北東・地域大学コンソーシアム 新技術説明会
日時:2011年02月08日(火)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- アグリ・バイオ
1)植物遺伝子にサイレイシング変異を発動させる簡便システム
弘前大学 農学生命科学部 生物資源学科 教授 原田 竹雄
新技術の概要
遺伝子サイレンシングには後代に遺伝する転写型がある。これを人為的に発動させて特定遺伝子の機能を抑制させることができれば、有用変異体の育成が可能となる。本発明はサイレンシングを容易に発動できる簡便なシステムを開発した。
従来技術・競合技術との比較
遺伝子サイレンシングを発動させるためには、逆位反復配列という構造を構築し、それを転写してヘアピンRNA分子を産生する煩雑な作業工程があった。本システムは目的の配列を専用のベクターに組み込むだけでサイレンシングが発動できる。
新技術の特徴
・品種改良への活用
・遺伝子解析技術としての活用
想定される用途
・植物育種分野
・植物遺伝子解析
- アグリ・バイオ
2)植物の耐寒性と耐乾燥性を付与する新しい技術
岩手大学 農学部 附属寒冷バイオフロンティア研究センター 教授・センター長 上村 松生
新技術の概要
植物の耐寒性や耐乾燥性を増大あるいは付与することは、寒冷地での農作物の増産に必須である。本新技術は、機能性ペプチドを用いて転写因子を転写抑制因子に変換し、凍結耐性と乾燥耐性を増大して植物を作出する技術である。
従来技術・競合技術との比較
本技術の特徴は、(1)通常条件で生育した植物が高い耐寒性と耐乾燥性を併せ持つこと、(2)重複する転写因子活性の機能を全体的に制御することができること、(3)春先の耐寒性低下を遅らせることが可能であること、などである。
新技術の特徴
・低温や乾燥条件下でも路地生育可能な植物の作出
・秋の早霜や春の遅霜に耐えられる植物の作出
・生育・鑑賞季節が長い園芸作物の作出
想定される用途
・寒冷地での食糧作物の増産
・低温や乾燥による農作物被害の軽減
・成育中の暖房費用の軽減
- アグリ・バイオ
3)テンサイと牛乳の混合原料からエタノールをつくるフレックス酵母
帯広畜産大学 食品科学研究部門 機能科学分野 教授 小田 有二
新技術の概要
テンサイ濃縮汁をチーズホエーで希釈した原料に存在するスクロースとラクトースを同時かつ迅速に発酵してエタノールを生産するフレックス酵母を開発した。
従来技術・競合技術との比較
一般的なエタノール生産用酵母はスクロースまたはラクトースのいずれかのみを迅速に発酵するが、両方とも同時かつ迅速に発酵してエタノールを生産するのはフレックス酵母だけである。
新技術の特徴
・テンサイやサトウキビ由来の糖質とチーズホエーを混合した原料からのエタノール生産
・チーズホエー中で糖化したデンプン質原料からのエタノール生産
・売れ残りなどの廃棄乳からのエタノール生産
想定される用途
・食料と競合しない原料からのバイオエタノール生産
・残飯と牛乳の混合原料からのバイオエタノール生産
・乳またはチーズホエーを原料とした新規焼酎の製造
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
4)ウレタンを吸着・分解する微生物とそのスクリーニング
帯広畜産大学 食品科学研究部門 機能科学分野 准教授 大和田 琢二
新技術の概要
本技術は、ポリウレタン(PUR)原材料の効率的な吸着・浄化や回収、並びに、PUR廃棄物(指サック等)の分解・除去を容易にする。また、PURの吸着・浄化能力を持った微生物のスクリーニング手段を提供する。
従来技術・競合技術との比較
これまで、PUR分解微生物が分離されているが、複雑な化学構造や製品形態を持つPURを十分に除去する技術は確立されていない。本技術は、低濃度の有機溶剤を含む環境でもPURを吸着・浄化する手段を提供する。
新技術の特徴
・ポリウレタン原材料の吸着と回収
・ポリウレタン廃棄物の分解と除去
・ポリウレタンの吸着・浄化能力を持った微生物のスクリーニング手段
想定される用途
・環境中に漏出したポリウレタン原材料の回収とリサイクル
・ポリウレタン廃棄物の分解及び除去資材
・ポリウレタン分解菌の探索やその分解能力の簡便な評価手段
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
5)植物の潜在性ウイルスベクターを利用した新技術開発
岩手大学 農学部 農学生命課程 教授 吉川 信幸
新技術の概要
リンゴ小球形潜在ウイルス(ALSV)ベクターは、目的遺伝子の発現や抑制を簡便に行なうことができるツールである。例えば、植物の開花促進への利用、またウイルス病防除の生物農薬としても利用できる。
従来技術・競合技術との比較
従来には全くない技術である。
新技術の特徴
・ALSVベクターに目的遺伝子を連結し植物に感染させることで、植物体での目的遺伝子の発現が可能
・ALSVベクターに目的遺伝子を連結し植物に感染させることで、植物体での目的遺伝子のノックダウンが可能
・病原ウイルスの一部をALSVベクターに連結することで、ワクチンウイルスとして利用可能
想定される用途
・果樹、野菜、花卉の開花促進による育種の効率化
・植物の遺伝子機能解析
・植物ウイルス病のワクチンウイルスとしての利用
- 創薬
6)細胞接着阻止剤コート処理による三次元細胞培養法
岩手医科大学 薬学部微生物薬品創薬学講座 化学療法学、創薬学 教授 上原 至雅
新技術の概要
本細胞培養ツールは、がん細胞及びがん幹細胞の簡便・迅速な三次元培養と定量法を実現する。本培養法により、がん細胞はスフェロイド(がん細胞塊)を形成しながら増殖する。約40種類のヒトがん細胞株のスフェロイド形成能と腫瘍形成能との間に高い相関性が認められた。スフェロイド形成能はがん幹細胞の重要な特性として知られていることから、本方法は、がんの再発を阻止し、治癒を達成するあらたな抗がん剤の創薬スクリーニングに有用と考える。
従来技術・競合技術との比較
従来型より極めて安価かつ簡便に三次元培養のセルカルチャーウェアを提供できる。
新技術の特徴
・がん幹細胞増殖の向上
・生体内により近い形態の保持
・ES細胞の多能性維持
想定される用途
・抗がん剤創薬スクリーニング
・薬物代謝酵素誘導評価系
・初代がん細胞培養
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
帯広畜産大学 地域連携推進センター
TEL:0155-49-5771FAX:0155-49-5775Mail:crcenterobihiro.ac.jp
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