東海国立3大学 新技術説明会(1)
日時:2010年07月08日(木)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 創薬
1)選択的シアリダーゼ阻害剤の開発と医薬への応用
岐阜大学 応用生物科学部 食品生命科学課程 教授 石田 秀治
新技術の概要
ヒトの4種のシアリダーゼの立体構造を解析し、それに基づいて選択的阻害剤を開発した。一方、全てのヒトシアリダーゼに対して阻害活性を示さなかった物質の中から、インフルエンザシアリダーゼ阻害活性を示すものを見出した。
従来技術・競合技術との比較
ヒトシアリダーゼとインフルエンザシアリダーゼの構造に類似性があることから、抗インフルエンザ薬の副作用が懸念されている。本技術は標的分子の詳細な構造解析を背景にしており、選択性の高い物質を開発することができた。
新技術の特徴
・分子設計
・酵素阻害剤
・糖質合成化学
想定される用途
・抗インフルエンザ薬
・循環器疾患治療薬
・抗ガン剤
・抗糖尿病薬など
- 創薬
2)生活習慣病に対する創薬や創食のターゲット開発システム
三重大学 大学院医学系研究科 薬理ゲノミクス 教授 田中 利男
新技術の概要
新しい食餌性肥満モデルを作製し、肥満時に発現上昇し、食事療法時に発現が低下する遺伝子群の中で、肥満時に発現抑制すると、体重、内臓脂肪、血中中性脂肪の増加を抑制しうる遺伝子の一つとしてMXD3遺伝子を見出した。
従来技術・競合技術との比較
肥満の治療法としての薬物療法、食事療法、運動療法、行動療法、外科療法において、治療効果が不十分であったり、副作用等のリスクがあり、問題点が多い。有効性と安全性の高い新規ターゲットとしてMXD3遺伝子を発見した。
新技術の特徴
・1)ペット用・畜産用・養殖用として、新規抗肥満遺伝子MXD3に作用する新しい医薬品や食品成分を開発することが可能となった
・2)畜産や養殖を対象として、MXD3作用関連分子による肥満誘発法の開発が可能になった
・3)肥満バイオマーカーとして、畜産や養殖における肥満誘導の指標として活用することができる
想定される用途
・1)新規抗肥満遺伝子MXD3に作用する新しい医薬品や食品成分を開発することが可能となった
・2)既存の医薬品や食品の中からMXD3に作用する新しい機序の抗肥満作用を発見することが可能となった
・3)メタボリックシンドロームの合併症である動脈硬化症、脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病、脂質異常症、血栓症等の生活習慣病の新しいバイオマーカーとしてのMXD3を開発することが可能となった
- 創薬
3)ヌクレアーゼ耐性機能を持つ核酸オリゴマーの簡易修飾法の開発
岐阜大学 工学部 生命工学科 助教 喜多村 徳昭
新技術の概要
脂溶性のウレア残基を有する核酸合成用樹脂を開発した。本樹脂を用いれば核酸自動合成機により容易にヌクレアーゼ耐性機能を持つ核酸オリゴマーが合成できる。
従来技術・競合技術との比較
近年、疾病治療の目的として、核酸オリゴマーを体内に投与する「核酸医薬」が期待されている。特に機能性RNA(siRNAやmiRNA)はRNA干渉により標的mRNAの遺伝子発現を抑制することから、注目を集めている。しかし、創薬にあたり酵素耐性やノックダウン効果の改善が必要である。新開発のウレア連結樹脂から合成した機能性RNAは高効率的なノックダウン効果ならびに高いヌクレアーゼ耐性を示す。
新技術の特徴
・検査キットや診断キットの開発
・多様な機能性核酸オリゴマーの創製
・機能性化合物への簡便なウレア残基の導入
想定される用途
・抗がん剤
・遺伝子疾患治療薬
・遺伝子検出試薬、検査・診断薬
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
4)材料化を目指した天然リグニン誘導体リグノフェノールの高機能化
三重大学 大学院生物資源学研究科 共生環境学専攻 教授 舩岡 正光
新技術の概要
リグノセルロース原料を糖類と高度循環型リグニン系高分子「リグノフェノール」に構造変換・分離したのち簡便な化学処理を施すことによって,分画・化学修飾の効果による性能の向上,付加価値の向上を実現できた。
従来技術・競合技術との比較
従来のリグニン系素材は加熱・加圧残渣が中心であり,燃料・フィラー・官能基性能発現のみであったがリグノフェノールは通常の化成品・高分子材料と同様に分子設計が可能である。当該技術はその材料に付加価値を付与し,資源循環の流れに乗ったかたちで,より応用適用範囲が広がった。
新技術の特徴
・耐熱性の向上
・熱特性の制御
・他の材料との混合特性等の向上
想定される用途
・高分子材料基材
・高分子材料複合材
・成形材料
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
5)農業用害虫およびペット寄生虫防除用ヘテロ環化合物の開発
岐阜大学 教育学部 化学科 教授 利部 伸三
新技術の概要
本新技術は、現在世界の殺虫剤市場で20%近くを占めるネオニコチノイド系殺虫剤に分類される化合物である。選択的な殺虫効果と浸透移行性をもち、主要農産物害虫である、鱗翅目害虫や吸汁類害虫に対する効果が期待される。また、ペットの外部寄生虫であるシラミやダニおよび家屋害虫であるシロアリ駆除への適用も期待される。
従来技術・競合技術との比較
ネオニコチノイド系殺虫剤は現在7薬剤が市販されており、高い殺虫能力と優れた浸透移行性をもち、主要な農産物の害虫防除に施用されている。しかし、最近、抵抗性害虫の出現や一部の薬剤の訪花昆虫に対する毒性が心配されている。本技術には、それらの問題に対応すべく特徴を備えていることが期待されている。また、ネオニコチノイド系はほとんどダニに対する効果がないが、本新薬剤には、ダニ活性もあることが報告されている。
新技術の特徴
・1.高い殺虫能力と優れた浸透移行性をもつ
・2.人畜や訪花昆虫への毒性が弱い
・3.構造改変によるアルツハイマー等神経疾患治療への展開
想定される用途
・1.農業用殺虫剤
・2.家屋に生息するシロアリ、ダニ類の駆除剤
関連情報
・共同研究契約に基づき試作可能
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
6)病害防除活性を有する植物内生放線菌
三重大学 大学院生物資源学研究科 資源循環学専攻 助教 清水 将文
新技術の概要
植物体内から分離した新規のStreptomyces(ストレプトミセス)属放線菌を,育苗培土や作物苗、作物種子などに処理することで,病原菌により引き起こされる作物病害の発生を予防・軽減する。
従来技術・競合技術との比較
選抜したストレプトミセス属放線菌は抗菌物質を防除機作としないため,化学合成農薬のように耐性病原菌が出現する可能性が低い。また,環境要因の影響を受けにくい植物の体内に定着するため,従来の微生物農薬よりも効果が安定的である。
新技術の特徴
・放線菌を有効成分とする病害防除剤
・環境負荷が低い病害防除剤
・耐性菌出現のリスクが低い病害防除剤
想定される用途
・微生物殺菌剤
・培養土
・発酵堆肥・特殊肥料
関連情報
・サンプルの提供について要相談
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
名古屋工業大学 産学官連携センター 企画・管理部門
TEL:052-735-7266FAX:052-735-5542Mail:c-soccadm.nitech.ac.jp
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三重大学 知的財産統括室
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