発電・電池 新技術説明会
日時:2009年10月29日(木)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- エネルギー
1)多孔性高プロトン伝導高分子及び高プロトン伝導性結晶性ナノ薄膜
京都大学 大学院理学研究科 化学専攻 教授(併任)九州大学 大学院理学研究院 化学部門 招聘教授(現)科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業CREST ナノ界面技術の基盤構築研究領域 研究代表者 北川 宏
新技術の概要
多孔性配位高分子は、有機配位子と金属イオンからなる規則的な構造(格子)とナノ細孔(空間)を有している。この材料を用いて、極めて高いプロトン伝導体(超プロトン伝導体)を開発し、それらをナノ薄膜化することにより、更に高い伝導性を達成させた。
従来技術・競合技術との比較
多孔性配位高分子は、細孔のサイズや形状、親水性・疎水性の制御が可能である点など高い設計性を有する。また、格子(骨格:Framework)に電子伝導性を付与することも可能であり、電子とプロトンの両者が流れる混合伝導体の開発の場としても適している。さらに触媒活性の付与も可能である。
新技術の特徴
・固体電解質
・超プロトン伝導
・多孔性物質
想定される用途
・マイクロ燃料電池
・センサー
・除湿器
関連情報
・サンプルの提供について応相談
・外国出願予定有
- エネルギー
2)ポリビニルホスホン酸を含有した燃料電池用有機無機ナノハイブリッドガラス膜
兵庫県立大学 大学院工学研究科 物質系工学専攻 教授 矢澤 哲夫
新技術の概要
パーフルオロ系のスルフォン酸基含有の有機高分子膜では使用できない高温、あるいは低湿度において高いプロトン導電性を有するガラス膜に関するものである。当該膜は、100℃以上の低湿度下において、10-3S/cm以上のプロトン導電性を有している。
従来技術・競合技術との比較
従来のパーフルオロ系のスルフォン酸基含有の有機高分子膜では、80℃程度が耐熱温度の限界であったが、当該膜は150℃程度まで使用可能である。従来のパーフルオロ系のスルフォン酸基含有の有機高分子膜は、100%近い加湿が必要であったが、当該膜は、30%程度の低加湿状態でも10 -3 S/cm以上のプロトン導電性を有している。
新技術の特徴
・耐熱性
・プロトン導電性
・有機無機ナノハイブリッドガラス
想定される用途
・燃料電池
・センサー
・反応膜
関連情報
・サンプルの提供可能
- エネルギー
3)多孔性金属錯体を用いた無加湿・中温度下で働くプロトン伝導材料の開発
京都大学 工学研究科 合成・生物化学専攻 北川研究室 特任助教(前)戦略的創造研究推進事業 ERATO北川統合細孔プロジェクト 研究員 堀毛 悟史
新技術の概要
金属と有機物からなる多孔性金属錯体が有するナノ細孔を用い、イミダゾール分子と複合化することにより、新規プロトン伝導体を合成した。このプロトン伝導体は湿度ゼロ、100度以上の環境で急激に伝導度が大きくなることがわかっている。
従来技術・競合技術との比較
燃料電池の固体電解質として中温領域(100?300度)で働く化合物はまだ数が少なく、新たな材料の開発が進められている。本成果はナノレベルでプロトン源を固体内に導入するため、安全であり、汎用性の高い手法である。
新技術の特徴
・アルミニウムと有機物のみであるため、安全・安価
・試料調整が簡便
・多彩な固体のデザインが可能
想定される用途
・燃料電池向け固体電解質
・二次電池向け固体電解質
・二次電池向け電極材料
関連情報
・機能改良に関する議論などを希望
- エネルギー
4)クラスレートハイドレートによる水素およびメタンの吸蔵
筑波大学 大学院数理物質科学研究科 物質創成先端科学専攻 教授 中村 潤児
新技術の概要
活性炭やカーボンナノチューブなど軽量な多孔質炭素物質内に種々の水溶液を固化し、そこに水素やメタンを吸蔵させることができる。水溶液に炭素材を浸し冷却固化することで簡便に吸蔵材を構築できる。
従来技術・競合技術との比較
クラスレートハイドレートの微粒子を炭素物質内に生成させることができるので、ガス吸蔵・放出速度が著しく大きい。10気圧程度で吸蔵させることができ高圧を必要としない。0℃程度に保つことで繰り返し使用することが可能である。
新技術の特徴
・水素およびメタンの短期および長期の貯蔵。特に寒冷地での使用に適する
・ロケット燃料など特殊な状況でのガス吸蔵および運搬
・クラスレートハイドレートのケージに入り得るガスのみ分離および純化することが可能である
想定される用途
・水素やメタンなどの長期貯蔵(特に寒冷地での)
・水素ステーションでの水素備蓄
・簡便なガス分離機能材として用いることが可能である
- エネルギー
5)極数変換装置を用いた高効率発電機の開発
愛知工業大学 工学部 電気工学専攻 准教授 雪田 和人
新技術の概要
極数変換装置を用いた発電機は、運転動作環境に応じ極数を最適化することにより、低速回転域から高速回転域まで広い運転環境において高効率での発電が可能な、広いパワーバンドを有する発電機の実現が可能となる。
従来技術・競合技術との比較
一般的に発電機は低速回転用あるいは高速回転用等定格が固定化されており、運転動作環境は各々定格により限定される。本提案高効率発電機は広いパワーバンドを有し、低速回転域から高速回転域まで高効率な発電を可能とする。
新技術の特徴
・発電機として用いるだけでなく、極数変換型モータとしての利用も可能
・極変換装置の応用として太陽光発電装置の接続箱における接続方式の変換
・極変換装置の応用として蓄電装置の接続箱における接続方式の変換
想定される用途
・小型風力発電装置への導入
・マイクロ水力発電装置への導入
・電気自動車への導入
- エネルギー
6)放射線架橋・グラフト法による高耐久性芳香族高分子電解質膜の作製
日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 環境・産業応用研究開発ユニット 高導電性高分子膜材料研究グループ グループリーダー 前川 康成
新技術の概要
芳香族高分子膜への放射線照射により架橋構造や機能性グラフト鎖を付与することで、低含水性、高導電性、且つ、優れた機械特性を有する架橋芳香族高分子電解質膜が低コストかつ簡便な製造プロセスで作製できる。
従来技術・競合技術との比較
本発明では、芳香族高分子膜の直接スルホン化やグラフト鎖導入により電解質膜へと変換できるため、複雑な製膜工程を含む従来法に比べ、作製コストが著しく削減でき、且つ、機械強度や耐熱性に優れた電解質膜が得られる。
新技術の特徴
・市販高分子膜の機械強度の大幅な向上
・市販高分子膜の耐薬品性の向上
・市販高分子膜への新規機能性の付与
想定される用途
・携帯機器、定置用、及び、自動車用燃料電池に適応可能な電解質膜
・食塩電解膜
・高機能分離膜
関連情報
・外国出願特許あり
お問い合わせ
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