ナノ・材料 新技術説明会
日時:2009年11月20日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)全身投与によるsiRNAデリバリーのための高分子ナノキャリアの設計
東京大学 大学院医学系研究科 臨床医工学部門 准教授 西山 伸宏
新技術の概要
siRNAの全身投与を実現するために、ポリエチレングリコール-ポリカチオンのカチオン性側鎖に疎水性基を導入し、疎水性相互作用によって内核が安定化されたsiRNA搭載高分子ミセルを開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来技術としてはカチオン性脂質やカチオン性高分子を利用したsiRNAキャリアが開発されているが、本発明の技術は従来技術よりも優れた血中滞留性を有している。
新技術の特徴
・現在、国内外で臨床試験が実施されている高分子ミセルを基本構造としたsiRNAキャリアであり、高い有用性が期待できる
・従来技術と比較して低毒性であり、効率的なsiRNAの機能発現が期待できる
・高分子の精密設計と分子修飾によって、標的認識機能や環境応答機能を付与することができる
想定される用途
・siRNAによるがん治療
・がん以外の疾患(ウイルス性疾患、循環器疾患など)への応用
・分子生物学の研究ツールとしての応用
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- 材料
2)組織等価熱蛍光板の積層体による3次元線量分布測定システム
立教大学 理学部 化学科 教授 漆山 秋雄
新技術の概要
人体と同じ実効原子番号(7.4)を持つ熱蛍光物質を用いて密度1の板状体を作り、これを多数枚重ねてブロックとしファントムを構成する。放射線(多門照射を含む)を透過させた後、板状体からの熱蛍光像を合成すると3次元線量分分布が得られる。
従来技術・競合技術との比較
3次元線量測定としてポリマーゲル線量計があるが、米国からの輸送条件(時間、温度)が厳しく、また現場でゲルを作製しなければならず、データ化にはMRIが必要など使いにくい。
新技術の特徴
・組織等価材料でありまた密度1であるため、使用放射線のエネルギーや深さに対する複雑な補正が必要でない
・熱蛍光は加熱板とCCDカメラのみで測定可能であり、また、3次元画像も市中ソフトで簡単に合成取得できる
・原料は安価であり、また熱蛍光板は繰り返し使用ができるため総合コストがきわめて低い
想定される用途
・リニアックのQA
・IMRTにおける線量分布検証(照射計画、教育課程を含む)
・陽子線やに重粒子線治療における3次元線量検証
- 材料
3)低次元材料の電界銃測定法の商品化開発
国立大学法人九州工業大学 大学院工学研究院 先端機能システム工学研究系 准教授 孫 勇
新技術の概要
圧電体表面付近に伝搬する静電ポテンシャルを測定試料に導入することにより、試料中キャリアの電気電導特性を評価する。強い電界が得られるため、低次元材料の評価に有効である。温度依存性や電界強度依存性の測定も可能である。
従来技術・競合技術との比較
評価は非接触的であり、超伝導体から絶縁体までの広い抵抗範囲の測定は可能である。S/N比は高く高精度の測定が可能である。試料のサイズは1cm角程度、置くだけで設置が簡単である。パソコンの自動計測が実現している。
新技術の特徴
・表面・界面型超伝導材料に開発
・不連続エネルギー分布を持つ量子井戸材料などの評価
・ナノ材料のガス貯蔵などの評価
想定される用途
・極表面超伝導特性の評価
・単結晶中不純物電導率の評価
・各種ナノ材料の電導率の評価
関連情報
・試料の評価が可能である
・外国出願特許あり
- 材料
4)微細構造がナノ制御された各種複合材料の新規製造技術
久留米工業高等専門学校 材料工学科 准教授 武藤 浩行
新技術の概要
粒子表面の静電吸着を積極的に利用することで、特別な装置を一切用いることなく、任意の複合粒子を調製し、これを用いて所望の微細構造を有するナノ複合材料を作製する技術。原料粒子の種類、形状を問わず、複合粒子を調製することができ汎用性が高く安価にナノ複合材料を製造できる。
従来技術・競合技術との比較
これまでの複合材料の製造プロセスでは、複数粉末の機械混合が用いられてきたが、本提案では、母材となる原料粒子表面に添加物を静電吸着させることで、複合材料の原料粒子を作製し、この構造を反映させた複合材料を製造する。このため従来の製造装置で複合材料のナノデザインが可能である。
新技術の特徴
・添加物がナノレベルで母材中に高分散した先端複合材料の製造が可能
・加物を効果的に母材中に導入できるため添加量を抑えつつ特性向上が望める
・特殊な装置を用いることなく簡便にナノ粉末を取り扱うことができる
想定される用途
・多元系複合触媒粉末の創製
・導電性物質が母材中に連続的に連結(ナノチャンネル)した導電性セラミック材料
・ナノ粉末の複雑形状面根のナノコーティング
- 材料
5)室温焼結性銀ナノ微粒子及び銀銅合金ナノ微粒子分散液
山形大学 理学部 物質生命化学科 准教授 栗原 正人
新技術の概要
シュウ酸銀錯体自己熱分解法により、ほぼ100%の高収率で銀ナノ微粒子が得られる。銀ナノ微粒子は溶剤に良好に分散し、その塗布膜は室温でも焼結し導電性が発現する。また、銀銅合金ナノ微粒子の合成にも成功した。
従来技術・競合技術との比較
従来達成し得なかった室温焼結性銀ナノ微粒子分散液の安価・簡便・高収率・低環境付加製造法を通じて、基板レスエレクトロニクス時代に向けた応用範囲が広がる。また、銀銅合金ナノ微粒子の開発により、耐エレクトロマイグレーション材料提供への可能性も広がった。
新技術の特徴
・プリンタブルエレクトロニクス、基板レスエレクトロニクス
・プラズモニクス材料(太陽電池、酸化チタン等の光高効率化)
・無電解メッキ、顔料
想定される用途
・フレキシブル導電材料
・太陽電池電極(メッシュ型光透過性導電材料)、光増感材料(近接場フォトントラッピンング)
・抗菌材料、銀光沢メッキ材料
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
6)セラミックス焼結体の表面にナノレベルの凹凸を付与するための低コスト型のプロセス技術
長岡技術科学大学 工学研究科 電気電子情報工学専攻 准教授 中山 忠親
新技術の概要
表面に微細な凹凸パターンを有したセラミックス焼成体及びその製造方法に関し、より詳細には、無機材料と有機材料とを複合させる技術とナノインプリント技術とを適用して、微細な凹凸パターン内の粒子の結晶配向が所望の状態に制御されたセラミックス焼成焼成体を製造する方法について紹介する。
従来技術・競合技術との比較
材料の表面にナノレベルの凸凹を与える手法、いわゆるリソグラフィー法は一般的に極めて高価である。ここで安価な手法としてナノインプリント法が着目されているが、同手法は熱可塑性樹脂やガラスなど材料系に制限がある。本手法は高温耐熱セラミックス等の種々の材料の表面にナノレベルの凸凹を付与出来るため、触媒、光学材料、構造材、デバイス、MEMS、バイオなどの多くの分野に対して展開できる。
新技術の特徴
・ナノ~サブミクロンの領域で所望の構造を付与することが出来る
・極めて安価なプロセスであり、現有の装置を生かした多機能化展開が可能である
・材料系の制約が殆ど無く、広汎な利用が期待できる
想定される用途
・耐熱高温材料の表面処理、精密セラミックスの表面構造制御や触媒坦体など無機材料
・バイオチップやMEMSなどの微細機械分野
・電子デバイス、電子基板、積層コンデンサ、光学素子などの電子技術分野
関連情報
・サンプルの提供可能
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
科学技術振興機構 産学連携展開部 産学連携担当
TEL:0120-679-005Mail:scettjst.go.jp
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