説明会の
お申込み

電子材料・IT・エネルギー・バイオ 新技術説明会

日時:2008年10月28日(火)

会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 材料

1)ナノシートで配向膜をつくる ~1ナノのシートで結晶成長を支配する~

物質・材料研究機構 ナノスケール物質センター ソフト化学グループ NIMSポスドク 柴田 竜雄

新技術の概要

酸化物ナノシートとは、1~2nmの厚みしかもたない特異なシート構造をもった二次元結晶である。本技術では様々な構造をもった酸化物ナノシートを、基材表面に敷き詰めることでシード層を作製し、これによって各種薄膜の配向成長を可能とするものである。

従来技術・競合技術との比較

シードによって薄膜の成長を制御する方法はいろいろと考案されているが、高品質なシード層を無加熱で自在に作製することは非常に困難である。これに対して本技術では、室温での簡便な溶液プロセスを用いるだけで、一部の特性では単結晶基板にせまる高品質なシード層を作製することが可能である。

新技術の特徴

・酸化物ナノシートをシード層に用いることで、薄膜の配向成長を可能とする
・簡便・低コストな室温溶液プロセスによって作製可能で、また様々な基材に適用できる
・平滑性・結晶性においては、単結晶基板にせまる高品質なシード層を作製できる
・ナノシートの種類を選択することで、材料の構造にあったシード層を作製できる

想定される用途

・様々な基板上での機能性材料の配向膜作製(半導体、発光体、誘電体、磁性体、透明導電体等)
・フィルム基板への低温での機能性材料薄膜作製(フレキシブル電子デバイス用)

関連情報

・サンプル提供可能(要相談)
・外国出願特許あり

  • 材料

2)可視光で光触媒活性を持つ微粒子からの薄膜製造技術

長岡技術科学大学 工学部 物質・材料系 助教 村上 能規

新技術の概要

可視光で活性を持つ光触媒は数多く開発されているが、その多くが粒子形状を有しており、その薄膜化が急務である。本技術は光触媒微粒子にレーザを集光照射することで光触媒微粒子を粉砕し、その粉砕された光触媒を含む懸濁液をガラス基板に塗布、焼成することで光触媒の薄膜化を可能にする技術である。

従来技術・競合技術との比較

可視光に光触媒活性をもつ光触媒の薄膜化技術としては、ゾルゲル法による薄膜化技術が存在するが、その適用範囲は狭く、各光触媒についてそれに対応するゾルゲル薄膜化技術の開発が必要であり、汎用性が低い。本手法はこれまで作成されたすべての可視光触媒に適用できる汎用性を持つ。

新技術の特徴

・簡便な微粒子からの薄膜化技術
・微粒子の性状に関わらず、あらゆる光触媒に適用できる可能性

想定される用途

・可視光に活性を持つ光触媒の薄膜化技術と環境浄化への応用

  • 材料

3)分子レベルの薄さの高誘電体ナノシート  -ビーカーで電子素子をつくる新技術-

物質・材料研究機構 ナノスケール物質センター ソフト化学グループ 主幹研究員 長田 実

新技術の概要

分子レベルの薄さの新しい高誘電体ナノ材料(ナノシート)を開発し、室温・溶液プロセスを用いた積層集積により高品位の誘電体素子の作製に成功した。今回開発したナノシートは、高い誘電率、低いリーク電流など、従来の誘電体膜をはるかに凌駕する特性を有しており、ナノのモノ作りによる電子デバイス応用の新しい可能性が広がっている。

従来技術・競合技術との比較

高誘電体ナノシートの利用により、従来の高誘電体材料では到達困難な薄膜化と高容量化が可能となり、膜厚5~15nmの積層素子で世界最高レベルの高誘電率(比誘電率100~200)と低リーク電流特性(10-7 A/cm2以下)を同時に実現した。これにより、保存データ量の大幅向上と、1/100以下の低消費電力特性を有する高機能誘電体素子の開発が可能になった。

新技術の特徴

・分子レベルの厚みを持つ高誘電体ナノ材料を開発
・室温溶液プロセスを用いた積層集積により薄膜素子を作製
・膜厚10nm以下の極薄膜で世界最高の誘電特性、低リーク電流を実現

想定される用途

・積層コンデンサ、DRAMの小型・高機能化(従来の材料に対して約1000倍の高容量化)
・分子エレクトロニクス、有機トランジスタ用のHigh-k膜
・低コスト・低環境プロセスによる電子素子の作製

関連情報

・外国出願特許あり

  • 情報

4)ステレオイヤホン受聴における頭外音像定位技術

長岡技術科学大学 工学部 電気系 教授 島田 正治

新技術の概要

ステレオイヤホン受聴でも、頭の外に定位させる方法を説明し、その定位感を微小振動させることにより、定位精度を高める。

従来技術・競合技術との比較

人間の頭の形状はそれぞれ異なるため、空間の音波の伝播特性が異なる、このために、他人の伝達関数を用いると定位感が減少し、もしくは、頭の中に定位してしまう。バイノーラル録音が従来技術である。

新技術の特徴

・空間音波の方向成分を信号処理により、左右微小角度で揺らす。

想定される用途

・音楽鑑賞
・対面電話
・映画館

関連情報

・当日、試聴デモを実施。

  • エネルギー

5)水と太陽光と廃硫黄化合物から水素を製造する光触媒

東京理科大学 理学部 応用化学科 教授 工藤 昭彦

新技術の概要

水と太陽光と廃硫黄化合物から水素を製造する光触媒の開発に成功した。この光触媒は黒色をしており、全可視光および近赤外光を利用できる。これを利用することにより、常温常圧下で二酸化炭素を排出しない水素製造法を確立できる可能性がある。

従来技術・競合技術との比較

水と太陽光と廃硫黄化合物から水素を製造する光触媒は今までにいくつか報告されているが、今回開発した光触媒はバンドギャップが狭く、全可視光および近赤外光を利用できるという特徴を持っている

新技術の特徴

・常温常圧での水素製造法
・二酸化炭素を排出しない水素製造方法
・廃硫黄化合物を有効利用した水素製造方法

想定される用途

・石油化学工業における脱硫プロセスに組み込むことにより水素を回収できる

  • エネルギー

6)水素をギ酸として貯蔵・運搬する技術

大阪大学 大学院工学研究科 生命先端工学専攻 教授 福住 俊一

新技術の概要

クリーンなエネルギー源である気体水素は、ギ酸やギ酸塩として常圧常温で液体や固体として安全に貯蔵・運搬できる。これを常温常圧水中で効率良く分解し、欲しい時に欲しい場所で欲しい分だけ水素を入手できる触媒を開発した。

従来技術・競合技術との比較

貴金属固体触媒を用いてギ酸を分解するとCOが副生して触媒を被毒劣化させる。一方、金属錯体分子触媒を用いる場合、実用的な速度でのギ酸分解には、有機溶媒中または強酸や強塩基性、高温の水中という条件が不可欠であった。

新技術の特徴

・常温常圧水中という非常に温和な触媒使用条件
・水素(H2),重水素(D2),重水素化水素(HD)を選択的に作り分ける事ができる
・温室効果ガスのCO2を活用して水素と結合させて、カーボンニュートラルなギ酸として水素貯蔵を行う点

想定される用途

・家庭用燃料電池でのオンサイト水素貯蔵と利用
・旅客機や自動車、列車など、特に安全が求められる場所での水素貯蔵と利用
・安価な重水と安価なギ酸から高価な重水素ガス(D2,HD)を生産し、同位体標識物質の原料として利用

関連情報

・サンプルの提供可能

  • アグリ・バイオ

7)金ナノ微粒子中の局在プラズモンを用いたバイオセンシング

東京工業大学 大学院総合理工学研究科 物理電子システム創造専攻 教授 梶川 浩太郎

新技術の概要

金ナノ微粒子中の局在プラズモン共鳴を用いた新しいバイオセンシング手法を提案する。非線形光学効果の一種である光第2高調波を用いることにより、高い感度と空間分解能を実現することができる。

従来技術・競合技術との比較

全反射減衰法を用いた表面プラズモン共鳴バイオセンサが広く普及しているが、マルチチャンネル化の際には高い密度でセンシングドットを配置できない等の点で物足りない。局在プラズモン共鳴を用いれば、各センシングドットを微細化でき、高密度バイオセンシングチップを作成することができる。

新技術の特徴

・高い感度でバイオセンシングができる
・プローブ部分を微細化できる

想定される用途

・非標識DNAチップ
・非標識蛋白チップ
・表面増強ラマン散乱センサ

  • アグリ・バイオ

8)機能性物質の施用・吸収による野菜類の高付加価値化

農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター 芽室研究拠点 機能性利用研究北海道サブチーム 主任研究員 瀧川 重信

新技術の概要

施用・吸収条件を制御することで、スプラウト類・土耕栽培野菜・キノコにGABA等の機能性物質を高濃度に蓄積させる技術を開発した。

従来技術・競合技術との比較

機能性強化野菜関連での競合技術は、ビタミンB12強化カイワレとGABA強化コマツナカールスプラウトの2種類で前者はGABAをほとんど含まず、後者はコマツナ1品目に限る技術である。

新技術の特徴

・植物等に機能性物質を施用し、これを高濃度に蓄積させる
・特にアミノ酸様物質等(ジペプチドまで)の水溶性機能性物質が有効
・植物には含有されないようなタウリンなども蓄積可能

想定される用途

・機能性強化スプラウト生産
・機能性強化もやし生産
・機能性強化食用菌類生産

  • アグリ・バイオ

9)天然両親媒性抗酸化物質を用いた血栓症・肝障害予防品の開発

日本大学 生物資源科学部 農芸化学科 教授 櫻井 英敏

新技術の概要

私どもは、アセロラ果実加工品に両親媒性抗酸化物質である3-ハイドロキシ-2-ピロン(HP)が多量含有し、加熱酸化処理により著しく増加する事を見出した。そして、このHPが血栓症や肝障害に対し予防効果を示す事を明らかにした。

従来技術・競合技術との比較

既に実用化されている天然物由来の酸化防止剤及び血小板凝集抑制剤や肝障害改善剤は、水溶性と脂溶性の物質とに分別し使用するため不便である。これに対し、HPは水と油の両者に溶ける抗酸化物質であり、同時に上記の機能特性を示す。

新技術の特徴

・従来、天然酸化防止剤の問題点であった水溶性と脂溶性との分別・使用を、HPを用いることで両親媒性用に改良した。
・HPは、アセロラ果実加工品中に多量存在し、既に摂取されている。従って、安全性が高いと思われる。
・本HPは、生活習慣病に対して三次機能を有する。特に、血栓症を予防するイオウ化合物とは構造が異なる。

想定される用途

・本HPの特徴を生かすためには、酸化防止剤製造に適用することで両親媒性抗酸化物質としてのメリットが大きい。
・上記以外に、血小板凝集抑制作用や肝障害改善作用の効果が得られることも期待される。
・達成された活性酸素・フリーラジカルの消去作用に着目すると、健康食品や医薬品、化粧品に展開が可能。

関連情報

・少量ならば可能

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

科学技術振興機構 シーズ展開課

TEL:0120-679-005
Mail:scettアットマークjst.go.jp
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

Go Top