関西大学 新技術説明会
日時:2010年12月10日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- デバイス・装置
1)液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイの性能・生産向上技術
関西大学 システム理工学部 電気・電子情報工学科 教授 田實 佳郎
新技術の概要
構造の異なる各種の高分子フィルムの光弾性定数を物理定数(測定環境・方法で変化しない:緩和現象を考慮する)として精密に評価するシステムを開発し、それを用い新たな材料開発の可能性を示した。
従来技術・競合技術との比較
生産工程での光弾性現象の厳密な管理を行なわねばならない。しかし、従来技術である静的な応力では物理定数としての光弾性測定は不可能である。
新技術の特徴
・微視的な(または局所的な)膨張を計測
・低加重変位計測
・偏光計測
想定される用途
・液晶デスプレイ極小光弾性定数フィルムの特性評価
・有機EL長寿命化ための非破壊局所部熱膨張計測システム
・微細構造の熱膨張による変形の評価
関連情報
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
2)光の衝撃波を利用したテラヘルツ波レーザー
関西大学 システム理工学部 物理・応用物理学科 准教授 淺川 誠
新技術の概要
周波数0.1〜3THzの領域で周波数連続可変、狭帯域幅、CW出力100mWを発生できる小型自由電子レーザー装置。
従来技術・競合技術との比較
従来の光伝導スイッチ型テラヘルツ波源と比較すると単一周波数でかつ高出力である点、量子カスケードと比較すると周波数可変である点に優位性がある。
新技術の特徴
・周波数が連続可変である
・単一周波数(スペクトル幅0.1%)で発振する
・平均出力は100mWに達する
想定される用途
・テラヘルツ分光システムの組み込み光源
・テラヘルツイメージングシステム用の光源
・テラヘルツ通信
- 材料
3)将来型蓄電デバイス用高機能材料の開発
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 助教 山縣 雅紀
新技術の概要
電気自動車などへの中・大型電力貯蔵用電源として有望であるリチウムイオン二次電池や、高出力が魅力である電気化学キャパシタを構成する電極および電解質について、種々の新材料を適用することにより、従来技術に比べて、より安全かつ高性能なデバイスの実現を目指している。
従来技術・競合技術との比較
市場の求める理想的な蓄電デバイスは高エネルギー密度かつ高出力密度であり、さらに高安全性であることが望ましいが、これらを両立することは難しい。本新技術はこれらを解決する手段の一つとなりうる。
新技術の特徴
・天然高分子を応用した全く新しい固体電解質
・蓄電デバイスの高容量化を可能にする新システムの提案
・蓄電デバイス用電極の新しい製造方法
想定される用途
・自動車
・自然エネルギー利用技術
・携帯電子機器
関連情報
・サンプルの提供可能
- 環境
4)有機溶媒回収用多孔質高分子膜と膜透過法の開発
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 教授 浦上 忠
新技術の概要
分離を対象とする有機液体混合液の温度と多孔質高分子膜周辺の温度に差を与える「温度差制御気化浸透法」により、希薄バイオアルコールからアルコールの選択的濃縮や有機溶媒中の水の脱水を高効率に行える。
従来技術・競合技術との比較
膜分離技術は蒸留に比べ省エネ的であり、プロセスとの連結一体化を行えば連続的な分離、濃縮が可能である。吸着による脱水に比べ、膜分離では処理量ははるかに高く、連続操作が可能である。
新技術の特徴
・1.省エネ的
・2.操作が簡便
・3.装置が簡易
想定される用途
・1.バイオアルコールの濃縮
・2.有機溶媒の脱水
・3.有機混合溶媒の分離
・4.化学反応の促進
関連情報
・外国出願特許あり
- 機械
5)蚊の口針を摸倣したマイクロニードルの作製
関西大学 システム理工学部 機械工学科 教授 青柳 誠司
新技術の概要
マイクロマシニング技術を用いて蚊の口針を摸倣したマイクロニードルを作製する。シリコンを用いて先鋭な針を作製し、それをもとに電鋳により鋳型を作製し、射出成形によりポリマー製の針を作製する。
従来技術・競合技術との比較
金属加工で鋳型を作製する場合、複雑な形状の実現が難しい。マイクロマシニングを用いる場合でも2.5次元の形状が一般的である。本提案によれば、真に3次元の形状を有する微細構造が射出成形により実現できる。
新技術の特徴
・真に3次元的な形状を有する微細構造が作製できる
・マイクロマシンを用いて作製した物体をもとに鋳型を作製する
・マイクロ射出成形とロストモールディングによりポリマー製の微細構造が作製できる
想定される用途
・医療用マイクロニードル
・マイクロ医療デバイス
・マイクロセンサ・アクチュエータ
- 医療・福祉
6)ヒストン脱アセチル化酵素、チューブリン、Mdmxなどの生体分子の機能を阻害する新規抗癌剤の創製
関西大学 化学生命工学部 生命・生物工学科 教授 上里 新一
新技術の概要
ヒストン脱アセチル化酵素、チューブリンなどに作用する新規抗癌剤を創製した。最近、我々の抗癌活性化合物ライブラリーから、p53-Mdmx相互作用選択的阻害物質が、国立がんセンター江成政人博士により見出された。分子及び動物レベルの研究で、これらの新薬候補化合物としての有用性を実証した。
従来技術・競合技術との比較
従来関連品と比べ、次のような優位性もつ。即ち、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤K-350は経口性があり、高い抗腫瘍効果をもつ。K-178は、初めて見出されたp53-Mdmx相互作用選択的阻害剤であり、Mdmx過剰発現型癌細胞に選択的毒性を示す。微小管形成阻害剤K-240の作用はcytostaticであるため、腎毒性などの副作用が低いことが期待される。
新技術の特徴
・分子標的抗がん剤として、難治性がんの治療に応用できる
・遺伝子発現増強剤として、遺伝子導入技術に応用できる
・神経変性症、心肥大症などの治療、デング熱ウイルス感染症状改善に応用できる
想定される用途
・抗癌剤
・遺伝子導入、遺伝子治療、再生医療
・神経変性症
関連情報
・サンプルの提供可能
- 情報
7)携帯端末で取得可能な印刷画像へのデータ埋め込み技術
関西大学 システム理工学部 電気・電子情報工学科 教授 棟安 実治
新技術の概要
印刷物を携帯電話のメール機能やWeb機能と有機的に連携させたいという要求は強く、広告の意匠を損なう2次元バーコードの代わりに、印刷物上の画像を利用してこれらに必要な情報を伝達する技術を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では数十ビット程度の埋め込みしかできなかったのに対して、本技術は112ビットの埋め込みデータを95%以上の検出率で検出可能であり、インターネットと印刷物をつなぐ有効な手段になり得る。
新技術の特徴
・低コストで携帯端末に情報を供給できる
・電子ペーパーなどの技術と組み合わせれば容易に供給するデータ内容を変更できる
・携帯電話のカメラを含む簡単なCCDあるいはCMOSカメラがあれば利用可能
想定される用途
・広告・マーケティング(2次元バーコードの代替)
・美術館や博物館などの案内情報の供給
・クーポンの配布(例えば、グルメサイトとの連携)
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
関西大学 社会連携部 産学官連携センター・知財センター
TEL:06-6368-1245FAX:06-6368-1247Mail:syakairenkeiml.kandai.jp
URL:http://www.kansai-u.ac.jp/renkei/
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