静岡大学 新技術説明会
日時:2010年06月11日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- デバイス・装置
1)ナノ構造を観察できる波長限界を超えた光学顕微鏡
静岡大学 工学部 機械工学科 教授 川田 善正
新技術の概要
ナノスケールの構造を観察可能な光学顕微鏡を開発している。光学顕微鏡と電子顕微鏡を融合することにより、実時間でかつ大気中で観察できるイメージングシステムの開発。
従来技術・競合技術との比較
従来の光学顕微鏡は、回折限界により分解能が波長程度に制限されていた。光学顕微鏡と電子顕微鏡と融合することにより、光学顕微鏡の大気圧/水中観察の特徴と電子顕微鏡の高分解能の特徴とを両立させたシステムの開発について説明する。
新技術の特徴
・ナノスケールの構造を観察可能な分解能
・実時間で試料の動的な観察をすることが可能
・光学顕微鏡と電子顕微鏡の両方の特徴を融合
想定される用途
・生物試料の高分解能、動態観察
・液晶、コロイド、などSEMでの観察が困難なものの観察
・より高分解能な顕微観察、可視化
- デバイス・装置
2)マイクロカラム・マルチビーム電子線検査装置、露光装置
静岡大学 電子工学研究所 准教授 根尾 陽一郎
新技術の概要
電子源と検出用電子光学系をシリコン基板内に高密度に形成。50um程の作動距離に電子ビーム径約20nmに収束するマイクロ電子光学系を実現。自己整合LSI製造プロセスで製作するため高密度に集積可能。
従来技術・競合技術との比較
従来のSEMやXPSでの観察・分析の概念を全く変える超小型の電子ビーム源と分析系を構成。シリコン基板上にマイクロカラムを多数形成しマルチビーム化により、課題であったスループットを解決。従来のFEチップを用いたマイクロカラム電子線源とは異なり、ナノオーダーアライメントの組立ては必要ない。
新技術の特徴
・シングルビームを用いた電子線装置よりも高スループットを実現
・全面EB露光によるマスクレスプロセスの実現
・自己整合LSI製造プロセスで製造するので電子光軸のアライメントフリー
想定される用途
・半導体検査工程 電子線式検査装置(EBテスター、XPSなど)
・半導体製造過程 EB露光 マスクレスプロセス
・超小型電線源の応用
関連情報
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
3)大きな明暗差でも美しく映せるCMOSイメージセンサ
静岡大学 電子工学研究所 教授 川人 祥二
新技術の概要
1電子相当の極めて低いノイズレベルと80dB以上の広いダイナミックレンジの両立を可能にした。バイオイメージング、科学技術計測、セキュリティカメラ等に広く活用できる。CMOSイメージセンサのカラムにおけるA/D変換でフィードバック動作を伴う積分を行わせて実現しました。
従来技術・競合技術との比較
従来の高感度・低ノイズ化の技術は、電子増倍や高利得のアンプを用いる方法であるが、これらは全てダイナミックレンジを犠牲にしながら低ノイズ化を図る技術である。本発明は、CMOSイメージセンサのカラムに回路集積を構成して低ノイズ化と広ダイナミックレンジを両立した。
新技術の特徴
・低ノイズと広ダイナミックレンジを両立するイメージセンサ
・A/D変換機能の一部に組み込むことで、高速なデジタル出力が可能(高フレーム速度も可能)
・豊かな階調描写、忠実な色再現の美しい画像が得られる
想定される用途
・バイオイメージング(顕微鏡用カメラ)
・車載用ナイトビジョン
・防犯カメラ
関連情報
・外国出願特許あり
- 計測
4)曲面上の変位を測定できる表面弾性波を用いた変位センサ
静岡大学 工学部 機械工学科 教授 大岩 孝彰
新技術の概要
長さの測定対象が自由曲面でも面に沿った道のり長を測定。物体の表面を伝搬する表面弾性波を用いたデジタル式の変位センサ。この変位センサは表面弾性波を用いるため、測定対象に目盛り等の加工の必要がない。
従来技術・競合技術との比較
従来のアナログ式変位センサは、中長距離では分解能や精度が悪い。またリニアスケール等のデジタル式変位計では、測長の基準となるスケールを高精度に加工して測定物に取り付けるする必要があったが、本技術では、どのような面でも変位測定できる。
新技術の特徴
・測長レンジにわたって等間隔ピッチの目盛りや磁気パターンなどを高精度に作成する加工が不要
・弾性表面波が生じる測定対象物であれば、直線や平面などに限らず自由曲面でも測定できる
・機械的な部品が少なく、大量かつ廉価に製作可能
想定される用途
・直線運動や回転運動だけではなく、自由曲面に沿った運動の変位を測りたい場合
・1mm〜100mm程度の測長範囲を高分解能・高精度かつ低廉に計測したい場合
・塵埃、油等が付着する用途、また磁力等の発生を嫌う用途など
- 機械
5)3相インバータ1台で浮上と回転が同時に可能な磁気浮上ベアリングレスモータ
静岡大学 工学部 機械工学科 准教授 朝間 淳一
新技術の概要
3相インバータ1台のみの使用で、磁気浮上と回転が同時に実現可能な磁気浮上ベアリングレスモータを開発した。1自由度(1軸方向)の制御のみで浮上制御できるので、小形化・低消費電力化・部品点数低減が実現できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の磁気浮上ベアリングレスモータは、磁気浮上用と回転用に2台以上の3相インバータが必要で、さらに回転軸の変位の自由度分の電磁石および変位センサが必要であったが、本技術では3相インバータ1台のみで磁気浮上・回転の制御ができる。
新技術の特徴
・非接触で回転するため、真空中や超高純度液体中で利用可能
・制御系が最小限であり、小型化・省電力化可能なので、真空装置内や小型ポンプ内などに設置可能
・ベアリングレスなので安定した高速回転が実現できる
想定される用途
・真空中で駆動可能な非接触ステージ。スピンコーター
・純水、薬液、血液等を搬送するポンプ。遠心ファン、ブロアなどの高速回転機
・人工衛星等での姿勢制御用リアクションホイール
- 計測
6)心拍を長時間観察できる小型低コスト遠隔計測システム
静岡大学 工学部 電気電子工学科 助教 山川 俊貴
新技術の概要
心拍数や不整脈を100時間以上連続監視する心拍数(心電R-R間隔)を遠隔計測システム。体に装着する薄いテレメータ(送信器)は5cm×2cmで小型で長時間のリアルタイムデータを送信する。システム1組を1万円以下で量産可能。
従来技術・競合技術との比較
市販されている心電テレメータは、心電波形全てを遠隔計測するのに対し、心電波形のR-R間隔のみを選択的に正確に計測することを可能にした本システムは製造コスト、動作時間、汎用性の面で大変優れている。さらにコストダウンと小型化が可能。
新技術の特徴
・効率的な電力制御による長寿命動作(100時間以上)
・自動ゲイン制御技術により子供から老人まで測定可能
・製造コストは1万円以下
想定される用途
・乳幼児や高齢者の健康モニタリング
・在宅医療・介護の質の向上と低コスト化
・運動時の高精度でスマートな心拍数計測とデータ記録
関連情報
・サンプルの提供可能
- 情報
7)自動車用スマートアンテナ
静岡大学 工学部 電気電子工学科 教授 桑原 義彦
新技術の概要
OFDMシンボルの先頭のガードインターバル区間と後尾のコピー元区間の存在に着目し、OFDMの1シンボル内で受信アンテナを切り替える。これらの複素相関を計測し、アナログ移相器に共役位相を設定して合成するダイバーシチアンテナを考案した。
従来技術・競合技術との比較
デジタルビームフォーミング(DBF)に対する優位性:受信器が1系統で低コスト、低消費電力、アンテナ合成後の信号が受信機に入力され低SNR環境での受信率が向上。 従来の1系統受信技術に対する優位性:ブラインドビーム形成を使用しないので移動環境でも使用可能。計算機シミュレーションと走行実験によってその効果を確認済み。
新技術の特徴
・複数のアンテナに対し受信器は一つで構成でき、低コストで実用上十分な受信率が期待できる
・ブラインドアルゴリズムを用いないので処理速度が速く,移動環境で使用できる
・既存の受信機に後付けして受信改善をすることができる
想定される用途
・VHF帯新情報通信サービス受信機
・アンテナレス(内臓)テレビ
・カーナビゲーション・自動車テレビ
関連情報
・外国出願特許あり
- 情報
8)有線/無線相互補完通信を用いたNo New Wiringエネルギー管理システム
静岡大学 情報学部 情報科学科 助教 峰野 博史
新技術の概要
すでに社会や暮しの中の多種多様な建物にある「レガシーな物」に、後付けのセンサーやアクチュエータを無線、電力線等の「既存メディア」を活かして持続的に用いるための適応型エネルギー管理システムを提供する。
従来技術・競合技術との比較
ISM帯無線通信には信号減衰や障害物遮断、無線通信機器増大の等の課題、また電力線通信には飛来ノイズ、末端負荷、電線路分岐による減衰等の課題がある。これらを克服して安定な通信環境を得るための研究成果について説明する。
新技術の特徴
・既存の構造物(建物や部屋など)において、エネルギー管理等に用いる通信ネットワークを容易に構築可能
・どこで何が生じているかの把握やデータの蓄積が可能
・リモート管理や自動制御に対応可能
想定される用途
・すこやか省エネライフサポートの実現
・エコホーム・エコファクトリー、エコキャンパスの実現
・エコシティの実現
- 情報
9)忠実な色の画像を取得し表示・印刷する画像システムとその標準化について
静岡大学 創造科学技術大学院ナノビジョン専攻 教授 下平 美文
新技術の概要
色に対する感度を人と等しくしたカメラを開発することにより、撮影対象の色を忠実に撮影することを可能にした。本画像システムのディスプレイやプリンタに対してもカメラの画像信号を一貫して忠実な色で表示、印刷することを可能にした。
従来技術・競合技術との比較
従来の画像機器は狭い色域(HDTV、s-RGB)を対象にしているので、忠実な色での撮影・表示は不可能。競合するマルチスペクトル技術は、膨大な情報量、大型装置となりスペクトル情報を得る特殊用途。本システムは、シンプルで経済的に大変優れており、視覚色域に「忠実な色」を可能にする。
新技術の特徴
・撮影・表示における色の再現精度に優れ、しかも美しい
・色を対象物体の特徴として定量的に扱うことが可能
・画像システムとして画像を入出力。機器毎に対応した異なる色域マッピングは不要。実現容易。
・ディスプレイ、プリンタ共に任意色域のデバイスも接続可能(色域の限界を変えることはできないが)
・従来機器との整合性が容易(コンパティビリティが良好)
・カメラの構成・規模は従来品と同等な規模・分量
想定される用途
・医療関係、工業デザイン、印刷プルーフ、アーカイブ、電子商取引等の分野
・放送などの分野
★発表後に標準化に興味ある方とのディスカッションを期待しております。
関連情報
・外国出願特許あり
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静岡大学 知的財産本部
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