秋田大学 新技術説明会
日時:2011年03月04日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 環境
1)溶融塩を用いた希土類元素のリサイクル法の確立
秋田大学 大学院工学資源学研究科 材料工学専攻 講師 福本 倫久
新技術の概要
溶融硫酸ナトリウムを用いて電気分解により希少元素酸化物であるネオジム酸化物およびジスプロシウム酸化物を溶解しさせ、その溶解した浴中からネオジムおよびジスプロシウムを電析により回収するリサイクル方法である。
従来技術・競合技術との比較
これまで、溶融硫酸塩中に酸化物を溶解させた報告はあるが、電気分解により酸化物を溶解する方法は、ほとんど報告されていない。したがって、この方法を利用したリサイクル法は、新しい技術と言える。
新技術の特徴
・水溶液に溶解しない酸化物の溶解
・水溶液から電析不可能な金属の電析
・複雑形状などの部品に希土類元素の電析が可能
想定される用途
・希土類元素のリサイクル
・希土類元素の表面処理
・希少元素の酸化焙焼
- デバイス・装置
2)超磁歪合金アクチュエータ用の小型磁気回路
秋田大学 大学院工学資源学研究科 機械工学専攻 准教授 左近 拓男
新技術の概要
磁場により歪みが発生する超磁歪合金の磁場駆動用の磁気回路を製作した。この磁気回路は長さ6mm、幅2mm×2mmの空間に交流磁場振幅0.3 T程度の磁場を発生させることができる。
従来技術・競合技術との比較
小型アクチュエータとしてはピエゾ圧電素子を用いたものがあるが、超磁歪合金を用いたアクチュエーターはさらに大幅に小型化できる。今回開発した磁場回路は、超磁歪合金アクチュエータに必要な微小空間磁場を発生させることができる。
新技術の特徴
・ナノテクノロジー分野におけるナノ磁性体の磁場泳動などの磁場発生装置として使用
・微小空間の科学・工学実験用の磁場発生装置
・磁気温熱効果、ハイパーサーミアなど、医療分野での交流磁場発生装置
想定される用途
・超磁歪アクチュエータ駆動用磁石として使用
・原子間力顕微鏡などの磁気探針の着磁
・交流磁場中での微小磁性粉体の攪拌
関連情報
・試作可能
- 医療・福祉
3)絨毛癌および子宮外(異所性)妊娠の新たな薬物療法
秋田大学 医学部附属病院 産科婦人科 講師 河村 和弘
新技術の概要
絨毛癌および子宮外妊娠はそれぞれ、胎盤絨毛が悪性化、子宮以外の場所で正着・発育して発生する病気である。我々は、これらの病気に共通の細胞内シグナルを同定し、その抑制が薬物療法として有用であることを見出した。
従来技術・競合技術との比較
従来、絨毛癌および子宮外妊娠の薬物療法には、どちらも副作用の強い抗ガン剤投与が行われてきた。細胞内シグナル抑制による分子標的治療である本発明は、副作用が少なく、有効性の高い方法となりうる。
新技術の特徴
・絨毛癌細胞発育の細胞生物学的特徴の解明
・胎盤絨毛の発育メカニズムの解明
・胎盤絨毛発育異常に起因する病気の原因究明
想定される用途
・絨毛癌の分子標的治療
・絨毛癌の予後判定
・子宮外(異所性)妊娠の薬物療法
- 環境
4)薄膜揚水を利用した噴霧流水質浄化装置
秋田大学 大学院工学資源学研究科 機械工学専攻 准教授 足立 高弘
新技術の概要
円すい体の頂角を下にして水に浸し回転させることで、円すいの外表面に沿って液体が上昇し薄い液膜流が形成される。その液膜流は、最終的には微粒化してミスト流が生成される。この現象を利用して、閉鎖された水系での自然浄化作用を高めるための水質浄化技術の開発に関する研究である。
従来技術・競合技術との比較
これまではプロペラ等の機械的な部品を水中に浸して水系内に循環流を作り、波を発生させて酸素の取り込みを行っていた。本研究で提案する装置では、機械的な部品を水に浸すことなく循環流や水面波を発生させることが可能である。またミストを発生させることで、水系への酸素移動量が増え溶存酸素量が増加することが期待できる。
新技術の特徴
・回転円すいに外表面に沿って薄い液膜が生成される
・液膜の微粒化により均質なミスト流を手軽に生成するこができる
・円すいの回転によって、円すい下部の水系に循環流が形成され水系を掻き混ぜることができる
想定される用途
・閉じた水系内での水質浄化装置
・コンパクトなミスト冷却装置
・噴霧発生装置
・微細な金属微粒子を生成する噴霧熱分解装置
- デバイス・装置
5)空中で非接触でできる超音波イメージング
秋田大学 大学院工学資源学研究科 電気電子工学専攻 教授 今野 和彦
新技術の概要
圧電振動子を定電圧駆動することによって得られる振動子表面速度が駆動電圧と時間的に相似になる事を利用して、振動子表面に置いた物体表面の振動速度をドップラー振動計により非接触で検出し空中で超音波イメージングを可能にしている。
従来技術・競合技術との比較
従来の超音波イメージングは被検体を液浸し超音波反射波を用いる。本法は、圧電振動子で駆動された被検体の振動速度を光学的に非接触でかつ空中で行える。さらに腐食や電気的な短絡等の問題がなくイメージングの対象がより広い。
新技術の特徴
・空中で非接触検査が可能
・装置が簡単
・物体の弾性的な情報が得られる
想定される用途
・電子デバイスの欠陥検出
・材料、電子デバイスの非破壊検査
・材料の品質検査
- 医療・福祉
6)ピエゾセンサー型聴診器システム
秋田大学 大学院医学系研究科 細胞生理学講座 技術長 佐藤 紳一
新技術の概要
本技術は、圧電(ピエゾ)センサーを人体に接触させ、心音、心雑音のほか心臓の動きや血流の情報を含むと考えられる20Hz以下の超低周波音を検出し、コンピューター画面に表示する視覚的診断環境を提供するものである。
従来技術・競合技術との比較
本技術は聴診とエコー検査の中間的な診断能力を持つ視覚的診断装置を目指している。電子聴診器も一歩進んだ聴診器であるが、数十Hz以上の心音を耳で聴くことを基本とし心音の表示には手間がかかるなどの欠点を有している。
新技術の特徴
・ピエゾセンサーは超低周波音から検出できるため、基本的に心拍・呼吸・体動の検出が可能である
・ピエゾセンサーの形状変更により、椅子や携帯電話への装着などあらゆる場面、空間での応用が可能である
・ピエゾセンサー信号の無線送受信(携帯電話による送受信を含む)により、その用途は無限に拡大すると考えられる
想定される用途
・病院外来における簡易型心疾患診断装置
・一般家庭用健康管理装置(iPadや携帯端末などへのデータ表示)
・妊婦用簡易型胎児心音検出装置
関連情報
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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