広域多摩地域の大学発 新技術説明会
日時:2009年08月27日(木)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 計測
1)高感度センサーを用いた拘束感の無い生体情報計測システム
創価大学 工学部 情報システム工学科 助教 西山 道子
新技術の概要
緩やかな曲げ変形や圧力を鋭敏に感知できるヘテロコア光ファイバを、神経のように衣類やベッド、浴室などに組み込むことにより、関節の曲げや脈拍、呼吸といった身体のわずかな動きを、拘束感を与えることなく捉える。
従来技術・競合技術との比較
プラスティック光ファイバは曲げや圧力などによる外乱に弱く、ファイバグレーティングカメラはレンズの曇りに弱い。一方、本技術は外乱や湿度などに対する安定性が高いため、物理変化の激しい衣類や温度・湿度が急変動する浴室などでも利用することができる。
新技術の特徴
・関節の曲げ、捩りを捉える拘束感のないウェアラブルモーションキャプチャによるリハビリ支援
・高感度光ファイバセンサを建物に張り巡らせた、人の所在や動きを捉えるプレゼンス情報の提供
・高感度光ファイバセンサにより窓破りを検知する振動を捉えるセキュリティサービス
想定される用途
・スポーツ運動学習支援、リハビリテーション支援
・睡眠時無呼吸症候群などの検査
・高齢者などの浴室事故を感知するインテリジェントバス
関連情報
・試作可能
- 計測
2)煩わしさのない呼吸センシング方法
成蹊大学 大学院理工学研究科 教授 小口 喜美夫
新技術の概要
本研究では、遠赤外線カメラにより撮影した顔画像から鼻部を追跡し、周辺の温度変化を測定することで、非拘束での呼吸検出法として提案し、その性能を評価した。実験結果より、呼吸をほぼ正確に検出できる事を確認した。これにより、在宅等での睡眠時の新しい監視方法として期待ができる。
従来技術・競合技術との比較
これまでの呼吸計測方法は接触型(例えばサーミスタもしくは胸郭呼吸ピックアップ)が多く、継続的な装着が必要であった。しかし、本手法はカメラによる撮影で呼吸を計測するため、センサの装着が無く煩わしさが無い。また、相対温度での検出を行うため、平熱の違いによる影響が少ない。
新技術の特徴
・被験者に対して、非拘束で呼吸計測ができる
・検出精度が高い
・相対温度での検出が可能
想定される用途
・睡眠時無呼吸症候群に対しての新たな検出方法
・乳幼児突然死症候群に対しての新たな検出方法
・デスクワーク中のストレス度(過呼吸)に対しての新たな検出方法
- 情報
3)3次元設計の機能検証や製造性評価を支援する仮想力覚・触覚システム
東京工芸大学 工学部 コンピュータ応用学科 准教授 曽根 順治
新技術の概要
3次元設計データを活用して設計支援や製造性評価を行うために、多指に触・力覚を与えることができかつ広い作業空間で活用が可能な仮想力覚・触覚システムである。
従来技術・競合技術との比較
従来の仮想力覚・触覚システムは、設計支援には適用されていなかったが、指への触・力覚機能を向上させることにより、3次元CADデータを活用した設計支援を行えるようにした。
新技術の特徴
・遠隔ロボット操作
・技能伝承
・博物館での仮想体験
想定される用途
・設計部品の機能評価
・組み立て性評価
・製造性評価
- 医療・福祉
4)自律動作を支援し介護予防となるロボットシステム-知的な車椅子と見守り-
首都大学東京 システムデザイン研究科 情報通信 教授 山口 亨
新技術の概要
「楽をさせる」のではなく「心身を活性化させる」ことを目的とした支援機構技術で、脈波計測技術とストレス評価指標の確立、さらに心身活性化誘導のコミュニケーションロボットシステムの開発へいたる技術群(自律的起立と上半身活用走行支援技術をもつ知的車椅子ロボットや活性化誘導の見守りコミュニケーションロボット)。
従来技術・競合技術との比較
装着型ロボットに見られる直接的に利用者の力を支援し疲労を抑えるタイプのものが従来技術である。一方、新技術では、多少の疲労を伴う「活性化誘導」と「ストレス度評価」と合わせて実施し、アクティブな誘導でゲーム感覚のように動作してもらい利用者の「達成感のある満足した意識的動作」を得る技術である。
新技術の特徴
・アクティブな人との相互作用:心身を活性化させるアクティブな誘導機能の実装(ロボットによる実装)
・オンラインストレス定量評価:利用者がストレスなく活性化誘導機能を利用しているかをオンラインで把握(脈波利用)
・利用者の持つ能力をストレスなく発揮させ活性化させる誘導機構の実装(アクティブな相互作用と定量的評価の組み合わせ)
想定される用途
・介護一次予防見守りシステム(介護状態に至らないようにする活性化を誘導する見守りシステム)
・認知リハビリテーション(心身のリハビリにおける物理的動作と相互作用の伴うロボットの利用)
・心身活性化インタラクティブゲームシステム(Wii fitのように心身を活性化するように誘導するゲームコンテンツ)
- アグリ・バイオ
5)癌の高感度迅速診断のためのマルチバイオチップ
創価大学 工学部 生命情報工学科 教授 久保 いづみ
新技術の概要
本発明の技術は、癌診断に利用される、血中癌マーカーであるCEAやAFPの測定の反応時間を、マイクロ流体デバイスで行うことで、大幅に短縮して15分程度とし、高感度に多サンプル同時測定できるマルチバイオチップに関するものである。
従来技術・競合技術との比較
癌マーカーを測定する酵素免疫測定法での免疫反応は、従来技術では約2時間かかるのに対し、本技術では15分程度で行うことができる。また、本技術は、マイクロ流路を形成して測定するため、従来技術より試薬や試料の量を大幅に削減することができる。
新技術の特徴
・免疫反応を利用しているが、必要な試料、試薬量が少ない(数マイクロリットル程度)
・迅速かつ、高感度な免疫測定を実現
・試薬の使用量が少なく、低コスト
想定される用途
・癌の初期診断のほか、転移の有無、抗がん剤の効果の判定など
・免疫測定を迅速、高感度かつ低コストで行えるので有害物質や、薬物の迅速定量にも応用可能である
・微量の試料しか得られない、動物実験での免疫測定
- 環境
6)難分解性トリアジン系農薬の光触媒による分解浄化法
明星大学 地球環境科学センター センター長 日高 久夫
新技術の概要
生分解法や従来の光触媒法では、分解が困難であったトリアジン系農薬について、オゾン、酸素、および過酸化水素の存在下、アルカリ性に調整されたトリアジン系農薬の水溶液に光触媒を加え光照射することにより分解浄化する方法である。
従来技術・競合技術との比較
従来の光触媒法では、トリアジン系農薬はシアヌル酸までは分解されるが、それ以上の反応は進行せず完全な分解浄化が達成されない。本法ではシアヌル酸の分解が行われて浄化される。
新技術の特徴
・有害な化学物質を排出しないで浄化処理が行われる
・強固なトリアジン骨格を有する種々の有害化学物質の分解処理に応用できる
想定される用途
・河川水、地下水を利用する浄水場
・トリアジン骨格を有する有害化学物質を取り扱う工場の排水処理設備
- 材料
7)爆発溶射(デトネーション溶射)による高密度セラミック薄膜の生成
青山学院大学 理工学部 機械創造工学科 教授 林 光一
新技術の概要
ハイブリッド車の駆動モータ用パワーモジュールのや燃料電池車の電池部分の絶縁基板に必要な高性能の絶縁皮膜を形成するための高パルスデトネーション溶射装置。高温かつ高速度の溶射技術により、耐熱性絶縁性の高いセラミック薄膜を形成できる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術に比べ、プラズマ溶射よりは高速性能と高密度性能に優れ、高速火炎溶射やCold溶射に比べて高温性能が良いため、高密度と高効率が期待できる。また、水素・酸素により従来のデトネーション溶射より炭化水素フリーの溶射が可能となる。
新技術の特徴
・高効率溶射
・高密度薄膜
・高耐熱絶縁基板
想定される用途
・ハイブリッド車の駆動モータ用パワーモジュールの絶縁基板
・電気自動車の電池部の絶縁基板
・航空機用タービンブレードの耐熱用薄膜
関連情報
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
8)高速電流変化対応のパワーデバイス用高効率電源配線
明星大学 連携研究センター 名誉教授、特別顧問 大塚 寛治
新技術の概要
プラズモン効果を利用し、電源線が必然的に持つインダクタンスによる電圧降下を実効上無視できるレベルにした低インピーダンス電源・グランドペア配線で、プラズモニックシートがキーである。
従来技術・競合技術との比較
従来、直流電流に対する電流容量を唯一の指標とした電源設計を行い、銅配線の断面構造を決めているが、インダクタンス成分で高速電流変化時に大きな電圧低下を来たし、即応性のない電源となり、装置性能の効率を下げている。これが防止できる。
新技術の特徴
・直流電流変化の大きい電源線全てに適用できる
想定される用途
・太陽電池、燃料電池、モーター出力などの従来のパワー機器すべて
関連情報
・単純なため、作り方の指導により十分ユーザ希望が満足する
・外国出願特許あり
- 材料
9)導電性材料の微細加工と新しい反射表示方式の提案
東京工芸大学 工学部 生命環境化学科 准教授 山田 勝実
新技術の概要
フェムト秒レーザーを利用した増感色素の二光子吸収により導電性高分子を光重合させた。光重合反応の三次元位置選択性を利用してこれら材料の微細立体加工を行った。テンプレート法と無電解メッキを用いて、太さが数百ナノメートル長さが10ミクロンの金ロッドが垂直に固定化された膜を作成した。この膜に電場を印加してロッドの動きを活かした表示デバイスを開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来の導電性高分子は膜状か平面パターンにしか加工できなかったが、この方法により微細で立体に加工できるようになった。従来のMEMSは、半導体製造技術を用いて製造されてきたが、この方法により湿式プロセスで非常に簡便に得られるようになった。
新技術の特徴
・マイクロアクチュエーター
・太陽光発電
・ドラッグデリバリー
想定される用途
・三次元情報記録
・フォトニック結晶
・反射表示
関連情報
・サンプルの提供可能
- 製造技術
10)曲管部で減肉のない鋼管の曲げ加工装置
工学院大学 工学部 機械工学科 准教授 宮坂 勝利
新技術の概要
配管の曲げ外側肉厚を増肉から減肉まで自由に制御ができる配管加工装置を開発。新しい鋼管の曲げ加工法の適用により、エルボ-直管部の溶接箇所数を削減してプラント建設費の大幅削減と信頼性の向上をもたらす。
従来技術・競合技術との比較
短柱に偏心荷重を加える場合、弾性論で断面の核を目標値にして核内に軸圧縮力を加えれば全断面が圧縮応力を受けるから曲げ外側肉厚が増肉でき、荷重点を変えれば増肉から減肉まで自由に肉厚制御ができる加工装置である。
新技術の特徴
・曲げ外側の肉厚をほぼ理論的に増肉から減肉まで制御できる
・小曲げ半径R=1.0D(Dは素管直径)が可能である
・管の据込み加工が可能である
想定される用途
・原子力・石油プラント
・造船用配管
・ボイラー用過熱管(スーパーヒータ)
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