東海国立3大学 新技術説明会(2)
日時:2009年06月12日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 環境
1)アスベスト廃棄物の減圧低温加熱無害化とその有効活用
名古屋工業大学 大学院工学研究科 物質工学専攻 准教授 橋本 忍
新技術の概要
アスベストセメント(アスベストの種類はクリソタイル)を減圧下,700℃の環境で加熱することにより、JIS A 1481-2006の規格に基づいて完全に無害化することに成功した。
従来技術・競合技術との比較
現在推奨されている溶融法の1500℃以上の加熱の場合にくらべ、エネルギーコストを大幅に減少させることに成功した。処理物は活性で、再生セメントとしても利用できる。
新技術の特徴
・低エネルギーコストでアスベストを完全無害化できる
・セメントアスベストを再生セメントとして利用できる
・クリソタイルを高周波磁器などのエレクトロデバイスとして活用できる
想定される用途
・再生セメント
・フォルステライト高周波磁器の原料
・高活性非晶質シリカ(純度98.7%)
- 材料
2)有機機能性材料による新規光学材料・素子の開発
三重大学 大学院工学研究科 電気電子工学専攻 准教授 松井 龍之介
新技術の概要
導電性高分子により、金属や半導体材料では実現不可能なテラヘルツ周波数帯での新規光学材料・素子を開発した。その他にも様々な光学材料の開発に取り組んでいる。
従来技術・競合技術との比較
導電性高分子は有機EL、有機薄膜トランジスタ、有機薄膜太陽電池と、近年ますますその活躍の場を広げている。更にテラヘルツ材料・素子への応用への新展開により新規産業の創出に貢献する。
新技術の特徴
・低消費電力、小型、軽量なテラヘルツデバイス
・フレキシブルなテラヘルツデバイス
・テラヘルツ周波数を自在にコントロール
想定される用途
・テラヘルツ帯光学材料
・テラヘルツ帯光学素子
- 材料
3)環境対応型新規室温硬化シリコーン弾性体と接着剤
三重大学 大学院工学研究科 電気電子工学専攻 教授 中村 修平
新技術の概要
従来使用されている金属触媒に代わり有機添加物を用いることにより環境に優しい室温硬化(RTV)型シリコーン組成物を創成しました。
従来技術・競合技術との比較
RTV型でありながら、耐熱性に優れた新規シリコーン組成物であり、用いる材料により接着性を付与することができます。
新技術の特徴
・耐熱性に優れたシリコーン組成物
・環境負荷が小さいシリコーン組成物
・室温硬化型シリコーン組成物
想定される用途
・電気自動車電力制御システム放熱部材・耐熱部材
・電力機器用部材
・鉄道車両用屋根部材
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
4)アミド化合物の効率的合成法
岐阜大学 工学部 機能材料工学科 准教授 小村 賢一
新技術の概要
アミド化合物を効率的に製造する触媒として、安価な金属塩水和物が有効であることを見出した。本技術は、等量の酸とアミンから高収率でアミド化合物を製造することができる。
従来技術・競合技術との比較
従来は、酸活性化による塩基条件下での反応や、硫酸や苛性ソーダなどの触媒を利用したアミド製造が主であったが、反応後の後処理やそれに伴う廃棄物の発生が大きな問題であった。本技術は、直接的に酸と塩基からアミド化合物を効率的に製造できると同時に、触媒である多価金属塩の後処理などは必要なく廃棄物の問題も少なく、エネルギー消費の少ない環境調和型の製造法が可能である。
新技術の特徴
・安価な多価金属塩水和物を触媒として利用
・等量の酸とアミンから直接的にアミド化合物を得ることが可能
・低コスト化が可能
想定される用途
・縮合反応用触媒
・ポリアミド製造
・ペプチド類の合成触媒
関連情報
・外国出願特許あり
- 創薬
5)光学活性フェニルビスイミダゾリン-遷移金属錯体触媒の設計・合成とその反応
名古屋工業大学 大学院工学研究科 未来材料創成工学専攻 准教授 中村 修一
新技術の概要
新しい不斉合成触媒として光学活性ビスイミダゾリンー遷移金属触媒を設計・開発した。この触媒を用いていくつかの不斉合成反応を検討した所、高収率・高エナンチオ選択性を与えることが明らかとなった。
従来技術・競合技術との比較
現在世界中で使用されている不斉合成用触媒としてビスオキサゾリンが挙げられる。広範囲の反応に適応可能である反面、電子的・立体的な調整が難しいと言う欠点があった。本触媒はその欠点を改善することが可能で、電子的立体的な微細な調整が可能となり、より広範囲の不斉合成反応に適応可能である。
新技術の特徴
・新しい不斉合成触媒として利用できる
・多くの遷移金属を用いて触媒調整が可能として利用できる
・触媒構造の電子的・立体的な調整が容易
想定される用途
・医薬品合成への展開
・化成品合成への展開
・光学活性物質の効率的不斉合成
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
6)機能性含窒素複素環構築法の開発
岐阜大学 工学部 応用化学科 教授 村井 利昭
新技術の概要
入手容易なアミドのイオウ同族体を出発原料として、チアゾール、オキサジン、チアジン、10π電子系アザインドリジン骨格を導く反応系を開拓した。従来法では合成困難な様々な誘導体を高効率で誘導できること、これにより有機EL用材料や医薬・農薬探索への化合物ライブラリーを構築した。
従来技術・競合技術との比較
本合成法で得られる化合物は新しい系列の化合物群であり、有機EL用材料など様々な系で利用可能である。本方法による化合物ライブラリーより、優れた材料の探索を効率的に行い、目的に合致する最適化合物を得ることができる。
新技術の特徴
・対象化合物は、有機EL用材料や医薬・農薬品として探索可能である
・入手容易な原料から数段階で高効率で導くことができること
・具体的には、DNA損傷チェックポイント活性も示す
想定される用途
・有機EL用発光層・電子輸送層
・医薬・農薬
・抗がん剤
関連情報
・サンプルの提供可能
- 環境
7)不均一場を利用したクロマトグラフィー分離の高性能化
名古屋工業大学 大学院工学研究科 物質工学専攻 准教授 北川 慎也
新技術の概要
カラムの流れ方向に保持能力が異なるグラジエント(不均一場)カラムと移動相組成のグラジエント溶離を組合わせ、試料ピーク幅をより狭くした分離性能や検出感度を高めた液体クロマトグラフィーおよび電気クロマトグラフィーを提供します。
従来技術・競合技術との比較
通常の液体クロマトグラフィーおよび電気クロマトグラフィーで使用されるカラムは流れ方向において固定相の化学的・物理的性質と流速が一定ですが、新規に不均一なカラムを開発し、これを移動相グラジエントと組み合わせることで分離性能を向上させました。
新技術の特徴
・不均一場
・傾斜場
・物質移動コントロール
想定される用途
・生体分析
・環境分析
・分取クロマトグラフィー
- 情報
8)再帰透過性光学素子を用いた虚像プロジェクターによる小型軽量広視野ディスプレイ
岐阜大学 工学部 応用情報学科 准教授 木島 竜吾
新技術の概要
再帰透過性という性質をもつ光学素子を用いると、本来は実像を投影するプロジェクタで虚像を作ることができる。投影光学系は広い画角を得易いので、結果として広視野の頭部搭載型ディスプレイを小型軽量に作ることが可能となる。
従来技術・競合技術との比較
頭部搭載型ディスプレイの大抵は虚像結像系を用いているため、広い視野を得るためにはサイズ、重量が大きくなる。本技術は完全に新規の再帰透過光学素子を用いた光学構成を用いて、理想的には数グラムで人間の通常の視野を覆うディスプレイを構成できるはずである。
新技術の特徴
・三次元で様々な方向から自由に観察できる
・マウスやキーボード、メニュー操作を覚えるのではなく、単に「模型を手に取る」ような実体型三次元ディスプレイ
・他の人と相談、説明するときに、「ここがね」と指差せる
想定される用途
・シースルー頭部搭載型ディスプレイ,ウェアラブルコンピュータ
・携帯電話のビューワー
・各種立体ディスプレイ
関連情報
・実演・デモ可能です
- 通信
9)複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナを用いた高信頼度無線通信
名古屋工業大学 大学院工学研究科 情報工学専攻 教授 岩波 保則
新技術の概要
複数の送信アンテナと複数の受信アンテナ(例えば送信アンテナ4本×受信アンテナ4)を用いて高信頼度かつ高ビット速度な無線通信を行う無線通信技術としてMIMO無線通信技術があるが、このMIMO空間多重化方式における受信機信号分離検出方式につき述べる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術のMIMO無線通信方式として、無線LANにおけるIEEE802.11nが実用化されているが、ここではBPSK,QPSK,16QAM,64QAMなる線形変調方式が用いられている。これに対し新技術では、非線形変調方式であるFSK信号を用いて、複数の送受信アンテナを用いるMIMO無線通信方式を実現する。FSK信号を用いたMIMO無線通信方式は従来に無い新しいものである。
新技術の特徴
・近距離Bluethooth無線通信方式のMIMO化
・多周波数FSK信号を用いた高信頼度・高ビット速度MIMO無線通信方式
・高効率な飽和型増幅器を用いた簡易MIMO無線通信の実現
想定される用途
・複数の送受信アンテナを用いた近距離ブルートゥース無線通信方式の高信頼度・高ビット速度化
・周波数ホッピングFSK信号のMIMO無線通信を用いた高信頼度・高ビット速度化
・飽和型増幅器を用いた簡易MIMO無線通信の実現
- 機械
10)アシストガスを用いないレーザー切断技術
三重大学 大学院工学研究科 機械工学専攻 教授 鈴木 実平
新技術の概要
加工される金属板の裏面に負圧に保ち、レーザ照射によって溶融させた金属を加工材表裏の圧力差によって飛散除去する。ノズルの存在によって生起する加工上の制約を除き、レーザ切断の適用範囲を拡大できる。
従来技術・競合技術との比較
通常の金属板レーザ切断では切断ヘッドが必要である。ヘッドは質量があり、また加工点に近接させる必要もあり、加工上の制約を受ける。負圧の利用によってこれらの制約からレーザ切断技術を本質的に開放できる。
新技術の特徴
・アシストガスを使用しない
・切断ノズルが不要である
・レーザーのリモートコントロールへの適用
想定される用途
・薄板板金加工
・三次元曲面の切断
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
三重大学 知的財産統括室
TEL:059-231-5495FAX:059-231-5495Mail:chizai-mipcrc.mie-u.ac.jp
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名古屋工業大学 産学官連携センター
TEL:052-735-5627FAX:052-735-5542Mail:officetic.nitech.ac.jp
URL:http://www.tic.nitech.ac.jp/
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