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国立高等専門学校機構 新技術説明会

日時:2010年07月12日(月)

会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 材料

1)制振性を付与したチタン合金の特徴と精密機器部品への展望

鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 助教 万谷 義和

新技術の概要

本技術は、軽量・高強度・高耐食性のチタン合金において、組成・熱処理および加工といった因子を制御することにより制振性を飛躍的に向上させ、合金素材そのもので振動や騒音の低減を可能にする材料技術である。

従来技術・競合技術との比較

従来技術では、チタン合金の制振性は金属材料の中でも特に低いと位置づけられていた。新技術を用いることにより、汎用制振合金並みの制振性がチタン合金で得られ、軽量化が図れる点に大きな特徴がある。

新技術の特徴

・軽量・高強度・高耐食性を示すチタン合金に、制振性という新たな機能性を付与する
・これまで有用性の低かったチタン合金のマルテンサイト組織を積極的に利用する
・汎用制振合金との比較では、軽量・高強度・高耐食性および非磁性といった点に特徴がある

想定される用途

・振動・騒音低減を必要とする分野で、強度・耐久性等もあわせて必要とする製品・部品
・精密機器部品、音響機器部品など
・自動車・鉄道等の輸送機器の部品など

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 材料

2)安心・安全・信頼の抗菌薄膜材料

鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 教授 兼松 秀行

新技術の概要

食品加工や医療福祉等の現場において、器具等に細菌が付着する問題に対して、基材としての材料の機能性を保持しつつ、表面に銀,銅などの抗菌力のある金属を熱処理と表面処理の組み合わせにより加えて、上記問題を解決する技術を提供する。

従来技術・競合技術との比較

従来の塗装技術に比べると、強度(耐摩耗性等)、耐食性の点で本法が遙かに優れている。また電気めっきによる従来の合金薄膜形成では、合金作製の条件が難しく、気相中からの合金薄膜形成に比べて本法はコストを大きく低減させることができる。

新技術の特徴

・海洋構造物
・冷却水系関連材料
・医療福祉材料

想定される用途

・食品加工関係機械部品類
・各種建築用材料
・各種容器類

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 材料

3)超高純度水素分離・精製用バナジウムおよびニオブ系水素透過合金膜の実用化

鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 准教授 南部 智憲

新技術の概要

純水素分離・精製用のパラジウム合金膜代替となるバナジウム系およびニオブ系水素透過合金膜の設計技術により超高純度水素を低コストで高効率に分離・精製するためのシステムの実用化を図る。

従来技術・競合技術との比較

独自に開発された指針に従って設計された合金は、すでに現在実用されているパラジウム合金と比較して、数倍?十数倍高い世界最高レベルの水素透過速度を発揮する。

新技術の特徴

・水素脆性破壊を抑制するための材料設計
・バイオガス等希薄水素混合ガスからの水素の分離
・先端的な薄膜加工技術

想定される用途

・燃料電池自動車用水素ステーションでの水素分離・精製
・半導体製造用超高純度水素精製
・種々混合ガスからの高純度水素分離・精製

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 製造技術

4)大気圧プラズマによる表面処理機構とその応用

大島商船高等専門学校 電子機械工学科 助教 中村 翼

新技術の概要

誘電体バリア放電方式により真空装置を必要とせず、簡単に大気圧下で安定したプラズマを生成する。本技術は、この生成したプラズマ中に存在する、オゾンや高反応性を有するラジカル等を応用したものである。

従来技術・競合技術との比較

大気圧プラズマによる表面処理のため、インラインかつ高速処理が可能であるとともに、表面に存在する有機汚染物や金属酸化物等を除去することができる。本技術は、液体を用いないDry洗浄である。

新技術の特徴

・高速かつ連続的な表面処理が可能
・環境適正に優れたDry処理
・常温常圧で、かつシンプルな装置で構成

想定される用途

・大気圧プラズマの表面処理機構の付加価値として、プラズマの持つ高エネルギーの利用が可能
・プラズマ中の高反応性物質(ラジカル等)によるガス状汚染物質や悪臭成分などの除去反応

  • 材料

5)Ba系銅酸化物薄膜の製造法

熊本高等専門学校 専攻科 教授 木場 信一郎

新技術の概要

100Kを超える高い超伝導転移を持った高温超伝導,電気伝導性などの特徴を有する銅酸化物薄膜を結晶性よく製造するために、複合酸化物薄膜をバッファ層として、その表面にBa-Ca-Cu-Oを堆積する製造法。

従来技術・競合技術との比較

従来、SrTiO3基板上に銅酸化物を堆積させる方式のMBE法で、超薄膜が作製されているが、空気雰囲気において、劣化しやすい。本技術は、複合酸化物薄膜をバッファ層とすることで、結晶性と安定性の面で改善した。

新技術の特徴

・Ba-Ca-Cu-O薄膜の製造
・超伝導薄膜として安定なBa-Ca-Cu-O薄膜の作成

想定される用途

・酸化物の厚膜技術
・超伝導線材の基盤技術としての薄膜システム

  • 材料

6)様々な形状・サイズの固体試料に適用可能な光音響セル

香川高等専門学校 電子システム工学科 准教授 矢木 正和

新技術の概要

導波通路に連通する孔を有する板状の光透過性部材と衝合する板状のシール部材に試料室を形成した光音響セル。きわめてシンプルな構造を実現すると共に、試料の形状・サイズに関わらず高感度・低雑音での光音響測定が可能となる。

従来技術・競合技術との比較

従来型の光音響セルでは、測定可能な試料の形状・サイズや測定感度が試料室の形状等によって大きく制限され、セル内壁の光吸収に起因する雑音も問題になる。これらを一度に解決する技術は、これまでに提案されていない。

新技術の特徴

・様々な形状・サイズの固体試料に対して高感度・低雑音の光音響測定が可能
・バルク、薄膜、粉末などの材料はもちろん、薄膜デバイスの評価などにもそのまま適用できる
・平面的でシンプルな構造なので分光システムに組み込み易く、コスト性にも優れている

想定される用途

・光音響分光測定装置
・光励起過程評価装置(考案した光音響セルの特徴を生かした、新たに提案する光物性評価システム)
・フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)

  • デバイス・装置

7)補修・補強用モルタルの品質の評価方法及び評価装置

大分工業高等専門学校 都市システム工学科 准教授 一宮 一夫

新技術の概要

モルタルの経時的な特性変化として、①攪拌開始からモルタルのせん断応力が過渡変化する過渡期間、②過渡期間後の安定期間、でのモルタルのせん断応力値から、簡易かつ高精度にモルタルを評価(コンシステンシー評価)する。

従来技術・競合技術との比較

従来のコンシステンシ?評価方法は、フロー値又は、最大せん断応力を算出する等フロー法の変形即ちモルタルの相対的な固さを表すもので、練り混ぜから凝固までの経時的変化を考慮した評価ではなかった。

新技術の特徴

・回転翼粘度計でモルタルのせん断応力を経時的に測定することで,安定的により細かくコンシステンシー評価を行うことができ,フロー値よりも鋭敏なモルタル評価ができる
・フロー値を測定するフローテーブルのような大掛かりな装置を必要としない
・物理量であるレオロジー定数へ変換することができ,より細かく物性を評価することができる

想定される用途

・モルタルの品質評価ならびに施工性評価
・食品の配合の検討
・塗料の品質評価ならびに作業性評価

  • 材料

8)環境負荷の小さい有機金属錯体を用いた酸化亜鉛薄膜の製造方法とその応用デバイス

仙台高等専門学校(広瀬) 地域イノベーションセンター 副校長 (研究・産学連携担当)教授 羽賀 浩一

新技術の概要

安価で環境負荷の小さい有機金属錯体を気相成長法の原料として高品質な酸化亜鉛薄膜の形成方法に成功した。この薄膜のデバイス応用例である薄膜トランジスタ、電極材料及び圧電素子等は透明化が可能となる。

従来技術・競合技術との比較

気相成長(CVD)法に使用される有機金属材料は可燃性や毒性を有し、さらに高価なものであった。本提案の有機金属錯体は安定・無毒であり、得られた酸化亜鉛薄膜も平坦な表面と優れた電気・光学特性を有する。

新技術の特徴

・新材料であるβジケトン系の有機金属錯体を原料とした気相成長(CVD)法による高品質薄膜製造技術
・酸化亜鉛薄膜の結晶方位の制御技術及びエピタキシャル成長技術
・高品質酸化亜鉛薄膜を用いた薄膜トランジスタ、透明導電電極、光センサ等のデバイス応用

想定される用途

・無機材料全般の安価で安全な薄膜成長技術
・結晶方位を自在に制御した新規な半導体デバイスの実現(高移動度デバイス、圧電デバイス)
・安価で環境負荷の小さい大面積デバイス(透明導電膜、透明薄膜トランジスタ)

関連情報

・外国出願特許あり

  • デバイス・装置

9)硫化物薄膜デバイス及びその製造方法

長野工業高等専門学校 電気電子工学科 助教 百瀬 成空

新技術の概要

硫化物薄膜デバイスの裏面電極層に金属とシリコン、銅・亜鉛・スズをそれぞれ同時スパッタし、硫黄雰囲気中で加熱することにより、四元硫化物光吸収層と金属シリサイド裏面電極層を同時に形成させる。

従来技術・競合技術との比較

これまで硫化物薄膜デバイスの裏面電極層に利用されてきたモリブデンは、硫化処理工程中に硫化物層に変質する場合があり、硫化物層との付着強度や導電性を損なうという問題が残されていた。

新技術の特徴

・金属シリサイドは化学的に安定であるため、硫化処理工程による強度劣化や導電性低下を防止できる
・シリサイドの原料は構成材料(金属・シリコン)を組み合わせたターゲットを用いるため,同時スパッタ堆積が可能
・硫化処理の熱処理により硫化物層とシリサイド層の同時形成が可能

想定される用途

・Cu2ZnSnS4(CZTS)系薄膜太陽電池の裏面電極層
・CZTSに限らず、CIGS系等硫化物をベースにした薄膜デバイスの裏面電極層への利用も想定される

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

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