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大阪府立大学・大阪市立大学 新技術説明会(1)

日時:2010年11月04日(木)

会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 情報

1)構造化オーバレイネットワークに適した分散双方向連結リスト構築・維持アルゴリズム

大阪市立大学 大学院創造都市研究科 都市情報学専攻情報システム創成研究分野 准教授 安倍 広多

新技術の概要

ネットワークで接続された複数のノードを、双方向連結リスト状に接続するための自律分散アルゴリズム。ノードは任意の契機で挿入・削除可能。またノード故障からの回復アルゴリズムを含む。このため、インターネット環境で実用的に利用できる。

従来技術・競合技術との比較

提案手法では、双方向連結リストに対して複数のノードが並行してノードの挿入・削除を行っても、挿入されているノードへ常に到達可能である。また、ノード故障時の修復が容易である。既存手法でこれら2つの特徴を備えたものは知られていない。

新技術の特徴

・複数のノードが並行してノードの挿入・削除を行っても、挿入されているノードへ常に到達可能
・ノード故障時の修復が容易
・アルゴリズムは単純で容易に実装可能

想定される用途

・信頼性の高いP2Pネットワークの実装
・多数の計算機を用いた分散システムの実装(グリッドコンピューティング、クラウドコンピューティングなど)

  • 情報

2)自然な三次元空中像を形成できる体積走査型ディスプレイ

大阪市立大学 大学院工学研究科 電子情報系専攻 准教授 宮崎 大介

新技術の概要

本技術の3次元ディスプレイシステムは、高速切替え可能な映像表示装置と結像光学系、光学的走査装置等により構成される。残像の残る早さで多くの断面像を表示することで、何もない空間中に三次元像を形成させる。

従来技術・競合技術との比較

本技術は、眼鏡等が不要で、立体視の生理的な知覚要因を全て満たした自然な三次元像を実現できる。スクリーン等の存在しない空中に像を形成できる。ホログラフィのような特殊なデバイスは必要とせず、動画も可能である。

新技術の特徴

・運動視差や焦点調節等の条件が整合した実物がそこにあるような自然な立体感の実現
・スクリーン等のない空間中に三次元像を形成することにより、表示像に触れるようなインターフェイスを実現しやすい
・360度から観察可能な三次元像形成

想定される用途

・医療関連データの立体表示による診断や患者への説明、医師同士の打ち合わせ等の補助
・建物や製品設計時の三次元形状のチェック
・ゲーム関連、 広告表示、博物館の展示等での臨場感・娯楽性のある表示

  • 環境

3)内湾海域の未利用エネルギーを利用した陸域における排熱削減対策

大阪市立大学 大学院工学研究科 都市系専攻 教授 重松 孝昌

新技術の概要

内湾の底層の低温貧酸素水を、陸域における排熱冷却液として利用する。これにより、大気へ排出される排熱を削減するとともに、利用した海水に酸素を負荷して港湾内底層へ放出することによって港湾の貧酸素化を改善する。

従来技術・競合技術との比較

排熱及び内湾の水質環境は、従来独立して対策が施されていた。本技術の実現により、ヒートアイランド対策と内湾漁業の発展が同時に達成されると期待される。また、エネルギー問題や低炭素化社会の実現にも大いに役立つ。

新技術の特徴

・水温差を利用
・熱容量を利用
・密度差を利用

想定される用途

・ヒートアイランド対策
・省エネルギー
・生態系保全

  • 材料

4)水を反応場とする環境低負荷型リサイクル酸化触媒プロセスの確立

大阪府立大学 大学院工学研究科 物質・化学系専攻 応用化学分野 教授 小川 昭弥

新技術の概要

環境にやさしい酸化触媒プロセスの確立を目指して、(1)安全で、かつ無尽蔵に存在する酸素(空気)を共酸化剤に用い、(2)環境に負荷を与えない水を反応場とする、(3)高活性・高耐久性のリサイクル錯体触媒による新酸化触媒プロセスの開発を行っている。

従来技術・競合技術との比較

現行の酸化技術は、毒性の高い酸化剤を有機溶媒中で過剰に用いて実施されている。これに対して本技術では、酸化後、水のみを与える酸素を用い、水溶媒とすることで低炭素化を実現し、触媒の再利用により環境にやさしい酸化技術を達成する。

新技術の特徴

・クリーンな酸化触媒プロセス
・硝酸酸化などの現行の酸化プロセスの既存装置を利用
・酸化、脱水素、重合、接着等の工業プロセスへの展開

想定される用途

・酸化プロセス全般
・カルボン酸合成
・エポキシド合成

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 材料

5)電気分解による金ナノクラスターの簡単合成

大阪府立大学 産学官連携機構 先端科学イノベーションセンター 准教授 椎木 弘

新技術の概要

触媒として有用である金ナノクラスターの産業への安定供給を維持するためには、高精度な粒径制御が必須である。ポリアニリンをマトリックスとして金ナノクラスターを大量合成する手法を開発した。

従来技術・競合技術との比較

化学的還元法による従来の金ナノクラスターは粒度分布が広く、作製ののち分画を要したが、ポリアニリンをマトリックスとして合成する手法により、単分散のクラスターを得ることを可能にした。

新技術の特徴

・酵素反応触媒、ナノ粒子めっき、バイオ標識、化粧品、健康食品

想定される用途

・触媒、めっき、化粧品、食品、ナノテク関連

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 計測

6)高温高圧液相反応のその場紫外可視モニタリング装置とその応用

大阪府立大学 大学院工学研究科 物質・化学系専攻 助教 川村 邦男

新技術の概要

温度400℃、圧力300気圧までの高温高圧液相反応を0.1秒〜数10秒の時間範囲でその場観測する紫外可視分光光度法を開発した。本法は合成化学・触媒開発などの研究を飛躍的に促進するツールである。

従来技術・競合技術との比較

オートクレーブによる古典的手法では、高温高圧液相反応のその場観測とミリ秒?秒レベルのリアルタイム測定はできなかったが、本装置は数秒?数10秒で起こる過程をその場観測できる。

新技術の特徴

・有機合成反応・環境浄化反応などの高温液相反応の紫外可視吸収スペクトル測定によるその場・リアルタイム測定により詳細な研究が可能
・試料量10〜100μLで1時間あたり5〜30試料を分析できるハイスループット分析により研究開発を飛躍的にスピードアップできる
・安全・迅速・低価格装置により広く普及可能で、現場でも使用可能

想定される用途

・有機合成や環境浄化反応のプロセス開発
・化学工業に重要な触媒の開発ツール
・高温処理による分析装置用の高速前処理デバイス

関連情報

・装置の視察とデモ。

  • 計測

7)超音波振動とレーザーを用いた固体壁面上の液滴の自在駆動法

大阪市立大学 大学院工学研究科 機械物理系専攻 准教授 脇本 辰郎

新技術の概要

固体壁面上の液滴を駆動するための新たな手法を提案する。まず、液滴運動の抵抗を低減するため壁面に超音波振動を施す。その後、レーザーを液滴の一端に照射して局所的に固体表面とのぬれ性を変化させ、液滴全体を非接触で駆動する。

従来技術・競合技術との比較

壁面に電極やマイクロヒーター等を埋め込み、この経路に沿って液滴を移動させる技術がこれまでに提案されている。しかし、壁面に加工が必要で、液滴の移動経路が予め定められてしまう。紹介する手法はこれらの欠点を克服している。

新技術の特徴

・液滴を移動単位にすることにより、極微量の液体を移動させることができる
・液滴を非接触で移動させるので液体の汚染の危険が少ない
・電極やヒーターなど、移動経路となるものを壁面に埋め込む必要がなく、液滴を自在に移動させることができる

想定される用途

・希少・高価な薬品を液滴にして反応させる化学合成装置や分析装置
・極微小なサンプルしか採取することができない体液・DNAなどの医療分析装置
・顕微鏡による反応や微生物挙動の外部観察を必要とする化学・医療分析装置

  • 医療・福祉

8)メタボローム解析による慢性疲労のバイオマーカーの発見

大阪市立大学 大学院医学研究科 基礎医科学専攻 客員教授 片岡 洋祐

新技術の概要

未だ客観的な診断法が確立されていない慢性疲労症候群(全人口の0.2-0.3%)を客観的かつ迅速に診断する技術。さらに、今後、国民の半数近くが訴える慢性疲労(蓄積疲労)の診断と治療にも応用できる可能性がある技術。

従来技術・競合技術との比較

疲労によって唾液中のヒトヘルペスウイルス量が増加することや、自律神経バランスが変化することを根拠に、ウイルス測定キットや加速度脈波測定法が考案されているが、これらは疲労原因そのものをターゲットとしているわけではなく、治療・予防法の開発に結びつきにくい。それに対し、本発明は治療方針を数理計算により立案し、効果を予測できる。

新技術の特徴

・2、3種類の代謝物を測定するだけで、慢性疲労症候群を診断可能
・疲労原因に即したバイオマーカーであるため、治療や予防法の開発が可能
・代謝の数理モデル計算から、食べても太りにくい栄養バランス情報を個々人に提供することが可能

想定される用途

・慢性疲労症候群を客観的かつ迅速に診断するキットの開発
・慢性疲労の診断と治療・予防を実現するキットの開発
・疲労を予防・軽減する食薬開発
・透析患者などで、治療に伴う疲労感を軽減する食薬開発

  • 医療・福祉

9)1'-Acetoxychavicol acetate (ACA)による抗肥満効果

大阪市立大学 大学院生活科学研究科 食・健康科学講座 准教授 小島 明子

新技術の概要

ACAの新しい生理作用として抗肥満効果について検討したところ、ACAは、前駆脂肪細胞において脂肪蓄積の律速酵素であるグリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GPDH)活性を低下させて脂肪蓄積を抑制し、脂肪細胞への分化を抑制することを見出した。

従来技術・競合技術との比較

我々は、ACAが抗肥満作用に優れ、しかも安全性の高い成分であり、抗肥満剤として有用であることを見出した。ACAはタイショウガ(ナンキョウ)に含まれる成分として知られているが、安価で合成することも可能である。さらに、ACAは皮膚線維芽細胞のコラーゲン産生能向上作用、ケラチノサイトの遊走能の亢進作用、正常細胞における解毒酵素活性の亢進など様々な生理作用を有するため、広範囲に応用できる。

新技術の特徴

・化粧品(アンチエイジング化粧品)
・褥瘡、傷などに対する創傷治癒薬
・抗炎症剤

想定される用途

・サプリメント
・化粧品
・軟膏

関連情報

・サンプルの提供可能

  • アグリ・バイオ

10)加速度計を用いた犬の活動測定と獣医医療、そして創薬

大阪府立大学 大学院生命環境科学研究科 獣医学専攻 准教授 竹中 重雄

新技術の概要

高精度の加速度センサーを用いた動物行動解析装置を作製し、その記録データから犬の行動を再現するソフトを作製した。

従来技術・競合技術との比較

加速度センサーを用いた行動解析装置はこれまでにもあったが、データ解析として動作をカウントするのみであったが、新技術ではデータを定型化し、犬に特的な様々な行動様式を再現することが出来る。

新技術の特徴

・ヒト健康管理への適用
・牛や豚など家畜健康管理への適用

想定される用途

・犬を用いた薬効評価における行動解析
・獣医療における薬効並びにストレス評価
・盲導犬や聴導犬、介助犬などの身体障害者補助犬の行動評価

  • 医療・福祉

11)β-グルカンホスホリラーゼを用いた新規オリゴ糖の合成

大阪府立大学 大学院生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 准教授 炭谷 順一

新技術の概要

β-グルカンホスホリラーゼはβ-グルカンの加リン酸分解を触媒する酵素である。この逆反応を利用すればβ-グルカン合成が可能となるが、受容体としてβ-グルカン以外の糖でも伸長反応が進むことがわかり、新規なオリゴ糖を合成への道が開かれた。

従来技術・競合技術との比較

従来、オリゴ糖の製造は加水分解酵素による限定的な分解や転移反応を利用して製造されてきた。本技術はホスホリラーゼを用いた合成反応であり、プライマーに対する基質特異性の甘さを利用することでヘテロオリゴ糖の製造が可能となる。

新技術の特徴

・本来セロビオースを含むセロオリゴ糖を受容体として認識する酵素に対してマルトースや単糖など想定外の受容体を用いることで新規オリゴ糖を合成できる
・例えばマルトースにグルコースをβ-1,4結合で付加することで、α-、β-結合が混在したグルカンを合成することが可能となる
・得られる新規オリゴ糖の物性や生理機能は全く未知であり、様々な用途への応用が期待される

想定される用途

・機能性オリゴ糖の製造
・酵素阻害剤の合成
・医薬品の製造

  • アグリ・バイオ

12)生野菜の硝酸を低減させる有機栄養液

大阪市立大学 大学院理学研究科 生物地球系専攻 教授 平澤 栄次

新技術の概要

野菜は化学肥料による促成栽培のため、硝酸を多く含んでいる。収穫前の短期間で硝酸を大幅に減らす方法として、特許申請した有機栄養液を与えると硝酸還元酵素が誘導されて硝酸がアミノ酸に同化される新技術を開発した。

従来技術・競合技術との比較

従来は収穫前に窒素肥料の施肥を抑えることで、収穫後の野菜中の硝酸含量を低減させていたが、その効果は限定的であったが、新技術では硝酸を半分以下に減らした野菜の供給が可能であり、今後はほぼ硝酸を含まない野菜の供給の見込みがある。

新技術の特徴

・収穫後に有機栄養液を処理することで硝酸低減のみならずアミノ酸含量を増やすことが可能
・人に安全な有機栄養液であり、消費者に安心してもらえる野菜が供給できる
・生野菜の収穫したてのようシャッキリ感や新鮮さが保たれる

想定される用途

・カイワレ大根などのスプラウトの硝酸含量を減らす
・都市近郊の水耕野菜中の硝酸含量を減らす
・人口照明を用いた野菜工場から出荷される葉物の生野菜中の硝酸含量を減らす

  • アグリ・バイオ

13)新規拮抗微生物と未分解有機物の同時施用による連作障害抑制技術の開発

大阪府立大学 大学院生命環境科学研究科 植物バイオサイエンス分野 准教授 東條 元昭

新技術の概要

連作障害の原因菌を抑制する国内新産の新規拮抗微生物(ピシウム・ナン)を発見した。この微生物は、未分解有機物を土壌中で分解し、その過程で連作障害原因菌を抑制する。この性質を利用し、未分解有機物と本微生物を混合した連作障害抑制剤を開発している。

従来技術・競合技術との比較

新規拮抗微生物は、食品残渣などの未分解有機物を土壌中で分解しながら増殖し、連作障害原因菌を抑制する。これまでに知られている同様の働きをもつ微生物では、土壌中で増殖させて抑制効果を高めることが難しかった。

新技術の特徴

・新規拮抗微生物は、国内の畑土壌などに広く生息しているので、微生物製剤として導入しても生態系への影響が少ない
・上記の特質を利用し、個々の畑地に既に生存している菌株を製剤化したオーダメードの連作障害対策が可能
・この新規拮抗微生物は、通常の手法では分離が難しいが、独自技術を既に開発し、土壌から分離を可能にしている

想定される用途

・畑作物、とくに野菜などのハウス栽培の連作障害対策としての利用
・有機栽培作物の連作障害対策
・食品廃棄物などの未分解有機物の有効利用

関連情報

・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

大阪府立大学 産学官連携機構 シーズ育成オフィス

TEL:072-254-7943FAX:072-254-9874
Mail:shinアットマークiao.osakafu-u.ac.jp
URL:http://www.osakafu-u.ac.jp/

大阪市立大学 産学連携推進本部 新産業創生研究センター

TEL:06-6605-3468FAX:06-6605-3552
Mail:sangaku-ocuアットマークado.osaka-cu.ac.jp
URL:http://www.osaka-cu.ac.jp/
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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