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発表内容詳細

10:40~11:10 創薬
1)  ES細胞を利用した創薬・安全性スクリーニングのための気管繊毛上皮細胞
発表資料

東京大学 大学院総合文化研究科 「細胞・器官制御講座」 副学長・客員教授 浅島 誠
http://xenopus.c.u-tokyo.ac.jp/

新技術の概要

ES細胞を無血清培地で培養することにより気管繊毛上皮細胞を調製する方法を開発した。 呼吸器系でのウイルスや細菌などによる異常や疾病を治療するための創薬研究開発において、モデルや評価系構築に有効に利用できる画期的方法である。

従来技術・競合技術との比較

呼吸器系でのウイルスや細菌などによる異常や疾病の治療を目的にしたアッセイ系は、煩雑な初代培養系か、動物実験によるコストのかかるものしか存在しなかった。 本法は創薬スクリーニングや安全性試験に適した容易なアッセイを構築できる画期的な方法である。

新技術の特徴

・ES細胞を利用しすることで気管繊毛上皮細胞への影響を完全なin vitroでアッセイが可能になった。
・初代培養による煩雑さを回避できる。
・動物実験でかかる膨大な費用を圧縮できる。

想定される用途

・呼吸器系でのウイルスや細菌感染を治療する創薬スクリーニング系への応用
・気管上皮への薬剤の毒性試験のためのアッセイ系への応用
・心筋再生を促進する創薬スクリーニング系への応用

J-STORE掲載特許情報

11:10~11:40 アグリ・バイオ
2)  質量分析によるRNAの同定法
発表資料

理化学研究所 基盤研究所 バイオ解析チーム 専任研究員 中山 洋

新技術の概要

質量分析法、特に核酸配列の情報を得ることが出来るタンデム質量分析(MS/MS)法で得られたデータを用いてゲノムなどの DNA/RNA 配列データベースを検索し、試料中に存在する RNA を同定するとともに修飾基の有無や種類を解析する方法。

従来技術・競合技術との比較

RNAを逆転写して得られる相補 DNA から間接的に RNA を分析する従来法は、試料中のRNA を定量できないだけでなく、RNA の機能調節に重要な転写後修飾を検出できない欠点があった。質量分析を用いる方法は半定量的であり、転写後修飾も解析できる利点がある。

新技術の特徴

・タンデム質量分析データをもちいて核酸配列データベースからRNAを同定出来る
・混合物試料から個々のRNAを同定出来る
・転写後修飾の部位を同定出来る

想定される用途

・RNA・タンパク質複合体に含まれるRNAの同定による新たな生物学的知識発見
・RNA同定サービス
・RNA同定ソフトウェアシステムの販売

11:40~12:10 材料
3)  硝酸酸化法によるSi及びSiCデバイス用ゲート酸化膜の120℃での創製技術
発表資料

大阪大学 産業科学研究所 高次制御材料科学研究部門 教授 小林 光
http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/fcm/index.html

新技術の概要

濃度68%の共沸硝酸を用いれば、シリコン上に熱酸化法よりも格段に低いリーク電流密度を持つ極薄酸化膜(1.2~1.4nm)を120℃の低温で形成できる。また、低濃度の硝酸と共沸硝酸を用いる二段階硝酸酸化法では120℃の低温で熱酸化膜に匹敵する電気特性を持つ膜厚20nm以上の酸化膜を形成できる。凹凸のある多結晶シリコン薄膜表面上にも均一な膜厚で酸化膜を形成できる。

従来技術・競合技術との比較

共沸硝酸酸化法では、熱酸化膜の1/5~1/20と格段に低いリーク電流密度を持つ極薄酸化膜を120℃の低温で形成できる。また、従来低温酸化膜形成法としてはCVD法などの堆積法が用いられていたが、膜質、膜厚均一性が共に悪かった。二段階硝酸酸化法では、緻密で膜質が良く、膜厚も均一な酸化膜が形成できる。さらに、SiO2/SiC構造の形成は従来は1,100℃程度の高温が必要であったが、二段階硝酸酸化法では120℃で形成できる。

新技術の特徴

・120℃の低温でSiやSiC上に膜厚1~40nmの酸化膜が形成可能
・120℃の低温で、熱酸化法と同等以上の特性を持つ酸化膜が形成可能
・酸化膜形成速度の基板面方位依存性は無く、ラフな表面にも均一な膜厚の酸化膜が形成可能

想定される用途

・TFTのゲート酸化膜
・LSIのゲート酸化膜及び高誘電体膜のバッファー層
・SiCパワーデバイスのゲート酸化膜

関連情報

・外国出願特許あり

J-STORE掲載特許情報

13:20~13:50 情報
4)  誤差ゼロを目指すPHS位置探査技術
発表資料

東京大学 大学院新領域創成科学研究科 人間環境学専攻 教授 保坂 寛
http://www.ems.k.u-tokyo.ac.jp/

新技術の概要

PHS端末の位置を高精度に計測する技術を開発した。基地局発信電波を端末で受信する広域計測と、端末発信電波を指向性アンテナで受信する局所計測を組合わせた。PHS受信圏内で誤差ゼロでの計測が可能。

従来技術・競合技術との比較

従来のPHS位置計測に比べ高精度。GPSに比べ屋内計測が可能かつ低消費電力。RFIDに比べリーダが不要・屋外計測が容易。無線LANに比べ任意の位置で計測可能。欠点として、人手による指向性アンテナの移動が必要。

新技術の特徴

・誤差ゼロでの位置計測が可能。
・PHS受信圏内の任意の位置で計測可能。
・既存のPHS端末とPHS網を利用するため、導入コストが低い。

想定される用途

・物流における製品や荷役機器の追跡
・貴重品の管理
・迷子、徘徊老人の発見

関連情報

・位置探査実験のデモ可能

13:50~14:20 情報
5)  高速・高精度な特異値分解によるデータ解析とその応用
発表資料

京都大学 大学院情報学研究科 数理工学専攻 教授 中村 佳正
http://www-is.amp.i.kyoto-u.ac.jp/

新技術の概要

工学分野に幅広い応用を持つ基礎計算として、特異値分解や固有値分解がある。この特異値分解によりデータ集合を解析することで、そのデータ集合が持つ「特徴」を検出することが出来る。本技術はこの特異値分解の計算を、精度を保ちながら、従来法よりも圧倒的に高速に計算することが可能である。

従来技術・競合技術との比較

これまでの特異値分解を行う計算アルゴリズムは、データサイズがNの時にO(N^3)の計算時間を要するものが一般的であった。これでは、データが大規模になった際に計算に非常に時間を要してしまう。新技術の計算はO(N^2)であるため、従来法よりも高速である。具体的には従来法では何時間も要するような計算が数分のうちに完了する。

新技術の特徴

・従来手法と比較し、高速な計算時間
・高い精度で計算される特異値
・必要な特異ベクトルのみの計算

想定される用途

・主成分分析(データマイニング、データ検索、画像圧縮など)
・独立成分分析(信号処理など)

関連情報

・サンプル提供の可否は検討中。応相談。
・外国出願特許あり

J-STORE掲載特許情報

14:20~14:50 情報
6)  人を引き込む身体的インタラクション技術
発表資料

岡山県立大学 情報工学部 情報システム工学科 教授 渡辺 富夫
http://hint.cse.oka-pu.ac.jp/

新技術の概要

うなずきや身振りなどの身体的リズムの引き込みを音声やタイピングから自動生成してCGキャラクタやロボット等のメディアに導入することで、一体感が実感できるコミュニケーション支援技術。

従来技術・競合技術との比較

うなずきや身振りなどの身体的引き込み動作を音声やタイピングから自動生成する技術は、本技術のみである。

新技術の特徴

・うなずきや身振りなどの豊かな身体的引き込み動作を音声やタイピングから自動生成
・集団での引き込み効果によりコミュニケーション場を自動生成
・教育・福祉・エンタテインメントをはじめ人とかかわる広範囲な応用が容易に可能

想定される用途

・ロボット・玩具
・携帯電話・インターネット等のインタフェース、ゲームソフト・音声認識ソフト
・チャット、SNS、アンケート促進

関連情報

・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり

15:00~15:30 材料
7)  金ナノ粒子を高分子及び炭素材料に一段で分散・固定化する方法と触媒への応用
発表資料

首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 環境調和・材料化学専攻 教授 春田 正毅
http://www.eng.metro-u.ac.jp/harutalab/

新技術の概要

金は化学的親和性に乏しいため小さなナノ粒子として分散・固定化することが難しい。特に、高分子や炭素材料を基材とする場合、成功例が少ない。そこで、汎用の高分子材料や活性炭、ナノ孔炭素に対しても簡便に金をナノ粒子として担持する方法として、高分子表面の還元性官能基を利用する方法や金錯体固相混合法を開発した。

従来技術・競合技術との比較

高分子重合の段階で金ナノ粒子を包接するなど高度な方法はあるが、入手しやすい市販の高分子材料や炭素材料に金をナノ粒子として分散・固定化する簡便な方法は、これまで数例を残して例が無い。特に、金の粒子径を5 nm以下にして、しかもサイズ分布を狭くすることは困難であった。

新技術の特徴

・市販の高分子や炭素材料に一段で金をナノ粒子として分散・固定化できる。
・金ナノ粒子の寸法を 5 nm以下にできるので、触媒として最適。
・担体を選ぶことにより、液相での選択酸化や選択水素化など種々の反応に向く触媒を作ることができる。

想定される用途

・液相触媒、特にグルコースからのグルコン酸ナトリウムの合成、過酸化水素の合成用。
・色材(ピンク、紫)、特に化粧品、塗料
・材料表面の金属被覆

関連情報

・サンプルの提供可能

15:30~16:00 デバイス・装置
8)  細胞のマイクロ操作を器用に、そして簡便に
発表資料

九州大学 大学院理学研究院 物理学部門 助教 市川 正敏
http://mag.phys.kyushu-u.ac.jp/

新技術の概要

光ピンセットによるマイクロ物体操作に於いて、2本以上のレーザーとその制御を必要としていた事項を、1本のレーザーで実現可能にする光学操作技術。

従来技術・競合技術との比較

従来技術への追加導入が容易で、低コスト。競合技術と違い、外国からの特許や製品を必要としない。原理的に何でも出来ます(けど方法は自分で開発してね)というモノではなく、ちょっと~したいといった単純な用途に向いている。

新技術の特徴

・低コスト、簡便で直感的
・特別に考えなくても従来技術の改良(性能アップ)となる
・従来技術や競合技術を邪魔しないので同時に使用できる

想定される用途

・溶液中のナノファイバの操作やファイバ構造物の組み立て
・細胞の特定部位への薬剤刺激(マイクロ流路中などで細胞の向きをコントロール)
・マイクロ物体のイメージング(共焦点観察やX線観察での物体の位置と方向の制御)

J-STORE掲載特許情報

16:00~16:30 材料
9)  DNAを鋳型としたナノスケールでの均一な金属コーティング法
発表資料

京都大学 大学院理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 教務補佐員 久保 康児
http://www.chem.scphys.kyoto-u.ac.jp/

新技術の概要

ナノスケールにおいて、溶液を混合するだけで簡便に金属コーティング出来る手法を開発した。DNAを鋳型にするため、リング状など曲線を含む複雑な構造体を、意図的に作製かつ均一な金属コーティングが可能である。

従来技術・競合技術との比較

これまでの直線的な物体を金属コーティングする手法を越え、曲線を含む複雑な構造体への貴金属(金、銀等)のコーティングを実現した。また本手法を用いると、散乱光の変化よってナノ構造体の状態を目視する事ができる。

新技術の特徴

・ナノスケールでの複雑な構造体制御
・液中での金属コーティング
・ナノ構造体の判定

想定される用途

・ナノ伝導体素材
・顔料等への添加(構造色)
・新素材LED

関連情報

・サンプルの提供可能

J-STORE掲載特許情報

16:30~17:00 アグリ・バイオ
10)  ES細胞の未分化性、多能性維持に関わる硫酸化糖鎖
発表資料

創価大学 工学部 生命情報工学科 教授 西原 祥子
http://www.t.soka.ac.jp/cgi-bin/staffs.cgi?target=Lif&file_name=shoko

新技術の概要

ES細胞の未分化性と多能性維持に硫酸化糖鎖が関与することを明らかにした。この事実に基づいて、硫酸化糖鎖合成に関わる糖転移酵素などの発現を制御することにより、自己再生能や分化を制御する技術である。

従来技術・競合技術との比較

本法は、従来法にはなかった新しい視点からの自己再生能や分化を制御する技術であり、一過性のより安全な制御が可能である。

新技術の特徴

・ES細胞などの幹細胞における硫酸化糖鎖の発現を制御することにより、自己再生能や分化を制御できる。
・一過性の安全な制御が可能である。

想定される用途

・ES細胞などの幹細胞、iPS細胞の維持や分化制御。
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