広島大学 新技術説明会(3)
日時:2009年09月02日(水)
会場:大阪科学技術センター(OSTEC)<大阪市西区靱本町>
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)股関節後方にある殿部外側溝を安定化させる骨盤帯使用による立位と歩行の改善効果
広島大学 大学院医歯薬学総合研究科 脳神経外科学 研究員 濱 聖司
新技術の概要
殿部外側の皮膚上にある溝(PTG)は、股関節の後方に位置し、このくぼみに半球状の圧迫体を配置し、ゴム付バンドで固定すると、股関節が後方に崩れることを防ぐ。更に、ゴム付バンドでPTGを外側から固定すると、股関節の側方動揺も軽減し、麻痺のある人でも、正常に近い立位・歩行訓練が出来るようになる。
従来技術・競合技術との比較
麻痺などで下肢・体幹の筋力が低下すると骨盤が不安定になって歩けなくなる。従来は体幹?下肢を金属製装具で固定するか、ロボット型装置を使用して訓練する手法があったが、関節が固定された状態で歩行しても麻痺した筋への促通効果は期待しにくい。促通効果を期待するには、麻痺した関節は、可動域を残しながら安定させる必要がある。本発明はこれを可能にした技術であり、ロボット型装置よりも安価で作れ、関節を完全固定しないので健常者やスポーツの分野での応用も可能と思われる。
新技術の特徴
・本発明を用いて骨盤を安定化させると、骨盤に連結する脊椎も整えて、姿勢バランスを向上させることが期待できる
・姿勢バランスが良くなると、健常者でも立位・歩行時の効率が良くなることも期待できる
・骨盤を圧迫するのでヒップアップ効果も期待でき、姿勢バランス向上効果との相乗効果で、綺麗な立位となる可能性あ
想定される用途
・脳卒中、神経筋疾患、脊髄損傷などで四肢・体幹部に麻痺を生じた患者の立位・歩行訓練への応用
・スポーツで、股関節~下肢の筋肉への促通効果によって、運動能力の向上を図りたいとき
関連情報
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
2)カルノシン酸の血管新生抑制作用と皮膚保護作用
広島大学 大学院教育学研究科 文化教育開発専攻 准教授 松原 主典
新技術の概要
様々な病態や紫外線暴露に伴って起きる血管新生を抑制することは、医薬(部外)品・化粧品・機能性食品開発において重要である。細胞の酸化ストレス防御機能を高める天然化合物に着目し、ハーブ由来のカルノシン酸に血管新生抑制作用を見出した。
従来技術・競合技術との比較
本化合物は、食経験の長いハーブ由来であり、細胞・臓器障害を引き起す酸化ストレスに対する生体防御機能を高める作用も有していることから、より安全で多機能な血管新生阻害物質として応用可能である。
新技術の特徴
・高い安全性を持つ血管新生抑制物質
・皮膚の光老化予防物質としての応用
・生体防御機能も高める多機能性
想定される用途
・機能性食品
・化粧料(シワ予防)
・医薬品、医薬部外品
関連情報
・サンプルの提供可能
- 医療・福祉
3)むし歯菌・歯周病菌を抑制する乳酸菌を用いたヨーグルトの開発
広島大学 大学院医歯薬学総合研究科 口腔健康科学専攻 教授 二川 浩樹
新技術の概要
乳酸菌は、腸内だけではなく、口の中でも常在細菌叢を形成している。虫歯や歯周病にかからない人の口の中には、稀ではあるが乳酸菌としてむし歯菌や歯周病菌を抑制する効果の非常に強いものが存在していくことがある。このようなむし歯菌や歯周病菌を抑制する効果の非常に強い乳酸菌を用いたヨーグルト作ることを提案する。
従来技術・競合技術との比較
従来、乳酸菌を含む食品は機能性食品としても有名であり、プロバイオティクス作用に注目し、全身の健康状態の改善をうたって多くの製品が市販されている。しかしながら、口腔の健康に良い乳酸菌製品はほとんどないのが現状である。
新技術の特徴
・う蝕の抑制効果
・歯周病の抑制効果
・口腔カンジダの抑制効果
想定される用途
・医薬品
・医薬部外品
・食品
関連情報
・サンプルの提供可能
- 医療・福祉
4)食道癌のがん幹細胞・予後診断マーカー候補遺伝子の同定と応用
広島大学 原爆放射線医科学研究所 遺伝子診断・治療開発 准教授 檜山 桂子
新技術の概要
食道癌の予後とともにコロニー形成能と高い相関を示し、食道癌の予後診断マーカーであると同時に、がん幹細胞マーカーとなり得る遺伝子を抽出し、がん幹細胞を標的とした新たな抗癌剤の開発へと応用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
これまで抽出した食道癌におけるマーカー遺伝子(Shimokuni他、Int J Oncol 2006 ; Fumoto他、同2008)や報告されたがん幹細胞マーカーと比較して本遺伝子が最も予後とよく相関する。
新技術の特徴
・本遺伝子の発現はがん細胞の増殖速度やPCNAなどの発現レベルと相関せず、独立したマーカーである
・食道癌細胞株ではほとんど有か無かの発現レベルに二極化され、偽陽性・偽陰性が問題とならない
想定される用途
・食道癌の予後予測
・食道癌のがん幹細胞の同定
・食道癌のがん幹細胞を標的とした抗癌剤の開発
- アグリ・バイオ
5)細胞傷害性タンパク質の作用研究によるヒト癌細胞標的分子の探索
広島大学 大学院生物圏科学研究科 生物機能開発学専攻 教授 永松 康徳
新技術の概要
5種の昆虫には毒性は無いが、ヒトの肝癌細胞および子宮癌細胞へ選択的な毒作用を示す三種の新規タンパク質を生産するBacillus thuringiensis M019株を分離した。それらのタンパク質と遺伝子の構造、活性化の仕組みを明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
昆虫毒素の研究の技術に基づいているが、脊椎動物の細胞へ作用する点がユニークである。毒素タンパク質への標的受容体を調べることで、ヒトの肝癌と子宮癌細胞の特徴を表す細胞表層のマーカータンパク質を明らかにする可能性がある。
新技術の特徴
・細胞選択的毒作用
・細胞膜坑形成
・毒素受容体
想定される用途
・細胞マーカー発見の可能性
・癌細胞の検出剤
・癌治療薬
- アグリ・バイオ
6)自閉症ヒト型マウスモデル
広島大学 大学院医歯薬学総合研究科 探索医科学講座 教授 内匠 透
新技術の概要
我々は、染色体工学的手法を用いて、自閉症ヒト型モデルマウスの作製に成功した。本マウスは、社会的行動の障害等の自閉症様行動を示すだけでなく、ヒト自閉症でみられる細胞遺伝学的異常としてはもっとも多い染色体を同じく有するモデルである。
従来技術・競合技術との比較
遺伝子ノックアウトマウス等で自閉症様行動を示すマウスの報告はあるが、本モデルは、表現的に似ているだけなく、その病因としての異常をヒトと同じ型で有している点で、これまでのモデルとは異なり、よりヒトの病気に近いモデルといえる。
新技術の特徴
・染色体異常
・コピー数多型の疾患モデル
・社会性行動
想定される用途
・創薬におけるモデル動物
関連情報
・サンプルの提供可能
- 医療・福祉
7)内視鏡外科用器具のための力可視化メカニズム
広島大学 大学院工学研究科 複雑システム専攻 助教 高木 健
新技術の概要
内視鏡手術用器具の問題として、どの程度の力が臓器に加わっているか判断が難しいことが挙げられる。この問題の解決を目指し開発した、細く小さい器具にも実装できる、力の大きさを可視化し操作者に伝えるメカニズムを紹介する。
従来技術・競合技術との比較
従来技術のように電気的なセンサやアンプ等の装置を一切用いることなく、モアレ縞を応用することにより、力の大きさを文字で視覚的に提示することができる。また、構成要素は非常にシンプルであるため、安価に製作できる。
新技術の特徴
・力の大きさを文字で提示
・電気的な要素は不要
・構造がシンプル
想定される用途
・医療器具に加わっている力の可視化
・ロボットの遠隔操作(力の大きさを視覚的に操作者に提示)
・建物、プラントなどの保守・管理のためのモニタリング(カメラにて力を遠隔で計測可能)
- 医療・福祉
8)合成microRNAの関節注射による関節炎治療
広島大学 大学院医歯薬学総合研究科 整形外科学 医科診療医 中佐 智幸
新技術の概要
関節リウマチなどの関節炎の病態にマイクロRNAが関与することが明らかとなってきている。これらのマイクロRNAとアテロコラーゲンを混合し関節内注射することで、炎症の抑制、滑膜組織のアポトーシスの誘導などにより関節炎を治療する。
従来技術・競合技術との比較
関節リウマチの治療に生物学的製剤が使用されているが、非常に高価であり、重篤な副作用という問題がある。本技術は、リウマチ関節炎等の関節炎に有効に作用し、副作用のおそれが小さい安価な関節炎治療剤を提供することを目的とする。
新技術の特徴
・元来生体に存在しているものであり、生理的である
・アテロコラーゲンはすでに臨床で使用されており、安全が確認されている
・抗体と比較し安価に提供できる
想定される用途
・関節リウマチなど関節炎に対する薬物療法としての関節注射
関連情報
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
広島大学 産学連携センター 国際・産学連携部門
TEL:082-421-3631FAX:082-421-3639Mail:techrdhiroshima-u.ac.jp
URL:http://www.hiroshima-u.ac.jp/techrd/
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