四国地区四大学 新技術説明会
日時:2009年04月03日(金)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
1)付加機能を有する耐久性に優れた銀含有抗菌材料
高知大学 理学部 応用理学科 准教授 米村 俊昭
新技術の概要
1つの物質で複数の機能を兼ね備えている銀含有ハイブリッド材料を開発した。溶解性にも優れており,特殊な加工技術を必要とせずに,微量で抗菌性などを発揮し,性能を長時間維持したままで利用できる。
従来技術・競合技術との比較
複数の機能を有する化合物を安価で効率的に合成し,利用することができる。例えば,従来の抗菌剤に較べて,加工法や耐久性が優れており,利便性の向上が期待できる。
新技術の特徴
・1つの物質で複数の機能を兼ね備えている。
・微量で効果を発揮するので,安価である。
・加工法や耐久性が優れており,利便性が向上する
想定される用途
・不織布,壁紙,段ボール等の紙・布製品
・木材,石膏ボード等の建材
・フィルム,プラスチック
関連情報
・サンプルの提供可能(ただし、サンプルの使用結果(データ)の報告を必要とします)
- 環境
2)新規低濃度空気汚染化学物質の計測センサ群
愛媛大学 大学院理工学研究科 物質生命工学専攻 教授 定岡 芳彦
新技術の概要
オゾン、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、カルボン酸、炭化水素類を、連続して、ppm以下のレベルで検出する機能を有する化学センサをベースとした簡易型かつ連続計測が可能なセンサ群 具体的には、 1:酸素イオン伝導体の両面または同一表面に直接一対の電極が形成されたセンサにおいて、両方または片側の電極を、電極材料とは異なる材料薄膜で覆った構造を持つセンサ 2:酸素イオン伝導体に形成される電極と接合される電解質表面がそれぞれ異なった表面粗さと元素分布をもつ酸素イオン伝導体を用いて構成される揮発性有機化合物センサ
従来技術・競合技術との比較
一対の電極のそれぞれの酸素濃度が微量揮発性有機物質の共存によって発生電位が変化することを特徴としており、複数の異なった機能を有するセンサ群が同じ基板上に簡易に形成できることを特徴とする。通常のセンサは、一枚の基板に一つの単機能センサを配しているため、複雑な空気環境を計測するには、必要に応じた複数のセンサを組み込む必要があり、製造工程が多種となるためコストがかかる。また、市場に出ている類似製品の多くは、半導体式であり長期安定性に欠ける。
新技術の特徴
・酸素イオン伝導性固体酸化物と一連の電極からなる揮発性有機化合物検出センサ
・固体電解質を酸素拡散層とし一対の導電性電極のあいだで発生する起電力が雰囲気中のppb-subppmレベルの微量揮発性有機物質・悪臭によって変化
・濃度が微量揮発性有機物質の共存によって発生電位が変化することを特徴とし、、複数の異なった機能を有するセンサ群が同じ基板上に簡易に形成できる
想定される用途
・居住・作業空間における空調設備への搭載
・自動車などへの搭載
・オゾン濃度の計測(食品、医療関連施設など)
関連情報
・試作可能
- 材料
3)結晶軸配向性を有するナノシート状BaTiO3誘電体と圧電体材料
香川大学 工学部 材料創造工学科 教授 馮 旗
新技術の概要
層状チタン酸のナノ粒子をBa(OH)2の水-アルコール混合溶液中で水熱処理して,厚さ約200 nmのナノシート状BaTiO3材料の合成に成功した。この試料を溶液に分散させた後に、スピンコーディング法で配向させることができた。配向したナノシート状BaTiO3ナノ粒子は、[110]結晶軸方向へ強い配向性を示すことがわかった。この材料は、コンデンサーの誘電体材料や鉛フリー圧電材料への応用が有望視されている
従来技術・競合技術との比較
従来方法では、BaTiO3球状ナノ粒子しか合成できない。球状粒子から配向性セラミックの作成が不可能である。本技術で合成したナノシート状粒子は容易に配向させることができ、配向性セラミックス材料を作成できる。配向性セラミックスは、高い誘電性と圧電性を実現できる。
新技術の特徴
・ナノシート状BaTiO3粒子
・配向性セラミックス薄膜、厚膜への応用
・高い誘電率、圧電特性
想定される用途
・セラミックス積層コンデンサー
・圧電体圧膜、薄膜
・誘電体関連製品
関連情報
・サンプルの提供可能
- 情報
4)光暗号を用いたディスプレイのセキュリティー技術
徳島大学 大学院ソシオテクノサイエンス研究部 情報ソリューション部門 助教 山本 裕紹
新技術の概要
情報表示の新しいセキュリティー技術を紹介します.光演算による暗号を用いて映像信号の盗聴防止と画面の覗き込み防止を同時に実現します.秘密の画面が見える方向と距離を限定した表示と通常表示の切り替えが可能です.
従来技術・競合技術との比較
指向性制限フィルターを用いる従来の覗き込み防止技術には,(1)観察距離に制限がない点,(2)視野制限のオンオフができない点,(3)映像信号の解読を防止できない点に課題があります.本技術はこれらの課題をします.
新技術の特徴
・映像信号の盗聴防止
・画面の覗き込み防止
・表示内容の観察位置を三次元的に限定
想定される用途
・携帯情報端末におけるセキュリティー確保
・ATMや情報キオスク端末におけるプライバシー機能のオンオフつき表示装置
・電子カルテ入力・閲覧時の情報アクセス制御
関連情報
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
5)弱い励起光においても高い強度のテラヘルツ光を発生する技術
香川大学 工学部 材料創造工学科 准教授 鶴町 徳昭
新技術の概要
テラヘルツ帯域1次元フォトニック結晶共振器における閉じ込め効果を利用してテラヘルツ光の増強を行う技術。この手法により弱い励起光を用いても高い強度のテラヘルツ光の発生が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
作製が容易なテラヘルツ帯域の1次元フォトニック結晶を利用しているが、このような能動デバイスへの応用はほとんどない。
新技術の特徴
・特定の周波数ではあるが通常の発生源より高強度のテラヘルツ光の発生が期待できる。
・共振器効果により指向性が高い
・励起光源を安価なものに変更できる可能性がある。
想定される用途
・テラヘルツイメージング用光源
- 電子
6)動画像符号化標準H.264/AVCにおける高性能VLSIの開発
徳島大学 大学院ソシオテクノサイエンス研究部 情報ソリューション部門 助教 宋 天
新技術の概要
本研究の成果を用いれば、高解像度のH.264/AVCアプリケーションには必要不可欠な算術符号化処理(CABAC)を高速に実現できる。さらに、本研究グループの他の研究成果を組み合わせて実装すれば、低演算量高速なH.264/AVC符号化器を実現可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来手法では、算術符号化処理(CABAC)を1bit/cycleでしか処理できないが、本研究では予測処理を取り入れ、最大3bit/cycleの処理速度を実現している。
新技術の特徴
・算術符号化処理(CABAC)を3bit/cycleで処理できる
・高解像度H.264/AVCをリアルタイムで実現できる。
想定される用途
・専用LSI、あるいはIPコアとして、算術符号化処理の実現。
・高解像度、リアルタイムH.264/AVCアプリケーション用LSIの設計。
関連情報
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
7)パルス駆動による視覚心理効果を用いたLED照明の高効率化技術
愛媛大学 大学院理工学研究科 電子情報工学専攻 准教授 神野 雅文
新技術の概要
デューティ比が5%程度で周波数が60Hz程度でLEDをパルス点灯させると、人間の目に実際の数倍の明るさに感じられるという現象を発見し、これを照明に応用して、高効率のLED照明装置を実現するもの。
従来技術・競合技術との比較
照明装置としてパルス点灯するLEDはなく、また、視覚心理効果により、実用域の輝度・照度において実効輝度・照度が向上するという事実は他に報告がなく、独自の技術であり、また従来の放電光源では実現不可能な現象であり、非常に独創性が大きい。
新技術の特徴
・パルス駆動という固体素子特有の性質を利用した、従来の蛍光ランプなどの放電光源では実現できない照明効率向上技術である
・LEDの発光効率を10%向上させるには莫大な研究投資が必要であるが、本技術は簡単な電子回路で2倍以上の実行効率を実現できる
・インバータ回路を使用するだけで、簡単にLED照明器具の実効照度、表示装置の実効輝度の向上が可能になる
想定される用途
・住宅、オフィスの照明器具
・標識灯などの表示装置
・パイロットランプ、イルミネーションなどの灯火
関連情報
・外国出願特許あり
- 計測
8)領域分割とその時系列表示が可能な画像領域分割システム
徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 医用情報科学講座 助教 藤本 憲市
新技術の概要
本システムは,振動子を網目状に配列したネットワークを用い,振動子の離散時間ダイナミクスに基づいて画像領域分割処理を行うものである。2値画像における複数領域を分割し,同時に,分割領域を時系列に表示できる特長を有している。
従来技術・競合技術との比較
従来技術のラベリング法は,分割画像を即座に時系列表示できず,また,全画素走査の必要があるため並列処理化に不向きである。一方,本技術の競合技術としてLEGION(連続時間システム)が提案されているが,計算コストの高い数値積分法を必要とする。
新技術の特徴
・分割画像を時系列表示することができる。(ラベリング法と比較して)
・各画素毎の並列処理が可能であり,画像領域分割処理の高速化が期待できる。(ラベリング法と比較して)
・数値積分が不要であることから,処理結果の再現性が向上するのみならず処理速度も高速化できる。(LEGIONと比較して)
想定される用途
・画像領域分割に係るハードウェア装置及びソフトウェア
- デバイス・装置
9)100%Fill-Factor 球面マイクロレンズ・アレイ
香川大学 工学部 知能機械システム工学科 教授 高本 喜一
新技術の概要
シリコン基板を用い、結晶異方性エッチングとイオン加工によってマイクロレンズ用金型を製造する。この金型から製造されるマイクロレンズ・アレイは、真球面だけによる構成が可能であり、口径、曲率半径、アレイ寸法などを広範囲に制御できる。
従来技術・競合技術との比較
マイクロレンズ・アレイの理想的な条件として、屈折形レンズ、レンズ面が真球面、曲率半径・口径などの制御性、Fill-Factor100%、などがある。従来はこれら全てを満たす技術はなかった。本技術によれば、ほぼ理想的なマイクロレンズ・アレイの製造が可能である。
新技術の特徴
・Fill-Factor100%で、レンズ面が球面のマイクロレンズ・アレイが製造可能となる。
・レンズ平面形状、レンズ寸法、焦点距離などのパラメータ制御が容易である。
・マイクロレンズ・アレイ内のレンズ形状・寸法の一様性に優れている。
想定される用途
・光通信分野の光接続、光スイッチなどに組み込む光学素子
・フラット・パネル・ディスプレイ用素材、光利用効率の改善
・適応光学用の光学素子
関連情報
・外国出願特許あり
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