広島大学 新技術説明会(1)
日時:2009年05月14日(木)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 環境
1)バイオディーゼル廃液のバイオ水素・エタノール発酵処理
広島大学 大学院先端物質科学研究科 分子生命機能科学 特任教授 西尾 尚道
新技術の概要
新規に単離・同定した細菌、エンテロバクター・アエロゲネスは、植物油脂をメチルエステル化してバイオディーゼル燃料を製造する時の副生成物(バイオディーゼル廃液)から、水素およびエタノールを高濃度で生成する
従来技術・競合技術との比較
エンテロバクター・アエロゲネスがバイオディーゼル廃液から水素およびエタノールを生成することは既知であるが、低濃度のグリセロールにしか適用できない。本菌は高濃度グリセロール廃液に適用でき、エタノール濃度が高い。
新技術の特徴
・食品工業
・化学工業
・エネルギー産業等の廃水・廃液処理
想定される用途
・水素は燃料電池に直接適用可能
・エタノールはガソリン補助剤、又はバイオディーゼル原料として利用可能
関連情報
・サンプルの提供可能
- 製造技術
2)振動により駆動する負荷感応変速機
広島大学 大学院工学研究科 複雑システム工学専攻 助教 高木 健
新技術の概要
動力を振動により伝達でき、負荷に応じて減速比が自動的に変わる無段変速機を提案する。ねじで構成されたきわめて簡単な構造であり、これまで動力伝達が困難であったところへも動力伝達を可能にする技術である。
従来技術・競合技術との比較
従来技術にて、たとえば細いものの先端、把持した対象、密閉空間に動力を伝達しようとすると電磁気を用いる方法が考えられるが、本手法では機械的な振動を用いている。電気的な要素を必要とせず、構造が簡単で、負荷に応じて大きな力を出力できる利点がある。
新技術の特徴
・構造体に振動が伝われば動力を伝達できる
・負荷に応じて減速比が変化する
・構造が極めて簡単である
想定される用途
・密閉空間への動力伝達(たとえば、体内に埋め込んだ器具への動力伝達)
・小型ロボットの駆動系(たとえば、ロボットハンド)
・着脱を必要とする器具への動力伝達(たとえば、ロボットのエンドエフェクタ)
- 製造技術
3)リサイクル条件下の多段階フォールディングマイクロストラクチャーによる衝撃緩衝装置
広島大学 大学院工学研究科 社会環境システム 助教 有尾 一郎
新技術の概要
提案するシステムの概要は、耐衝撃非線形復元力を持つ多層パンタグラフトラスから構成される可変剛性型のマルチフォールディングマイクロマイクロストラクチャー(MFM)システムと、膜構造内部にガスが充満しているインフレータブル構造から成るガスが可変バルブによって排出される減衰システムの、二つのペアシステムから成る、ハイパフォーマンスな最適な衝撃吸収システム(HPV)である。
従来技術・競合技術との比較
従来のショクアブソーバーは力と変位は線形関係がほとんどであるが、このHPVシステムは、衝撃スピードを緩和することができるインフレータブル構造系と、メインの剛性反力をパンタグラフトラスの折り畳みによって、衝撃エネルギーの分散吸収が弾性的に繰り返して使用できる特徴がある。
新技術の特徴
・設計荷重範囲内では何度でも使用できる
・多種類の組合わせが考えられる
・衝撃エネルギーを緩和調整できる
想定される用途
・車体構造の安全性向上
・船舶が海洋風力発電の支柱に衝突時のプロテクター
・ヘリコプター等の墜落時の衝撃吸収装置
- エネルギー
4)植物細胞壁改変の試み ―糖ヌクレオチド輸送体遺伝子の効果―
広島大学 自然科学研究支援開発センター 遺伝子実験部門 教授 田中 伸和
新技術の概要
糖ヌクレオチド輸送体遺伝子を導入することで植物細胞壁の構成糖比の改変ができるだけでなく、細胞壁を厚くできるため、これを応用することで植物細胞壁の改良が可能となる。
従来技術・競合技術との比較
これまでに検討されてきた植物細胞壁成分の合成に関与する酵素の過剰発現、異所発現による細胞壁改変技術とは全く異なるアプローチによる新規の細胞壁の改変技術である。
新技術の特徴
・糖ヌクレオチド輸送体遺伝子導入植物は細胞壁成分のヘミセルロース及びペクチンの構成糖比が変化する
・糖ヌクレオチド輸送体遺伝子導入植物は細胞壁成分のセルロースの蓄積量が増大する
・糖ヌクレオチド輸送体遺伝子導入植物は成長が速くなり、植物体の強度が上昇する
想定される用途
・細胞壁改変による耐病性、耐乾燥性等の耐環境性植物の作出
・細胞壁を厚くすることによる植物バイオマスの向上
・向上した植物バイオマス利用によるバイオエタノール生産量の増加
- エネルギー
5)アルカリ金属水素化物の製造方法及び製造装置
広島大学 先進機能物質研究センター 特任助教 宮岡 裕樹
新技術の概要
アルカリ金属を加熱して気化し水素ガスと反応させ気体状のアルカリ金属水素化物を生成させる工程と、この気体状の金属水素化物を冷却して凝集する工程を含むことを特徴とするアルカリ金属水素化物の製造方法。
従来技術・競合技術との比較
従来法では融解した金属付近に水素化物が生成するため、純度と反応効率が低いことが問題として挙げられる。一方で、本製造方法では水素化物を気体として分離して得るため高純度、高効率が期待される。
新技術の特徴
・金属とガスの気相-気相反応により、高純度な試料が作製可能
・気体状の生成物を冷却して回収することで、反応場から分離可能
・気体の生成物を固化して回収し金属の気化を促すことで、高効率に試料を作製可能
想定される用途
・高純度水素貯蔵物質の製造
・水素化物の大量生産
関連情報
・サンプルの提供可能
- 医療・福祉
6)スギ花粉症およびダニ喘息治療のための原因抗原ライブラリー
広島大学 大学院先端物質科学研究科 分子生命機能科学 教授 小埜 和久
新技術の概要
アレルゲンライブラリーを用いれば、スギ花粉症およびダニ気管支喘息の原因抗原を特定する分子診断薬とその情報に基づいた根治療法に必要なテーラーメイド型ワクチンが供給できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の免疫治療薬は有効成分含量が低い上に副作用の危険性があったが、有効成分のみからなるワクチンカクテルは著効率が格段に高い。また、ワクチン成分を患者ごとに分子レベルで判定しうる診断法はこれまでにない。
新技術の特徴
・スギ花粉およびダニに含まれる高頻度反応性アレルゲン
・患者ごとに異なる感作アレルゲンを分子単位で特定でき、交差反応性予測も可能となる
・有効成分のみからなる安全・効果的なテーラーメイド型のワクチン処方を実現する
想定される用途
・アレルギーの分子診断
・アレルギーのテーラーメイド型免疫治療
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
7)シリカ結合タンパク質を利用した安価なタンパク質精製法
広島大学 ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 分子生命情報科学研究部門 特任助教 池田 丈
新技術の概要
シリカ(SiO2)に結合するタンパク質を融合タグとして用いることで、シリカ粒子を精製用の担体とした安価なタンパク質精製が可能である。混合・遠心処理のみで、既存のアフィニティー精製法と遜色ない純度・収率で精製できる。
従来技術・競合技術との比較
安価なシリカ粒子を担体として用いるため、既存の手法に比べ非常に低コストで精製を行うことができる。また、必要な操作は混合・遠心処理のみであるため、高価なクロマトグラフィーシステムが不要である。
新技術の特徴
・安価で迅速なアフィニティー精製法
・操作が簡単(混合・遠心処理のみ)
・高収率・高純度
想定される用途
・タンパク質の精製
・タンパク質の固定化及び固定化したタンパク質の回収
関連情報
・サンプルの提供可能
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
広島大学 産学連携センター 国際・産学連携部門
TEL:082-421-3631FAX:082-421-3639Mail:techrdhiroshima-u.ac.jp
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