはヒト多能性幹細胞を段階ごとに培養条件を変えて分化させることで効率よく気道や肺胞上皮細胞を作る方法を開発してきました。
【従来技術・競合技術との比較】
私たちは気道や肺胞に分化する前段階の細胞をヒト多能性幹細胞から効率よく作成し、CPMという表面抗原で細胞を単離可能にしたことでドナーや細胞株の違いの影響を最小限化しました。また、オルガノイドを形成することで、安定した分化効率と正常に近い機能をもった気道・肺胞上皮細胞を作れるようにしました。
【新技術の特徴】
・ドナーや細胞株の違いの影響を最小限化
・ヒトiPS幹細胞から正常に近い機能をもった気道・肺胞上皮細胞を作成
・前駆細胞の段階でストックが可能
・ヒトiPS幹細胞から正常に近い機能をもった気道・肺胞上皮細胞を作成
・前駆細胞の段階でストックが可能
【想定される用途】
・創薬開発
・再生医療
・安全性・毒性試験
・再生医療
・安全性・毒性試験
【関連情報】
・外国出願特許あり
13:30~13:55
材料
4) ポリドーパミンによるセルロースナノファイバーの表面修飾
【新技術の概要】
セルロースナノファイバー(CeNF)のプラスチック補強添加剤への応用を想定し、CeNFのプラスチックとの親和性向上を目的として、ポリドーパミン(PDA)による表面修飾を行った。表面修飾によりCeNFの耐熱性が向上することを明らかにした。また、PPへの添加を行い、弾性率を向上させられる可能性を見出した。
【従来技術・競合技術との比較】
従来のCeNFの表面改質は、表面水酸基への官能基の導入など化学修飾により行われている。この手法では表面改質の程度によってはCeNFの特長である結晶性が低下する恐れがある。本手法ではCeNFの表面を種々の材料と高い接着性を示すPDAで被覆することにより、結晶性を維持したまま表面の性質を変更することが可能となる。
【新技術の特徴】
・CeNFの結晶構造を維持したまま表面の性質を変更できる
・CeNFの耐熱性を向上できる
・PDAを介してCeNFの表面に官能基を導入できる可能性がある
・CeNFの耐熱性を向上できる
・PDAを介してCeNFの表面に官能基を導入できる可能性がある
【想定される用途】
・プラスチックの補強添加剤
・金属イオン等の吸着剤
・金属イオン等の吸着剤
14:00~14:25
創薬
5) アミドを温和な条件で直截的に糖鎖修飾する-プロドラッグ化の新技術
【新技術の概要】
アミドはアルコールと比べ求核性が乏しく、直截的に糖鎖修飾することは困難であった。今回、汎用されるトリクロロアセトイミダートを糖供与体として用い、2種類の有機分子触媒を添加することでアミドを直截的に糖鎖修飾(N-アシルオルトアミド化)できることを見出した。
【従来技術・競合技術との比較】
従来法と比べて温和な条件で反応でき、ペプチドなどの多官能性のアミドにも適用可能である。また、従来のN-グリコシル体と比べてN-アシルオルトアミド体は比較的温和な条件で加水分解できるのも特徴であり、プロドラッグ化などへの応用が期待できる。
【新技術の特徴】
・保護糖鎖修飾による脂溶性の向上
・無保護糖鎖修飾による水溶性の向上
・両親媒性アミドの簡便合成
・無保護糖鎖修飾による水溶性の向上
・両親媒性アミドの簡便合成
【想定される用途】
・医薬
・研究用試薬
・工業薬品
・研究用試薬
・工業薬品
14:30~14:55
創薬
6) 種々のプロテインキナーゼに特異的に反応するペプチド配列
【新技術の概要】
キナーゼ組換え体を用いたin vitro反応試験の実施により、世界最大規模のキナーゼ-基質間情報に関するデータベースを構築した。各キナーゼの基質モデル(PWM (position weighting matrix))やリン酸化モチーフ情報を駆使して、187種類のヒトキナーゼを対象とした、キナーゼ特異性を有する人工基質ペプチドを設計した。
【従来技術・競合技術との比較】
従来法では分別して活性を計測することが困難であった、特異性が類似したキナーゼを区別して活性を計測することが可能となった。そのため、測定の対象となる細胞や組織中の複数のキナーゼ活性を迅速且つ一斉に計測することができ、簡便且つ正確に細胞内キノームを解析することが可能である。
【新技術の特徴】
・個々のプロテインキナーゼに対して特異性を有する基質ペプチド配列
・細胞抽出物中のキナーゼ活性を定量的に計測できる
・キナーゼ活性のハイスループットな一斉計測(キノーム解析)が可能である
・細胞抽出物中のキナーゼ活性を定量的に計測できる
・キナーゼ活性のハイスループットな一斉計測(キノーム解析)が可能である
【想定される用途】
・測定試薬・キット
・計測システム(ペプチドアレイなど)
・薬剤スクリーニング
・計測システム(ペプチドアレイなど)
・薬剤スクリーニング
【関連情報】
・サンプルあり
15:00~15:25
アグリ・バイオ
7) スパースモデリングを用いた3次元生物画像用補間技術の紹介
京都大学 医学部医学研究科 ウィルス・再生医科学研究所 研究員
曽我部 舞奈
【新技術の概要】
本技術は、これまでバイオイメージングの抱えていた、撮像時間の長期化や蛍光退色、データサイズの膨大化、ノイズの多さ、z方向解像度の低さなどの問題を一括で解決する技術である。本技術では、生物画像が持つ画像特徴に着目し、圧縮センシングを用いることで、間引き画像から画像補間を実現し、前述した問題を解決した。
【従来技術・競合技術との比較】
従来の画像補間は、bicubic等の単純な補間やDeep learningのような機械学習を用いた補間法がある。しかし、bicubic等の手法では複雑な生物画像情報を補間できず、機械学習は大量の学習データが必要、かつ補間画像は学習データに依存するという問題があった。本技術は圧縮センシングを応用し、学習データ無しで微細な細胞形態の復元を実現した。
【新技術の特徴】
・画像補間による撮像時間短縮、蛍光ダメージの軽減及びデータサイズの削減
・z軸方向の解像度の改善
・低ノイズな画像の復元
・z軸方向の解像度の改善
・低ノイズな画像の復元
【想定される用途】
・バイオイメージング画像の質の改善
・撮像時間短縮と詳細生物画像取得の両立
・3次元再構築画像内の観察対象物の明瞭化
・撮像時間短縮と詳細生物画像取得の両立
・3次元再構築画像内の観察対象物の明瞭化
【関連情報】
・サンプルあり
15:30~15:55
創薬
8) 解糖系を標的とする創薬シーズ探索
京都大学 医学部附属病院 地域ネットワーク医療部 准教授
近藤 祥司
【新技術の概要】
本発明者らは、解糖系代謝酵素の1つであるPGAM(ホスホグリセリン酸ムターゼ)とチェックポイントキナーゼであるChk1とが結合すること、これらの相互作用が、がんに特有の解糖系代謝のみを抑制することを明らかにした。PGAMとChk1との相互作用を特異的に制御することにより、副作用の少ない抗がん剤、抗炎症剤等につながる可能性がある。
【従来技術・競合技術との比較】
・従来の解糖系阻害薬は細胞に対する悪影響が大きい。一方、PGAMとChk1との結合部位は、PGAMの活性中心とは離れており、PGAMの機能に影響しない、副作用の少ない新薬の創出につながる可能性がある。
・PGAMとChk1との細胞内結合をターゲットとする、新規メカニズムに基づいており、新市場創出の可能性がある。
・PGAMとChk1との細胞内結合をターゲットとする、新規メカニズムに基づいており、新市場創出の可能性がある。
【新技術の特徴】
・PGAMとChk1との結合部位は、PGAMの活性中心とは異なるため副作用の少ない新薬の創出につながる可能性がある。
・解糖系が異常に亢進した場合のみに特異的に効果を発揮する新薬につながる可能性がある。
・抗がん剤、抗炎症剤、分化促進剤の創出につながる可能性がある。
・解糖系が異常に亢進した場合のみに特異的に効果を発揮する新薬につながる可能性がある。
・抗がん剤、抗炎症剤、分化促進剤の創出につながる可能性がある。
【想定される用途】
・抗がん剤、抗炎症剤、分化促進剤
・上記新薬のスクリーニング系
・上記新薬のスクリーニング系