開催スケジュール

東北大学 新技術説明会
【日時】2019年02月07日(木) 13:30~15:55【会場】JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
【参加費】無料(事前申込み制)
【主催】科学技術振興機構、東北大学
【後援】特許庁、関東経済産業局、株式会社東北テクノアーチ

発表内容詳細

13:30~13:55 創薬
1) ポジトロン放出核種標識タンパク質の合成方法

東北大学 大学院 医学系研究科 機能薬理学分野 教授 谷内 一彦

【新技術の概要】

従来、天然アミノ酸の一部の元素を陽電子核種に置換したアミノ酸を合成系に添加する手法による蛋白質標識技術が確立しているが、導入効率が低く、アミノ酸配列に依存するという欠点があった。本発明は、天然のアミノ酸に代えて非天然アミノ酸にポジトロン標識し、これを終止(アンバー)コドンと対応させ蛋白質標識の効率を改善し、さらに任意の位置に非天然アミノ酸を導入できる。

【従来技術・競合技術との比較】

GEと日本メディフィジックス、富士フィルム系列等の技術と比較して格段に導入効率を改善する技術、タンパク質標識法を格段に進化させてすべての蛋白質を標識できる。

【新技術の特徴】

・すべての蛋白質のF-18標識に応用可能
・任意の位置に標識アミノ酸を導入可能
・比放射能が極めて高く、投与量が少ないのでマイクロドーズ臨床試験が可能

【想定される用途】

・がんの分子PET診断における18F標識プローブ
・抗体医薬品の分子標的ターゲットの存在を治療前に確認して、治療効果を予測する
・病理組織を取ってくることができない部位における病理診断(HER2やPD-L1など)

【関連情報】

・サンプルあり

14:00~14:25 創薬
2) ライブラリーデザインサイクルを用いたタンパク質設計:分子認識素子の創出

東北大学 大学院 工学研究科 バイオ工学専攻 教授 梅津 光央

【新技術の概要】

独自のライブラリー設計とスクリーニング手法を組み合わせて着実にタンパク質の機能化・改変する手法を開発し、①動物実験に使える抗体でありながらそのままヒトに利用できる交差性抗体、②高い細胞傷害性を示すがん治療抗体、③分子認識機能を付与できる小型ヒトタンパク質(抗体様分子)を創出した。

【従来技術・競合技術との比較】

従来の進化分子工学的操作と比較して、小規模なスケールで着実にタンパク質の機能化・改変を行うことができる。

【新技術の特徴】

・細胞傷害の高いエピトープに結合する抗体・抗体様分子を取得できる
・配列が若干異なる標的タンパク質も同程度に結合できる抗体・抗体様分子を取得できる
・抗体の耐熱化や酵素の機能改変にも応用可能

【想定される用途】

・細胞傷害性が高いエピトープに結合する抗体・抗体様分子の作製
・放射性同位体などを用いた生体イメージング用抗体・抗体様分子
・抗体・酵素の機能改変・耐熱化

14:30~14:55 アグリ・バイオ
3) 高分散型糸状菌を用いた工業発酵生産性の大幅改善技術

東北大学 大学院 農学研究科 生物産業創成科学専攻 教授 阿部 敬悦

【新技術の概要】

糸状菌を用いた蛋白質や低分子化合物等の有用物質の発酵生産では、液体培地中で菌糸同士が接着して生じる菌糸凝集塊が生産性の制限要因である。本発明は、菌糸接着因子として発見した細胞壁多糖α-1,3-グルカン及びガラクトサミノガラクタンを低減させた菌糸高分散菌によって有用物質を増産する新技術である。

【従来技術・競合技術との比較】

遺伝子工学的には生産対象関連遺伝子の導入や発現ベクターの改良が数々行われてきたが、これらでは糸状菌の凝集塊化は解消できない。生産性向上のための有用表現型としてはHbrA欠損による多分岐変異体が長年利用されてきた。本発明は単独で、又は上記の従来技との組み合わせで、生産性を飛躍的に高めることができる。

【新技術の特徴】

・現有の生産ラインはそのままに、糸状菌株を本発明の株に変更するのみで飛躍的な生産性向上が可能
・現在の生産コストで生産量を数倍化するか、生産コストを数分の1にして現在と同じ生産量を得るか、お好みで!

【想定される用途】

・酵素、機能性ペプチドといった産業用タンパク質の工業発酵生産の生産性向上
・コウジ酸、ペニシリンなど産業利用されている糸状菌二次代謝物の工業発酵生産の生産性向上

【関連情報】

・サンプルあり
・外国出願特許あり

15:00~15:25 創薬
4) 選択的オートファジーを用いる創薬プラットフォーム技術

東北大学 大学院 生命科学研究科 分子化学生物学専攻 教授 有本 博一

【新技術の概要】

細胞内の疾患標的を分解する技術(ケミカルノックダウン)を活用する創薬が脚光を浴びている。本技術は、キメラ分子を用いて標的を選択的オートファジー分解する。

【従来技術・競合技術との比較】

既存技術であるPROTACsはプロテアソーム分解に基づくため、分解できる標的が可溶性タンパク質に限られる。今回の新技術は、選択的オートファジー機構を用いるため、タンパク質だけでなく傷害されたオルガネラの分解にも適用可能である。

【新技術の特徴】

・特定の標的に対してオートファジー分解を誘起する唯一の技術
・RNAiなどノックダウンを使って得られる基礎研究成果の低分子医薬品化を促進
・細胞内から細菌を排除するオートファジー機構に学んで確立された技術

【想定される用途】

・神経変性疾患などタンパク質品質管理に関わる疾患の治療薬
・ミトコンドリアの機能不全が関わる広範な疾患の治療薬
・老化抑制剤

【関連情報】

・外国出願特許あり

15:30~15:55 創薬
5) 抗がん剤感受性を予測できるDNA修復能の測定法の開発

東北大学 加齢医学研究所 腫瘍制御部門 腫瘍生物学分野 教授 千葉 奈津子

【新技術の概要】

CRISPR/Cas9システムを用いて、任意の細胞内の任意の内在性ゲノム領域に部位特異的にDNA二本鎖切断を作成し、相同組み換え修復活性を測定する方法 (Assay for site-specific HR activity: ASHRA)を開発した。

【従来技術・競合技術との比較】

ASHRAは、従来法であるdirect-repeat GFP assay、Homologous Recombination Deficiency (HRD) scoreより、簡便に安価に相同組み換え修復活性を測定でき、さらにより正確に抗がん剤感受性を予測できる。

【新技術の特徴】

・簡便に安価に相同組み換え修復能の測定が可能である。
・DNA傷害性薬剤やPARP阻害剤などの抗がん剤感受性が予測可能である。
・非転写領域の相同組み換え修復能の測定が可能である。

【想定される用途】

・DNA傷害性薬剤やPARP阻害剤の抗がん剤感受性予測によるがんの個別化医療
・相同組換え活性に影響を及ぼす薬剤のスクリーニング
・相同組換え修復活性の測定キット