岩手大学 新技術説明会
日時:2009年01月13日(火)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)カラービジュアルトラッキングの医療診断への展開
岩手大学 工学部 情報システム工学科 助教 盧 忻
新技術の概要
3次元空間に入力画像の各画素が追跡対象のヒストグラムに属する確率を画素値に関連付ける方法で生成される濃淡画像を生成する。この色確率分布画像に、確率モーメントで構成された行列を主成分分析し、追跡対象の移動先の位置、サイズ及び方向を決定する方法を提案した。
従来技術・競合技術との比較
従来の追跡法では、機械モーメントにより、2次元以上の画像での追跡対象の位置、サイズ及び方向を計算することができない。新技術では、確率モーメントにより、3次元物体の位置、サイズ及び方向を追跡することができる。
新技術の特徴
・3次元物体の位置、サイズ及び方向を追跡すること。
・再帰的アルゴリズムではないこと。
想定される用途
・MRI、CTなどの3次元画像への応用(がんの追跡)
・3次元スキャナの画像への応用(細胞の追跡)
- 材料
2)バインダーとしてポリアクリル酸を用いたリチウムイオン二次電池用黒鉛負極の特性改善
岩手大学 大学院工学研究科 フロンティア材料機能工学専攻 准教授 宇井 幸一
新技術の概要
系統連系用蓄電技術として、リチウムイオン二次電池のさらなる高性能化と低コスト化が要求されている。大型電池の場合、多量の電極材料が必要になるので、負極材では、低コスト原料(天然黒鉛や廃材など)の利用技術の確立が求められる。本研究では、低温特性に優れている炭酸プロピレン(PC)を主成分とする電解液の適用を可能にするため、バインダーとして水溶性高分子であるポリアクリル酸を用いたリチウムイオン二次電池用黒鉛負極を開発した。
従来技術・競合技術との比較
現在、リチウムイオン二次電池用電解質として、炭酸エチレン(EC)を主成分とする溶媒が用いられている。しかし、EC系より安価で低温特性(ECの融点37℃,PCの融点-49℃)の優れるPCは魅力的である。しかし、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いた黒鉛負極の場合、充電時にPCが激しく分解するため、充電(Li+イオンの挿入)反応が良好に進行しないという問題点を有する。そこで、電解液に添加剤を用いることなどが提案されているが、抜本的な解決に至っていない。
新技術の特徴
・バインダーとして、水溶性高分子であるポリアクリル酸を使用。
・電解液として、炭酸プロピレンを主体とする溶媒を使用可能。
想定される用途
・系統連系用二次電池
・車載用二次電池
・宇宙衛星用二次電池
- 計測
3)高感度ZnO紫外線センサ
岩手大学 地域連携推進センター 産学官連携教員(名誉教授) 柏葉 安兵衛
新技術の概要
ZnO単結晶の+c面にショットキー接触又はpn接合による受光部を形成することにより、可視光に感度がなくて紫外線に対してのみ感度がある、高感度で高S/N比をもつ、安価な光起電力型紫外線センサを開発した。
従来技術・競合技術との比較
新技術では、ZnO単結晶を使用し構造が簡単なため、従来技術のものに比べて特性が極めて安定で感度が高く優れている。また、ZnOは無害で資源も豊富で、安価な紫外線センサが実現できる。
新技術の特徴
・ZnOの+c面側に半透明ショットキー電極を形成することによって、高感度で高S/N比を可能にした
・ZnOの+c面側にMgZnOなどの薄膜、さらに半透明ショットキー電極を形成することによって、感度帯域制御が可能である
・ZnOの+c面側にp形ZnO系薄膜を形成することによって、高感度化・高信頼性化が可能である
想定される用途
・太陽光紫外線、環境紫外線検出用センサ
・UV-LEDや水銀ランプのUV光量モニタ用センサ
・火災警報機用紫外線検出式火炎センサ
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
4)作物栽培におけるカドミウム吸収抑制土壌改良剤、焼成レルゾライト
岩手大学 農学部 応用生物化学課程 教授 河合 成直
新技術の概要
カドミウム(Cd)汚染土壌で生育する作物はCdの害作用のため生育が阻害される。岩手県で産出するカンラン岩の粉末(レルゾライト)をある特定の温度で焼成し、土に添加すると作物のCd含量が劇的に減少し、作物の生育が改善した。
従来技術・競合技術との比較
これまで、カドミウム除去剤の材料の一つとしてかんらんがんは利用された例はあるが、その効果が焼成により改良された例は無い。
新技術の特徴
・材料が粉末状で取り扱いやすい
・錠剤化することも可能である
・原料が廃棄物であるので安価である
想定される用途
・重金属汚染土壌における金属吸収抑制剤
・カドミウム汚染水からのカドミウムの除去剤
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
5)免疫賦活と抗加齢の桑機能
岩手大学 農学部 農学生命課程 教授 鈴木 幸一
新技術の概要
桑はカイコの食餌植物という常識から、ヒトの健康を支える重要な食物へと変わる。根拠は、桑イミノ糖が糖吸収を阻害するということ以外に、1つには、鉄欠乏を補うほどのミネラル成分を含有し、免疫賦活機能を有することにある。2つには、アンチエイジング機能を有することにある。
従来技術・競合技術との比較
桑では、血糖上昇阻害の機能性食品、アルツハイマー症・パーキンソン病などのような脳障害の機能性食品の研究開発がなされている。しかし、免疫賦活と抗加齢機能を新しく見出していることから、アンチエイジング食品開発としても有望となる。
新技術の特徴
・免疫賦活剤の開発
・抗加齢剤の開発
想定される用途
・桑抽出物による各種食品への栄養素材開発ならびに桑乾燥物による食品素材開発が有望である。
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
6)本わさび含有化合物がもつ抗生活習慣病特性
岩手大学 農学部 応用生物化学課程 准教授 伊藤 芳明
新技術の概要
本わさび根茎の含有成分6-methylsulfinylhexyl isothiocyanateに細胞内シグナル因子であるGSK3βの阻害活性を見いだした。GSK3βは糖尿病やアルツハイマーの発症に関わるが、本化合物が糖尿病態を緩和できることを細胞系および動物で明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
GSK3β阻害活性を有する既存の化合物はいずれも合成物や非食品性天然由来化合物であり、食品由来のものではない。食経験のある素材からの化合物であれば、食品への応用が拓ける。
新技術の特徴
・インスリンシグナル伝達経路を調節しうる化合物であること
・食品由来の物質であること
・GSK3βは、細胞のガン化、アルツハイマー、脂肪細胞の機能など広範な生理作用や病態に関わる因子であること
想定される用途
・機能性食品
・医薬品
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
岩手大学 地域連携推進センター 知的財産移転部門
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