東海iNET 新技術説明会
日時:2009年10月30日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 製造技術
1)環境負荷を考慮したマグネシウム材料の表面処理法
豊橋技術科学大学 工学部 生産システム工学系 准教授 竹中 俊英
新技術の概要
種々の優れた特性を有するマグネシウム材料のさらなる耐食性向上が求められている。本手法では、希土類金属を用いた化成処理による表面処理により、良好な耐食性の付与とクロムフリーの低い環境負荷を実現する。
従来技術・競合技術との比較
本手法は、現行のクロメート処理に比べて、クロムフリーな環境負荷の低い手法である。また、希土類金属の種類にはよらず、安価な混合希土類金属原料を用いることができる。さらに、マグネシウム材料のリサイクル時にも悪影響を及ぼしにくく、廃棄物処理も容易と考えられる。
新技術の特徴
・マグネシウム材料の耐食性向上
・クロムフリー処理
・マグネシウム材料、リサイクル性の向上
想定される用途
・マグネシウム材料の耐食性表面処理
・マグネシウム材料の汎用的な下地処理
関連情報
・サンプルの提供可能
- 建築・土木
2)摩擦機構を利用した制振・耐震壁
豊田工業高等専門学校 建築学科 准教授 山田 耕司
新技術の概要
壁倍率4.0以上を期待できる制振壁を開発した。この制振壁は、一般鋼材とアルミ平板を利用した筋かい形式の耐震壁であり、特殊材料を用いないため、汎用性がある。また、必要な耐力を自在に設定できる。
従来技術・競合技術との比較
摩擦式制振装置としては、簡易な形状をした一般材料を用いたものであり、製作に特殊技術を必要としない。また、壁倍率4.0以上(柱径を選定すれば壁倍率5.0可能)を満足する耐震壁でもある。
新技術の特徴
・最大耐力の調整可能
・完全弾塑性型の復元力特性(振動数依存性無し)
・エネルギー吸収の繰り返し加力による劣化が少ない
想定される用途
・木造住宅用耐震壁(新築、耐震補強)
・鉄骨構造(特に体育館)における耐震補強
- アグリ・バイオ
3)高活性リグニン分解菌及びリグニン分解酵素とその応用
静岡大学 農学部 応用生物化学科 准教授 平井 浩文
新技術の概要
高活性リグニン分解菌Phanerochaete sordida YK-624株の産生するリグニンペルオキシダーゼ(YK-LiP)は、環境ホルモン類の分解・無毒化にも優れており、YK-LiP高生産株は木質バイオマスからのバイオエタノール生産に必要なリグニン分解能が強化された。
従来技術・競合技術との比較
P. sordida YK-624株は世界に類を見ない高活性・高選択性リグニン分解菌であり、本菌の遺伝子操作技術を既に開発し、YK-LiP高発現と言った遺伝子操作を行うことで、リグニン分解能が強化された菌の育種に成功した点。
新技術の特徴
・担子菌を利用した、難発現タンパク質の異種発現
・木質バイオマスの「材料(素材)」としての利用を見据えた脱リグニン処理
・リグニン分解酵素を利用した新規合成技術の開発
想定される用途
・木質バイオマスからのバイオエタノール生産における脱リグニン処理
・環境ホルモン類にて汚染された領域の修復
- 医療・福祉
4)カテキン誘導体の効率的合成方法
静岡県立大学 薬学部 薬学科 医薬品製造化学分野 教授 菅 敏幸
新技術の概要
エピガロカテキンガレートの任意の水酸基に選択的にアルキル基を導入する方法の開発に成功した。メチル化カテキンは顕著な抗アレルギー活性を活性を有しているため、これらの構造活性相関は医薬品開発に重要となる。
従来技術・競合技術との比較
これまでカテキンの位置選択的な誘導体化は困難であったため、詳細な構造活性相関研究はなされてこなかった。本技術により提供できる新規カテキン誘導体の構造活性相関にかかる期待は大きい。
新技術の特徴
・化粧品
・医薬品
・健康食品
想定される用途
・抗アレルギー(花粉症)薬のリード
・抗ガン剤(皮膚ガン)のリード化合物
・化粧品への添加物
- 創薬
5)結核菌特異的T細胞エピトープを利用した同菌特異的T細胞検出試薬
浜松医科大学 医学部看護学科 基礎看護学講座 教授 永田 年
新技術の概要
結核菌への防御を担う細胞傷害性T細胞(CTL)を認識するエピトープを特定し、結核菌特異的T細胞検出試薬としての有用性を見出した。又、CTLの挙動解析やワクチン開発への展開の可能性を提示している。
従来技術・競合技術との比較
急性期の結核菌感染に対する試薬とともに、休眠期(dormant stage)の結核菌感染に対するワクチンおよび診断法開発の有用な試薬を開発した。
新技術の特徴
・結核菌特異的T細胞検出法の提示
・持続型感染期に対する細胞障害性T細胞の挙動を把握することが可能
・慢性結核への治療型ワクチン開発へのメルクマールの提示
想定される用途
・結核菌特異的T細胞の検出(診断分野)
・結核菌感染に伴うCTL挙動解析を通じての治療効果の推定(治療分野)
・結核菌感染症治療へのワクチン開発の可能性(治療分野)
- 医療・福祉
6)毛髪ミネラル簡易検査用のレーザーアブレーション質量分析装置
光産業創成大学院大学 光産業創成研究科 光医療・健康分野 准教授 内藤 康秀
新技術の概要
体細胞のミネラル代謝と連動する毛髪ミネラルを簡易検査する装置。毛髪ミネラルは、恒常性により一定に保たれる血中ミネラル濃度よりも正確な指標になり得る。しかも、毛髪は成長とともにミネラル代謝の履歴を記録しているので、健康状態を過去に遡って検査できる。
従来技術・競合技術との比較
毛髪ミネラル検査は従来、高価な大型汎用装置で行われていたが、毛髪専用装置にすることで、小型かつ安価になるとともに、毛髪試料の取扱を含めた操作が遥かに容易になる。また測定対象イオンの損失を軽減して従来技術よりも高感度化される。
新技術の特徴
・1本の毛髪で検査できる
・毛髪ミネラルの日毎の変化(毛髪長さ0.3mm相当)を検査できる
・検査時間がきわめて短い(対面での検査が可能)
想定される用途
・健康補助食品等の摂取管理
・ミネラル代謝異常に起因する各種疾病の未病におけるスクリーニング
- アグリ・バイオ
7)DNAチップのプローブ分子として優れた人工核酸及びその設計システム
豊橋技術科学大学 工学部 知識情報工学系 准教授 栗田 典之
新技術の概要
DNAチップは、遺伝子が産出する核酸分子Xが相補的となる核酸分子Y(プローブ)に特異的結合する性質を利用し、癌等の診断を行うデバイスである。このDNAチップに搭載するプローブ分子として、優れた結合特性を持つ人工核酸、及び新規に人工核酸を設計するシステムを提案した。
従来技術・競合技術との比較
従来:人工核酸合成後、実験にて網羅的に特性を解析しプローブ分子に最適か判定する→非効率、そもそも適正判定が困難。本技術:計算機にて様々な人工核酸モデルを作成して特性を解析し、プローブ分子として優れた新規人工核酸を提案できる。→開発時間、コストの大幅削減。
新技術の特徴
・新規人工核酸のDNAチップのプローブ分子としての特性を短時間で解析できる
・量子力学計算に基づき、プローブと標的核酸分子間の結合特性、プローブの電気伝導特性を電子レベルで解析できる
・DNA以外の他の生体関連物質との相互作用を解析し、他のマイクロアレイのプローブ分子の設計へと発展できる
想定される用途
・DNAチップのプローブ分子として、優れた結合特性を持つ新規人工核酸の提案
・マイクロアレイに搭載する新規人工核酸の計算機シミュレーションによる提案
・既存のプローブ分子の適正評価
関連情報
・人工核酸の化学構造等を提供可能
- 医療・福祉
8)高機能自閉症児に認められる特異的代謝異常の医療応用
浜松医科大学 医学部 医学科精神神経医学講座 非常勤講師 松崎 秀夫
新技術の概要
自閉症は原因や治療法が特定されず専門家による療育が重要である。本技術は血中マーカーの測定による簡易な新規診断法を可能とし、自閉症者の早期療育の開始と社会生活適応性の改善の可能性を提供する。
従来技術・競合技術との比較
自閉症の診断は豊富な経験を有する専門医でのみ可能であり療育効果等も限定的であった。本技術により血液サンプルによる簡易な診断法が可能となり療育効果の向上と合わせ新規な治療法への展開も期待される。
新技術の特徴
・専門的な経験を必要としない自閉症の簡易診断法の提供
・高い精度での診断補助法の提供(8歳未満では感度83%、特異度90%、正診率86%)
・早期診断を通じての療育効果等包括的な治療体系の確立・改善の可能性
想定される用途
・自閉症発症危険度の判定(診断薬分野)
・自閉症の早期診断に基く予防・早期治療の機会提供(治療分野)
・自閉症患者の社会復帰支援等の包括的治療体系の確立への寄与(治療分野)
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
静岡大学 知的財産本部
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浜松医科大学 知財活用推進本部
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