首都圏北部4大学発 新技術説明会(1)
日時:2009年07月14日(火)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)環境を考慮した酸化亜鉛透明導電膜のプラズマ低温合成法
茨城大学 大学院理工学研究科 応用粒子線科学専攻 准教授 佐藤 直幸
新技術の概要
低純度原料が廉価な亜鉛と純酸素から透明導電膜を非加熱の非晶質基板へプラズマ合成する。薄膜の抵抗率は、成長中に亜鉛と酸素のフラックスをモニターしながら電子温度等のプラズマ特性や基板バイアスを調整することにより10-4Ωcm台に低減できる。
従来技術・競合技術との比較
毒性のない低純度亜鉛と非晶質基板の低負荷材料を用いて、直流バイアス、亜鉛蒸発、非加熱基板、非ドーピングなる低エネルギープロセスで他のプロセス法では困難な10-4Ωcm台を再現。基板と蒸発源の相対位置を掃引してロールトゥロールにも対応可能。
新技術の特徴
・低気圧において誘導結合型の酸素-亜鉛混合プラズマをVHF帯の高周波電力で生成する
・ZnO膜の成長中に基板上試料への直流バイアスを調整できる
・基板入射する亜鉛と酸素のフラックスをモニターしながら蒸発源と基板間の距離及びプラズマ生成電力波形を調整してシート抵抗が制御できる
・以上の特徴により,低純度亜鉛蒸気と純酸素プラズマから可視光透過率85%以上で10-4Ωcm台の低抵抗率透明導電膜を実現できる
想定される用途
・各種太陽電池パネルの透明電極
・透明ヒータの抵抗体
・透明コンデンサの電極
- アグリ・バイオ
2)音声を用いたカラス忌避装置
宇都宮大学 オプティクス教育研究センター 特任研究員 塚原 直樹
新技術の概要
害鳥として知られるカラスを、特定の場所に寄せ付けないようにすることを目的とする。具体的には、カラスの鳴き声や特定周波数成分を合成した音声を再生し、カラスを忌避させる。
従来技術・競合技術との比較
従来の鳥害防止装置の再生音声は、周囲の環境にそぐわない現実味にかける音声のため、効果が一時的であった。本技術は、カラスの合成音の再生順序を、実際の逃避時の状況に合わせることで、現実味を持たせている。
新技術の特徴
・音声によるカラス対策であるため、広範囲に効果が期待できる
・カラスの行動様式を利用した技術であるため、より長い効果の持続が期待できる
・比較的安価で技術を応用できる
想定される用途
・カラスの食害をうける農地
・カラスの営巣により停電被害をうけている鉄塔
・音声の再生が可能なカラス被害をうけている場所全般
関連情報
・サンプルの提供可能
- 医療・福祉
3)SHPS-1リガンドを利用した免疫疾患治療法の開発
群馬大学 生体調節研究所 バイオシグナル分野 教授 的崎 尚
新技術の概要
免疫系の樹状細胞に発現する受容体型膜蛋白質SHPS-1は自己免疫病発症に重要な役割を果たす。本技術は、このSHPS-1に対する抗体やペプチドを用いて樹状細胞機能を制御し、自己免疫病の新たな治療法とする。
従来技術・競合技術との比較
従来の自己免疫病の治療薬としては、例えばリウマチに対する抗炎症薬等が存在するが、様々な副作用が知られている。本技術により、免疫応答の要である樹状細胞を標的とした新しいタイプの治療法が開発される。
新技術の特徴
・樹状細胞を特異的な標的としている
・細胞表面受容体を直接操作する
・抗体、ペプチドなど様々なリガンドが利用可能
想定される用途
・リウマチの治療薬
・その他、免疫異常を原因とする疾患の治療薬
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
4)新規蜂蜜の開発
埼玉大学 大学院理工学研究科 生命科学部門生体制御学 教授 菅原 康剛
新技術の概要
通常の蜂蜜は花の蜜を蜜源として蜜蜂によって作られるが、花のない季節には蜂蜜を生産できない。これに対して、果物や樹液を蜜源とすれば、年中蜜を生産することが可能となり、養蜂業者にとって遊離となる。一例として、カエデの樹液から得られたメープルシロップを蜜源とした蜂蜜を紹介する。各種の蜜源が考えられ、地域ブランド蜂蜜を製造できる期待がある。
従来技術・競合技術との比較
従来の製造技術では、蜂蜜製造は花期に限られ、品質・製造量は気候等に大きく影響されるが、本製造方法では、一例として天然のカエデ樹液由来のメープルシロップを蜜源としており、季節に依存せずに、均質な成分の蜂蜜の製造が可能である。
新技術の特徴
・成分の異なる新たな蜂蜜の製造
・季節に依存せずに無花期でも蜂蜜製造が可能
・蜂蜜の原料となる蜜源の種類の拡大
想定される用途
・季節に依存せずに、均質な成分の蜂蜜の製造が可能
・新たな蜂蜜ブランドとしての商品化
・効能性食品としての利用
- 材料
5)半導体集積回路の性能向上のための計算機シミュレーション
茨城大学 工学部 マテリアル工学科 准教授 篠嶋 妥
新技術の概要
高エレクトロマイグレーション耐性と低抵抗を有する銅配線を実現する半導体集積回路装置の製造方法として、配線の高さ方向に温度勾配を印加しつつ急速昇温レートでアニールする技術を提案した。
従来技術・競合技術との比較
配線幅が70nm以下になっても高信頼性を有する半導体集積回路装置を実現するために、更なるエレクトロマイグレーション耐性の向上と低抵抗化が実現できる技術である。
新技術の特徴
・材料中の結晶粒を粗大化するアニール処理
・材料中の結晶粒分布を均一化するアニール処理
・所望の材料物性を実現するための最適アニール処理方法をシミュレーションで絞り込む
想定される用途
・配線幅が70nm以下の銅配線の結晶粒を粗大化する。
・配線幅が70nm以下の銅配線の結晶粒の分布を均一化する。
・配線幅が70nm以下の銅配線の最適アニール処理方法をシミュレーションで絞り込む
- 電子
6)電界殺菌を有するエアフィルタ
宇都宮大学 大学院工学研究科 電気電子システム工学専攻 教授 長澤 武
新技術の概要
1.多数の穴の開いた薄い絶縁体(プリント基板)を2枚の金属メッシュでサンドイッチにし、絶縁体の穴の部分に高電界領域を形成する装置。2.高電界中の菌は自身に誘起された電圧のスパーク放電で自滅する。
従来技術・競合技術との比較
プラズマや放電による殺菌は高電圧を必要とし、感電の危険、オゾンの発生による有害等の問題がある。本装置は放電方式でなく電界殺菌であり、電極間の絶縁体を薄くすることで、殺菌に必要な高電界を低電圧で形成する。
新技術の特徴
1. 薄いパネル状の電界殺菌法であり、ほとんど電力を消費しないで空気殺菌が可能である
2.電流が微量なので、安全である
3.原理が簡単で軽量あるので装置の製作が容易であり、制作費が安価である
想定される用途
・携帯用殺菌マスク
・室内の固定用エアコンや車のエアコンへの装着
・大型空気清浄
関連情報
・試作方法の指導可能
- 医療・福祉
7)イリジウム錯体のりん光を利用した酸素濃度センサー
群馬大学 大学院工学研究科 応用化学・生物化学専攻 教授 飛田 成史
新技術の概要
生細胞、組織中の局所酸素濃度を非侵襲的に高感度リアルタイムで定量するためのりん光センサー技術の開発。癌組織が低酸素状態にあることを利用した癌組織イメージング技術の開発。
従来技術・競合技術との比較
従来用いられてきた微小電極を用いる方法が、電極近傍の一点における酸素分圧しか測定できないのに対し、本法では細胞のような極微小空間の酸素濃度分布を、非侵襲的かつ高感度に検出することができる。
新技術の特徴
・酸素濃度に依存してイリジウム錯体の発光が消光することを利用した高感度酸素センサー
・分子レベルのセンサーであるため、細胞やマイクロチャンネルのような微小空間の酸素濃度計測が可能
・イリジウム錯体の発光寿命を計測することにより、酸素濃度分布のマッピングが可能となる
想定される用途
・酸素濃度測定試薬
・低酸素腫瘍診断試薬
・DO(dissolved oxygen)センサー
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
8)糖鎖クラスター効果を基盤としたバイオセンサーの新開発
埼玉大学 大学院理工学研究科 物質科学部門 講師 幡野 健
新技術の概要
ウイルス・毒素などに対し特異的な接着能を有する糖鎖を集積化したカルボシランデンドリマーへ凝集状態によりフォトルミネッセンス(PL)強度が変化するシロール誘導体を付与した新規物資を創製。そのPL発光強度変化によるウイルス・毒素の検出を可能にするバイオセンサーの開発。
従来技術・競合技術との比較
高額機器を必要とせず安価な携帯用紫外線ランプがあれば何処ででも検査が可能である利便性、検体と混合し紫外線照射するだけの短時間検査の実現、糖鎖を置換することにより様々なウイルス・毒素などの検査に対応できる汎用性を兼ね備えている。
新技術の特徴
・水中でミセルを形成する両親媒性物質の特性および凝集による蛍光効率向上(AIE)効果を利用している
・AIE効果を示すシロール基を発光部位に利用することにより、蛍光標識ではなくバイオセンサーとして機能する
・ウイルス・毒素類が特定構造の糖鎖を特異的に認識している生体内現象を応用している
想定される用途
・微生物、毒素などの検出用試薬
・微生物、毒素などの検出用の簡易検査キット
- アグリ・バイオ
9)貧栄養環境での芳香族化合物分解能を有する新規光合成生物
茨城大学 大学院理工学研究科 ベンチャービジネスラボラトリ 非常勤研究員 西澤 明人
新技術の概要
貧栄養環境下においてもポリ塩化ビフェニル(PCB)などの芳香族化合物を分解することができる光合成微生物、およびその光合成微生物を用いた芳香族化合物の分解方法。
従来技術・競合技術との比較
従来のビフェニル化合物分解細菌は、貧栄養環境下においてPCBを分解するためには、外部から糖などの有機化合物を供給しなければならず、コストなどの観点からバイオレメディエーションの実用化に向けて大きな問題である。
新技術の特徴
・従来困難であった貧栄養環境下での効率的なPCBの微生物分解が安価に行える
・分解酵素系が恒常的に発現しており、ビフェニル分解酵素系の発現誘導が不要
・立体特異的ジオキシゲナーゼ反応の利用による精密化学合成への応用が期待できる
想定される用途
・土壌等の環境中に残留する難分解性ポリ塩化ビフェニル(PCB)の除去分解
・新規有用有機化合物の精密合成(ファインケミカル)
・ベンゼン、トルエン、ダイオキシン等の芳香族系有機化合物の生物的環境浄化(バイオレメディエーション)
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
10)微生物の病原性抑制効果を有する新規シクロデキストリン誘導体
宇都宮大学 大学院工学研究科 物質環境化学専攻 助教 伊藤 智志
新技術の概要
微生物間の情報伝達物質であるアシルホモセリンラクトン(AHL)を包摂・除去することにより、情報伝達機構(QS)を阻害し、効果的に病原性の抑制が可能である新規シクロデキストリン(CD)誘導体を開発した。
従来技術・競合技術との比較
QS阻害技術は、病原菌のみを抑制することが可能であることから、耐性菌の蔓延に対するリスクは低いと考えられる。CD類はすでに食品添加物等に幅広く用いられており、安全性や実用化へのハードルは低いことが期待される。
新技術の特徴
・消毒剤とは異なり、毒性が極めて低い
・遺伝子操作は必要なし
・市販試薬から容易に合成可能
想定される用途
・家庭内の排水溝の「ぬめり」防止剤
・医療機関で用いられるカテーテルの表面での病原菌の増殖防止添加剤
・下水処理場等の水質浄化剤
関連情報
・サンプルの提供可能
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埼玉大学 知的財産部
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