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京都大学 材料系 新技術説明会

日時:2008年08月08日(金)

会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • アグリ・バイオ

1)フコキサンチンによる血管新生抑制とシワ抑制効果

京都大学 大学院農学研究科 応用生物科学専攻 准教授 菅原 達也

新技術の概要

血管新生とは既存の血管から新しい血管が生じる現象で、固形がんの成長や転移、糖尿病性網膜症やアテローム性動脈硬化症等の病態悪化やシワの発生とも深く関わっている。血管新生抑制物質によるこれら疾患の治療や予防研究が進められている。今回、長年食されている海藻から得られるフコキサンチンに血管新生抑制作用を見出した。このことは、安全性の高い血管新生抑制剤の開発に繋がる。

従来技術・競合技術との比較

血管新生抑制を目的とした薬剤の開発は盛んに行われているが、合成品では副作用といった安全性の問題が生じる。天然物由来のものは安全性の面で有利であることから、近年天然物由来血管新生抑制物質の研究が活発化しているが、まだその数は少なく、より効果の高い物質の発見が期待されている。

新技術の特徴

・天然由来で海藻として食されている安全な素材由来であること

想定される用途

・食品(機能性食品)
・医薬品、医薬部外品(血管新生抑制剤)
・化粧料(シワ予防)

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 材料

2)スパッタ方式によるナノワイヤ大量生産手法:Siナノワイヤ太陽電池などへの応用を目指して

京都大学 大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 教授 斧 高一

新技術の概要

スパッタリング方式による原料供給を特徴とする、Vapor-Liquid-Solid(VLS)法に基づくナノワイヤ合成手法。合成の難しいナノワイヤを大口径ウエハ上へ大量生産する技術である。最近注目が著しいSiナノワイヤ太陽電池への応用が期待される。

従来技術・競合技術との比較

これまでのVLS法によるナノワイヤ合成は、CVDにもとづいており、気相にて原料供給がなされていた。また、furnace内での少量合成が一般的であった。本発明は、原理的に大口径化可能なスパッタという方式を、ナノワイヤ合成に適応したものである。気相での供給が難しい材料も、固体ソースにより合成可能である。

新技術の特徴

・スパッタ方式により、ナノワイヤを合成できる。大口径化や大量生産に向く。
・スパッタを用いるため、気相として扱えない物質や難反応性の物質も合成可能。
・プラズマによるスパッタであるため、従来のLSI製造プロセス工程へ組み込むことも可能である。

想定される用途

・Siナノワイヤの大量生産
・気相供給が難しい材料からなるナノワイヤの合成(例えば、GeSbTeなどPRAM用材料のナノワイヤ合成)
・高性能熱電素子として期待されるSiGeナノワイヤの大量生産

関連情報

・外国出願特許あり

  • 材料

3)ここにある素材をそのまま複合体へ「理科」に隠されたハイブリッドナノコンポジット

京都大学 原子炉実験所 粒子線基礎科学研究本部 助教 川口 昭夫

新技術の概要

ヨウ素との包接構造を利用することで汎用的な高分子素材や生体組織をもハイブリッド化することが可能となった。これは小学校の理科で取り上げられる簡単な実験(ヨウ素-デンプン反応)の延長であり、化学的操作が容易であるにもかかわらず、広範な応用が見込まれる発想といえる。

従来技術・競合技術との比較

一般的な「有機-無機コンポジット」はマトリクスからの調製、つまり合成・溶融・溶解・混合・再形成などの過程を必要とする。これに対して我々のコンポジット調製法は親水性高分子の内部空間での拡散・析出を利用するために、コンポジットの形状自由度が高く、これまでコンポジット化が不可能とされてきた素材をマトリクスとして利用することが可能となる。

新技術の特徴

・形状・大きさにとらわれない「有機-無機ハイブリッドコンポジット」が調製可能
・マトリクスの溶融・再形成を必要としないので生体組織や繊維・布帛素材に対しても機能性を付与することが出来る
・原理的にイオンレベルからフィラーが析出するため、構造形成の初期段階からナノコンポジット構造となる

想定される用途

・形状や素材に対する自由度の高い機能性付与(電気、磁性、光学、衛生、力学など)
・これまでコンポジット化を想定していなかった素材をマトリクスとした新機能材料
・「擬・水和系」環境下でのサイエンス

関連情報

・試作可能

  • アグリ・バイオ

4)ビスマスの特性を活かした光カチオン重合剤の開発

京都大学 大学院工学研究科 分子工学専攻 准教授 俣野 善博

新技術の概要

低毒性重元素であるビスマスの特性(高い酸化力や小さな結合解離エネルギー)に着目し、新しい光カチオン重合開始剤「テトラアリールビスムトニウム塩」を数種類開発した。

従来技術・競合技術との比較

予備的な検討の結果、テトラアリールビスムトニウム塩は、従来のオニウム塩型開始剤(硫黄やヨウ素のオニウム塩)と比べて遜色ない反応性を本質的に有していることが明らかとなった。

新技術の特徴

・低毒性重元素ビスマスの使用
・高い量子収率
・容易な吸収特性の制御

想定される用途

・光レジスト
・光硬化型接着剤
・化学増幅型レジスト

関連情報

・試作協力可能

  • デバイス・装置

5)入射光のにじみ由来の検出精度低下を解消した光散乱測定装置

京都大学 化学研究所 高分子物質科学領域 准教授 西田 幸次

新技術の概要

光源から照射される光の非平行成分を遮光し、平行成分を通過させる収束部を設ける。そして、散乱光を検出する検出部と、上記収束部とが光学的に共役な位置に配置されていることを特徴とする。

従来技術・競合技術との比較

従来は超小角領域に隠れて検出できなかった資料からの散乱光、あるいはバックグラウンドノイズと区別できなかった試料からの散乱光を精度よく測定できる。

新技術の特徴

・試料からの微弱な散乱光を、超小角領域まで低ノイズで測定可能
・部材の配置の工夫により発明の効果が得られるため製造コストの増大を抑制

想定される用途

・例えばレーザー光、X線、中性子等の散乱光を測定する光散乱測定装置全般に適用可能
・サブミクロン領域、サブミリ領域における構造解析のための散乱測定に適用可能

  • アグリ・バイオ

6)貝殻ペプチドによる炭酸カルシウム結晶の形成制御技術

京都大学 大学院農学研究科 応用生物科学専攻 准教授 豊原 治彦

従来技術・競合技術との比較

貝殻の石灰化に関わるタンパク質中のペプチド配列を利用して、多層構造を有する炭酸カルシウム結晶形成技術を開発した。さらに貝殻を過熱水蒸気処理することによりペプチドを残存させることで高機能な沈殿剤の開発に成功するとともに、同沈殿剤を用いた低価格連続式水処理プラントを製作した。

新技術の特徴

・炭酸カルシウムの微細多層構造形成制御技術の開発
・高機能沈殿剤の発明
・連続式水処理プラントの発明

想定される用途

・炭酸カルシウム結晶形成制御:研磨剤、スケール防止剤、塗装剤、製紙業、歯磨き、など
・沈殿剤とプラント:土木建設工事の濁水処理、工場廃液などにともなう各種水処理

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 材料

7)高い可視光応答型光触媒活性を示すN-Si共ドープチタニア

京都大学 大学院工学研究科 物質エネルギー化学専攻 助教 岩本 伸司

新技術の概要

ソルボサーマル法で合成したシリカ修飾チタニアナノ結晶に窒化処理を行うことで、500 nmまでの可視光域に吸収を持つSi-N共ドープチタニアが得られ、これにさらにFeを担持した触媒は可視光照射条件でも高い光触媒活性を示す。

従来技術・競合技術との比較

チタニアにSiと窒素を共ドープすることで窒素を安定かつ高濃度ドープすることができ、可視光照射下での光触媒活性が向上。貴金属を用いず、低コスト。安全、環境や人体に無害な材料組成。

新技術の特徴

・高い可視光応答型光触媒活性
・貴金属フリー・低コスト
・安全、環境や人体に無害な材料組成

想定される用途

・建物外壁、ガラス等の防汚・セルフクリーニング
・室内壁や日用品の抗菌・防カビ効果
・空気浄化・水浄化

関連情報

・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり

  • 材料

8)鉄ホスフィン錯体を触媒とした機能性芳香族化合物の精密合成

京都大学 化学研究所 附属元素科学国際研究センター 教授 中村 正治

新技術の概要

新規のホスフィンー鉄錯体を触媒とすることで、種々の芳香族Grignard反応剤とアルキル求電子剤の反応が円滑に進行する。液晶、電子材料、医薬中間体など一群の機能性芳香族化合物の効率的な合成法である。

従来技術・競合技術との比較

従来、高価なパラジウムやニッケル触媒が用いられていた合成反応を、鉄触媒でより効率的に行うことができた。金属触媒のコストや毒性の低減、生成物の精製の容易さで従来技術よりも優れる

新技術の特徴

・安価な触媒
・毒性の低い触媒
・高収率、高選択性

想定される用途

・液晶分子合成
・医薬中間体合成
・塩ビ表面改質など

  • 材料

9)C-H結合活性化によるアルケニル置換ヘテロ環の簡便合成

京都大学 大学院工学研究科 材料化学専攻 教授 檜山 爲次郎

新技術の概要

ヘテロ芳香族化合物のC-H結合をニッケル触媒とルイス酸助触媒を用いて活性化し、この間にアルキンのような不飽和結合を挿入させて、ビニル置換ヘテロ芳香族化合物をつくる。

従来技術・競合技術との比較

ピリジン類は電子求引性の環内窒素原子の影響によって、芳香族求電子置換反応に対して不活性化されており、そのC-H結合を遷移金属触媒に酸化的付加させる際も、芳香族求電子メタル化が利用できない。その結果、遷移金属触媒によるピリジン類のC?H結合直接変換反応の報告例は、他のヘテロ芳香族化合物のそれに比べきわめて少ないうえ、いずれも過酷な反応条件を必要とする。 一方、本技術では、ニッケル/ルイス酸触媒を利用して、ピリジンそのものの2位C-H結合を温和な条件で活性化して、アルキンを挿入させることができるようになった。

新技術の特徴

・ピリジンの2位への置換基導入が容易に行える。
・ニッケルとルイス酸の協同触媒を利用するため反応条件が比較的穏和である。

想定される用途

・医薬品、電子材料およびこれらの中間体合成。

関連情報

・サンプルの提供可能

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

関西ティー・エル・オー株式会社(京都大学産官学連携センター 知的財産室内)

TEL:075-753-9150FAX:075-753-9169
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URL:http://www.kansai-tlo.co.jp/index.html
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