九州大学 新技術説明会
日時:2009年02月27日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 機械
1)有限要素法によるシミュレーションの高速化
九州大学 大学院工学研究院 機械工学部門 准教授 菊植 亮
新技術の概要
四面体から構成され、サンプナン・キルヒホッフ材料則に従う有限要素メッシュの新しい高速な変形計算方法である。具体的には、「メッシュの各頂点の変位ベクトル」から、「各頂点に働く弾性力ベクトル」および「全体剛性行列」を計算する方法で、両者の計算量は従来の計算手法より約73%少ない。
従来技術・競合技術との比較
非線形の有限要素法による計算量を大幅に低減することが出来るため、画面上の仮想物体をリアルタイムに自由に弾性変形させたり、その物体からの反力(感触)を感じることが出来る。
新技術の特徴
・通常のパソコン上でのリアルタイムの変形シミュレーションが可能である。
・フォースフィードバック装置との組み合わせも容易である。
想定される用途
・コンピュータゲーム:仮想物体をリアルタイムに自由に弾性変形させ、またその反力(感触)を感じることが可能
・医療技術シミュレータ:仮想臓器の変形や感触をシミュレーション
・簡易な数値解析ソフト
- アグリ・バイオ
2)可溶化カーボンナノチューブの新用途展開
九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門 特任准教授 藤ヶ谷 剛彦
新技術の概要
水や有機溶媒に溶解させたカーボンナノチューブ(可溶化CNT)に関する新技術として、CNTの光熱変換効果を利用した近赤外光駆動ハイブリットゲルや、自己組織化作用を利用したCNTハニカムフィルム、密度勾配技術と組み合わせた精製技術を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
CNTの高い電気伝導性・熱伝導性・光熱変換性を生かすことにより、ハイブリットゲルにおいては高い応答速度を実現できる。またハニカムフィルムにおいては高い導電性を持った薄膜が形成できることから、透明性導電性膜などへの用途が期待できる。
新技術の特徴
・遠隔操作により動作可能なゲルアクチュエータを実現(ハイブリットゲル)
・所望のカイラリティーを持った単層CNTの抽出が可能(CNT分離)
想定される用途
・マイクロチャネル用ナノバルブやドラックデリバリーシステム(ハイブリットゲル)
・透明導電性膜・細胞培養基板(ハニカムシート)
・センサー・FET(CNT分離)
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
3)静電紡糸ナノファイバーの製造と新規用途開発
九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 助教 境 慎司
新技術の概要
動物細胞培養担体や触媒固定化担体としての利用のために、静電紡糸法によって得られるシリカ単独もしくはシリカを含有する数百ナノメートル~数マイクロメートルのファイバーからなる不織布を作製する技術
従来技術・競合技術との比較
シリカ繊維は、一般的な有機高分子繊維と比較して熱的・化学的に安定である。また、ナノスケールまで微小化することによって、莫大な表面積を活かした用途展開が可能となった。
新技術の特徴
・無機シリカのみからなる不織布も作製可能
・有機高分子繊維中にシリカ粒子を分散させた構造を製造可能
・ファイバー内にタンパク質などを包括固定化可能
想定される用途
・骨再生医療用担体
・物質生産用細胞培養担体
・酵素固定化担体
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
4)組換え酵素を用いた配列部位特異的逐次遺伝子導入方法
九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 助教 河邉 佳典
新技術の概要
組換え酵素Creおよび変異loxP配列を用いて、宿主細胞染色体に目的遺伝子を導入する技術である。目的遺伝子と変異loxP配列を組込んだプラスミドを設計し、細胞に導入することで、染色体上においてCre依存的および配列部位特異的に複数の遺伝子を逐次導入できる。
従来技術・競合技術との比較
生産性の高い遺伝子組換え細胞を比較的短期間に樹立できる可能性がある。また、これまでウイルスベクターを用いた染色体への遺伝子導入方法が知られているが、感染の危険性、ベクター生産設備、導入部位の不制御性といった問題がある。本技術はそれら問題点を全てクリアできる。
新技術の特徴
・簡便な遺伝子導入方法
・非ウイルスベクター
想定される用途
・高生産細胞株の樹立、トランスジェニック動物の作製
・組換えタンパク質の大量生産
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
5)細胞内シグナル応答型ナノ分子素材による腫瘍特異的分子イメージング
九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門 特任助教 姜 貞勲
新技術の概要
本新技術は正常組織には反応せず、腫瘍で異常亢進している細胞内シグナルに応答する素材を用いた腫瘍特異的イメージング技術である。また、分子素材に蛍光物質の導入により、細胞内シグナルの分子レベルでの観察も可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来の腫瘍イメージングはリガンド分子を利用するアクティブターゲッティング法が汎用されるが、正常細胞への導入によるバックグラウンドの増加、イメージング効果の減少が懸念される。本新技術は正常細胞への影響はなく、腫瘍特異的細胞内シグナルに応答する新概念のイメージング法である。
新技術の特徴
・疾患細胞内シグナルに選択的なペプチドを用いることで、種々の疾患のイメージングも可能
・蛍光蛋白質および蛍光物質の利用も可能
・ウイルス殻(ベクター)、抗体、およびリガンドとの融合も可能
想定される用途
・腫瘍発症メカニズムの解明などの基礎研究
・診断および治療評価などの臨床的な応用
・抗癌剤などの薬理効果および新薬の評価
関連情報
・サンプルの提供は応相談
- アグリ・バイオ
6)歯周病予防・治療に有用なペプチド誘導体
九州大学 大学院薬学研究院 創薬科学専攻 特任教授 山本 健二
新技術の概要
歯周病の病因菌であるポルフィロモナス・ジンジバリス(P.ジンジパリス)が産生するトリプシン様プロテアーゼ活性を有するタンパク質分解酵素(リジル-ジンジパイン/アルグ・ジンジパイン)の選択的酵素阻害剤
従来技術・競合技術との比較
歯周病の予防及び治療には細菌の生育を阻害するような薬剤、例えば、テトラサイクリン、ミノサイクリン等の抗生物質、カミツレチンキ、ラタニアチンキ等の天然物、クロルヘキシジン等の消毒剤が利用されているが、安全性・不快臭等の問題が残されている。
新技術の特徴
・リジル-ジンジパインおよびアルグ-ジンジパインを同時選択的に阻害する新規化合物
・アミノ酸をベースとしたペプチド誘導体
・生体に対する安全性が高い
想定される用途
・歯周病予防および治療用医薬品
・歯周病予防および治療用オーラルケア製品
・ペット向けオーラルケア製品
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
7)微小な気液混合流体の流量を同時に測定可能な流量計
九州大学 大学院工学研究院 地球資源システム工学部門 助教 菅井 裕一
新技術の概要
透明な細管内に気液混合流体を導入して気液のプラグフローを形成させ、複数の透過型ビームセンサーを用いて細管内を通過する気液の識別波形を得る。これらの波形を相互相関処理し、細管内の気液流動速度を求め気液流量を同時に算出する。
従来技術・競合技術との比較
本新技術は、従来技術に比べ、計測対象部位から計測部までのデッドボリュームを小さくでき、気液各流量をリアルタイムで計測できる。さらに、細管内で気液を分離するため、各流量をほぼ同時に計測でき、かつ、ごく微小な流量も高精度で計測できるなどの利点がある。
新技術の特徴
・極めて微小な流量の気液混合流体の流量の高精度な計測が可能
・高温高圧条件など、特殊な温度・圧力条件下における気液混合流体の気液各相の流量計測が可能
・長時間にわたる無人の流量モニタリングおよびモニタリング結果に基づくリアルタイムなプロセス制御に適用可能
想定される用途
・地下における気液混合流体の流動挙動(気液相対浸透率)の解析
・気液混合流体を扱う化学プラント等におけるボイド率制御
・バイオリアクター内の微生物反応のモニタリングおよび制御
関連情報
・サンプルの提供可能
- 通信
8)三次元実装可能な片面指向平面アンテナ及びRFフロントエンドチップの開発
九州大学 大学院システム情報科学研究院 電子デバイス工学部門 准教授 金谷 晴一
新技術の概要
分布定数線路を用いたインピーダンス整合回路をLSI上に実装することによりRFフロントエンドの小型化を実現した。また、非共振アンテナとインピーダンス整合回路を一体化した三次元実装可能な片面指向平面アンテナを開発した。
従来技術・競合技術との比較
RFフロントエンドLSIにおいて、インダクタ等の集中定数素子を分布定数素子で置き換え小型化した。片面指向性アンテナを積層基板上に実現できるのでアンテナ裏面へ直接LSIの三次元実装が可能となった。
新技術の特徴
・RFフロントエンドLSIの面積縮小技術
・非共振アンテナによるアンテナの小型化技術
・薄型基板によるアンテナの三次元実装化技術
想定される用途
・無線LAN、情報端末、RFIDタグ用の超小型アンテナ
・センサーネットワーク用小型RF送受信チップ
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- 計測
9)加熱不要で高感度・高速応答を可能とする高分子薄膜アルコールセンサ
九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門 教授 長村 利彦
新技術の概要
発明者は、飽和含水率の低いマトリックスポリマー中に、アルコールと反応して発色/発光する色素を分散させた高分子薄膜が、アルコールセンサとして好適に使用可能であることを見出すとともに、この薄膜を低屈折率高分子薄膜と組み合わせた上で、導波モードを構築することで、高感度かつ高応答性のアルコールセンサ素子が得られることを見出し、本発明を完成した。
従来技術・競合技術との比較
アルコールセンサは、現在、半導体センサが主流である。また、近年は高感度の燃料電池センサが実用化されつつあり、このセンサを備えた乗用車等も実用化されはじめている。一方、従来の色素型センサは、アルコールのみに反応する利点を有していたが、反応後の吸収強度の変化率がわずかであるため感度が低く、道路交通法の規制値である呼気1L中に0.15mg(73ppm)という微量のアルコールを検出するあるいは感度と応答速度を両立させることは難しかった。
新技術の特徴
・従来の半導体センサと比較して電源不要である。
・燃料電池センサと比較して低コストである。
・従来の色素型センサと比較して高感度で応答速度が速い
想定される用途
・飲酒運転検知用アルコールセンサ
・成分分析用アルコールセンサ
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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