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九州大学 新技術説明会

日時:2010年02月09日(火)

会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 機械

1)国連IMOバラスト水管理のためのろ過処理装置の技術開発

九州大学 大学院工学研究院 海洋システム工学部門 教授 篠田 岳思

新技術の概要

国連IMOは、2004年「船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」を採択した。排出には動植物プランクトンや大腸菌等に厳格なD2基準があり、膨大なバラスト水を短時間に処理するには技術的困難さがある。本技術ではろ過処理による解決を目指している。

従来技術・競合技術との比較

処理装置は化学薬品処理(G9基準)が主流であり、排出水の二次環境被害が懸念される。化学薬品を使用しない物理的処理(G8基準)を達成する装置は現存しない。開発中の装置はG8による処理装置である。

新技術の特徴

・ろ過にステンレス製スプリングフィルターに濾過助剤を用い、化学薬品を使わずにろ過処理によりD2基準を達成する
・化学薬品を使わないため、乗組員への影響が少なく、またバラスト水排出水が環境フレンドリーである
・化学薬品を使わないため、処理コストメリットがある

想定される用途

・船舶用バラスト水処理装置
・海水淡水化プラントでの海水プレ処理,海水を用いた冷却水の事前水処理
・水産養殖用海水の利用

関連情報

・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり

  • 機械

2)自然冷媒CO2を用いた吸着・圧縮式ハイブリッド空調システム

九州大学 大学院総合理工学研究院 エネルギー物質科学部門 教授 小山 繁

新技術の概要

本新技術による装置は、蒸気圧縮式と吸着式システムをハイブリッドし、かつ従来のフロン冷媒に比して地球温暖化への影響が1/1000以下のCO2を用いた、従来システムに比して高性能なシステムである。

従来技術・競合技術との比較

自然冷媒CO2を用いた蒸気圧縮式空調冷凍システムは、従来のフロン系冷媒を用いたシステムに比して性能が低下することが危惧されている。また、排熱を利用した吸着式・吸収式システムの研究開発もなされているが、その性能は蒸気圧縮式システムに比して極めて低い。本新技術は上記の課題を抜本的に解決し、大幅なシステム性能の改善をもたらす。

新技術の特徴

・機械式蒸気圧縮サイクルにおける圧縮動力を吸着現象を応用することによって大幅に削減できる
・地球温暖化への影響が極めて小さい自然冷媒CO2を作動媒体として使用可能である
・内部熱交換器を組み込むことによって吸着器の冷凍機油による汚染を防止できる

想定される用途

・自動車用空調機、ガスエンジンヒートポンプなどに適用できる
・さらに、排熱のみではなく太陽熱を駆動熱源として使用できる

関連情報

・外国出願特許あり

  • 情報

3)3次元積層LSI向けキャッシュメモリ構成法

九州大学 大学院システム情報科学研究院 情報知能工学部門 准教授 井上 弘士

新技術の概要

小容量かつ高速、または、大容量かつ低速なキャッシュメモリを構成可能な新しいアーキテクチャを導入することにより、メモリシステムの高性能化と低消費エネルギー化を実現する。

従来技術・競合技術との比較

通常のキャッシュメモリとしての動作に加え、データ領域にタグ情報を格納可能な新しい動作モードをサポートする事により、アプリケーションの特性に応じたキャッシュサイズを選択可能となる。

新技術の特徴

・アプリケーションの特性に応じてメモリサイズを選択し、高性能化と低消費エネルギー化を実現する
・様々なメモリ階層に適用可能である
・大容量メモリを搭載可能な3次元積層LSIにおいて特に効果を発揮する

想定される用途

・キャッシュメモリを搭載したマイクロプロセッサ

  • 機械

4)超音波を用いた新しい診断技術

九州大学 大学院工学研究院 機械工学部門 教授 井上 卓見

新技術の概要

物体内部の状態により、その部分を通過する超音波パルスの振動数が変調する現象を見出した。これにより物体内部の新たな診断が可能となる。工学のみならず、医療、農林水産業への応用も考えられる。

従来技術・競合技術との比較

超音波が透過するような微小な内部異常を検出できる。同様の従来技術は比較的連続な超音波パルスを必要とするが、本技術は短いパルスのみで対応でき検出精度も高い。応用範囲も広く、工学だけでなく様々な分野での利用も考えられる。

新技術の特徴

・超音波の振動数の微小な変化に着目し、超音波が透過するような異常も検出できる
・物体内部の不連続面や硬さを知るだけでなく、減衰の状態を知ることもできる
・脂肪分、水分等の生体量を非破壊で推定できる可能性。医療技術,農林水産業への応用可能性がある

想定される用途

・通常の工業材料や複合材等の高精度非破壊検査。接着度の検査、評価
・ねじのわずかな緩みなど微細な異常の検出。歯科インプラントねじの緩みなど
・農産物,食肉等の品質、格付け等への応用

  • アグリ・バイオ

5)低分子ペプチドの抗高血圧及び抗動脈硬化作用

九州大学 大学院農学研究院 生物機能科学部門 准教授 松井 利郎

新技術の概要

一部の低分子ペプチドはヒト臨床試験によって抗高血圧作用を示すことが知られているが、その発現にCaチャンネル阻害を介した細胞内へのCa流入阻害が関わっていることを明らかにしている。さらに、本作用による平滑筋細胞の増殖あるいは遊走を阻害することにより、in vivoにおいて動脈硬化の進展を阻害する作用があることを世界で初めて実証した。

従来技術・競合技術との比較

オリゴペプチドによる抗動脈硬化作用がこれまで報告されているが、いずれも脂質代謝改善作用による発現である。他方、本研究でのジペプチド体による作用発現は初めての知見であり、脂質代謝に影響を及ぼすことなく直接的に血管に作用する。従って、血管機能維持が期待できるだけでなく、種々の組織系疾患に対しても予防作用が大いに期待できる。

新技術の特徴

・低分子ペプチドによるインタクトな腸管吸収
・カルシウムチャンネルブロッカーとの類似性
・新ジャンルである抗動脈硬化食品の創製

想定される用途

・健康機能性食品分野での活用
・未利用資源からの有用ペプチド生産
・医療代替食品素材の開発

  • アグリ・バイオ

6)Bt菌毒素とその受容体を利用したがん治療技術

九州大学 大学院理学研究院 化学部門 助教 北田 栄

新技術の概要

微生物Bt菌から発見したパラスポリン-2(PS2)はヒト摘出肝がんや大腸がん組織の約7割に有効性を示すが、周辺正常組織へのダメージは少ない。培養がん細胞、マウス動物実験から、PS2は肝がん、大腸がんに高い細胞毒性を示した。今回、局所での効果的抗がんPS2剤やがんPS2デリバリー技術開発のビジネスプランを提案したい。また、細胞表面のPS2受容体を発見した。受容体を利用したがん治療剤の開発も期待できる。

従来技術・競合技術との比較

低分子抗がん剤に比べ,がん細胞への親和性が高いため、副作用の少ない特異性の高い抗がんタンパク製剤になると期待できる。現在、利用できるがん種が限定されているが、PS2&がん種がマッチすれば、抗体医薬やウイルス治療に比べ、治療利用も容易で、生産コストは安価と考えられる。PS2受容体は肝がん細胞表面に発現するタンパク質で、発現組織は限られている。受容体をマーカーにした新しい治療薬が期待できる。

新技術の特徴

・消化器系がん予防の健康補助食品添加物
・愛玩動物へのがん治療薬
・家畜細菌感染症に対するドミナントネガティブな新規予防・治療剤

想定される用途

・抗がん剤。特に肝がん、大腸がんに有効。局所投与としては極めて有効
・分子標的キャリア。既存の抗がん剤やがん抑制タンパク、遺伝子を結合させて、がんに標的化させる
・PS2受容体に対する抗体医薬、あるいはRNAiなどによる遺伝子発現抑制(PS2受容体のRNAiでは細胞増殖の大きな低下)

関連情報

・サンプルの提供可能

  • アグリ・バイオ

7)タンパク質高発現カイコ系統による物質生産

九州大学 大学院農学研究院 生物資源開発管理学 准教授 日下部 宜宏

新技術の概要

九州大学保存のカイコ遺伝資源の中から、バキュロウイルスによる組換えタンパク質の高生産に最適なカイコ系統を見出し、より高品質かつ高収量の組換えタンパク質が得られる品種を育成した。

従来技術・競合技術との比較

このカイコ品種を利用するだけで、高品質の組換えタンパク質がこれまでの技術に比較して10倍程度の収量が得られる。加えて、従来技術もすべて利用可能である。

新技術の特徴

・タンパク質の簡便な高生産
・安全な組換えタンパク質の生産
・高品質の組換えタンパク質の生産

想定される用途

・養殖魚、家畜用サイトカインの生産
・薬理活性を持つタンパク質の高生産
・ワクチンの製造

関連情報

・サンプルの提供可能

  • アグリ・バイオ

8)食中毒細菌、ウイルス、毒素を早く高感度に検出する

九州大学 大学院農学研究院 生物機能化学部門 教授 宮本 敬久

新技術の概要

目的食中毒細菌およびウイルスの遺伝子を解析し、各食中毒細菌およびウイルスの検査に最適な領域を増幅できるプライマーセットおよびRT-PCR法を開発した。免疫磁気ビースとフローサイトメーターを組み合わせた細菌毒素の簡易高感度な検出法を開発した。

従来技術・競合技術との比較

ノロウイルス検査において感染症研究所推奨の方法は検出率が高いがnestedPCRが必要である。市販のキットもあるが、我々のプライマーセットでは、1回のRT-PCRによりノロウイルスを検出できる。市販のリステリア検出キットでは、リステリア症の原因菌以外のリステリア属細菌も検出されるが、我々のプライマーセットではヒトのリステリア症原因菌に対する特異性が高い。市販の嘔吐型セレウス菌検出キットでは、毒素遺伝子を保有しながら毒素を生産しない菌株も検出されるが、我々のRT-PCR法では、毒素産生株だけを検出できる。

新技術の特徴

・食品事故の防止による経済的損失、社会的信用失墜を回避する技術
・バイオセンサーに利用可能な検査技術
・生食用食品および加工食品、飲料水の安全確保技術

想定される用途

・食品工場における食中毒細菌、ウイルス,毒素の簡易迅速検査
・医療現場に置ける食中毒原因物質の簡易迅速同定
・バイオテロ発生時の迅速な原因調査、汚染調査

関連情報

・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

九州大学 知的財産本部 技術移転グループ

TEL:092-642-4361FAX:092-642-4365
Mail:transferアットマークimaq.kyushu-u.ac.jp
URL:http://imaq.kyushu-u.ac.jp/
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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