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秋田大学 新技術説明会

日時:2009年03月06日(金)

会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • デバイス・装置

1)液体サイクロンを用いた異物分離システムの開発

秋田大学 工学資源学部 環境応用化学科 講師 高橋 博

新技術の概要

灯油-水-錆、砂等が混在する系から水と固体を選択的に分離しながら灯油の補給も行う簡便な装置の開発を行った。この技術を用いると防爆機構を有するスラリーポンプを使用せずに分離システムを構築することが可能になり、大幅なコストダウンの達成が可能になる。

従来技術・競合技術との比較

本システムは、液体サイクロンと防爆機構を有する送液用ポンプならびに密閉型の小型タンクから構成されることから、フィルターろ過を利用する技術、スラリーポンプを用いる従来技術等と比較すると、装置の大きさ、操作性、メンテナンスのしやすさ、装置の製作費の点では極めて優位にある。

新技術の特徴

・スラリーポンプを用いずに油-水-固体混合物を液体サイクロンに供給する点。これにより装置の低価格化が可能になる。
・被洗浄容器内から除去された固体、水が装置内で灯油に置換され、除去量に相当する灯油が自動的にタンク内へ返送される点。
・危険物第4類を扱う装置であるが、操作及びメンテナンスが簡便である点。したがって労働安全衛生水準の向上が図れる。

想定される用途

・化学系の異相系プラントさらには汚泥槽、浄化槽等の洗浄装置
・砂礫が混じる水源から連続的に水のみを供給する給水設備等への応用
・油-水二相系における晶析反応への応用

  • 環境

2)塩化揮発法による希少元素の選択的分離回収プロセスの開発

秋田大学 工学資源学部 環境応用化学科 教授 菅原 勝康

新技術の概要

塩素ならびに炭素を用いて、LCD研磨粉中のインジウムや合金中に含まれるタンタル、ニオブ等を、他元素から選択的に分離回収するプロセスを開発した。例えば、研磨粉中に0.7%含まれるインジウムは、一段処理で90%まで濃縮出来た。

従来技術・競合技術との比較

酸による溶解を主とする従来法は、廃液処理の問題や処理施設が大きくかつ所要時間が長いなどの課題を有するのに対し、本法ではプロセスの簡略化や廃液処理の低減が見込まれる。

新技術の特徴

・種々の元素を含む二次資源から、目的の元素を塩素や炭素を適宜併用しながら低温で揮発分離させ回収することが可能
・熱力学的な平衡関係と反応速度を組み合わせて、目的元素の選択的分離濃縮が可能
・溶媒抽出と組み合わせることにより、高度な分離が可能

想定される用途

・ITO研磨粉や超硬合金、電子部品に含まれる希少元素の回収
・焼却飛灰や各種ダスト中に含まれるZnやPbの選択的分離回収
・廃PVCの有効利用など

  • 環境

3)余剰汚泥減容化のための磁気―フェライト処理システムの開発

秋田大学 工学資源学部 電気電子工学科 助教 カビール ムハムドゥル

新技術の概要

余剰汚泥に磁性粒子及び磁性撹拌子を投入し、該磁性粒子を有する余剰汚泥に磁場を与えて前記磁性粒子及び磁性撹拌子を振動又は移動させて前記余剰汚泥を粉砕し、粉砕された余剰汚泥を未処理の汚泥に生物分離させる。

従来技術・競合技術との比較

湿式ミルで余剰汚泥を物理的にすりつぶす方法においては、かなりの摩擦抵抗に抗して高速で回転するのに多くのエネルギーコストを必要とする。また、ボールミルの場合は処理後の余剰汚泥との分離に手間がかかる。

新技術の特徴

・磁性粒子を有する余剰汚泥に磁性撹拌子を投入して、磁場を与えて前記磁性粒子および磁性撹拌子を振動又は移動させる
・薬品類を使用せずに低エネルギーで高効率に微生物の粉砕
・現在使用されている排水処理場で併合に使用可能

想定される用途

・活性汚泥の可溶化
・余剰汚泥の減容化
・排水処理場での汚泥関係のゴミの削減

  • エネルギー

4)ナノスケール二酸化鉛と高導電性ポリマーの複合体を用いた新型鉛蓄電池

秋田大学 工学資源学部 材料工学科 教授 田口 正美

新技術の概要

加水分解で調製したナノスケールPbO2を高導電性ポリマーで複合化した活物質・集電体コンボジットに基づき、Pb基合金グリッドを用いず、製品形状に自由度がある高電流かつ高容量の新型鉛蓄電池

従来技術・競合技術との比較

新規な鉛バッテリーでは、ナノスケールPbO2を活物質の出発材料をして使用するため、従来法に比較して反応面積が格段に増大し、放電電流・電池容量が大幅に上昇する.また、コンポジット自体を薄型や巻き型に加工できるため、従来の箱型バッテリーを脱して、自動車への搭載の位置や方向に関して自由度があるジェリー・ロール型電池を製造できる.

新技術の特徴

・活物質の基本構成を変えることなしに放電電流ならびに電池容量を大幅に向上させた新型鉛蓄電池
・製品への搭載位置や方向に自由度があるジェリー・ロール型鉛蓄電池

想定される用途

・自動車用二次電池
・電力貯蔵用二次電池

  • 材料

5)耐摩耗性と振動減衰特性に優れた鋳鉄焼結材の製造技術の開発

秋田大学 工学資源学部 材料工学科 准教授 鎌田 真一

新技術の概要

鋳鉄切削屑の有効利用を目的とし、高価な設備・処理方法を必要としない耐摩耗性・振動減衰能に優れた鋳鉄焼結材の製造方法の提供

従来技術・競合技術との比較

鋳鉄切削屑の再利用はごくわずかであり、廃棄されるか、回収業者においても安価に取り扱われているのが現状である。そこで、本技術は鋳鉄切削屑の再利用を目的として耐摩耗性と振動減衰特性に優れた鋳鉄焼結材の製造を行う。

新技術の特徴

・安価で容易な方法による焼結体製造
・気孔を利用した耐摩耗性・減衰特性の発現
・鋳鉄切削屑の有効利用

想定される用途

・振動を伴う摺動部分での軸受け部材
・自動車、家電など振動を伴う摺動部分での軸受部材
・スピーカー用除振台などの簡易な音響機器用除振台

  • 材料

6)高窒素Niフリー・オーステナイト系ステンレス鋼の摩擦攪拌接合技術の開発

秋田大学 教育文化学部 人間環境課程 講師 宮野 泰征

新技術の概要

高窒素含有ステンレス鋼(高窒素鋼)は、強度、耐食性に極めて優れた材料である。しかし、過飽和固溶体の窒素が、溶接欠陥を誘起するため、特に大気中での有効な接合技術が確立されていない。本研究では、入熱量に配慮した摩擦攪拌接合の適用により、大気中での接合技術を確立する。

従来技術・競合技術との比較

高窒素鋼には、拡散接合、摩擦圧接、および摩擦攪拌接合などの適用が検討されている。拡散接合、摩擦圧接は、継手形状の自由度が大きく制約される。説明者は、摩擦攪拌接合の適用した、突き合わせ接合継手の作製に関する世界で最初の報告を行った。

新技術の特徴

・高強度材料への摩擦攪拌接合の適用の拡大
・低入熱が要求される材料への摩擦攪拌接合の適用の拡大
・WC(タングステンカーバイド)、Si3N4(窒化珪素)ツールに摩擦攪拌接合の適用の拡大

想定される用途

・強度が要求される箇所への構造材料および部品としての用途
・高耐食性が要求される箇所への構造材料および部品としての用途
・Niアレルギーへの配慮が要求される箇所への構造材料、部品、および生体材料としての用途

関連情報

・溶接継手の閲覧可

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

秋田大学 産学連携推進機構 知的財産部門

TEL:018-889-3020FAX:018-837-5356
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