北陸アカデミア 新技術説明会(2)
日時:2008年10月31日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 創薬
1)糖尿病性合併症治療薬開発を指向した新規三環系化合物
富山大学 大学院医学薬学研究部 薬科学科(薬品製造学) 准教授 豊岡 尚樹
新技術の概要
ミカン科の薬用植物、呉茱萸(ゴシュユ)の成分の一つであるレトシニン(Rhetsinine)など、縮合三環化合物に着目した。その分子構造にカルボキシメチルなどのカルボキシアルキル基を有する化合物を種々合成し、それらの化合物がアルドース還元酵素の阻害活性を有することを見出した。
従来技術・競合技術との比較
新たに合成した化合物は、唯一臨床利用されているエパルレスタットの組織への移行性不良やヒダントイン骨格に特有の過敏反応などを克服し、次世代の糖尿病合併症の治療薬、さらには副作用の少ない抗ガン剤となる可能性を秘めている。
新技術の特徴
・組織移行性がよい
・過敏反応がない
想定される用途
・糖尿病合併症治療薬
・抗ガン剤
- 計測
2)生体内計測における血管血流の三次元計測装置とその応用
富山商船高等専門学校 電子制御工学科 助教 石田 弘樹
新技術の概要
本技術は生体内の不透明部分でも、非侵襲に高精度で血流(血管)の三次元マッピングが測定でき、三次元マッピングに血流速度の情報も含まれる。血流速度は2方向の速度情報を得ることも可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来の技術は、①生体内の不透明な部位で、血流速度の情報を持った血管の三次元マッピング手法は見当たらなく、②血流速度の情報を含んだ二次元の血流速マッピングは可能であるが、深さ方向の情報を得ることは困難である。
新技術の特徴
・生体内計測により血管血流の三次元分布が測定できる
・血流速度の情報も同時に得ることができる。2方向の速度情報を得ることも可能。
・血管の三次元位置、太さ、血流速が分かる
想定される用途
・血管新生が盛んに行われている座標を特定することが可能
・新生血管の座標及び局所血流量の増大の有無の評価より癌原発巣の有無の診断が可能
・毛細血管の形態変化や機能的変化を捉えることが可能
- アグリ・バイオ
3)長時間の単一分子観測に耐えうる高発光蛍光プローブ
富山大学 大学院医学薬学研究部 薬科学科(薬化学) 助教 藤本 和久
新技術の概要
細胞毒性がなくかつ光に透明なシクロデキストリンで高発光蛍光色素を完全被覆し、その解離をストッパーで強制的に阻害したロタキサン型とすることで光退色の問題が解決される。さらに、このロタキサン型蛍光色素に生体分子を標識するためのラベル化部位を導入し、蛍光プローブとすることで、長時間の一分子観測が可能となる。
従来技術・競合技術との比較
本技術のロタキサン型蛍光色素は、中性水溶液に可溶である。その発光部位は電荷を持たず、基本的に炭素・水素・酸素原子から構成されており、生体内で非特異的な相互作用を起こす可能性が極めて低い。
新技術の特徴
・長時間の光照射に対して安定
・水溶性である
・ラベル化の置換基の導入が容易
想定される用途
・細胞内一分子観測用プローブ
・蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のドナープロープ
- 材料
4)スパッタリング法による高活性触媒の合成法
富山大学 大学院理工学研究部(工学系) 環境応用化学科 教授 椿 範立
新技術の概要
スパッタリング法により、金属担持量が少なくても、高い活性を持つ触媒を直接合成する方法を開発した。この方法は全ての金属触媒の調製に応用でき、今までの半分以下の担持量でも、従来触媒より高い触媒活性を示す。
従来技術・競合技術との比較
従来の触媒調製は、担体に活性金属塩を含浸させ、焼成、水素還元し金属触媒を調製していたが、この方法では、超微粒子の金属を直接担持するため、従来法で問題である金属粒子の凝集による失活を避けることができる。
新技術の特徴
・活性な金属微粒子を直接担体に担持して触媒調製を行う。
・従来よりもはるかに少ない金属担持量でも、同等以上の活性を示す触媒調製が可能である。
想定される用途
・白金電極を使う燃料電池用の電極作製 従来よりはるかに少ない白金量で同等以上の性能を持つ燃料電池の電極作製
・貴金属触媒の調製 従来よりはるかに少ない貴金属量でも、同等以上の触媒活性を持つ
- 製造技術
5)高分岐バイオポリエステルの自己発泡を利用した超硬質発泡体の作成
北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科 物質デザイン・創出領域 准教授 金子 達雄
新技術の概要
植物分子の一つであるクマル酸類を重合して得られる高分岐バイオポリエステルが自己反応により気体を脱離する現象を利用して、超硬質発泡体を作成した。
従来技術・競合技術との比較
従来の硬質発泡体は硬質プラスチックと比較するとソフトなものである。今回は硬質プラスチックと同等の硬さを持つプラスチックを作成した。
新技術の特徴
・自己発泡
・超硬質発泡体
・バイオプラスチック
想定される用途
・自動車エンジン周り材料
・エレクトロニクス材料
・建築材料
- 環境
6)ケカビによるソフトバイオマスからのエタノール生産
富山大学 大学院理工学研究部(工学系) 生命工学科 准教授 星野 一宏
新技術の概要
食料資源と競合しないソフトバイオマスからバイオエタノールを効率よく製造させるために、我々が新規に発見した安全性が高く、好気・嫌気条件下で5・6炭糖などからエタノール生産を可能とするケカビを活用したエタノール生産システムの開発を行っている。
従来技術・競合技術との比較
通常の酵母が発酵できない糖質などから高収率で好気的にエタノールを生産できるとともに、ペントース発酵能を付加した遺伝子組換え大腸菌、コネリ菌や酵母と比較して、安全性が高く、多くの製造現場での利活用が可能である。
新技術の特徴
・ヘキソース・ペントースからの好気・嫌気的エタノール生産
・ソフトバイオマス成分からの高いエタノール収率
・組換え微生物を用いない安全性の高いエタノール製造
想定される用途
・木質系および草本系バイオマスからのバイオエタノール製造
・バイオマス系廃棄物の減容化及び有効処理
・新規な酒類製造方法
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
富山大学TLO(TO・TLO)
TEL:076-445-6392FAX:076-445-6939Mail:chizaiadm.u-toyama.ac.jp
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究調査センター
TEL:0761-51-1070FAX:0761-51-1974Mail:renkeijaist.ac.jp
富山県立大学 地域連携センター
TEL:0766-56-7500FAX:0766-56-0391Mail:jomurapu-toyama.ac.jp
富山商船高等専門学校 技術支援センター
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