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発表内容詳細

10:20~10:45 医療・福祉
1)  【サテライト滋賀】一粒子蛍光検出法によるインフルエンザなどの感染症診断機器の開発
発表資料

長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部 バイオサイエンス学科 准教授 長谷川 慎
http://www.nagahama-i-bio.ac.jp/

新技術の概要

新興・再興感染症の拡散を防ぐための診断手法を可能とする病原体検出機器を開発した。蛍光分子の溶液内での動きを非常に細いレーザー光で観察することにより、蛍光物質を吸着させたウイルスやバクテリア、また蛋白質性毒素の凝集塊といった病原性粒子を計数する。このような「一粒子蛍光検出法」に基づく開発装置をインフルエンザウイルスの高感度・迅速検出に応用した。

従来技術・競合技術との比較

本技術は、高感度・迅速性・定量性について優位性を持っている。抗ウイルス・抗菌剤などの創薬研究では開発の迅速性と精度の高い測定法の確保が求められることから、感度・定量性を高めた機器を提供する。また、防疫・公衆衛生機関に新型インフルエンザの拡大阻止に対するツールとして、あるいは家禽への高病原性トリインフルエンザウイルスの侵入を迅速に検知確定するための装置として普及すれば、多大な経済的損失を未然に防ぐために貢献できる。

10:45~11:10 創薬
2)  【サテライト滋賀】質量分析器によるプロテオームおよびメタボローム解析用のアミン反応性同位体標識試薬
発表資料

福井大学 医学部 医学科 助教 成田 知巳

新技術の概要

室温、水溶液で安定な新規アミン反応性同位体標識試薬の開発に成功しました。質量差1のPy試薬8種、より高機能化を実現した質量差2のPyII試薬7種の2シリーズで、質量分析器によるプロテオーム、メタボローム解析に使用できます。プロテオーム解析はPy試薬またはPyII試薬のうち3種を用いて行えます。メタボローム解析はPy試薬またはPyII試薬のうち最大7種を用いることにより、多試料中の多成分の同時一斉分析が高効率で行えます。

従来技術・競合技術との比較

質量分析機を用いた測定は、感度が非常によい反面ノイズも多くなります。そのためノイズを軽減する方法が見つかると、非常によい分析方法となります。それを目指して本試薬を用いたiTRAQ型ラベリング試薬の開発を行っています。これを用いMSMS分析を行えばよりS/Nの良い測定が期待できます。さらに本試薬により標識された物質のみを精製する方法の開発も行っています。これによりサンプル中の夾雑物除去によるノイズの軽減および高感度分析が期待できます。

関連情報

・外国出願特許あり

11:15~11:40 創薬
3)  【サテライト宮崎】腎臓病診断のための尿中エクソソームを用いた探索研究
発表資料

宮崎大学 農学部 獣医学科 教授 池田 正浩
http://www.agr.miyazaki-u.ac.jp/~vet/VetPharmacol/index.html

新技術の概要

大きな社会問題となっている腎疾患を早期診断できるバイオマーカーを見出すことを目的に、本研究では、新規診断材料である尿中エクソソームを用いた探索研究を行った。その結果、尿中エクソソームに含まれるタンパク質の中に、虚血性腎障害、薬剤性腎障害、および終末期腎不全を診断できる可能性があるバイオマーカーを見出した。これらのシーズは、旧来の単純に腎臓が悪いかどうかを診断するバイオマーカーとは異なり、エクソソームの性質を考えると、腎臓において組織や細胞の状態まで分かる、次世代のバイオマーカーとなる可能性がある。

従来技術・競合技術との比較

今後は、これらのシーズ候補に基づいてキット化などを視野に入れた実用化を目指した研究を進めて行きたい。実用化に至れば、透析医療などで悩む患者さんの数を減らすことにつながり、人類の健康に大きく貢献することになる。

関連情報

・外国出願特許あり

J-STORE掲載特許情報

11:40~12:05 エネルギー
4)  【サテライト宮崎】電場型連続乳化・解乳化技術による油分中の極性成分の抽出除去および油水分離
発表資料

鹿児島大学 大学院理工学研究科 化学生命・化学工学専攻 准教授 高梨 啓和
http://www.be.kagoshima-u.ac.jp/~ohki-lab/

新技術の概要

本技術は、撹拌翼などの可動部を不要としながら、油水の混合と分離を連続的に行う技術です。油相と水相を対向流で連続的に接触させ、電場を用いることにより、連続的に乳化・解乳化を行います。乳化状態における広い油水界面積を通じて油相中の極性物質を迅速に抽出し、引き続いて行われる解乳化で極性物質を含む水相を分離・除去します。水相を添加しない場合には、油水分離技術・解乳化技術として使用可能です。

従来技術・競合技術との比較

育成研究では、廃食用油などの植物油脂から合成するバイオディーゼル燃料(BDF、FAME)の精製技術として技術開発を行いました。連続実験装置を作成して実験を重ねた結果、合成直後のBDF中に含まれる極性物質の除去に必要な洗浄水量を、従来技術の1/100程度まで削減することができました。また、その際の消費電力量は、燃料であるBDFの低位発熱量の0.02%、22.4円/m3-BDFと省エネ型でした。今後は、他の油種への水平展開、コアレッサーの前処理などへの応用を検討したいと考えています。

関連情報

・外国出願特許あり

13:00~13:25 医療・福祉
5)  【プラザ北海道】関節疾患に対する新規注射用治療製剤
発表資料

北海道大学 大学院医学研究科 整形外科学分野 准教授 岩崎 倫政

新技術の概要

関節疾患のなかでもきわめて発症頻度が高い変形性関節症に対する進行予防のための関節内注射用製剤と外傷性軟骨損傷に対する再生医療用基材を開発した。基盤マテリアルであるアルギン酸の低エンドトキシン化および高分子量化に成功し、分子量を変えることで両者に対して有効な薬理効果を示すことが可能となった。大型動物を用いた実験によりその治療効果および安全性が証明され、ヒトに対する臨床応用の可能性が示されている。

従来技術・競合技術との比較

本技術を用いて医薬品(変形性関節症に対する進行予防のための関節内注射用製剤)あるいは医療機器(軟骨再生医療用細胞移植基材)を開発する。当面は、GLP準拠の前臨床試験を目標とする。最終的に2015年には再生医療用機器としての承認を目指した治験をスタートさせる予定である。

関連情報

・サンプルの提供可能
・展示品あり
・外国出願特許あり

13:25~13:50 分析
6)  【プラザ北海道】分光イメージングによる食品検査システム
発表資料

北海道立総合研究機構 産業技術研究本部 ものづくり支援センター 研究主任 本間 稔規
http://www.iri.hro.or.jp

新技術の概要

安全、安心な食品を消費者にとどけるため、生産、加工、流通の各過程において適切な安全対策を講じることが必須となっている。そこで本研究では食品モニタリングの重要性に着目し、近赤外分光イメージングなどの光学的計測手法を用いることにより、フードチェーンの各過程において混入する可能性のある人毛、獣毛、ビニル片などの異物検出、および品質劣化を評価するシステムを開発した。

従来技術・競合技術との比較

人毛など従来のX線異物検査装置では検出できない異物検査のニーズは高い一方で食品製造業の多くは中小企業であるため、装置導入に関しては検出性能の高さに加えて製品価格が重要である。また、今回は食肉を検査対象として開発を進めたが、これ以外にも様々な食品での異物検査に展開が可能である。今後は検査装置の機能を高めるとともに低コスト化に向けた開発を進め、技術の普及をはかっていく。

13:55~14:20 医療・福祉
7)  【プラザ広島】有機-無機ナノハイブリッド技術を用いたヒト骨髄細胞のための温度応答性培養皿
発表資料

山口大学 大学院医学系研究科 消化器病態内科学 講師 高見 太郎
http://www.ichinai-yamaguchi.jp/

新技術の概要

我々が開発した肝硬変症に対する「自己骨髄細胞投与療法(ABMi療法)」の臨床的有効性は多施設共同研究を含めて確認されたが、全身麻酔下に骨髄液を採取する必要がある。そこで局所麻酔下に骨髄液を少量採取し肝硬変改善に効果のある細胞分画を培養して投与する「新しい肝修復再生療法」を実現するため、有機-無機ナノハイブリッド技術を用いて、ヒト骨髄細胞から効率よく「間葉系幹細胞分画」が増殖可能で温度変化で培養細胞が剥離回収できる培養皿を開発した。

従来技術・競合技術との比較

すでに培養皿のGLP基準化等の取り組みを開始している。具体的には、細胞毒性に関する品質管理手法の検討、最適な滅菌法(ガンマ線照射等)の検討、培養液中のコーティング基材溶出の有無の検討等を行い、最適手法および条件を確立する。このようにGLP基準化を先行させ、さらに製造工程のGMP基準化を図ることにより、少量の自己骨髄液から本培養皿で培養したヒト骨髄間葉系細胞を投与する新たな肝修復再生療法の開発を進める。

14:20~14:45 アグリ・バイオ
8)  【プラザ広島】組換え蛋白質生産を革新するIR/MAR遺伝子増幅法
発表資料

広島大学 大学院生物圏科学研究科 生物機能開発学専攻 教授 清水 典明
http://home.hiroshima-u.ac.jp/shimizu/index.html

新技術の概要

我々が独自に見いだした全く新しいIR/MAR遺伝子増幅法を、哺乳動物細胞での蛋白質生産の汎用技術として育成するために、巨大な市場を持つヒト化組換え抗体の生産に適用して検討した。その結果、極めて高い生産性を示す細胞クローンが効率よく、再現性高く得られることが示された。このようなクローン細胞は長期間の培養に安定であり、生産された抗体蛋白質の品質は良好であり、無血清浮遊培養で世界最高レベルの比生産速度を示した。また、様々な改良法やノウハウが蓄積した。

従来技術・競合技術との比較

この技術は、高生産細胞の樹立に関して、世界で高い競争力を持つと考えられる。一方、培地中の産物濃度は、細胞の能力だけでなく培養法によって大きく左右される。そのため今後、最適な培養法と組みあわせることにより、培地中の産物濃度がどこまで高まるかを検討する必要がある。さらに、抗体医薬を含めて多種多様な蛋白質製品について具体的に適用して、実績を積み重ねるとともに、汎用技術として使用されるように宣伝等を行う必要がある。

関連情報

・サンプルの提供可能〔共同研究企業から試薬キットを販売中〕
・外国出願特許あり

14:45~15:10 アグリ・バイオ
9)  【プラザ広島】地球温暖化に適した新規の短稈・晩生遺伝子を移入した短稈コシヒカリの開発

鳥取大学 農学部 生物資源環境学科 准教授 富田 因則
http://www.sangakuplaza.jp/page/156605

新技術の概要

コシヒカリの倒伏防止のために新規の短稈遺伝子d60の機能を解明するとともに、d60、d63等の短稈遺伝子に加えて、早晩生、高温登熟性などの量的形質遺伝子座(QTL)を分子育種により短期間でコシヒカリに付与した。その結果、温暖化による品質劣化を防ぐとともに収穫期を分散することによって、生産者の労力を軽減し、農業雇用と米生産事業の活性化に役立つ早晩生短稈コシヒカリを開発した。

従来技術・競合技術との比較

温暖化と倒伏によりコメの減収と品質劣化に曝されている地球環境に適応し、増大する外食産業における主食用米需要を賄う超多収米を開発するため、これまでに育成した鳥取大学のシーズをもとに早晩生短稈コシヒカリに新規遺伝子(大粒、バイオマス増大、高温登熟性)を分子育種で短期間に付与する。多発する台風や強風に強く、猛暑の登熟を避けるとともに、大粒化、バイオマス増大により、今までにない良食味・高品質の超多収米を開発する。さらに、極早生化も加えて震災・放射能汚染に強い植物工場での生産を可能にし、安全安心な新産業を目指す。

15:25~15:50 医療・福祉
10)  【プラザ宮城】飲酒における健康問題を回避する原因除去型サプリメントの開発
発表資料

東北大学 大学院工学研究科 バイオ工学専攻 教授 中山 亨

新技術の概要

飲酒習慣に起因する健康問題のうち、アセトアルデヒドによる二日酔い、不快な口臭(熟柿臭)の生成、上部消化管がん発症のリスク増大等の諸問題を回避する原因除去型の健康サプリメントを開発することを目的として、飲酒後の口腔内に残存するアセトアルデヒドを触媒的に除去する方法を検討した。その結果、酢酸菌の一種がこの目的のために優れた効果をもつことを明らかにし、同微生物菌体を用いるオーラルケアサプリメントの可能性を考察した。

従来技術・競合技術との比較

同微生物菌体が飲酒後の口腔内条件下における唾液中のアセトアルデヒドを効率よく分解することを立証した。同微生物の安全性試験が進行中であり、ヒトへの安全性が確認されれば、ヒト試験により実際の飲酒シーンに即した効能評価を行う。

関連情報

・外国出願特許あり

15:50~16:15 通信
11)  【プラザ宮城】マルチギガビット伝送用ミリ波ポータブル端末用ビームフォーミングアンテナ
発表資料

東北大学 電気通信研究所 教授 加藤 修三
http://www.katolab.riec.tohoku.ac.jp/

新技術の概要

ミリ波は直進性が強いことからビームフォーミング技術が携帯端末には特に求められている。このため、ビームを生成する移相器を低損失で実現することが課題であり、開発技術は90度ステップの移相器での欠点である特定方向の利得の低下が1dB以下と実用的であること、またダブルスロットアンテナを考案し、高利得(13dBi以上)なビームフォーミングアンテナが実現可能であることを実証した。さらに、CMOS素子を用いミリ波移相器及電力増幅器を実現し、提案システムが実用的であることを実証した。

従来技術・競合技術との比較

研究パートナである(株)日立は、本研究で開発された消費電力の小さなビームフォーミングICの基本技術を家庭内の超高速無線インフラに適用した製品を開発する予定である。具体的には、TV、スマートフォン、デジタルカメラなどの家庭内機器をGb/s級の伝送速度で接続する方式を想定し、さらに鉄道・発電所・産業プラントなど社会インフラで応用可能なGb/s級の無線Needsも応用範囲に加えている。

関連情報

・展示品あり〔ダブルスロットビームフォーミングアンテナ展示予定〕

16:20~16:45 計測
12)  【プラザ東海】搭載性・連続性に優れたディーゼルパティキュレートセンサの開発
発表資料

名古屋大学 大学院環境学研究科 都市環境学専攻 教授 日比野 高士
http://www.urban.env.nagoya-u.ac.jp/~hibino/

新技術の概要

本技術はプロトン伝導性電解質と電極触媒から成る電気化学デバイスを使用し、①排ガス中で活性酸素を電気化学的に生成する、②①で生成した活性酸素をパティキュレートマター(PM)と100%の効率で反応させる、③②の過程で大きな電気信号を発生する、ことが特長として挙げられる。これによって、センサ自体が自己再生能力を持つため、PMの連続モニタが可能になる。

従来技術・競合技術との比較

本技術は小型サイズの全固体センサをディーゼル車の排気マニホールドに設置し、排ガス中のPM濃度をその場で瞬時に測定するものである。本技術の特長として、センサ自体が自己再生能力を持つため、これまで報告されているセンサでは不可能であったPMの連続モニタリングが可能になる。想定する製品はディーゼルパティキュレートフィルターの故障診断用センサ素子である。

関連情報

・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり

16:45~17:10 創薬
13)  【プラザ東海】アルツハイマー病に関わる核タンパク質ATBF1の断片の定量的質量分析による新しい診断技術
発表資料

名古屋市立大学 大学院医学研究科 分子神経生物学 准教授 三浦 裕
http://square.umin.ac.jp/miura/

新技術の概要

神経細胞の核に存在する400-kDaの巨大な転写因子ATBF1がアルツハイマー病では、100-kDa以下の小さな断片となり、細胞質から髄液中に分泌される異常が起こる。この異常タンパク質断片を微量でモニターする新技術として、安定同位体を内標準とした質量分析による絶対定量法を確立した。この方法はまったく新しい診断法として活用できる可能性がある。

従来技術・競合技術との比較

髄液中に含まれる微量なATBF1の検出が可能な高性能の特異抗体を開発し、より簡便な抗ATBF1抗体による定量的検査法の開発に発展させる。ATBF1の断片化のメカニズムの解明から、断片化を抑制する薬剤が神経保護作用を持つ特性が示された。この成果を活用してアルツハイマー病をはじめさまざまな神経変性疾患に共通するまったく新しい治療薬を開発する。
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