公立大学法人首都大学東京 新技術説明会
日時:2010年06月25日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- デバイス・装置
1)3D誘電泳動による微小誘電体の捕集
首都大学東京 大学院理工学研究科 電気電子工学専攻 准教授 内田 諭
新技術の概要
立体構造を有する誘電泳動デバイスを利用し、微生物や有機物質といった誘電微粒子を選択的かつ高効率に捕集する技術である。また、本技術は標的微粒子の検出や有機結合デバイスの創成にも応用が可能である。
従来技術・競合技術との比較
本技術では、微粒子の挙動制御を電気的操作のみで行うため、従来の生物化学的手法と比べて簡単かつ安価である。また、平面構造方式よりも捕集領域が広いため、捕集効率が一段と向上している。
新技術の特徴
・水中に懸濁した誘電微粒子(電荷を帯びていない粒子)を選択的かつ高効率に捕集可能
・捕集粒子の性状変化を伴うことなく、あらゆる現場でリアルタイムに検出できる
・複雑な形状の立体構造も選択できるため、条件設定の範囲が広い
想定される用途
・上下水系における有害ウイルスの高純度濃縮及び高速検出
・工業廃液中における有害有機物の捕集及び除去
・有機体が結合した立体構造を有する高機能デバイスの形成
- 機械
2)医用穿刺型顕微鏡用走査センサー
産業技術高等専門学校 ものづくり工学科 医療福祉工学コース 教授 吉澤 昌純
新技術の概要
低侵襲かつ、患部の摘出や染色が不要であり手術中の組織診断を可能とする“穿刺型超音波顕微鏡”を実現するための、穿刺針中に封入する微細石英棒を用いた超音波センサーと、それ面走査する手法を提案している。
従来技術・競合技術との比較
通常、組織を一部採取して染色し、光学的に悪性かの確定診断を行う。これに対し、手術中の確定診断を目的とした超音波診断装置が研究されている。しかし、現状では超音波センサが大きく、開腹し患部表面を露呈する必要がある。
新技術の特徴
・直径1mm以下、300μm程度の石英棒による超音波センサーの実現
・上記センサーを高速に機械走査可能
・光ファイバー(被服無し)を超音波導波路に使用するため、光と超音波を伝送可能
想定される用途
・医用穿刺型超音波顕微鏡
・工業用穿刺型超音波検査装置
・皮膚用超音波顕微鏡
- 情報
3)テイラーメイド広告手段
産業技術大学院大学 情報アーキテクチャ専攻 教授 成田 雅彦
新技術の概要
ユーザーの個人情報(識別、購買履歴、趣味等)を管理する情報管理システムに関した発明であり、必要な情報の入力や、アップデイト管理を容易にした。結果的にターゲットを絞り込んでの、よりピンポイントな広告も可能となる。
従来技術・競合技術との比較
従来は、必要情報のい入力がはんざつであり、またデータ伝送時間がながく、必要情報の取得、保存が十分でなかった。本発明では、ユーザーーのケータイ端末と、購買計上装置を連動し、必要個人情報と購買情報を読み取る。また、テイラーメイド広告を発信できる。
新技術の特徴
・商店街等で、直接働きかける広告を提供できる
・決済時の情報入力を簡便化し、転送時間を大幅に短縮したことにより、高度の顧客情報管理が大衆販売店でも使用可能となった
・さらに、サンプルの増大による、より正確なマーケティングに使用できる
想定される用途
・スーパーマーケット、コンビニ、商店街用の顧客情報管理
・マーケティングのための顧客プロファイリングの手段
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
4)金の陽極酸化による多孔質膜およびナノ粒子の作製
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 分子応用化学コース 准教授 西尾 和之
新技術の概要
カルボン酸水溶液中での金の陽極酸化により、その表面にナノスケールの金の多孔質皮膜を容易に形成する。また、この皮膜をもとに金コロイドを作製する。
従来技術・競合技術との比較
ナノスケールの金の多孔質膜を作製する手法として、脱合金プロセスが知られている。この技術は、均質な合金の調製、有毒な無機酸の使用、合金成分の残留など実用上の問題点が多い。本発明は、食用を含むカルボン酸水溶液中でその表面に多孔質皮膜を形成するものであり、作製が容易であり、汎用性が高い。
新技術の特徴
・金の3次元多孔質皮膜
・金表面の黒色化
・不純物の少ない金コロイド
想定される用途
・金の表面処理
・金の多孔質電極
・金コロイドの製造
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- 材料
5)エタノールからのアセトアルデヒドと酢酸の製造およびそのための金触媒
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 分子応用化学コース 教授 春田 正毅
新技術の概要
担体となる金属酸化物を選ぶことによって、金触媒の触媒特性を制御することが出来る。エタノールの気相酸素酸化によってアセトアルデヒドを合成するには、La2O3, MoO3のような酸化に不活性な金属酸化物、酢酸を合成するにはZnO,In2O3のような中位の酸化活性を有する金属酸化物、CO2にまで完全酸化分解するには酸化活性が高いMnO2,Co3O4のようなp-型半導体性金属酸化物が担体として有効である。
従来技術・競合技術との比較
現行のアセトアルデヒド製造は、エチレンを原料としてワッカー触媒(酸性)を使うか、またはエチレンの酸素酸化で行われる。酢酸は主としてメタノールのカルボニル化で製造されている。バイオマスからの供給が増えると予想されるエタノールを原料とする製造プロセスは将来性が高い。
新技術の特徴
・気相反応であるので生産性が高い
・アセトアルデヒドへの選択性が高い
・触媒に腐食性は無い
想定される用途
・将来、バイオマスからのエタノールを化学原料とする場合、シンプルな化成品合成プロセスとして有用と考えられる
・担体となる金属酸化物を選ぶことによって、揮発性有機化合物の酸化除去にも利用できる
・他のアルコール化合物の選択酸化にも応用が可能と考えられる
- 材料
6)老化、酸化障害を抑制する金属ポルフィリン錯体
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 分子応用化学コース 教授 川上 浩良
新技術の概要
酸化ストレスは脳障害、血管障害など様々な疾患の原因となっており、生体内のフリーラジカルの消去が求められている。また、老化もミトコンドリアの酸化ストレスが大きな要因であると考えられている。我々は生体内のフリーラジカルを消去できる人工酵素(Mnポルフィリン)の合成に成功、その効果をin vitro, in vivo動物実験で明らかにしてきた。その内容を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
現在、脳梗塞急性期に伴う神経症候に対し、ヒドロキシラジカル消去剤であるラジカット(エダラボン)が臨床上用いられている。今回我々が開発したMnポルフィリンは、多様なラジカルをMnポルフィリン1つで消去(還元)できることが大きな特徴であり、特定のラジカル消去のみを対象とした従来のラジカル消去剤とは全く異なり、多還元能を有している。
新技術の特徴
・化粧品
・人工臓器等へのコーティング
想定される用途
・抗酸化剤
・脳梗塞
・アルツハイマー、拡張型心筋症、骨粗鬆症
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
7)イオン注入による接合場所の選択性と接合強度を向上させた人工骨の製造方法
首都大学東京 大学院理工学研究科 機械工学専攻 准教授 小林 訓史
新技術の概要
生体活性セラミックスからなる基材の表面に様々な濃度でイオン注入することにより、イオン注入されていない基材と比較して形成された自家骨の接着強度を向上させ、かつ形成速度を制御可能な技術である。
従来技術・競合技術との比較
金属製の人工骨部材に対する表面処理技術は存在するが、より安全である生体活性セラミックスを対象として、表面処理をすることにより自家骨との接着性などを向上させることは、骨疾患治療において有効であるといえる。
新技術の特徴
・低エネルギーでイオン注入することにより、基材の強度を低下させることなく表面改質が可能
・イオン種を適切に選択することにより、表面の状態を制御可能
想定される用途
・骨補填用材料の表面改質
- 材料
8)半導体プロセス以外の加工技術によるナノ・マイクロ構造の創成とその応用
首都大学東京 大学院システムデザイン研究科 システムデザイン専攻 教授 楊 明
新技術の概要
MEMSの製造技術は半導体加工技術によるものがほとんどであるが、バイオ、医療などへの応用に対応すべく金属材料を用いたマイクロ3次元構造の成形やカーボンナノチューブなどを利用したナノ構造の創成などを提案する。
従来技術・競合技術との比較
半導体加工技術と比べて、材料の選択幅が広がり、プレス成形技術の特長である高生産効率、低コストの微細加工が可能であり、マイクロバイオ分析、微小医療器具などへのニーズに対応することが可能である。
新技術の特徴
・小型燃料電池(セパレーター、ポンプなど)
・情報家電用微小部品
・環境分析
想定される用途
・バイオ分析チップ・サンプル輸送ポンプ
・マイクロ医療用ドラッグデリバリーシステム
・マイクロ手術器具
- 機械
9)人とのインタラクションによる「見守り」と「安全な支援」を行うロボット基盤
首都大学東京 大学院システムデザイン研究科 システムデザイン専攻 教授 山口 亨
新技術の概要
画像処理による人の顔、手などの把握と、音声処理も併用した密接なコミュニケーションによる能動的問いかけで人の状況を認識し高精度な生活ログの把握を可能とする。データーマイニングで、ログ間の関連性を発見できる。また人とロボットとの接触(手渡し、握る)時のみ安全度を高めゆっくりと支援、それ以外は低い安全度で高速な処理をする。
従来技術・競合技術との比較
従来技術の生活ログは、センサによる受動的な獲得のみ。能動的に確認する機能を持たづ精度が落ちる。 キーボードからの入力は、SWのON/OFFのみが従来のログ。また、生活ログの間の関連は決め打ち的なため、予兆をつかむことが難しい。人との接触が前提では支援する機能がうまく動作せず、時間がかかりすぎる。本技術は、それらの点を改良した。 2)生活ログの間の関連は決め打ち的なため、予兆をつかむことが難しい。予想が外れる。 3)人との接触が前提では支援する機能がうまく動作しない。時間がかかりすぎる
新技術の特徴
1)画像処理による人の顔、手などの把握と、音声処理も藤堂した密接なコミュニケーションによる能動的問い合わせで、人の状況を認識し高精度な生活ログの把握を可能とする。
2)高精度できめ細かい生活ログによるデーターマイニングで、ログ間の関連性を発見できる。
3)人とロボットとの接触(手渡し、握る)時のみ安全度を高めゆっくりと支援、それ以外は低い安全度で高速な処理=>全体として高速で安全な物理的支援が可能となる。
想定される用途
・高精度な生活ログを用いた状況に応じた自然で妥当な情報支援、情報推薦機能、マーケティングへの利用=>特に独居高齢者向きの見守りシステム、介護予防、健康管理、リハビリのための支援システム
・精度が高く、きめ細かい生活ログによる、ログ間の関連性の発見(マーケティング利用)、事前の予兆検出、的を得た支援、情報推薦、リハビリ支援
・生活支援ロボット(人と空間を共有する支援ロボット)、リハビリ支援ロボット
- 機械
10)スライディングモード制御による操縦安定性を考慮した四輪車両制御
首都大学東京 大学院システムデザイン研究科 システムデザイン専攻 教授 森 泰親
新技術の概要
本研究は、横風やコーナリングパワー変動などの外乱存在下において、スライディングモード制御を適用して四輪車両の操縦安定性を向上させることを目的とする。制御入力における非線形ゲインの値を、横加速度の操舵に対する位相遅れを考慮して調整する方法を提案し、外乱抑制性を向上させ目標車線への安定追従を実現する。
従来技術・競合技術との比較
従来の研究では、横風やコーナリングパワー変動などに対する影響を考慮していないため、車両がスピンする可能性がある。また、前後輪操舵角のバランスを考慮していないため、前輪より後輪を大きく操舵してしまい、レーンから飛び出すこともあり得る。しかし、本研究では、それからが改善されている。
新技術の特徴
・横風やコーナリングパワー変動などの外乱に対し、高いロバスト性をもっている
・制御入力における非線形ゲインの値の調整法を示している
・外乱抑制だけでなく、車両モデルにおけるパラメータ誤差に対してもロバストである
想定される用途
・四輪車両の操舵アシスト
お問い合わせ
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