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発表内容詳細

10:25~10:55 創薬
1)  ヒスタグ配列を認識し、発蛍光する新規プローブの開発
発表資料

名古屋市立大学 大学院薬学研究科 創薬生命科学専攻 准教授 梅澤 直樹
http://www.phar.nagoya-cu.ac.jp/hp/ysk/index.html

新技術の概要

ヒスタグ(ヒスチジン6残基からなるペプチド)を持つ蛋白質を選択的に蛍光標識する方法を開発した。開発した蛍光色素は弱蛍光性であるが、ヒスタグと結合することで蛍光強度の増大が見られるため、高い信頼性が期待される。

従来技術・競合技術との比較

蛍光蛋白質が汎用されるが、標識する蛋白質の構造や機能への影響が懸念される。そこで分子量の小さなペプチドタグを用いる標識法が開発されてきたが、タグとの結合に伴う蛍光変化がない試薬がほとんどで、その用途は限られていた。本新技術は、この制約を克服するものである。

新技術の特徴

・蛋白精製に汎用されるヒスタグを蛍光標識できる
・ヒスタグは分子量が小さいため、標識するタンパク質への影響が小さい
・結合に伴い蛍光強度が大幅に増大するため、簡便かつ信頼性の高い標識が可能

想定される用途

・電気泳動ゲルの蛍光染色
・細胞の蛍光染色及びイメージング
・タンパク質フォールディング等の追跡

J-STORE掲載特許情報

10:55~11:25 創薬
2)  短期間でがんを発生させる新規モデル動物
発表資料

名古屋市立大学 大学院医学研究科 生体防御・総合医学専攻 教授 津田 洋幸

新技術の概要

本発明は短期間でがんを発生させることが可能なヒト変異型Kras遺伝子を導入したトランスジェニックラットです。なかでも早期発見が難しく難治がんの一つである膵がんのモデルとして、治療開発に有用性が高いモデル動物です。

従来技術・競合技術との比較

これまで化学発がんでは発生させることが困難だった膵がんを短期間にラットに発生させることが可能となりました。他の多くの膵がんモデルでは腺房由来の膵がんであるが、本発明はヒトと同様に膵管由来の膵がんを発生することからヒト膵がんのモデルとして有用です。

新技術の特徴

・化学発がんでは困難なヒト類似型の膵管由来の膵がんをラットに発生させることが可能
・4週間以内の短期間にがんを発生させることが可能:コストの大幅削減を実現
・従来のマウスモデルに比べ、ラットは体が大きく充分量の臓器・血液材料を採取可能

想定される用途

・抗がん剤の開発(in vivo)
・がん診断法の開発

関連情報

・外国出願特許あり

11:25~11:55 創薬
3)  創薬を志向した多様なベンゾオキサゾール類のクリーン合成法
発表資料

岐阜薬科大学 大学院薬学研究科 薬学専攻 教授 永澤 秀子
http://www.gifu-pu.ac.jp/research/research_yakka.html

新技術の概要

アニリンから誘導されるベンズアニリドを合成前駆体として、酸素または空気中、銅触媒存在下加熱し、C―H結合とカルボニル基を直接環化させることにより種々のベンゾオキサゾール類を位置選択的に構築する安全で、低環境負荷、高原子効率的な方法の開発。

従来技術・競合技術との比較

従来のベンゾオキサゾール製造法は原料となるアニリンのオルト位に水酸基等の存在が必要とされるのに対して、本法では、オルト位に置換基のないベンズアニリドを原料として、銅触媒存在下、C―H結合と直接環化してベンゾオキサゾール環を構築することができる。

新技術の特徴

・反応基質のオルト位に置換基を必要としないことから、合成経路の短縮化、製造コストの低減を可能にする。
・安価で安全な銅触媒を用いている。
・理論上副生成物は水のみであり、原子効率が高く、環境負荷の低い優れた方法である。

想定される用途

・医薬品の基本骨格として重要なベンゾオキサゾール環の効率的な多様性指向型合成による創薬シードの創出。
・医薬品のプロセス合成。
・光反応性耐熱性材料や絶縁体などの機能性材料の合成。

11:55~12:25 アグリ・バイオ
4)  組み合わせ触媒による効率的な有機合成・物質変換
発表資料

静岡県立大学 大学院薬学研究科 製薬学専攻 教授 赤井 周司
http://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/~lsocus/index.htm

新技術の概要

室温、1時間以内で、プロパルギルアルコール類からα,β-不飽和カルボニル化合物を90%以上の収率で与える、3種の金属化合物の組み合わせ触媒を開発した。また、2種の触媒の組み合わせによって、光学活性物質を効率的に不斉合成する新手法も開発した。

従来技術・競合技術との比較

プロパルギルアルコールの水酸基転位反応は、α,β-不飽和カルボニル化合物の最も有用な合成法のひとつであるが、従来法は、高温、長時間の反応、適用性の制限、副反応などが問題となって必ずしも効率的ではない。本法は、これらの問題点を解決する最良法である。また、酵素と金属触媒を併用すると、従来にない高収率、高光学純度で有用物質を生産することができる。

新技術の特徴

・緩和な反応条件、短時間、高収率
・広範囲の原料化合物に適用可能
・短工程合成を可能にする新しい合成概念

想定される用途

・医薬品、農薬、化粧品、香料などの合成中間体の効率的合成
・光学活性物質の効率的不斉合成

14:00~14:30 創薬
5)  生体分子固定化のための流動性ある自己組織化膜製造法
発表資料

岐阜薬科大学 大学院薬学研究科 薬学専攻 教授 近藤 伸一
http://www.gifu-pu.ac.jp/research/research_bukka.html

新技術の概要

高分子基盤表面に短いアルキル鎖(C4~C12程度)をグラフト化した後、リン脂質と脂肪酸からなる懸濁溶液に浸漬することにより自己組織化膜を構築した。得られた自己組織化膜は、熱安定性に優れ、膜流動性もあり、かつ生体分子の固定化も可能である。

従来技術・競合技術との比較

従来の生体分子固定化法は高分子基材表面に生体分子を固定化するため位置が固定化されるが、本方法では流動性ある膜表面に生体分子の固定化が可能であり、膜表面上での生体分子間相互作用などを利用した新しい応用が期待できる。

新技術の特徴

・熱安定性の高い自己組織化膜の形成
・流動性ある自己組織化膜の形成
・脂肪酸などの導入により生体分子の固定化が可能

想定される用途

・プロテインチップなどのバイオチップ
・固定化酵素などのバイオリアクター
・経皮吸収型DDS

関連情報

・サンプルの提供について、試作可能

14:30~15:00 創薬
6)  新薬開発のための躁病様モデルマウスの紹介
発表資料

岐阜薬科大学 大学院薬学研究科 薬学専攻 教授 原 英彰

新技術の概要

・双極性障害のI型の疾患モデル及びその利用方法に関するものである。 ・双極性障害は双極性躁鬱病と呼ばれる精神疾患の一種であるが、躁状態の重いI型と、鬱状態が重いII型に大別される。 ・I型とII型とでは、症状がかなり異なることから、その原因も異なる。 ・双極性障害治療薬開発のためには、I型とII型を区別した疾患モデル動物が必要。

従来技術・競合技術との比較

・これまでに躁病モデル動物は存在しない。 ・双極性障害の治療方法は、I型は抗精神病薬を、II型は抗うつ薬を各々併用するが、基本はI型、II型ともに、「気分安定薬」の対症療法薬を用いるしかなく、I型とII型各々専用の薬はない。

新技術の特徴

・躁病様の行動変化を示す。
・これら行動変化は躁病治療薬の一つであるリチウムによって拮抗される。

想定される用途

・躁病の病態解明のツール
・躁病治療薬の評価系

関連情報

・外国出願特許あり

15:00~15:30 創薬
7)  多剤耐性結核菌に有効な糖誘導体の探索
発表資料

名古屋市立大学 大学院薬学研究科 医療機能薬学専攻 准教授 瀧井 猛将
http://www.phar.nagoya-cu.ac.jp/research_course/res_course11.html

新技術の概要

本発明の一連の化合物は新規であり、また作用機序が従来のものとは異なります。結核菌特異性が高く、薬剤耐性菌にも効くことが期待され、既存薬剤との相乗効果も期待されます。

従来技術・競合技術との比較

この化合物は、既存の抗結核薬にはない溶菌的な活性を有している。

新技術の特徴

・ヒト型結核菌Mycobacterium tuberculosis H37Rvに抗菌活性を示す新規糖化合物である。
・多剤耐性結核菌にも抗菌活性を示し、第二選択薬と同等の抗菌活性を有する。
・既存の抗結核薬との相乗効果が認められ、併用することで、第一選択薬の投与量の減量が期待できる。

想定される用途

・抗結核薬及び併用剤の開発
・結核症の発症予防や治療

関連情報

・サンプルの提供可能

15:50~16:20 創薬
8)  メントールおよび関連化合物(冷感剤)の新しい生体機能改善効果
発表資料

静岡県立大学 大学院生活健康科学研究科 食品栄養科学専攻 教授 鈴木 裕一
http://sfns.u-shizuoka-ken.ac.jp/physiol/index.html

新技術の概要

ペッパーミントの精油に含まれるメントールは下痢を改善した。さらに、メントールの誘導体であるいくつかの冷感物質も同様の効果があった。その作用メカニズムは、ある種のカリウムチャネル(胃液分泌など様々生理機能に関与する)を阻害することによることが明らかになり、様々な症状や病態に対しての利用が考えられる。

従来技術・競合技術との比較

これまでペパーミントの精油成分より得られたものが用いられてきたが、本技術では合成により生産する。これにより、関連した多彩な物質が合成でき、様々な観点からより有用な物質を選択できる。また、純粋な物質が大量に生産できる。

新技術の特徴

・合成により生産できるので、純粋な化合物を提供できる。
・基本的な物質では食経験がなされており、安全である可能性が高く、その分薬剤としての開発が比較的容易である。

想定される用途

・機能性のある食品添加物(高血糖改善、消化管機能や呼吸機能改善)
・薬剤(糖尿病、心臓や消化管や呼吸器疾患に対する薬)

関連情報

・サンプルの提供については、お問い合わせください
・外国出願特許あり

16:20~16:50 創薬
9)  ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤と光増感法の組み合わせによる新規癌治療法
発表資料

静岡県立大学 大学院生活健康科学研究科 環境物質科学専攻 准教授 伊吹 裕子
http://photobio.u-shizuoka-ken.ac.jp/

新技術の概要

ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤により高アセチル化状態を誘導した腫瘍細胞に、光増感療法の代表例であるPUVA療法を併用することにより、非常に強い殺傷効果が得られることを見出した。本法はメラノーマ等の抗がん剤に耐性の細胞にも有効であり、また光照射を行う点においてはがん細胞のみをターゲットにできる利点を有する。

従来技術・競合技術との比較

近年、HDAC阻害剤が放射線、抗がん剤との組み合わせにより抗腫瘍効果を示すことが明らかとなった。本法によるPUVA療法との組み合わせは、その効果を格段に亢進させることができた。

新技術の特徴

・効率よく短時間で腫瘍を殺傷することが可能
・光照射によりがん細胞のみをターゲットにできる
・PUVA療法は現在も皮膚科領域で使用されており、HDAC阻害剤も米国では承認されつつある

想定される用途

・メラノーマなど抗がん剤に耐性を示す癌の治療
・皮膚T細胞リンパ腫の治療
・HDAC阻害剤とソラレンの複合薬の製造と光照射装置の作製
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