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東京農工大学 新技術説明会

日時:2008年08月01日(金)

会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • デバイス・装置

1)光誘起マランゴニ対流を利用した非接触無拍動マイクロポンプ

東京農工大学 大学院共生科学技術研究院 先端機械システム部門 教授 梅田 倫弘

新技術の概要

集束レーザーによる加熱によって発生したマイクロ気泡に非対称温度分布を持たせることで、マランゴニ対流を誘起させて、気泡周囲媒質を駆動させるマイクロポンプを開発した。本手法では、マイクロ流体素子に光吸収物質を添加するだけで、流体駆動が可能となり、素子の簡素化、低コスト化が可能となる。

従来技術・競合技術との比較

従来よりマイクロスケールでの流体の駆動方法として、圧電素子を用いて、ダイヤフラムを駆動する方法が提案されているが、駆動部を持つために加工が複雑となり、ある程度の大きさが必要となり、大きさもミリメートルオーダーのものが多い。これに対して本技術は、機械的駆動部が無く、電気的エネルギー供給も不要である。

新技術の特徴

・機械的駆動部が無く、構造が簡単で低コスト化が可能、メンテナンスフリーである
・レーザー光加熱による流体駆動であるため、非接触・遠隔的であり、マイクロ流体素子に適する
・レーザー加熱場所をマイクロ気泡内で変えることで、流体の流れ方向を反転させることができる

想定される用途

・マイクロ流体素子の流体駆動用マイクロポンプ
・複数の溶液を攪拌混合させるためのマイクロポンプ
・複数の流路構造を持つマイクロ流体素子における流路選択素子駆動のためのマイクロポンプ

  • 計測

2)2光子吸収を用いた距離変位計測および光ファイバ給電センサ

東京農工大学 大学院共生科学技術研究院 先端電気電子部門 講師 田中 洋介

新技術の概要

以下の2つの技術紹介を行う。(1)距離変位を精密かつ簡便にレーザ計測する装置、(2)多種多様かつ多数のセンサの駆動、信号伝送を光ファイバで行える低電力なりモートセンシングシステムとそのための装置。

従来技術・競合技術との比較

(1)開発した「距離変位計測技術」は、従来のように精密で高価な高周波回路が不要であり、それらと同等以上の機能がフォトダイオード1個で実現できるため、コスト、精度の両面で従来技術に勝る。また、(2)「ファイバ給電を利用したセンサ」は、光センサの耐雑音性と電気センサの多機能性を融合した技術で、加えてバッテリが不要な点において従来技術に勝る。

新技術の特徴

「距離変位計測」
・フォトダイオードで誘起される2光子吸収という非線形現象を利用した従来にないまったく新しい方法
・複雑な回路を使わないため低コスト
・10-6 の高い測定精度
・数cmから数10kmまでの広い測定レンジ
・細いレーザビームの使用により、マイクロ波レーダ等では不可能な最小数10ミクロンの空間分解能
「光ファイバ給電を利用したセンサ」
・光ファイバでセンサに給電すると共に、センサノードでセンサの出力を光信号に変換し、監視側にファイバ伝送
・マイクロプロセッサを用いたセンサノードで多種多様なセンサの接続に対応
・0.2mW以下の低電力センサノードにより、100台前後のセンサも1台のレーザで駆動可能
・電波の届かない地下や、引火性素材を扱う危険区域等、無線やメタル給電センサが利用できない場所で有効
・光ファイバの低損失性により広域センサ網を実現可能

想定される用途

「距離変位計測」
・トンネル、橋梁等大型構造物の歪み測定
・微小な地殻変動の監視
「光ファイバ給電を利用したセンサ」
・ビル内、地下街等の防犯、防災センサ網
・都市部密集地域のCO2、NOX、スモッグや、下水水位上昇に伴う都市型洪水等の環境モニタリング
・各種プラントの安全監視

  • 材料

3)有機蓄光材料の開発と感熱型蓄光記録素子への応用

東京農工大学 大学院共生科学技術研究院 応用化学部門 教授 渡辺 敏行

新技術の概要

室温で0.1秒以上の燐光寿命を持つ有機蓄光材料は存在しなかった。これに対して当研究室では、ある種の非晶質マトリクスにアミノ基を導入した多環式芳香族分子をドープすることで、世界で初めて室温で3秒以上の燐光寿命を達成した。また熱履歴により蓄光のOn-OFFを制御する感熱型蓄光記録素子を開発した。

従来技術・競合技術との比較

蓄光材料としてはアルミン酸ストロンチウムなどが良く知られているが、いずれも重金属を含んでおり潜在的な環境問題を有している。一方、本発明で利用する有機材料は低環境負荷であり、かつ吸光係数が大きいため、発光強度が強く、ブルー、グリーン、レッドの3原色発光が可能である。

新技術の特徴

・蓄光の発光強度が無機材料より強い
・低環境負荷である
・ブルー、グリーン、レッドの3原色発光が可能である

想定される用途

・表示用塗料
・セキュリティ用材料

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 医療・福祉

4)マウス運動機能解析による予防・治療因子の評価システム

東京農工大学 大学院共生科学技術研究院 生命機能科学部門 講師 稲田 全規

新技術の概要

本技術はマウスの歩行解析により運動機能を定量化し、骨粗鬆症、関節炎、肥満、癌の予防や治療因子の効能評価と開発を支援する基盤技術である。従来、マウス評価系では、試験因子による身体機能の変調や「問診」にあたる評価判定は数値化が難しかった。本技術ではそれらを含めた運動機能の低下を数値化し、試験因子の身体に与える影響を定量的に評価する。

従来技術・競合技術との比較

従来技術である生化学・病理検査では評価が難しかった、試験因子の疾患モデルマウス等の運動機能へ与える影響を評価し、複数のパラメーター解析により正確な判定を可能とした。本技術はサプリメントの開発や創薬における運動機能の定量的な評価が可能であり、試験因子の効果比較や副作用の予測により、実用化に則した予防・治療因子の開発を支援する。

新技術の特徴

・疾患モデルマウスを用いた新規治療薬や機能性食品の運動機能への影響を定量化する。
・運動機能の低下を歩行状態の解析により数値化し、試験因子の身体機能に与える影響を数値化する。
・従来法の病態解析や生化学検査との組み合わせにより、ヒト試験における全身への副作用の回避とより安全な創薬や機能性食品の開発を支援する。

想定される用途

・骨粗鬆症、関節炎、肥満に派生する生活習慣病や癌の予防・治療薬、サプリメント、機能性食品の効能評価
・運動・スポーツに関連する製品開発

  • アグリ・バイオ

5)植物病原菌を弱毒化するマイコウイルスを利用した生物防除資材の開発

東京農工大学 大学院共生科学技術研究院 生命農学部門 講師 森山 裕充

新技術の概要

本研究では、果樹野菜や稲作に重大な被害をもたらすアルタナリア菌とイネいもち病菌を弱毒化するマイコウイルスを対象として、その遺伝子や構成タンパク質の解析や弱毒化メカニズムの解明とその利用方法を開発し、環境低付加型生物防除資材として製品化を試み、新たなエコイノベーション型の植物バイオマス生産システムのツールとしての開発を目指す。当該マイコウイルスは菌類に特有に感染し動物や植物には感染しない。本研究はアルタナリア菌とイネいもち病菌を弱毒化するマイコウイルスとしては初めての報告となり、農作物の病害防除分野において国際競争力のある知的財産権と成りうる。

従来技術・競合技術との比較

マイコウイルスにより弱毒化された植物病原菌を生物防除資材として用いる方法は、欧米諸国においてはクリ胴枯れ病菌で1990年代頃から実用化された例があり、国内では果樹に感染する紫紋羽病菌で実用化の検討段階にある。しかし、本研究の対象であるイネいもち病菌マイコウイルスやアルタナリア菌マイコウイルスは、これら先行する2例のマイコウイルスとは分類学的に異なったウイルスであることで新規性がある。またマイコウイルスとしては未だ報告例の無い水平感染能力に関する知見やその利用方法なども見出しており、この性質は新たな防除法の開発をもたらすので優位性も高いことが言える。

新技術の特徴

・イネいもち病菌に生育阻害をもたらすマイコウイルス(菌類ウイルス)を新たな生物防除資材として利用する。
・アルタナリア菌に生育阻害をもたらすマイコウイルス(菌類ウイルス)を新たな生物防除資材として利用する。
・菌類ウイルスとしては初めての知見となる水平感染能力を利用した新たな植物病原菌の防除方法。

想定される用途

・稲作におけるイネいもち病菌の生物防除資材。
・野菜、果樹におけるアルタナリア菌の生物防除資材。
・ヒトのアレルギー源であるアルタナリア菌の生育抑制剤。

関連情報

・サンプルの提供可能

  • アグリ・バイオ

6)サワラの成分を原料に用いたローズマリーの抗酸化活性物質の製造

東京農工大学 大学院共生科学技術研究院 生命農学部門 教授 多田 全宏

新技術の概要

ローズマリーの抗酸化活性物質には、脳神経細胞死防止効果、脂肪吸収防止効果、抗炎症作用、糖尿病患者の血糖値低下効果、美白効果などが報告されている。サワラから高い収量でpisiferic acidを分離精製し、これをオルト位酸化してローズマリーの主要抗酸化物質であるcarnosic acid を効率的に合成した。

従来技術・競合技術との比較

これまで、ローズマリーの抗酸化活性物質はローズマリーから抽出分離されてきたが、ローズマリーは栽培効率が悪い上、抽出で得られる量が少なく、価格も,例えば、500mgで$630と高額で、使い道も限られていた。

新技術の特徴

・1.本研究の原料にしたサワラはわが国では山野に広く植えられている大きな針葉樹で、安価に入手可能である。
・2.サワラの葉から原料であるピシフェリン酸は0.2-08%分離することができる。
・3.本製造で利用した、フェノールのオルト位酸化反応は我々の研究室で開発した反応で、極めて効率的である。
・4.合成反応はわずか2段階で効率が良い。

想定される用途

・食品添加物、サプリメント、医薬、化粧品成分等

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 医療・福祉

7)交配しない糸状菌を交配させるための手段―菌の不妊治療へ向けて

東京農工大学 大学院共生科学技術研究院 生命農学部門 准教授 有江 力

新技術の概要

交配しない糸状菌(不完全菌)を交配させるための技術に関わる。糸状菌は、交配型の異なる菌株間で交配が起きるが、不完全菌では、菌株毎に染色体の構造等が大きく異なるため、たとえ交配型が異なっても相同染色体の対合に至らず、結果的に交配できないと考えられた。そのため、染色体バックグラウンドをそろえ、交配型の異なる菌株を作出することで不完全菌の交配を可能とする。

従来技術・競合技術との比較

従来技術では、不完全菌を交配させる事は不可能である。交配を行う事ができないため、不完全菌の遺伝子の機能解析はこれまで遺伝子破壊や相補によって行われてきたが、今後は遺伝的解析が可能になる。また、不完全菌の育種は、これまでは変異株の探索によって行われてきたが、交配による育種が可能になる。本技術は、特許3718755に基づいて、不完全菌を含む糸状菌菌株の交配型を検定できる技術に基づいて可能となった。

新技術の特徴

・これまで交配できなかった不完全菌の交配につながる
・不完全菌類の交配による育種が可能になる

想定される用途

・産業上有用な不完全菌(Aspergillus oryzaeやPenicillium spp.)における交配による形質改善(育種)
・不完全菌の遺伝子機能の遺伝的解析
・不完全菌の完全世代の発見と完全世代名の命名

関連情報

・技術供与可能

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

東京農工大学 産官学連携・知的財産センター

TEL:042-388-7283FAX:042-388-7173
Mail:zimcrcアットマークcc.tuat.ac.jp
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

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Mail:scettアットマークjst.go.jp

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