発表内容詳細

13:25~13:55 デバイス・装置
1)  カリウムイオンエレクトレットを用いた新しいMEMS技術の展開
発表資料

静岡大学 大学院工学研究科 機械工学専攻 教授 橋口 原

新技術の概要

シリコンを素材とするMEMSデバイスは、狭いギャップで深い構造が形成できる深堀りエッチング技術の発展により飛躍的に進化した。そのエッチング側壁に、任意の電圧を半永久的に帯電できるエレクトレット技術を開発した。帯電を持つことで従来にない新しい機能を発現できるが、印加電圧に対して線形に変位する静電アクチュエータとその応用について説明する。

従来技術・競合技術との比較

電気・機械間の相互作用を伴う素子では直流バイアス電圧の印加が必要であり、その電圧が高いほど変換効率は高くなる。静電型MEMSでは一般に高い電圧を必要とするので、携帯機器への適用では昇圧回路が必須となり、ノイズの原因や部品点数の増加につながる。エレクトレットを用いたMEMSでは、そのようなバイアスが不要となり、100Vを超える帯電も可能であるので、MEMS素子の性能を飛躍的に高めることが可能である。さらに従来にない機能も発現できるので、新しいMEMS産業の創出を可能とする。

新技術の特徴

・高アスペクトのシリコンエッチング側面に帯電電圧を制御してエレクトレット膜を付加することができる
・半導体製造技術との整合性もよく、かつ極めて低コストで製造できる
・線形変位アクチュエータなど、従来にない新しい機能を発現できる

想定される用途

・高い電圧を低い電圧で読み取る電位差計
・線形性が要求されるMEMSスピーカーなどの音響素子
・ディスプレイ用スキャナーやフォーカス用アクチュエータなどの光学部品

13:55~14:25 デバイス・装置
2)  表面プラズモンアンテナ付きフォトダイオードによる屈折率測定
発表資料

静岡大学 電子工学研究所 極限デバイス研究部門 教授 猪川 洋
http://www.rie.shizuoka.ac.jp/~nanosys/

新技術の概要

金属格子からなる表面プラズモンアンテナと横型のシリコンフォトダイオードを組み合わせて屈折率を測定する方法を考案した。フォトダイオードに光を当てるだけでアンテナ近傍の波長程度の領域の屈折率を高感度に測定できる。

従来技術・競合技術との比較

既存の表面プラズモン共鳴(SPR)センサーに比べると、光学系がシンプルで、サイズが小さく、CMOS回路との集積により高機能化できる点が優れている。

新技術の特徴

・光を当てるだけで測定でき受光系を別に設ける必要が無いため、シンプルな光学系で高感度な屈折率測定が可能となる。
・サイズが50μm×50μm程度と小さいため、多数のフォトダイオードを1チップに集積して多くのサンプルを同時に計測することが可能となる。
・同一チップ上にCMOS回路を搭載することにより、制御や演算の機能も含めた計測システムが1チップで構築できる。

想定される用途

・一般的な液体や気体の屈折率測定
・屈折率測定による蛍光ラベルを用いないバイオセンサー
・屈折率測定にもとづく化学物質センサー

関連情報

・テスト測定を受け付けます

14:25~14:55 デバイス・装置
3)  並列処理指向型FPGAアーキテクチャ
発表資料

静岡大学 大学院工学研究科 電気電子工学専攻 准教授 渡邊 実
http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~tmwatan/

新技術の概要

FPGAでは回路の記憶にコンフィギュレーションSRAMを用い、これがダイ(VLSIチップ)の大部分を占めている。既存のFPGAに並列処理を実装すると、コンフィギュレーションSRAMの複数箇所に同じ情報を書き込むことになる。この無駄を排除するためにコンフィギュレーションSRAMを共有できるようにしたのが並列処理指向型FPGAである。

従来技術・競合技術との比較

4並列の並列処理指向型のFPGAの設計結果より、単位平方ミリメートルあたりのLUT数が既存のFPGA比2.5倍にもなることを確認している。この結果はチップコストを1/2.5に削減できることを意味する。また、LUTあたりのリーク電流も半分以下となる。

新技術の特徴

・低コストFPGA
・低消費電力FPGA
・高性能FPGA

想定される用途

・プロセッサアクセラレータ
・FPGA画像処理システム

15:15~15:45 計測
4)  光ファイバと超音波技術を用いた超高感度3Dタッチトリガープローブ
発表資料

静岡大学 大学院工学研究科 機械工学専攻 教授 大岩 孝彰
http://oiwa.eng.shizuoka.ac.jp/

新技術の概要

ステムに内蔵された光ファイバ変位計にて先端球の変位と方向を直接測定するため、外乱振動の影響を受けにくく高感度な接触検知が可能となる。さらに破損防止用のオーバトラベル機構に超音波振動を加振して摩擦を低減させ、位置決め再現性を向上させる。

従来技術・競合技術との比較

従来の技術では先端球の接触を長いステムを介してセンサで検出していたため、外乱振動の影響を受けやすく、また接触から信号出力までに大きな遅れがあった。まだオーバトラベル機構の再現性が悪く、脱落・復帰後に再校正が必要であった。

新技術の特徴

・ばね下質量が先端球のみとなるため固有振動数が高く、プローブ移動時に外乱振動の影響を受けにくい
・ナノメートル分解能が可能な光ファイバ式変位計を利用しているため、超高感度化が可能
・オーバトラベル機構の位置決め再現性が向上すれば、オーバトラベル後のプローブの再校正作業等が不要となり、計測のスループットが向上する

想定される用途

・高精度三次元座標計測用の3Dタッチプローブ
・歯形測定機用の3Dタッチプローブ
・高精度比較座標測定機用の3Dタッチプローブ

関連情報

・展示品あり(センサスタイラス部のみの展示(大小2種類程度))

15:45~16:15 材料
5)  資源量の豊富な黒鉛から高品質な還元型酸化グラフェンを量産化する技術の開発
発表資料

静岡大学 大学院工学研究科 化学バイオ工学専攻 准教授 孔 昌一
http://cheme.eng.shizuoka.ac.jp/chemsys/koulab.html

新技術の概要

本技術は、黒鉛の酸化処理による酸化グラフェンを還元することにより得られる「還元型酸化グラフェン」の量産化に関するものである。エタノールの亜臨界状態下で微量の還元剤を添加することにより、従来のような大量な還元剤を用いなくても、酸化グラフェンを高品質な「還元型酸化グラフェン」に還元できる量産化技術の開発に成功した。

従来技術・競合技術との比較

本還元処理技術の優れた点は、①微量の還元剤で高品質な還元型酸化グラフェンを量産できること、②従来よりも低い温度で処理できること、③環境に優しいこと、である。得られた「還元型酸化グラフェン」膜のシート抵抗は8.3kΩ/□(透過率80%)であり、今後さらなる向上が見込まれる。

新技術の特徴

・多機能な還元型酸化グラフェンが得られる
・環境に優しく、温和な反応条件である
・資源量が豊富な黒鉛を原料とする量産法である

想定される用途

・透明電極、折り曲げ可能なタッチパネル
・化学センサー、水素貯蔵
・熱伝導材料、多機能触媒材料

関連情報

・サンプルの提供可能
・展示品あり

16:15~16:45 環境
6)  亜臨界・超臨界流体を用いる炭素繊維強化プラスチックのリサイクル
発表資料

静岡大学 大学院工学研究科 化学バイオ工学専攻 助教 岡島 いづみ

新技術の概要

超臨界流体を用いて炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を処理することにより、熱硬化性樹脂を分解・可溶化して回収する方法、及び熱劣化を受けず、樹脂の付着していない炭素繊維を回収する方法とその装置を開発した。

従来技術・競合技術との比較

硝酸分解や熱分解等の酸化雰囲気中での処理に比べて穏やかな雰囲気中での処理なので、酸化による劣化がない炭素繊維を回収できる。

新技術の特徴

・回収された炭素繊維は新品繊維に比べて強度劣化が殆どない
・廃CFRPに含まれていたままのサイズ、形で炭素繊維を回収可能

想定される用途

・様々なCFRP廃棄物のリサイクル
・熱硬化性樹脂と無機物充填材の複合材料からの無機物充填材の回収・リサイクル

関連情報

・外国出願特許あり

J-STORE掲載特許情報

16:45~17:15 情報
7)  環境データを高精度・高速に予測可能な機械学習システム
発表資料

静岡大学 大学院情報学研究科 情報学専攻 准教授 峰野 博史
http://www.minelab.jp

新技術の概要

過去の環境データを機械学習させて将来の変化を予測するシステムにおいて、比較的近い未来の予測に特化した適切な学習データ量を選定する機能を組み合わせた新規の機械学習システム「SW-SVR」を開発し、高精度かつ高速な予測を可能とした。

従来技術・競合技術との比較

地域によって特性の異なる微気象(狭い領域の気象)を、精度よく予測するために、どのようなデータをどれだけ学習させモデルを構築するかには試行錯誤を必要とするが、本システムは予測に必要なデータ量を自動調整するだけでなく高精度かつ高速な予測を可能とする。

新技術の特徴

・予測に必要なデータ量を自動調整するシステム「SW-SVR」で、予測誤差を低減
・地域によって特性の異なる環境変化(温度・湿度・気圧etc)を正確に予測可能
・制御対象となるパラメータの制限がある環境下で特に威力を発揮する

想定される用途

・工場等の広い空間の空調を効率的に制御する省エネルギー空調制御システム
・局所的な気象を予測するシステム
・植物工場等における諸パラメータを制御するシステム
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