岡山大学 新技術説明会
日時:2009年01月20日(火)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 通信
1)光パスネットワークにおける棄却性能を改善する波長・波長変換器割り当て方式
岡山大学 大学院自然科学研究科 産業創成工学専攻 助教 福島 行信
新技術の概要
光パスネットワークなど波長連続性制約がある各種光ネットワークを対象として、波長変換実施箇所の履歴および残余波長変換器数に基づいた波長・波長変換器割り当てにより、通信チャネル設定時の棄却性能を改善する。
従来技術・競合技術との比較
従来技術は単に波長変換回数の最小化を目指した波長・波長変換器割り当てを実施しているのみであり、ノードペア間での使用波長および使用波長変換器の競合を回避できていない。
新技術の特徴
・波長変換実施箇所の履歴および残余波長変換器数に基づいた波長・波長変換器割り当てにより光パス棄却率を低減
・光パス経路上で収集可能な資源利用情報のみを使用することにより資源利用情報の広告量を抑制
想定される用途
・GMPLSルータにおけるLSP設定
・光パスネットワークにおける光パス設定
・光バースト交換ネットワークにおけるデータチャネル設定
- 計測
2)点火プラグ実装型燃料・残留ガス濃度計測センサシステム
岡山大学 大学院自然科学研究科 産業創成工学専攻 准教授 河原 伸幸
新技術の概要
本発明では、自動車用ガソリン機関の点火プラグ近傍の燃料濃度および残留CO2濃度をエンジンに特別な改造を加えずに計測できる、点火プラグ実装型光学センサシステムを開発した。
従来技術・競合技術との比較
計測時期が不明なガスサンプリング法に比べ、リアルタイムかつサイクル変動が計測可能である.レーザ誘起蛍光法などのレーザ計測手法では可視化エンジンが必要となるが、実用機関において実用条件下での計測が可能である.
新技術の特徴
・燃料濃度計測と残留ガス濃度計測を同時に点火プラグ近傍で行うことで、ガソリン機関のサイクル変動の要因を特定できる。
・1種類の赤外光源を用いることで、燃料濃度計測精度を低下させることなく、残留ガス濃度計測が可能となる。
・点火プラグ埋込型小型光学センサを用いることで、ガソリン機関を全く改造することなく燃料/残留ガス濃度計測が可能となる
想定される用途
・エンジン一般(自動車用、モーターバイク用、ガスエンジン等の大型エンジン、ディーゼルエンジン)
・ガスタービンなどの燃焼機器
関連情報
・大学のプロトタイプを使用して、希望の試料の計測が可能
- 計測
3)微少生体物質検出に用いるマイクロ流路型溶液濃度分布計測装置
岡山大学 大学院自然科学研究科 電気電子工学専攻 講師 紀和 利彦
新技術の概要
本研究では、化学ポテンシャル分布をテラヘルツ波の強度分布に変換する素子の開発を行った。この素子をマイクロ流路内部に組み込むことで、流路内の化学物質の濃度分布を計測できるようになった。これにより、マイクロ流路で合成・抽出される生体物質のリアルタイム検査や流路内の反応過程をモニタすることが可能となった。
従来技術・競合技術との比較
CCDによる流路の撮像:透明な物質は試薬で着色する必要あり。定量評価は困難、空間分解能数十マイクロメートル SPRアレイ:使用する波長に感度のあるものに限定される。分解能は数ミリメートル 本技術:上記記述で困難なイオンの検出も可能。検量線により定量評価可能、空間分解能サブミクロン
新技術の特徴
・化学ポテンシャル分布を高空間分解能でテラヘルツ波強度分布に変換可能
・非破壊で溶液内部の化学物質、生体物質の濃度を計測可能
・マイクロ流路内部のリアルタイム計測が可能
想定される用途
・マイクロ流路検査用生成物、反応過程分析装置
・河川環境スクリーニング装置
・医薬スクリーニング装置
関連情報
・大学のプロトタイプを使用して、希望の試料の計測が可能
- 材料
4)エポキシとCO2から環状炭酸エステルを合成する触媒
岡山大学 大学院自然科学研究科 機能分子化学専攻 教授 酒井 貴志
新技術の概要
エポキシと二酸化炭素から環状炭酸エステルを合成するシリカゲル固定化有機触媒を開発した。この触媒はシリカゲル上に臭化トリフェニルホスホニウムを架橋させたもので、低圧下、無溶媒反応で高収率で目的物を生成する。
従来技術・競合技術との比較
従来のホスゲン法では、猛毒のホスゲンとジオールを用いているため、危険であり、また塩酸の廃棄物が出るが、本法では目的物のみが生成し、安全である。また、触媒も簡単に調製でき、安定かつ繰り返し使用可能である。
新技術の特徴
・猛毒のホスゲンを使用しない環状炭酸エステル合成の安全な方法である。
・触媒の調製が容易である。反応条件が従来法より温和(100℃, 1Mp)である。
・高収率で生成物が得られ、触媒を有機溶媒で洗うだけで繰り返し使用できる。
想定される用途
・二酸化炭素とエポキシの反応による炭酸エステルの合成
- 材料
5)無機硫黄化合物を分解する酵素による新技術の開発
岡山大学 自然生命科学研究支援センター 分析計測分野(農学部) 助教 金尾 忠芳
新技術の概要
好酸性の硫黄酸化細菌から、無機硫黄化合物の一種テトラチオン酸を加水分解する酵素及びその遺伝子を初めて特定し、組み換え酵素として獲得することが出来た。この新規な酵素の触媒機構を詳細に解析することで、無機硫黄化合物の酵素による処理・物質変換への新たな技術開発が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
無機硫黄化合物を基質とした酵素反応については、現段階では体系的な知識の構築がほとんどなされていない。従って本技術は、新たな技術分野の開拓につながり、これまでに無い新規な硫黄化合物の処理・有効利用技術の開発が期待できる。
新技術の特徴
・新規な酵素であるテトラチオン酸加水分解酵素を詳細に解析するために必要な酵素量の獲得が可能となった。
・結晶化を行うための純粋な酵素を十分量獲得することが可能となった。
想定される用途
・基質であるテトラチオン酸分子内のS-S結合を切断する機構を理解出来れば、S8硫黄分子を水和する酵素の創製が期待できる。
・硫黄を水和する酵素ができれば、硫黄を生物的に処理することが可能となる。従って石油脱硫硫黄など余剰硫黄の処理へ応用できる。
- 材料
6)紫外線照射によるチタン系インプラントの生体親和性向上
岡山大学 大学院自然科学研究科 機能分子化学専攻 准教授 早川 聡
新技術の概要
金属チタンのα-β結晶相転移を起こさない程度の熱処理と紫外線照射を組み合わせることによって、金属チタン表面にアパタイト形成能を発現させて、チタン系インプラントと骨組織との結合性を高める技術である。
従来技術・競合技術との比較
セラミックスコーティング技術と違って表面酸化物層が剥がれる心配が無く、紫外線照射による滅菌効果も期待され、水溶液中での化学処理を必要としないので、製造での余分な設備投資が不要。
新技術の特徴
・空気中で熱酸化することによって酸化チタン層を金属チタン表面に形成する
・酸化チタン層に紫外線を照射するだけでアパタイト形成能が発現する
・化学処理を必要としない
想定される用途
・人工関節や人工歯根
・各種細胞培養・組織工学用の足場材料
・環境汚染物質の吸着材料、血液浄化療法用の病因物質等の吸着材料
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
7)表面の微細加工/処理技術と表面性状の高速評価技術
岡山大学 大学院自然科学研究科 産業創成工学専攻 准教授 大橋 一仁
新技術の概要
流体を吸引により発生するキャビテーションの衝撃力を部品の表面に作用させることによって洗浄、表面改質効果を得ます。液体内に硬質の微粒子や研磨材を含ませることによって、表面の仕上げ効果や加工効果を得ることも可能です。また、高速運動する物体の表面粗さを瞬時に機上測定する技術の事例もご紹介します。
従来技術・競合技術との比較
従来のマイクロ加工法に比べて表面粗さの小さい微細形状を得ることができ、ウェットエッチングのような廃液処理も必要ありません。また、ウォータジェットのような大がかりな装置も必要としません。また、表面性状評価技術は、従来の測定機器では不可能な表面粗さ測定を可能とします。
新技術の特徴
・吸引によってノズルから発生するキャビテーション流れの衝撃を利用して、加工、洗浄、表面改質を行う。
・複雑に屈曲した管内においても洗浄、加工、表面改質が可能である。(エッチャント等の有害な物質(液体)を使用しない。)
・高速に運動する表面の粗さを接触式によって瞬時に測定(表面に油等が存在しても大丈夫!)
想定される用途
・パターニング等によるマイクロ加工
・屈曲配管内の表面処理/洗浄
・加工等のプロセスを施した表面の粗さを瞬時に測定(高速運動時でも測定可能)
関連情報
・加工等の処理テスト可能・表面性状評価技術はデモ機あり
- 材料
8)超音波攪拌機構による圧電体PZT薄膜の成膜
岡山大学 大学院自然科学研究科 産業創成工学専攻 准教授 神田 岳文
新技術の概要
水熱合成法を用いた圧電体PZT薄膜の成膜時に反応溶液の攪拌に超音波振動を用いる。より複雑な形状や比較的広い面積を持つ母材(チタン・チタン膜)に対し、数マイクロメートル厚の薄膜を一様に成膜することができる。
従来技術・競合技術との比較
水熱合成法は比較的低い温度での水溶液中の反応を利用するもので、基板形状の自由度が高い。しかし従来の回転攪拌機構では試料が変形しやすいなどの問題があった。超音波振動子による容器内攪拌により、これを解決した。
新技術の特徴
・比較的温度が低い140℃以下の溶液中で、曲面や立体的な形状を持つ母材表面に一様に圧電体PZTを成膜
・数平方cmの表面積を持つ板表面に、母材の変形を伴わず一様にPZTを成膜
・チタン材だけでなく、チタン薄膜を成膜した母材にも対応
想定される用途
・微小振動・変位を利用するマイクロアクチュエータ
・マイクロ流体デバイスの駆動源
・光学機器
関連情報
・試作(成膜)対応可能
- 材料
9)化学触媒法による革新的低炭素型アミド製造技術
岡山大学 大学院自然科学研究科 機能分子化学専攻 講師 押木 俊之
新技術の概要
この新技術(ニトリル類の触媒的水和によるアミド類製造)は現行法の生体触媒法に対して、廃水処理の問題がない原理的な優位性をもち、低炭素社会づくりに資するものである。
従来技術・競合技術との比較
必要最小限の水でニトリルを加水分解する技術は、生体触媒、固体触媒でも実現できておらず、この錯体触媒法により初めて実現した。
新技術の特徴
・中性条件下、廃水ゼロの製造法による省エネルギー化
・無溶媒完全化学反応によるコンパクトプロセスの実現
・100℃以下で加水分解を実現
想定される用途
・工業的に有用なアミド類の製造
・同位体標識技術
・他の加水分解プロセスへの展開
関連情報
・サンプルの提供可能
- 医療・福祉
10)患者さんに優しいリハビリテーション装置
岡山大学 大学院保健学研究科 検査技術科学分野 助教 北脇 知己
新技術の概要
手や指に損傷を負った人は治療中に指を固定されるため、指関節(指節関節)が固まって曲がりにくく(拘縮)なります。この発明は、こうした曲がりにくさを改善するために行われるリハビリテーション訓練に使用(装着)するリハビリ装置(スプリント装具)に関するものです。
従来技術・競合技術との比較
指関節の拘縮には、手関節の隙間を保ったまま曲げ方向に力を加えることが重要です。従来の治療法では、指関節を最初から強い力で曲げようとするため、効果がないばかりでなく、関節軟骨を傷つける危険性がありました。そこで本発明では、関節を引っ張って隙間を拡大させながら、指を曲げる方向に力を加えることのできるスプリント装具を開発しました。
新技術の特徴
・従来型スプリントと比較して早期に可動域改善を得ることが期待できる
・関節軟骨損傷の危険性が軽減する
・関節裂隙が拡大されるために、関節運動時の痛みが軽減される
想定される用途
・指関節拘縮を改善するために行われるリハビリテーション訓練装具
・指関節拘縮改善のためのリハビリテーション訓練器具
関連情報
・外国出願特許あり
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