四国地区4大学 新技術説明会
日時:2010年04月02日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)光によって収縮するシリカナノカプセル
徳島大学 アイソトープ総合センター 准教授 三好 弘一
新技術の概要
シリカ殻に光分解性化合物を含むシリカナノカプセルは、光照射により光分解性化合物が分解して収縮し、シリカ殻の孔のサイズが小さくなる。このため、カプセル内部の分子やイオンの放出速度を制御することができる。
従来技術・競合技術との比較
メソポーラスシリカに、硫化カドミウム粒子でふたをするという競合技術があるが、外れたふたは分解せず、そのまま残る。しかしながら、光収縮シリカナノカプセルでは、光照射により光分解性化合物が分解して残らない。
新技術の特徴
・光照射によりシリカナノカプセルが収縮する
・室温でゾル-ゲル法により調製できる
・金属イオンの取り込みと閉じ込め
・シリカ殻への化合物の固定
・内部の分子やイオンの放出速度の制御が可能
・コアの粒子サイズを変えることでカプセルサイズの制御が容易
想定される用途
・ドラッグデリバリーシステム(光による薬剤などの放出速度を制御)
・有害物質回収材(金属イオンの捕捉と光によるシリカカプセル内への閉じ込め)
・ナノサイズ色素増感太陽電池(酸化チタンナノ粒子をコアとして色素を含むシリカ殻を形成する)
関連情報
・試作可能、外国出願特許あり
- 材料
2)特殊結晶面を有するTiO2ナノ粒子を利用した高性能色素増感型太陽電池
香川大学 工学部 材料創造工学科 教授 馮 旗
新技術の概要
(010)結晶面を多く露出するアナターゼ型TiO2ナノ結晶を合成する新規技術を開発した。この方法で合成したTiO2ナノ結晶の表面は色素吸着量が高く、色素増感型太陽電池に利用すると、高い光電圧、光電流を実現できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の合成法は、TiO2粒子のサイズと粒子形状を制御できるが、結晶面の制御が不可能であった。本技術は、粒子サイズと形状に加え、ナノ粒子の表面制御を実現できる。それにより、色素吸着量の向上や逆電流の抑制などにより色素増感型太陽電池性能を向上する。
新技術の特徴
・色素増感型太陽電池
・TiO2ナノ粒子
・結晶面制御
想定される用途
・太陽電池
・光触媒
・環境浄化材料
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
3)イモゴライトナノチューブの新規合成方法
愛媛大学 農学部 生物環境保全学 助教 ザエナル アビディン
新技術の概要
高純度のイモゴライトナノチューブを短時間かつ容易に合成できる方法を確立した。合成時のpH調節を単純な操作のみで行うため、反応工程及び装置を簡略化でき、経済的に低廉化で合成できる効果を生み出す。
従来技術・競合技術との比較
従来の合成方法は、あまりにも込み入った反応工程を必要することから、イモゴライトを産業で利用するにあたり、その製造に複雑な装置を要し、経済的にもコスト高になってしまうために実用化が困難な状況にある。
新技術の特徴
・高純度のイモゴライトナノチューブが可能
・反応工程及び装置の産業利用が可能
・イモゴライトチューブ長の調節が可能
想定される用途
・化粧品、医薬品、機能性触媒
関連情報
・サンプルの提供可能
- 環境
4)製紙スラッジの有用資源化と今後の新展開
高知大学 農学部 農学科森林科学コース 准教授 市浦 英明
新技術の概要
製紙工場からの産業廃棄物である製紙スラッジから機能性物質を調製する技術について紹介する。また、現在グリーンソルベントとして注目されているイオン液体を活用した新しい製紙スラッジ処理についても紹介する。
従来技術・競合技術との比較
本技術は、現在大半が埋立処分されている製紙スラッジ中の無機成分の有効活用することが可能である。また、現在焼却されている製紙スラッジ中のパルプ成分を回収することができ、製紙スラッジの完全再資源化が見込まれる。
新技術の特徴
・製紙スラッジ中に含まれる成分を活用して環境浄化材料の作成が可能
・製紙スラッジ中に含まれるセルロース成分を活用することが可能
・従来法と比較して、低環境負荷で処理が可能
想定される用途
・環境浄化材料
・セルロース誘導体材料
- 環境
5)近紫外線発光ダイオードを用いた殺菌システム
徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 予防環境栄養学分野 教授 高橋 章
新技術の概要
近紫外線発光ダイオードを用いた殺菌システム。残留物をのこさず環境にやさしい殺菌法である。表面殺菌や水、空気の殺菌に用いることができる。
従来技術・競合技術との比較
従来の紫外線殺菌装置では殺菌することができなかった、色のついた水や濁った水でも殺菌することが可能である。また汚水の処理で問題となる光回復現象を阻止できる。
新技術の特徴
・食品産業などで使用する飲料水の殺菌
・室内の空気殺菌
・汚水処理
想定される用途
・飲料水の殺菌
・海水の殺菌
・空気の殺菌
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
6)クロロフィル蛍光画像計測による植物健康状態診断技術
愛媛大学 農学部 施設生産システム学専門教育コース 講師 高山 弘太郎
新技術の概要
クロロフィル蛍光は葉緑素から発せられる赤色光であり、これを正確に計測することで、植物体に触れることなく光合成機能を数値評価することができる。植物の健康状態の診断や不可視の病害の早期検知が可能である。
従来技術・競合技術との比較
計測後に適切な画像処理を行うことで、計測システムと計測手順を簡略化した。これにより、たとえば,生産現場で実際に栽培されている農作物を対象とした場合でも、有効に機能する植物健康状態数値指標を提供できるようになった。
新技術の特徴
・立体的な構造をもつ植物体の光合成機能の分布画像を取得できる
・葉緑素を有するもの全般(キュウリなどの果実、コケなども含む)の光合成機能評価が可能である
・計測システムがシンプルであり、安価(要求する精度により変化)に構築できる
想定される用途
・生鮮野菜の品質評価(顧客用に売り場に設置する糖度計などのような用途、売り場担当者による品質確認用途)
・高付加価値園芸品(ランなど)の健康状態モニタリング(光合成機能把握)
・自然科学学習用教材としての利用(高校での自由研究課題として「クロロフィル蛍光画像計測による光合成診断」の監修実績あり)
関連情報
・試作可能
- 医療・福祉
7)渦鞭毛藻由来の抗がん剤シーズの探索と製造技術
高知大学 総合科学系 複合領域科学分野 教授 津田 正史
新技術の概要
当研究室に保管する有用渦鞭毛藻ライブラリー、新規抗腫瘍性物質のライブラリーと、有用物質の供給を可能にする世界最大規模の培養技術について紹介する。
従来技術・競合技術との比較
渦鞭毛藻からは多くの有用物質が報告されてきたが、微量成分であるため医薬開発に必要な物質供給が不可能であった。本学は高知県と共同研究により、物質供給に必要な施設を整備し、有用物質の大量供給を可能とした。
新技術の特徴
・未利用生物資源
・培養技術
・光合成による二酸化炭素吸収
想定される用途
・抗がん剤等の医薬品リード
関連情報
・抽出物・化合物サンプルの提供可能、外国出願特許あり
- 製造技術
8)自動車等の軽量化・高衝撃吸収材のためのポーラス金属『新中空金属球成形体』の開発
香川大学 工学部 知能機械システム工学科 准教授 吉村 英徳
新技術の概要
自動車等からの二酸化炭素排出量や使用エネルギーの削減を可能とする高比剛性、高衝突エネルギー吸収性を有する新超軽量ポーラス金属として、塑性加工技術の適用により、薄板材より鈴形の、薄肉パイプ材より串団子状の中空金属球(MHS)成形体製造する技術を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来の粉末冶金法で作られた材料に比べ、均質で性能信頼性が高く、圧縮エネルギー吸収性に優れ、性能コントロールも容易で、引張りに強くて曲げ部材にも適用でき、安価に作れるため、実用可能性が極めて高い材料である。
新技術の特徴
・高比剛性、高衝撃エネルギー吸収性、超軽量の難燃性材料
・低コスト材料
・貫通気孔による熱交換、吸音性、フィルター
想定される用途
・自動車等輸送機器の軽量・衝突安全部材
・熱交換器
・吸音材
関連情報
・大量生産設備がないため、少量のサンプル提供可能
お問い合わせ
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