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広島大学 新技術説明会(3)

日時:2008年08月20日(水)

会場:大阪科学技術センター(OSTEC)<大阪市西区靱本町>

参加費:無料

発表内容詳細

  • アグリ・バイオ

1)大腸菌から真核細胞へのハイスループット直接遺伝子導入法

広島大学 大学院理学研究科 生物科学専攻 講師 守口 和基

新技術の概要

生物界間接合を利用した遺伝子導入法はDNAの単離の必要がなく、簡便かつ低コストという長所があるものの、実用レベルの遺伝子導入効率獲得には到っていなかった。本技術は、酵母に対して、生物界間結合による遺伝子導入効率を実用レベルにまで向上させる遺伝子導入法を提供する。

従来技術・競合技術との比較

生物工学で誰もが使用する大腸菌という材料を用いて、従来の試薬,機器等を用いずに安価かつ簡便に遺伝子導入をおこなう。原理的に従来法と全く異なる為に,酵母以外にも従来法では導入が難しい生物種に対しての新たな遺伝子導入ツールになり得る。

新技術の特徴

・簡便である
・大量処理が可能である
・安価である

想定される用途

・ゲノムワイドな有用遺伝子のスクリーニングをおこなう際の遺伝子導入法
・通常の研究室レベルでの日常的な遺伝子導入法
・従来の方法では遺伝子導入が難しい生物種への遺伝子導入における新たな選択肢

  • アグリ・バイオ

2)IR/MAR遺伝子増幅法による哺乳動物細胞での蛋白質生産技術

広島大学 大学院生物圏科学研究科 生物機能開発学専攻 教授 清水 典明

新技術の概要

IRとMARと呼ばれる2種類の配列要素を持つプラスミドは、哺乳動物細胞内で極めて効率よくその数が増える(遺伝子増幅する)ことを見いだした。この方法により目的遺伝子の細胞内の数を増やすことにより、その蛋白質産物を大量生産する技術である。

従来技術・競合技術との比較

遺伝子増幅を利用する従来法には、DHFR阻害剤(Mtx)によりDHFR遺伝子を増幅させる方法が広汎に利用されている。それに対して本技術ははるかに簡便、迅速、高効率である。

新技術の特徴

・哺乳動物複製開始領域(IR)と核マトリックス結合領域(MAR)を持つプラスミドを用いる
・目的遺伝子を発現するプラスミドをIR/MARプラスミドと同時に細胞内に導入して、薬剤選択する
・従来法に比べて、簡単、確実、迅速、高い効率

想定される用途

・治療用蛋白質製剤
・診断薬
・研究用試薬

関連情報

・現時点で即、事業化可能だが、より重要な基幹技術として発展させるために共同研究企業を求める。
・外国出願特許有り

  • アグリ・バイオ

3)新規農薬開発への切り札、葉緑体ピルビン酸輸送体タンパク質

広島大学 大学院理学研究科 生物科学専攻 准教授 古本 強

新技術の概要

今回我々は、葉緑体ピルビン酸輸送体(TP1)の分子実体を証明した。これまで除草剤の開発研究は個々の植物の特性をいかしたものが多く、逆にいうとその使用方法は煩雑で、専門的な知識を必要とした。今回提案するTP1タンパク質は、これまで我々が調べた複数のC4植物において検出でき、畑の強雑草種にもこれはあてはまる。このことから、TP1に対する選択的阻害剤を探索することで、従来の除草剤とは異なるかなり広いC4種選択性を示しうる薬剤開発に利用できる。

従来技術・競合技術との比較

C4種への選択性と発生段階における選択性の二つの性質を兼ね備えることで、一度の薬剤投与でより高い効果を生むことのできる薬剤として機能するはずである。現代農業の担い手である兼業農家や家庭菜園従事者にとってこの手軽さは魅力のはずである。

新技術の特徴

・葉緑体ピルビン酸輸送体は、C4強雑草に見出される特徴的な物質輸送タンパク質である。
・トウモロコシ・ソルガムといった栽培植物には存在せず、一方幅広いC4雑草植物において機能する。
・生育初期であればC3植物にも含まれるので、芽生えの雑草植物に対しても効果を発揮する。

想定される用途

・大規模農業用の除草剤
・家庭菜園用の除草剤
・荒地の菜園化における除草剤

関連情報

・外国出願特許有り

  • アグリ・バイオ

4)ファージを利用した植物病原菌のモニタリングと防除

広島大学 大学院先端物質科学研究科 分子生命機能科学専攻 助教 藤江 誠

新技術の概要

青枯病菌に感染するバクテリオファージのゲノムを改変し、プラスミド化することに成功した。このプラスミドを利用して、青枯病菌を蛍光標識することで、植物体中の青枯病菌の動態をリアルタイムでモニタリング可能になった。

従来技術・競合技術との比較

既存の青枯病菌用ベクターは、薬剤による選択圧がない条件では、菌体より速やかに脱落する。本発明の改変RSS1ベクターは選択圧がなくても青枯病菌中に安定に保持されるため、薬剤選択ができない植物体内でも、青枯病菌の動態の検出が可能である。

新技術の特徴

・薬剤選択圧が存在しなくても安定に青枯病菌で保持されるプラスミド
・植物体内の青枯病菌を簡便に検出可能
・小型のプラスミドであり、蛍光タンパク質も発現可能

想定される用途

・青枯病菌の罹病の有無の診断
・青枯病菌が植物に侵入する過程の病理的研究
・青枯病に対する農薬の効果測定

  • アグリ・バイオ

5)スギ花粉症および喘息治療のためのアレルゲンライブラリー

広島大学 大学院先端物質科学研究科 分子生命機能科学専攻 准教授 河本 正次

新技術の概要

アレルゲンライブラリーを用いれば、スギ花粉症およびダニ気管支喘息の根本治療に必要な診断薬とテーラーメイド型のワクチンカクテルを提供できる。

従来技術・競合技術との比較

従来の免疫治療薬は有効成分含量が低い上に副作用の危険性があったが、有効成分のみからなるワクチンカクテルは著効率が格段に高い。またワクチン成分を患者ごとに分子レベルで判定しうる診断法はこれまでにない。

新技術の特徴

・スギ花粉およびダニに含まれる高頻度反応性アレルゲン
・患者ごとに異なる感作アレルゲンを分子単位で特定でき、交差反応性予測も可能となる
・有効成分のみからなる安全・効果的なテーラーメイド型のワクチン処方を実現する

想定される用途

・アレルギーの分子診断
・アレルギーのテーラーメイド型免疫治療

関連情報

・サンプルの提供可能
・外国出願特許有り

  • アグリ・バイオ

6)酒粕に含まれるヒトに優しいチロシナーゼ阻害物質

広島大学 大学院医歯薬学総合研究科 先進医療開発科学講座 遺伝子制御科学研究室 准教授 的場 康幸

新技術の概要

シミやソバカスの原因物質であるメラニン色素の合成は、チロシナーゼと呼ぶ酵素が関与している。このたび、安全性の極めて高いチロシナーゼ阻害物質を見出したことから、美白効果をもたらす素材や食品添加剤として有効である。

従来技術・競合技術との比較

これまで、多くの化粧品に美白剤として添加されていたコウジ酸に発癌性が疑われたことから、安全性の高い美白剤の開発が急務となっていた。 今回、安全性の高いチロシナーゼ阻害物質を酒粕中に見出し、その化学構造を特定した。

新技術の特徴

・食経験のある素材中に含有されるチロシナーゼ阻害剤である
・安全性の高いチロシナーゼ阻害剤である
・チロシナーゼの阻害活性がコウジ酸よりも優れている

想定される用途

・化粧品における美白素材
・医薬品
・食品の褐変反応の抑制

関連情報

・外国出願特許有り

  • 医療・福祉

7)胃癌診断のための高感受性血清腫瘍マーカー

広島大学 大学院医歯薬学総合研究科 分子病理学研究室 講師 大上 直秀

新技術の概要

胃癌のスクリーニングには、上部消化管造影等の時間のかかる検査が行われている。一方、本発明者らが見出した血清マーカーは、胃癌患者において高頻度に上昇しており、簡便な胃癌スクリーニングへの応用が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

胃癌の従来の血清マーカーとしてはCEA、CA19-9等が使用されているが、陽性率は10%程度で、特に早期の段階の胃癌において陽性率はさらに低くなる。本発明者らが見出した血清マーカーは、ステージIの胃癌患者においても、感受性52%、特異性95%であり、陽性率が高いことが利点である。

新技術の特徴

・既存の血清腫瘍マーカーと比較し陽性率が高い
・血清マーカーの測定には、採血のみでよく、患者へ負担が少ない

想定される用途

・胃癌のスクリーニング
・抗癌剤の効果判定

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 医療・福祉

8)高齢者の姿勢を保つために背筋を無理なく強化する装置

広島大学 大学院保健学研究科 保健学専攻 教授 浦辺 幸夫

新技術の概要

骨粗鬆症によって腰椎の圧迫骨折を起こし、体幹が前方に屈曲してしまう円背変形は高齢者の日常生活を大きく制限する。背筋筋力の強化が、この姿勢の改善に役立つ。高齢者が無理なく運動するために、空気圧を利用し、運動方向を工夫した。

従来技術・競合技術との比較

従来の体幹伸展の筋力強化マシンは大がかりで、高齢者が好んで運動を行いにくい。高齢者の1/2に骨粗鬆症があるため、背筋筋力を維持・強化することは重要である。人に優しい新しい運動装置の開発が必要と考えた。

新技術の特徴

・空気クッションを運動の抵抗に利用
・圧センサーにより筋力を測定
・坐位で無理なく運動ができる

想定される用途

・高齢者の運動療法施設
・スポーツクラブ
・医療機関

  • 製造技術

9)電磁界による人体安全性を考慮した非接触電力伝送システム

広島大学 大学院工学研究科 複雑システム工学専攻 准教授 柴 建次

新技術の概要

電磁界による人体への影響が少なく、使用者の安全性を確保することができる非接触電力供給装置についての特許。20W程度を送ることができるもの(受電部:直径60~70cm程度)と、0.9W以下の電力を送ることができるもの(受電部:直径1cm程度)の2種類があり、伝送周波数等がそれぞれ決められている。

従来技術・競合技術との比較

非接触電力伝送時に発生する電磁界が、人体に影響を及ぼさない程度となるように、コイル寸法、形状、材質、伝送周波数等が設計されている。伝送効率は、20W用85%以上(最大98%)、0.1~0.9W用8%以上。コイルの再設計により大きな電力伝送が実現できる可能性も有する。

新技術の特徴

・発生する電磁界が人体に与える影響を考慮して設計。
・高効率、小型、軽量。
・工業用だけでなく医療用としても利用可能。

想定される用途

・パソコン、携帯電話、電気バス、電気自動車等(人体近傍で非接電力伝送する場合)。
・体内埋込型補助人工心臓、ペースメーカ、体内埋込型除細動器(ICD)、体内埋込型神経刺激装置等。

  • 計測

10)超音波による骨表面計測を用いた膝関節回旋角度計測定装置

広島大学 広島大学病院 リハビリテーション部 准教授 木村 浩彰

新技術の概要

世界中でスポーツ事故や外傷により膝の靭帯が損傷され、膝の不安定性が生じる。この内、特に回旋方向の不安定性が重要であるが、現在これを厳密に測定できる方法がない。超音波を用いて膝関節表面の探査を行い、これを基に膝関節回旋角度を測定する。

従来技術・競合技術との比較

超音波による画像診断は既に医療現場で用いられている。骨表面の三次元構築はコンピューター断層写真(CT)で実用化されている。超音波によって骨表面の特異点を描出し、この三次元座標を求めることで、膝回旋前後の回旋角度を測定する。

新技術の特徴

・膝回旋角度の測定は世界中の膝関節靭帯損傷で求められているが、今まで回旋角度を測定する装置はない。
・膝関節を非侵襲的に描出できる。
・膝関節のヒステリシスカーブを厳密に測定できる。

想定される用途

・膝関節靭帯損傷の評価に用いられる。
・膝関節の機能やスポーツパフォーマンス評価に利用できる。
・膝関節だけでなく、肩関節や足関節にも応用できる。

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

広島大学 産学連携センター 国際・産学連携部門

TEL:082-421-3631FAX:082-421-3639
Mail:techrdアットマークhiroshima-u.ac.jp
URL:http://home.hiroshima-u.ac.jp/techrd/
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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