福井大学 新技術説明会
日時:2009年08月25日(火)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)線状レーザーを用いた溶融静電紡糸によるナノファイバーの作製法
福井大学 大学院工学研究科 ファイバーアメニティ専攻 教授 小形 信男
新技術の概要
幅広い線状レーザー光をシート状溶融高分子材料の先端に照射し、その溶融部とコレクター間に高電圧を印加することにより、溶融部からファイバーを作製し、コレクターにこれを捕集する技術である。
従来技術・競合技術との比較
ナノファイバー作製技術として溶媒を使用する静電紡糸法は多くある。この方法は、溶媒に関する問題点があった。しかし、提案する溶融静電紡糸法は上記の問題が無く、またナノファイバーの量産化が可能である。
新技術の特徴
・溶媒を使用しないため、細胞成長の足場材などの医療用途に使用できる
・水ははじき、気体は透過する繊維後加工材ができる
・ナノファイバーの量産化が可能である
想定される用途
・細胞成長の足場材
・溶液ろ過フィルター:熱水ろ過フィルター
・電池用セパレータ:リチウムイオン電池用、ニッケル水素電池用
- 材料
2)光脱炭酸反応を利用した重水素化化合物の製造方法
福井大学 大学院工学研究科 生物応用化学専攻 講師 吉見 泰治
新技術の概要
安価な重水(D2O)を用いると、カルボキシ基が光脱炭酸した部分に効率よく重水素が取り込まれるので、容易かつ選択的に重水素化化合物が合成できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の方法では、高価である低分子の重水素化化合物から合成して、目的の化合物を得なければならなかった。それに対して、本方法では、安価な重水を用いて選択的に反応させることができる。
新技術の特徴
・安価な材料を用いた重水素化化合物の合成
・選択的な重水素化化合物の合成
・温和な条件でのカルボン酸の官能基変換
想定される用途
・重水素化化合物の合成
・重水素化されたアミノ酸類の安価な合成
・天然物由来カルボン酸の官能基変換
関連情報
・サンプルの提供可能
- 医療・福祉
3)加齢および糖尿病による眼疾患予防薬の開発
福井大学 医学部 感覚運動医学 眼科学 准教授 久保 江理
新技術の概要
本発明は、酸化ストレスや高グルコースとそれによる細胞死の抑制効果もある抗酸化蛋白、ペルオキシレドキシン(PRDX)融合蛋白を使用し、眼内への局所デリバリーを可能にした眼科用製剤として開発するものである。
従来技術・競合技術との比較
抗酸化蛋白の眼内デリバリーは難しいが、このPRDX蛋白を点眼、眼局所投与により使用することで、有効到達薬物量は微量に抑えることができる。またPRDXは、細胞膜修復効果をもつ、予防型、修復・再生型抗酸化蛋白でもある。
新技術の特徴
・新しい抗酸化蛋白
・加齢による細胞保護効果
・蛋白の局所デリバリー
想定される用途
・加齢黄斑変性症予防薬
・糖尿病網膜症予防薬
・白内障、緑内障予防薬
関連情報
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
4)カーボンナノチューブを用いた生体電気信号測定装置ならびに電極の作製
福井大学 医学部 脳脊髄神経外科 講師 北井 隆平
新技術の概要
多層カーボンナノチューブ(CNT)は導電性が極めて高く(最大電流密度は銅の1000倍以上)、かつ軽い密度である。これを樹脂に分散させシート状のCNT脳波電極を製作した。CNTは工業製品として注目されているが、生体応用は未開発である。
従来技術・競合技術との比較
現在の銀電極は導電性がよいが金属であり生体とはまったく異なる。薄くシート状で生体にフィットするもので、かつ安価に製造できれば、使い回しによる感染症の危険もなくなる。試作品は非常に薄く金属フリーであるため、レントゲンやMRIとの併用可能で医療現場からの要望も高い。腕時計や衣服にも取りつけられ、日常生活中の生体電気活動を記録することもできる。
新技術の特徴
・色々な生体電気信号を取り出すことができる
・体のあらゆる部位から生体電気信号を取り出すことができる
・衣服に植え込み、メガネフレームへ植え込み、脳波測定ができる
想定される用途
・エアロバイクやランニングマシンなどの健康器具
・心電図測定機能付マッサージ機器
・心電図計測による相性診断機器
関連情報
・サンプルの提供可能
- 医療・福祉
5)万能細胞から安全性の高い移植用ステロイドホルモン産生細胞の作製法
福井大学 医学部 分子生体情報学 教授 宮本 薫
新技術の概要
ES細胞などの万能細胞から、安全性の高い遺伝子導入法を用いて転写因子SF-1を導入することで、将来の再生医療での移植等に用いることができるステロイドホルモン産生細胞を創り出す方法を発明した。
従来技術・競合技術との比較
従来は、間葉系幹細胞でのみ、またがん化等のリスクの大きい方法でのみ可能であった、ステロイドホルモン産生細胞を創りだす方法を、新たに安全性の高い方法で万能細胞から創り出すことができるようになった。
新技術の特徴
・がん化等のリスクが極めて低い遺伝子治療法の開発
・間葉系細胞を用いた再生医療
・細胞移植による利用法の開発
想定される用途
・先天性ステロイドホルモン欠損症にたいする再生医療法の開発
- 材料
6)TEA CO2 レーザーを用いる金属中水素の選択的高感度分析法
福井大学 教育地域科学部 理数教育講座 教授 香川 喜一郎
新技術の概要
1気圧の雰囲気ガス中で、金属表面にパルスの炭酸ガスレーザー(数百mJ~数J)を集光すると、強いガスプラズマが発生する。このとき、Heガスを用いると多量のHe準安定状態ができる。このパルス炭酸ガスレーザー照射によって金属表面はわずかに溶け、金属内部の水素は離脱して、雰囲気ガス中のHe準安定状態により励起させる。この方法によるとスペクトルのバックグランドがゼロの状態で水素を選択的に分析できる。
従来技術・競合技術との比較
金属の水素脆化対策に関連して水素分析は重要課題である。現在行われている水素分析方法は、試料を切断し、高温炉で溶かし、出てくる水素ガスをガスクロマトグラフィーで検出する方法である。今回提案する分析法は、水素のその場分析を高感度で可能にする画期的技術である。
新技術の特徴
・レーザープラズマ分光分析法では非常に分析しにくい元素である水素を高感度で分析できる
・試料を切断することなく、その場でレーザーを照射して金属中の水素が分析できる
・雰囲気ガス中に含まれる水由来の水素の発光を、酸素の発光強度を用いて補正することを可能とした
想定される用途
・原子炉で使用されるジルカロイ等の材料の水素脆化に関わるその場迅速分析
・水素吸蔵合金における水素の迅速定量分析
・水素、重水素、三重水素の同位体分離分析法
- 材料
7)アンモニア分解触媒を用いた窒化物半導体の製造方法及び装置
福井大学 大学院工学研究科 電気・電子工学専攻 教授 山本 暠勇
新技術の概要
NH3をN源とする有機金属気相堆積(MOCVD)法において、Ptなどの白金族の金属をNH3分解触媒として使用して比較的低温でInN、InGaNなどの窒化物半導体を作製する技術、装置に関するものです。
従来技術・競合技術との比較
従来、InNなどのMOCVD成長ではNH3の分解率を上げるために成長温度を600℃以上にする必要があったが、その場合、成長したInNが熱劣化するという問題があった。本技術・装置を使用することにより、熱劣化のない500℃程度の低温で高品質InN膜が形成できる。
新技術の特徴
・窒化物半導体の低温成長が可能である
・活性窒素を十分に供給できるので膜の成長速度を大きくできる
・装置構成が簡単
想定される用途
・III 族窒化物半導体薄膜の製造
・Ti,Niなどの窒化物コーティング
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
8)マグネシウム合金用鋳型及びマグネシウム合金鋳造方法
福井大学 大学院工学研究科 材料開発工学専攻 准教授 米沢 晋
新技術の概要
Mg合金と炭素繊維の複合材料を作製する研究として、合金溶湯と炭素繊維を親和化することを検討してきたが、その中で、親和化しない性質を逆に利用することを考えた。結果、炭素繊維はもとより金属メッシュも鋳造に際して金型として利用できることがわかった。
従来技術・競合技術との比較
従来の金型と異なりステンレスなどのメッシュで低コストかつガス抜きが容易である鋳型を作製することで異形材料の鋳造が比較的容易に行える。また、炭素繊維や炭素フォーム との低親和性を利用するなどの工夫次第ではシームレスな中空体を簡単に作製できる。
新技術の特徴
・複雑な割り型を必要とする少数あるいは一品ものの製品を迅速、容易に作製できる
・部分的に炭素繊維や金属を複合化したハイブリッド材料が作製可能である
・伝熱性などに異方性を付与することができる
想定される用途
・プロトタイプ品など異形小ロット製品製造
・介護・福祉・医療器具など
・放熱材
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