先端計測関連 新技術説明会
日時:2010年11月11日(木)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 計測
1)オンチップロボット:マイクロチップ内での細胞計測、分離、操作、除核と分注
名古屋大学 大学院工学研究科 マイクロ・ナノシステム工学専攻 教授 新井 史人
新技術の概要
マイクロロボットをマイクロ流体チップ内に組み込み、これを磁場の制御で非接触に操作する技術。細胞や細胞を含む混相流の物理的な操作が可能で、細胞の多段分離や、顕微除核操作の自動化に応用できる。また、チップ内の細胞を自動的に分注する技術。
従来技術・競合技術との比較
全く新しいコンセプトであり、競合技術はない。核移植を目的とした顕微除核操作では、マニュアル作業速度を大幅に凌駕する高速化を達成できる。細胞の多段ソートをコンパクトに実現。チップ内の卵子を培養ウェルに分注できるのは世界初。
新技術の特徴
・マイクロ流体チップの内部で力学的相互作用を実現する技術
・微粒子を流して数を数えて配列する技術
・細胞の硬さを連続的に計測する技術(開発中)
想定される用途
・新型マイクロマニピュレータ:自動除核デバイス
・細胞、微粒子、液滴などのハンドリングデバイス。例:多段セルソータ(7段~100段に分離)
・細胞・微粒子などの分注デバイス:使い捨て、洗浄不要
関連情報
・試作前に実験室を見学していただき、ご相談後に検討させていただきます。
- デバイス・装置
2)ナノ構造制御LaB6次世代電界放射電子銃の開発
独立行政法人物質・材料研究機構 材料ラボ 一次元ナノ材料グループ グループリーダー 唐 捷
新技術の概要
高融点・高硬度のLaB6を電界放射電子源とするため、CVD法により単結晶ナノワイヤ化ができ、独自開発のナノアセンブル技術による、高輝度、低エネルギー幅の電子線放射するLaB6単結晶ナノワイヤ電子源を作製した。 また、実用化に必要な電子源表面の自己再生技術等の確立ができた。
従来技術・競合技術との比較
仕事関数が低く、高温でも高硬度等の優れた電子源特性をもつ六ホウ化ランタンをCVD法により、単結晶ナノワイヤーとすることにより、世界で初めて電界放射電子源とすることに成功した。現在、最高の電子源の輝度より10倍以上となり、ビームの広がりは半分以下に細く絞れる。
新技術の特徴
・LaB6単結晶ナノワイヤーをCVD法により生成し、独自のナノアセンブル技術により電界放射電子源を作製。
・電子源表面の電界蒸発による電子源自己再生法を開発した。
・高輝度・低エネルギー幅のLaB6電界放射電子源の放射電流を長期間安定とし、実用化可能とした。
想定される用途
・透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡;
・電子線描画装置;
・マイクロX線医療機器;
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
3)イリジウム錯体の発光に基づく癌などの低酸素組織イメージング
群馬大学 大学院工学研究科 応用化学・生物化学専攻 教授 飛田 成史
新技術の概要
細胞・組織のような極微小環境の酸素濃度を、イリジウム錯体の発光測定に基づいて非侵襲的に高感度リアルタイムで定量するための分子センサー技術。癌などの低酸素組織のみを光らせることにより、低酸素組織の診断を可能とする技術。
従来技術・競合技術との比較
分子レベルの酸素濃度センサーであるため、従来のキャピラリー電極を用いた電気化学的測定法では困難であった細胞や組織のような極微小空間の酸素濃度計測が可能。癌腫瘍のような低酸素組織を選択的に可視化することができる。
新技術の特徴
・酸素濃度に依存してイリジウム錯体の発光が消光することを利用した高感度酸素センサー
・分子レベルのセンサーであるため、細胞や組織のような微小空間の酸素濃度計測が可能
・イリジウム錯体の発光寿命を計測することにより、酸素濃度分布のマッピングが可能となる
想定される用途
・低酸素組織診断試薬
・酸素濃度測定試薬
・DO(dissolved oxygen)センサー
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
4)ウイルス感染感受性、ワクチン接種必要性診断デバイスの開発
徳島大学 疾患酵素学研究センター 共同利用・共同研究「酵素学研究拠点」 教授 木戸 博
新技術の概要
小児から高齢者に至る幅広い年齢層を対象に、各種ウイルスの感染感受性、ワクチン接種の必要性を、鼻汁と血液の抗ウイルス特異抗体を測定して評価する診断用マイクロチップ開発の必要性と開発の現状
従来技術・競合技術との比較
麻疹、百日咳など年齢と共に低下する抗体価は、従来ELISAで測定していたが、医療廃棄物、検体量、価格上の問題点があった。小児期のワクチン接種抗原に加え、過去数十年のインフルエンザ抗原を搭載した感染感受性診断用マイクロチップを開発している。
新技術の特徴
・法定伝染病を含めて各種感染症への抗体価を同時に測定するデバイスの開発
・微量(数マイクロリッター)の血液、鼻汁、唾液で判定が可能(低侵襲性)
・同様の技術で、医療における各種抗体価の測定が可能となる。例えばアレルギーの重症度診断、治療、予防診断等
想定される用途
・乳幼児のウイルス感染感受性、小学校、中学、高校、大学入学、入社時の健康診断で感染防御能の診断
・インフルエンザ等流行期の感染感受性、ワクチン接種の必要性の診断
・感染症の治療と予防に対する基本データーを提供する。これを基に医師はエヴィデンスに基づく治療と予防が可能となる
- 計測
5)動的に変化するナノ厚さ薄膜のリアルタイム可視化法
名古屋大学 大学院工学研究科 マイクロ・ナノシステム工学専攻 教授 福澤 健二
新技術の概要
サブオングストローム程度の高い膜厚分解能を有するエリプソメトリー(偏光解析法)の原理を用いて、摺動時の液体潤滑膜など動的に変形するナノメートル厚さの薄膜をリアルタイムに可視化する光学的観測法を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来のプローブ顕微鏡のように走査機構を必要としないので、ナノメートル厚さの薄膜の膜厚分布を像として一括して得ることができ、動的に変化する極薄膜の分布をリアルタイムに可視化することができる。
新技術の特徴
・液体膜や形成中の膜などナノメートル厚さの薄膜の膜厚分布のリアルタイム可視化が可能
・膜厚分解能はサブnm、面内分解能サブμmの高分解能観測が可能
・観測点に摺動プローブなど試料薄膜に刺激を与えるプローブを挿入する空間を確保
想定される用途
・機械産業の分野で、摺動時の機械要素の潤滑状態の把握
・半導体産業の分野で、シリコン酸化膜など薄膜の分布状態の評価
・表面科学の分野で、プローブ顕微鏡やレーザと組み合わせ、薄膜に刺激を加えたときの局所領域の応答を得る物性解析
- 計測
6)半導体原理に基づくラベルフリーDNAシーケンシング実現のためのバイオインターフェース制御
東京大学 大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻 講師 坂田 利弥
新技術の概要
本技術では、半導体/DNA-微粒子の相互作用を半導体の電気シグナルにより計測する。特に、半導体によりDNA固有の電荷を直接計測できるだけでなく、反応表面を半導体より切り離し微粒子表面で行うことで、反応の効率を向上させ、半導体の再利用も可能となる。また、半導体表面の検出限界となるデバイ長内での計測を容易にすることが期待される。本技術により、長塩基のDNAシーケンシングを非標識、リアルタイム、高スループットで実現可能となる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では、DNAシーケンシングに蛍光標識や酵素を数種類使用する必要があるが、本技術では、DNA固有の電荷を計測することができるため、非標識、リアルタイム、また、酵素もポリメラーゼのみで計測可能となり、高スループットで安価なDNAシーケンサーを実現する。
新技術の特徴
・半導体原理の利用によりラベルフリーでの計測が可能
・微粒子の利用により分子認識反応および計測の効率化の向上
・長塩基のDNA配列の計測が可能
想定される用途
・ラベルフリー・リアルタイムDNAシーケンシング
・SNPタイピング
・タンパク質、細胞機能計測
- 分析
7)(開発成果紹介)手のひらに載るほど超小型な電子線プローブX線マイクロアナライザー
京都大学 大学院工学研究科 材料工学専攻 教授 河合 潤
新技術の概要
JST産学イノベーション加速事業【先端計測分析技術・機器開発】要素技術プログラムの一環として、京都大学 大学院工学研究科の河合 潤 教授は、手のひらに載るほど超小型な電子線プローブX線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Micro Analyser)の開発に成功した。EPMAは、生体試料、金属材料、半導体集積回路の微細組織の構成元素分析などに用いられ、従来は、高電圧発生系、電子光学系、X線分光器、X線検出器、高真空ポンプ、高電圧電源などを備えた複雑かつ高価で、大型の装置(典型的な設置寸法の例は、幅×奥行×高さが、約1200mm×1200mm×1700mm)だった。 河合教授はこれまでに、手のひらに載る小さなガラス製容器の中に組み込みこんだ3mm×3mm×10mmの強誘電体に電流を流すことによって80kV(8万ボルト)の高電圧を生成し、これが電子を加速することによって、簡単にX線を発生させることに成功。 この原理を応用することによって今回、EPMAの高電圧発生系と電子光学系の機能を持ったX線発生器を開発した。そして、このX線発生器と小型のX線検出器と組み合わせることにより、乾電池と簡単な真空ポンプで駆動可能な、手のひらに載るほど超小型なEPMAを開発することにも成功した。
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連携・ライセンスについて
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