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広島大学 新技術説明会(1)

日時:2010年05月13日(木)

会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 環境

1)超臨界水を用いたバイオマス低温ガス化法

広島大学 工学研究科 機械システム工学専攻 助教 吉田 拓也

新技術の概要

本技術は、400℃程度の比較的低温度の超臨界水中においてバイオマス物質をガス化する技術である。低温度で副生する固体生成物(チャー)を選択的に部分酸化し、その分解反応を促進することで低温度での高ガス化率を実現する。

従来技術・競合技術との比較

バイオマスの従来の熱化学的なガス化法で95%以上のガス化率を得るには、高温ガス化法では800℃以上、従来の超臨界水ガス化法でも600℃以上のガス化温度が必要である。本技術は、ガス化温度400℃で94%のガス化率を実現している。

新技術の特徴

・有機物を反応温度400℃、反応時間2分程度でほぼ完全ガス化可能
・副生する固体生成物を沈殿させ、選択的に部分酸化を行い、分解反応を促進
・生成ガス組成は、反応温度・反応圧力における熱力学的な平衡ガス組成となる

想定される用途

・ごみ処理場排熱を利用した、バイオマスのガス化発電
・製紙工場の廃棄黒液のガス化による水素製造
・バイオオイルの超臨界水ガス化による高効率バイオマスエネルギー利用

  • エネルギー

2)二酸化炭素からのメタンガス合成

広島大学 先進機能物質研究センター 准教授 市川 貴之

新技術の概要

低炭素社会実現のために、新たな燃料合成技術が求められている。本技術では、二酸化炭素を原料ガスとして用いて、天然ガスの主成分として知られるメタンガスを合成するものである。

従来技術・競合技術との比較

水素ガスと一酸化炭素を原料として、合成ガスを生成する技術は広く知られているが、二酸化炭素を用いた合成燃料の生産技術はこれまであまり考えられていない。

新技術の特徴

・二酸化炭素からのメタンガス合成
・低炭素社会実現
・メカノケミカル反応を用いた合成燃料

想定される用途

・エネルギー輸送
・二酸化炭素の固定化
・エネルギー貯蔵

  • エネルギー

3)柔軟性弾性素材による海洋エネルギー発電技術

広島大学 工学研究科 輸送・環境システム専攻 准教授 陸田 秀実

新技術の概要

海洋エネルギー発電デバイスは、柔軟性弾性素材(シリコン、ゴムなど)と圧電フィルムからなる薄型積層タイプの発電体である。本デバイスに、波浪、潮流、海流を作用させると、柔軟に変形(引張、せん断、曲げ変形)し、電気エネルギーを生み出すことができる。

従来技術・競合技術との比較

本デバイスは、柔軟性に富むため、様々な海洋エネルギー(波浪、潮流、海流)を受けて柔軟に撓み変形し発電するので、従来のタービン方式とは発電原理自体が異なる。そのため、特定の海洋エネルギーに特化することなく、様々な海洋エネルギーを利用する発電施設等に利用可能。

新技術の特徴

・水力エネルギー発電
・風力エネルギー発電
・振動を利用した発電

想定される用途

・波浪エネルギー発電
・潮流エネルギー発電
・海流エネルギー発電

  • 環境

4)排水等からの微生物を利用したリン資源回収

広島大学 工学研究科 社会基盤環境システム専攻 教授 大橋 晶良

新技術の概要

排水や処理水に含有している低濃度のリンを特殊な微生物の機能を利用して100倍程度濃縮化し、100mgP/L以上の高濃度液にする技術である。この技術により、少量になった高濃度リン含有液からその後のMAP法等によるリン資源化を低コストで行うことが可能となる。

従来技術・競合技術との比較

低濃度のリン含有水からリンを化学的に回収するには、コストが嵩むため、高濃度にすることでコストを低減できる。従来の生物学的排水処理におけるリン除去・回収は、汚泥にリンを取り込ませ、その汚泥を回収しリンを溶出させる方法であるが、本技術は汚泥回収せずリンを高濃度化する。

新技術の特徴

・生分解性プラスティック材料PHA(Polyhydroxyalkanoates)の生産
・排水中の希金属の回収
・液肥の生産

想定される用途

・下・排水処理におけるリン除去・回収
・海水や湖沼・河川水からのリン回収
・有機性廃棄物からのリン回収

  • アグリ・バイオ

5)無環境負荷多収性作物育種を実現する新規遺伝子の利用

広島大学 理学研究科 数理分子生命理学専攻 助教 高橋 美佐

新技術の概要

遺伝子Vita1は、トマトにおいて、通常空気に含まれる二酸化窒素(NO2)に応答して果実増産効果を示す。この遺伝子を利用して、自然に何処にでも在るNO2をシグナルとした省資源・無環境負荷の多収性作物の育種技術を開発する。

従来技術・競合技術との比較

本技術は、肥料や農業薬剤など新たな資源の投入を必要としない.また、特殊な装置、設備を必要としない。よって他の技術に比べて低コストかつ温暖化ガス発生抑制型技術である。

新技術の特徴

・新規作物増産薬剤の開発
・新規気象大気成分指標を用いた作物生産の評価
・植物工場のおける気象条件の新制御

想定される用途

・多収性作物育種
・植物工場
・大気成分と農業生産

  • アグリ・バイオ

6)ヒト・マウスに交差するApoB特異的抗体の活用方策

広島大学 生物圏科学研究科 特任教授 松田 治男

新技術の概要

ヒトLDLを免疫原として作製したニワトリモノクローナル抗体である。ヒトとマウスのApoBに交差反応する抗体で、免染で動脈硬化巣を特異染色し、抗LOX-1抗体と組み合わせて高感度に酸化LDLを検出可能な抗体である。

従来技術・競合技術との比較

ヒトとマウスのApoBを交差認識する抗体であることから、マウスでの実験データをヒトに反映させる上で好適である。

新技術の特徴

・血液浄化を目的としたLDLや酸化LDLの除去

想定される用途

・ヒトおよびマウスの酸化LDLの高感度検出キット構築
・ApoB検査用試薬
・心血管病研究の検査試薬

関連情報

・サンプルの提供可能

  • アグリ・バイオ

7)ブタ凍結精液作製液、融解液が、養豚を大転換させる

広島大学 生物圏科学研究科 陸域動物科学専攻 准教授 島田 昌之

新技術の概要

我が国の養豚業は5000億円規模の産業である。その効率的生産には、凍結精液による人工授精の実用化が求められていた。我々は、凍結用希釈液、融解液を開発し、凍結精液による人工授精法を確立した。

従来技術・競合技術との比較

従来法では、期待される繁殖成績が低く、生産ベースにならないため、肉豚生産には全く実用化されていなかった。本技術は、精子の生理学・分子生物学的解析から、画期的な新手法を開発したものである。

新技術の特徴

・溶液の供給により、簡便に高い繁殖成績が得られるブタ凍結精液を作成可能となる
・多種の家畜凍結精液作製への応用も期待できる
・ヒト高度生殖補助医療への応用も期待される

想定される用途

・公益団体・私企業・地方公共団体によるブタ凍結精液作製
・大規模養豚家における遺伝資源保存用

関連情報

・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり

  • アグリ・バイオ

8)高輝度変異型発光酵素によるリムルス反応等の特異的プロテアーゼ活性の高感度測定技術

広島大学 ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 分子生命情報科学研究部門 特任准教授 野田 健一

新技術の概要

高輝度変異型発光酵素により、特異的プロテアーゼ反応を光信号化することで高感度かつ迅速に測定するシステム。本技術をリムルス反応に適用すれば、安全性判断基準である0.1pg/mlのエンドトキシンを15分以内に測定可能となる。

従来技術・競合技術との比較

従来技術は70分以上を必要としていた、0.1pg/mlのエンドトキシン測定が15分以内に測定できる他、転移性ガンに特異的プロテアーゼ活性等も携帯型発光測定器により現場での測定が可能となる。

新技術の特徴

・安全性の判定基準値である0.1pg/mlのエンドトキシンを15分以内に測定可能である
・転移性ガン細胞に特有のプロテアーゼ活性を高感度測定することでガンの特性把握が可能
・携帯型発光測定器の使用により「いつでも・どこでも・誰にでも」特異的プロテアーゼ活性を高感度測定可能である
・高輝度変異型発光酵素により細菌を1個レベルで検出可能

想定される用途

・点滴・注射薬製造工程、人工透析液調製時におけるエンドトキシン汚染を迅速・高感度にその場測定し、医薬品の安全性を確保する
・救急医療現場における敗血症診断を迅速・高感度にその場にて検査可能となる
・花粉症との関係で注目されつつある環境中のエンドトキシン濃度を現場にて迅速・高感度に測定可能となる
・リムルス試薬の組成変更により、カビ汚染も15分以内の高感度測定が可能である

関連情報

・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

広島大学 産学・地域連携センター 国際・産学連携部門

TEL:082-421-3631FAX:082-421-3639
Mail:techrdアットマークhiroshima-u.ac.jp
URL:http://www.hiroshima-u.ac.jp/techrd/
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Mail:scettアットマークjst.go.jp

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