JSTトップ > 新技術説明会 > 発表技術アーカイブス > 2011 九州横断4県合同(大分・熊本・佐賀・長崎)

発表内容詳細

10:30~11:00 機械
1)  多結晶形状記憶合金のアコモデーション挙動を考慮した相変態挙動シミュレーション技術とその応用
発表資料

大分大学 工学部 機械・エネルギーシステム工学科 助教 山本 隆栄

新技術の概要

種々の熱および機械的負荷のもとでの形状記憶合金の超弾性挙動、形状記憶効果などの変形挙動を高精度に予測することが可能である、多結晶形状記憶合金のアコモデーション挙動を考慮した相変態挙動シミュレーション技術。

従来技術・競合技術との比較

従来のシミュレーションは基本的に単結晶での応答で行っているため、結果が多直線で描画される。アコモデーション挙動を考慮した相変態挙動シミュレーション技術では、結果が実験値と同様の曲線で描画されるので精度が高い。

新技術の特徴

・形状記憶合金の応力および温度の履歴に対するひずみ履歴を精度良く計算することができる
・応力誘起のマルテンサイト変態および逆変態における開始応力および終了応力を明瞭にすることが可能
・相変態過程における粗状態を明瞭にすることが可能

想定される用途

・位置決め装置などの形状記憶合金アクチュエーターの設計
・形状記憶合金ステントの設計
・能動カテーテルなどの形状記憶合金を用いた医療機器の設計

11:00~11:30 計測
2)  偏光を利用したプラズモンセンサによる微小屈折率変動の検出
発表資料

熊本高等専門学校 情報通信エレクトロニクス工学科 教授 松田 豊稔

新技術の概要

本発明は、液体や気体の微小屈折率変動(例えば小数点以下5桁目)をin-situ(測定試料を抽出することなく、試薬や加温など試料の加工を必要とせず、数十ミリ秒単位の測定時間)に計測する小型で簡易な光センサである。

従来技術・競合技術との比較

既成のプラズモンセンサでは光の照射角を変化させる駆動系または光学系が必要であったが、本発明ではセンサヘッドに周期構造を用いて偏光情報を取り入れることで駆動装置を用いない小型で簡易なプラズモンセンサを実現した。

新技術の特徴

・液体・気体試料の屈折率変化に伴う特性(濃度、化学変化など)をモニターすることができる
・吸着層付加による特定物質の成分抽出の機能がある(残留農薬検知など)
・光計測の特長である防爆性・対環境性に優れている(高周波・強電磁界下での測定可)

想定される用途

・気体の濃度計測装置(例 水素漏れ検知センサなど)
・食品の濃度管理センサ(例 アルコールセンサなど)
・誘電体薄膜や金属薄膜の(複素)誘電率や膜厚のin-situ計測

11:30~12:00 情報
3)  デジタル画像のノイズ除去法と電子透かし法
発表資料

佐賀大学 大学院工学系研究科 知能情報システム学専攻 准教授 皆本 晃弥
http://www.ma.is.saga-u.ac.jp/minamoto/

新技術の概要

画像のノイズは、カメラの性能や利用状況によって変化するが、既存のノイズ除去技術は個々の状況には対応できなかった。新技術では、個々のノイズ情報を反映させたノイズ除去フィルタを設計できるようにした。また、既存の電子透かし法は通常の浮動小数点演算に基づいた方法ばかりであるが、区間演算を利用した新しい電子透かし法を提案した。これにより攻撃耐性のある電子透かし法が比較的容易に実装できる。

従来技術・競合技術との比較

従来のノイズ除去技術は、白色ノイズやISOノイズなど何らかの仮定を課していたが、新技術ではノイズ除去にノイズ情報そのものを利用するので、そのような仮定を課す必要はない。また、電子透かしについては、区間演算を利用するという既存の方法にない、全く新しいものである。

新技術の特徴

・信号の特徴に応じたフィルタの設計ができる
・信号(画像)にある種の冗長性を付加できる
・電子透かしの強度(Robustness)を容易に調整できる

想定される用途

・固定カメラ(防犯カメラ、ドライブレコーダーなど)で撮影した画像のノイズ除去・鮮鋭化
・画像や音声への電子透かし(個人レベルでの利用も含む)
・画像改ざん検知(ドライブレコーダーや防犯カメラで撮影した画像の無改ざん証明)

13:10~13:40 アグリ・バイオ
4)  アジア人種型2型糖尿病モデルマウス
発表資料

熊本大学 大学院生命科学研究部 分子生理学分野 教授 富澤 一仁
http://kumamoto-physiology.jp/

新技術の概要

一般的にアジア人種の2型糖尿病患者は、欧米人種の患者と比べ非肥満及び低インスリン分泌といった特徴が見られる。アジア型人種2型糖尿病の存在が提唱されているにも関わらず、同疾患モデル動物が無いため、同型糖尿病の創薬研究開発が全く進んでいない。アジア人種型2型糖尿病に関する疫学研究結果に基づき遺伝子改変を行い、アジア人種型2型糖尿病を呈するマウスを開発した。

従来技術・競合技術との比較

①現在最も良く使用されている2型糖尿病モデルマウスはすべて肥満になり、高インスリン血症を示すため、アジア人種型2型糖尿病の病態を表していない。
②ob/obマウスやdb/dbマウスは、摂食を制御するレプチン及びその受容体の遺伝子が欠損したために、糖尿病様の病態を呈するが、2型糖尿病患者の内レプチン及びその受容体の遺伝子に異常を持つ人はごくまれである。

新技術の特徴

・アジア人種型糖尿病の病態に酷似する病態を呈する
・大規模遺伝子多型疫学研究の結果に基づいて開発している
・繁殖能力や膵臓内分泌腺以外の組織・細胞の機能は、野生型C57/BL6と同等である

想定される用途

・糖尿病治療薬開発(スクリーニング、効果判定など)
・糖尿病研究
・糖尿病に対する特定保健用食品開発

関連情報

・外国出願特許あり(出願準備中)

13:40~14:10 計測
5)  環境の変動に頑健な信号分離と目的信号抽出システム
発表資料

熊本高等専門学校 情報通信エレクトロニクス工学科 准教授 石橋 孝昭
http://www.ubi.te.kumamoto-nct.ac.jp/ishibashi/

新技術の概要

本技術は、複数の原信号が重畳した観測信号から、元の目的信号を抽出する技術である。原信号と伝達関数の情報無しで原信号数を推定し、観測された混合信号から目的信号を抽出できて、音響信号、生体信号などで利用できる。

従来技術・競合技術との比較

従来技術では原信号数が分かっている条件下での分離抽出方法が多く、変動する環境での信号分離は困難である。提案する技術では、原信号数の推定を行うことにより、時々刻々と原信号数が変動しても信号を分離抽出できる。

新技術の特徴

・複数信号の混合した観測信号から、原信号の数を推定できる
・観測信号のみを用いて、原信号を分離し目的信号を抽出できる
・原信号の有無の判断や、原信号の発生区間の検出ができる

想定される用途

・騒音環境下での音声通話や音声入力
・機器の異音による故障診断や情報収集
・生体信号の特徴抽出による診断

14:10~14:40 医療・福祉
6)  ナノ秒高電界パルスを用いた新規がん治療法
発表資料

熊本大学 バイオエレクトリクス研究センター 教授 勝木 淳
http://ppe.coe.kumamoto-u.ac.jp/

新技術の概要

本技術は、ナノ秒高電界を細胞に印加し、2次的に細胞死(アポトーシス)誘導物質を誘発させ、細胞死を行う技術である。また、がん組織などに対して効果的であり、一度の処理で長期間の細胞死誘導が可能である。

従来技術・競合技術との比較

現在、物理療法は放射線・ラジオ波加熱などが存在する。本技術は非加熱・低価格・高効率で、マニュピレーター先端に取り付ける事が可能で、主要臓器の非切除がん組織に対して有効な治療と考えられる。

新技術の特徴

・非加熱治療ができる
・血管新生を阻害しながら長期治療ができる
・細胞膜刺激

想定される用途

・がん・メタボリック・皮膚病治療
・再生・分化・ES細胞治療
・食品加工

14:55~15:25 アグリ・バイオ
7)  「摘果ミカン」の中性脂肪低減効果と食品への応用
発表資料

長崎県立大学 大学院人間健康科学研究科 栄養科学専攻 教授 田中 一成
http://sun.ac.jp/

新技術の概要

これまでほとんど利用されていない摘果ミカンが強い中性脂肪低減作用を有することを明らかにした。本技術は、摘果ミカン皮と完熟ミカン皮を揉捻混合すると有効成分が効率よく抽出され、機能性や味覚が向上することを示したものである。

従来技術・競合技術との比較

これまで摘果ミカンを利用した飲食品は少数あるが、摘果ミカンは渋味が強いことからその利用は限られている。本技術では、摘果ミカンと完熟ミカンを製茶機械で揉捻混合することで、機能性や味覚が向上する。

新技術の特徴

・未利用資源の有効活用
・中性脂肪低下作用
・アレルギー改善作用

想定される用途

・中性脂肪低下効果を有する飲食品
・中性脂肪低下効果を有するサプリメント
・アレルギー改善効果を有する飲食品

15:25~15:55 計測
8)  大気圧放電プラズマによるヒドロキシラジカルの発生と簡易測定方法
発表資料

大分大学  工学部 電気電子工学科 准教授 金澤 誠司
http://eleserve.cc.oita-u.ac.jp/~nok/#

新技術の概要

活性酸素の一つであるヒドロキシラジカルは、酸化力や滅菌力に優れたラジカルであるが、短寿命であるため、その検出が難しかった。新技術では、試薬とLED光源を用いてヒドロキシラジカルの新たな簡易測定法を開発した。

従来技術・競合技術との比較

従来のヒドロキシラジカルの化学的検出方法は、分光蛍光光度計を使用するもので、試料のサンプリングを必要とし、測定環境はブラックボックスの状態にある。本手法では、液体中のヒドロキシラジカルをその場でリアルタイムに測定し、濃度や分布状況が可視化できる。

新技術の特徴

・ヒドロキシラジカルをトラップしてその場で可視化できる
・安価で高感度な環境計測機器を実現できる
・促進酸化処理のモニタリングや反応素過程の解明に使える

想定される用途

・高効率なヒドロキシラジカル発生器の開発への利用
・水処理(難分解性物質の処理)をはじめとする環境浄化プロセスの評価
・バイオ・医療分野への応用
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