福井大学 新技術説明会
日時:2010年08月04日(水)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 環境
1)光導波路をセンサデバイスとした新規バイオセンサ
福井大学 大学院工学研究科 ファイバーアメニティ工学専攻 教授 末 信一朗
新技術の概要
有機リンに感応して蛍光を消失するような酵母を遺伝子レベルで作成して、これを光導波路のコア部分に閉じ込めることで有機リンを高感度に検出するようなバイオセンシングシステムを構築した。
従来技術・競合技術との比較
光導波路にバイオ素子が封入されているので、光導波路そのものがセンサチップとなり、高感度な光バイオセンシングが可能となる。
新技術の特徴
・高感度でハンディなバイオセンサへの展開
・ネットワーク型センサへの展開が可能
・有害物質やアレルゲンなどの検出
想定される用途
・有機リン農薬の残留性のチェック(食の安心・安全)
・対テロを想定したセンサ(生活の安心・安全)
- 環境
2)LEDを用いた、和ろうそくの炎の色と揺らぎの再現方法
福井大学 大学院工学研究科 建築建設工学専攻 准教授 明石 行生
新技術の概要
和ろうそくの炎を、異なる色のLEDを組み合わせてそれぞれのLEDを異なる周波数で点灯制御することにより色度とその変化を模擬すること、また、洋ろうそくにはなく和ろうそくに特有のゆらぎの周波数を模擬することによって本物であるかのように再現する。
従来技術・競合技術との比較
これまでのLEDろうそくは、単一のスペクトルのLEDにより、不規則な周波数(あるいは1/f揺らぎ)を実現するものであった。
新技術の特徴
・複数のLEDにより先端部から芯部にかけて赤・黄・青と変化するろうそくの炎を模擬
・洋ろうそくにはなく、和ろうそく特有の10Hz付近のゆらぎを模擬
・陰影を楽しむ伝統的な灯りを最新技術で再現することにより、日本の灯り文化を提供するツール
想定される用途
・イベントなどに用いるろうそく行灯
・商業施設の照明
・住宅の夜の灯り
- 医療・福祉
3)2波長同時発振半導体レーザーの開発と実証化
福井大学 医学部 腫瘍病理学 助教 三好 憲雄
新技術の概要
光増感剤に対してレーザーを照射中に新たな光生成物ができるので、その光生成物に対しても2波長同時に照射できる半導体レーザーの開発を行ない、光増感剤投与した実験腫瘍モデルマウスに対して、レーザー照射した治療効果を検討した結果、その治療効果を実証化した。
従来技術・競合技術との比較
新たな光生成物が出来る光増感剤を用いて、その生成物が新たに光増感剤として機能していることを明らかにした。さらには新たな光増感に関わる波長を特定して2波長に特化した半導体レーザーを開発し、その治療効果を証明できた。
新技術の特徴
・2波長と特定化
・治療効果の実証化
・開発の低価格化
想定される用途
・がんの光線力学治療用レーザー
・新たな蛍光診断用半導体レーザーによる癌組織の蛍光診断用レーザー
・がん組織の蛍光診断同時照射治療用半導体レーザーおよび重粒子線治療との併用レーザー
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
4)酵素の安定性を高める植物由来因子
福井大学 大学院工学研究科 生物応用化学専攻 准教授 寺田 聡
新技術の概要
酵素は高温やpH変化などで失活もしくは活性低下が生じる。従来、酵素安定化剤にウシ血清アルブミンが用いられてきたが、BSE(牛海綿状脳症)など人畜共通感染症が懸念され、医療分野では動物由来因子の使用が控えられている。そこで植物由来の生体高分子を酵素安定化剤として開発した。
従来技術・競合技術との比較
高温での保存による酵素活性の低下に対して、新開発した酵素安定化剤は、従来のウシ血清アルブミンに対して同等以上の保護効果を示した。さらに、由来が植物であることから、人畜共通感染症の懸念が払拭された。加えて、新開発した酵素安定化剤は高圧蒸気滅菌可能であり、取り扱いも容易である利点がある。
新技術の特徴
・植物由来の、人畜共通感染症の懸念のない酵素安定化剤
・酵素反応時間の延長による生産性の向上
・高圧蒸気滅菌可能な酵素安定化剤
想定される用途
・臨床診断に用いられる酵素試薬の安定化剤
・PCR反応で用いられるDNAポリメラーゼの熱安定性のさらなる向上
・長期保存される酵素の安定化剤
- アグリ・バイオ
5)光脱炭酸反応による大環状ラクトンの合成方法
福井大学 大学院工学研究科 生物応用化学専攻 講師 吉見 泰治
新技術の概要
香料および抗菌・抗腫瘍作用など様々な生理活性を有する大環状ラクトンを、温和な条件下、新規な光脱炭酸反応を経由して、高収率で得ることに成功した。さらに、この反応を利用して、ラクトン環の環拡大反応も可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来の方法では、特殊なエステルや高価な有機金属を使用する必要があり、さらに、反応条件が厳しいため、使用できる基質の数が少なく、合成できるラクトンも限られていた。
新技術の特徴
・光脱炭酸反応を経由した大環状ラクトン合成
・温和な条件での反応
・ラクトン環の環拡大反応
想定される用途
・温和な条件(室温、中性)でのラクトン合成
・新規な大環状ラクトンの合成
・すでに合成しているラクトン環の環拡大化
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
6)リチウムイオン電池用チタン酸リチウム負極材料
福井大学 大学院工学研究科 材料開発工学専攻 教授 荻原 隆
新技術の概要
安定な充放電サイクル特性を得ることができる共に、高い出力密度を得ることが可能なリチウムイオン電池用負極材料の製造方法と当該製造方法により得られるチタン酸リチウム粒子を提供する。
従来技術・競合技術との比較
従来の溶液法や固相反応法と比べて、チタン酸リチウムが短時間に製造できる点に優位性があり、ワンステップで高い導電性を付与できる点に新規性がある。
新技術の特徴
・電子材料(誘電体、蛍光体、磁性体、半導体)用酸化物ナノ粒子の製造
・金属ナノ粒子の製造
・生体用ナノ粒子(アパタイト)の製造
想定される用途
・EV、HEV用蓄電池
・電力貯蔵用蓄電池
・ロボット等産業用蓄電池
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
7)フッ素化された二酸化チタン水溶液と着色二酸化チタン粉末の製造方法
福井大学 大学院工学研究科 材料開発工学専攻 助教 金 在虎
新技術の概要
光触媒活性を有し、チタニアゾルやチタニアゲル、二酸化チタン微粒子の分散体などのように二酸化チタン粒子状で存在しているのではなく、二酸化チタンそのものが溶解しているフッ素化された二酸化チタン水溶液の製造方法とフッ素化された二酸化チタン粒子と過酸化物水溶液との反応で得られた着色二酸化チタン粉末の製造方法に関する技術である。
従来技術・競合技術との比較
二酸化チタンの分散安定性を高めるために、光触媒活性を有し、チタニアゾルやチタニアゲル、二酸化チタン微粒子の分散体などのように二酸化チタンが粒子状で存在しているのではなく、二酸化チタンそのものが溶解している溶液である。また、過酸化物水溶液との反応で着色二酸化チタン粉末製造が可能である。
新技術の特徴
・様々な条件下で、フッ素ガスと二酸化チタン粒子との反応で得られたフッ素化二酸化チタン粒子の製造方法
・フッ素化された二酸化チタン粒子と過酸化物水溶液を混合したフッ素化された二酸化チタン水溶液の製造方法
・フッ素化二酸化チタンと過酸化物水溶液との混合物を含む固形分の乾燥で得られる着色二酸化チタン粉末の製造方法
想定される用途
・フッ素化された二酸化チタンからなるフィルムおよび水性塗料の提供
・優れた光触媒活性を有し、光触媒としてのみならず、触媒活性を有する有彩色の顔料として活用できる着色二酸化チタン粉末の提供
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
8)貝殻からの蛍光物質の新規抽出方法とその応用
福井大学 大学院工学研究科 材料開発工学専攻 教授 米沢 晋
新技術の概要
産業廃棄物として処理されている貝殻について、熱処理温度により含有物質の変化を制御し、新しい蛍光物質を作製した上で、簡易な抽出方法との組み合わせによって分取する方法について説明する。得られる材料は蛍光物質であること、担持体を選べば蓄光性を示すことなどを整理して紹介する。
従来技術・競合技術との比較
これまで貝殻の処理は、その炭酸カルシウム分の状態変化に注目した高温での熱処理や、タンパク質に注目したアルカリ水溶液による加水分解処理が一般的であった。本研究ではそのどちらでもない中低温域(400℃以下)での熱処理と抽出操作の組み合わせにより、新しい機能性物質を得ることができた。
新技術の特徴
・生物由来の新しい蛍光タンパク質であり、耐酸性や耐熱性に優れる
・白色顔料の製造プロセスとしても優秀
・蓄光性を示す条件がある
想定される用途
・塗料
・フィラー
・バイオマーカー
関連情報
・サンプルの提供可能
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