複数大学の特許や研究ノウハウをポートフォリオ化したものを「知財群」と呼んでいます。本説明会は、社会ニーズや市場動向から具体的な製品をイメージし、その製品に関連する特許を集めた知財群についての発表を行います。
まず産学連携コーディネーターが製品イメージとその知財群を紹介し、続いて研究者が知財群のキーとなる特許技術について説明します。

発表内容詳細

10:40~10:55 医療・福祉
1) 知財群テーマ紹介「CO2レーザー延伸ナノファイバーの生体材料への応用」
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山梨大学 社会連携・研究支援機構 社会連携・知財管理センタ― 産学連携コーディネーター 服部 康弘

新技術の概要

山梨大学鈴木章泰教授の「CO2レーザー延伸ナノファイバー」技術を核として知財群を形成し、3大学(東京理科大、東京電機大、山梨大学)の共同研究として、「再生医療基材」など医療応用分野への展開を検討している。

従来技術・競合技術との比較

今回紹介するナノファイバー製造方法は、従来とは異なり、有機溶剤を全く使用しない為、医療用途に適したものである。このナノファイバーを「生体パッチ」等の再生医療基材に展開することを目指し、高機能化のための関連技術との知財群化をすすめている。

新技術の特徴

・有機溶剤を使用しない。
・幅広い樹脂に適用可能。

想定される用途

・生体パッチ
・再生医療基材

11:00~11:25 製造技術
1-1) 炭酸ガスレーザー超音速延伸法で作製したナノファイバー
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山梨大学 大学院総合研究部 工学域物質科学系 教授 鈴木 章泰

新技術の概要

炭酸ガスレーザー超音速延伸法は、当研究室で独自に開発されたトップダウン型のナノファイバー作製法であり、亜音速から超音速領域の空気の流れの中で、繊維に炭酸ガスレーザーを照射して部分融解させ、溶融した繊維を数十万倍まで超延伸して、ナノファイバーを作製する方法である。

従来技術・競合技術との比較

炭酸ガスレーザー超音速延伸法は、大規模な紡糸設備と高度な紡糸技術を必要とする精密複合紡糸法や溶剤に可溶なポリマーに適用が限定される電解紡糸法に比べ、小規模な設備で多種の高分子材料のナノファイバーを無溶剤で作製でき、汎用性と安全性を兼ね備えたナノファイバー作製法である。

新技術の特徴

・ほとんどの熱可塑性高分子のナノファイバーを無溶剤で作製できる。
・得られるナノファイバーは配向性・結晶性の高い長繊維である。
・ナノファイバーの捕集方法を変えることで、不織布、マルチフィラメントおよび綿状ナノファイバーが得られる。

想定される用途

・電池材料
・フィルター材料
・医療材料

関連情報

・外国出願特許あり
・サンプルの提供可能
・展示品あり(ナノファイバーシート、ナノファイバーマルチフィラメント)

11:30~11:55 製造技術
1-2) 生体材料への応用を目指した表面処理技術の開発
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東京電機大学 理工学部 理工学科 電子・機械工学系 准教授 大越 康晴

新技術の概要

従来のアルミナ被膜処理では難しいとされてきた低融点材料や高アスペクト比の材料に対し、本技術では、材料の表面から微細な深さ方向までアルミナ被膜を実現し、良好な生体適合性が見込まれる表面処理技術を開発した。

従来技術・競合技術との比較

本技術により、従来では無機物の被膜処理が行えなかった微細構造を有する医療デバイスや生体材料への適用が可能であり、その効果として、再生医療や人工臓器の分野など各種使用用途に応じた生体適合性の改善が期待できる。

新技術の特徴

・低融点材料かつ高アスペクト比を有する構造物の既存の特性を維持した生体適合性被膜処理
・ナノファイバー等で構成される微細構造物の深さ方向への生体適合性被膜処理
・従来不可能とされた複雑な形状を有するデバイスへの生体適合性被膜処理

想定される用途

・生体パッチ等の再生医療分野における表面処理
・低融点材料や微細構造物の表面処理
・各種医療デバイスの表面処理

関連情報

・サンプルの提供可能(試作可能)

13:10~13:25 アグリ・バイオ
2) 知財群テーマ紹介「発電+ビニールハウス=自然エネルギー自立型農業」
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東京理科大学 研究戦略・産学連携センター 研究・産学連携支援部門 リサーチアドミニストレーター 是成 幸子
http://www.es.suwa.tus.ac.jp/teacher/energy/watanabe/

新技術の概要

太陽光を植物の生育と発電でシェアするソーラーシェアリングの実現を目指し、農業向け透過型有機薄膜太陽電池フィルムの研究開発を進めている。PUiPの参加機関等の知的財産を結集し、現場への普及につながる研究の促進を目指す。

従来技術・競合技術との比較

農業での再生可能エネルギーの利用が注目されているが、太陽光、風力、水力、バイオマスなど大掛かりなものが多く、現状の農場への適用にはハードルが高い。本技術はビニールハウスを基とし、簡便さを特徴とする。

新技術の特徴

・光波長をシェア(吸収と透過)し、発電と他機能を同時に発現可能(例:発電と植物栽培)
・フレキシビリティ
・製造コストの低減

想定される用途

・農業用施設(ビニールハウス、植物工場)
・家畜舎、養殖施設
・宇宙空間での利用

13:30~13:55 エネルギー
2-1) 有機薄膜太陽電池を使った発電するビニールハウス
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諏訪東京理科大学 工学部 電気電子工学科 准教授 渡邊 康之
http://www.es.suwa.tus.ac.jp/teacher/energy/watanabe/

新技術の概要

ソーラーシェアリングの実現を目指し、透過型有機薄膜太陽電池フィルムのビニールハウスで実証実験を行い植物への影響を調べている。また、太陽電池フィルムの製作を行っており、埼玉大学福田武司先生との連携の下、課題解決を図っている。

従来技術・競合技術との比較

近年、農地に電力供給源としてシリコン系太陽電池が用いられ、その多くは太陽光が作物の当たるように隙間を設けて並べられている。本透過型有機薄膜太陽電池は、植物栽培に必要な光波長と発電に利用する光波長をシェアし、生産効率と発電効率の向上を可能とする。また設置コストを抑えることも可能である。

新技術の特徴

・光波長をシェア(吸収と透過)し、発電と他機能を同時に発現可能(例:発電と植物栽培)
・フレキシビリティ
・製造コストの低減

想定される用途

・農業用施設(ビニールハウス、植物工場)
・家畜舎、養殖施設
・宇宙空間での利用

14:00~14:25 製造技術
2-2) 高効率な溶液のイオン化技術を利用した静電塗布成膜手法
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埼玉大学 大学院理工学研究科 物理機能系専攻 助教 福田 武司
http://www.fms.saitama-u.ac.jp/lab/kamata_l/

新技術の概要

静電塗布法は、凹凸への直接塗布や高粘度・低希釈濃度の溶液の適用など従来の塗布技術にはない特徴がある。本技術では溶液の効率的なイオン化技術や周囲の環境による噴霧液滴の制御により実用的な塗布技術を紹介する。

従来技術・競合技術との比較

本技術では、溶液のイオン化効率や基盤に着弾した液滴の形状をリアルタイムで計測する機能を追加されている。また、ノズル形状や材質を最適化して効率的な溶液のイオン化や噴霧安定性の向上が可能である。

新技術の特徴

・液滴形状のリアルタイム評価技術による静電塗布の安定性制御技術
・10000cpを超える高粘度溶液の塗布
・任意形状の基盤へのボイドレス塗布

想定される用途

・有機薄膜デバイスの製造技術
・無機分散体の塗布・成膜
・電子デバイス向けのレジスト、導電性ペーストなどの成膜

関連情報

・サンプルの提供可能(試作可能)

14:40~14:55 アグリ・バイオ
3) 知財群テーマ紹介「農業用二輪ビークル」
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(株)信州TLO 技術移転グループ 勝野 進一
http://www.shinshu-tlo.co.jp

新技術の概要

山梨大学野田善之准教授の「二輪ビークル技術」をベースに、農業のいろいろな場面で活用できる電動小型車両を目標として知財群を形成した。農地での収穫物や作業者の移動に用いることで、狭く傾斜のあるような農地での高齢者あるいは女性の農作業のサポートを目指す。

従来技術・競合技術との比較

農地内の作業機械では、作物を傷めないのは当然であるが、あぜやマルチシートなど農地を傷めないことも重要である。旋回性能や特殊タイヤにより、周囲への影響を減少させることが可能である。

新技術の特徴

・小型で狭い場所での旋回が可能なので、農地や作物への影響が小さい。
・荷台の水平化により、運搬する収穫物への影響が小さい。
・特殊タイヤにより、悪路や傾斜地でも安定した走行。

想定される用途

・農地における作業者の移動、収穫物の運搬、データ収集ロボット
・被災地などでの物資輸送

15:00~15:25 機械
3-1) 荷台水平運搬を実現する低重心型平行二輪ビークル
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山梨大学 大学院総合研究部 工学域機械工学系 准教授 野田 善之

新技術の概要

農林業における重筋作業を軽減し、安全に重量物を運搬することを目的に、低重心型平行二輪ビークル機構、荷台ロール方向姿勢制御、パワーアシスト操作をシステム統合した運搬ビークルを開発した。

従来技術・競合技術との比較

重心が低く安定な振子構造により、制御系や駆動系が故障しても転倒しない安全性を有し、アクティブマスによる加減速時のピッチ方向振動の抑制、フレキシブルラック&ピニオンによる荷台ロール方向の姿勢水平化などにより、安全かつ自在に荷物運搬が可能な二輪ビークルを実現している。

新技術の特徴

・パワーアシスト操作
・車体の揺れや傾斜を抑制
・荷台ロール方向姿勢制御機構

想定される用途

・農林業、建設業向けの不整地・傾斜地運搬作業用ビークル
・介護用パーソナルビークル

15:30~15:55 機械
3-2) 空気レス可変剛性タイヤ
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信州大学 繊維学部 機械・ロボット学系機能機械学課程 准教授 飯塚 浩二郎
http://fiber.shinshu-u.ac.jp/iizukalab/

新技術の概要

空気レスであるため、不整地・瓦礫等の作業に適しており、かつ、軟弱地盤に有効な柔軟モードが実現できるために、いろいろな地盤環境シーンで利用できる。

従来技術・競合技術との比較

大手メーカにより空気レスタイヤは存在し、その品質も高い。一方、一般的なタイヤの空気圧を下げ、柔軟にさせた場合、不整地や軟弱移動性能が高い(しかしパンクしやすくなる)。この利点を兼ね揃えたタイヤが本提案である。

新技術の特徴

・柔軟タイヤであるにもかかわらず空気レスで構成が可能なこと。
・剛性モードと柔軟モードが切り替えられること。
・構成の基礎となっているものが2次元繊維であるため、いろいろ車両(車重)に対応可能。

想定される用途

・農作業において、さまざまな軟弱地盤に適応でき,かつ移動の際には剛性モードで移動が可能。
・瓦礫や泥での移動、特にレスキュー活動に利用できる。
・車イスで、アスファルト以外の道路に入って行くときに利用できる。

関連情報

・外国出願特許あり
・展示品あり(タイヤ)
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