東海国立3大学 新技術説明会(2)
日時:2010年07月09日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 機械
1)二輪移動ロボットの最適追従制御およびモータの振動抑制制御
三重大学 大学院工学研究科 電気電子工学専攻 准教授 残間 忠直
新技術の概要
(1)自由走行する走行体を追従させることが可能な自動追従制御を実現する技術に関するものである。(2)モータの振動を効果的に電流制御によって抑制する技術に関するものである。
従来技術・競合技術との比較
(1)従来では軌道や方向が限定されていたが、本技術では平面上の任意の軌道を走行可能とするだけではなく最適性も保証する。(2)従来では振動を機械的に抑制していたが、本技術では電流制御のみによって実現する。
新技術の特徴
・複数の2輪自律移動体が衝突することなく平面上を走行することが可能となる
・両輪の速度・加速度などに制限がある場合であっても拘束条件を守りながら最適な追従制御が可能となる
・家電や工場などで振動や騒音を発生するモータの振動抑制が可能となる
想定される用途
・電動車椅子の自動走行制御
・工場内の無人搬送ロボットの最適追従制御
・一定速度回転のモータ(インバータ駆動)の振動抑制
- 情報
2)画像の分解と再構築:フォントデザインへの応用
名古屋工業大学 大学院工学研究科 情報工学専攻 准教授 中村 剛士
新技術の概要
世の中に溢れる芸術作品(書道作品、絵画、写真、映像)やデザインを資源として分解・再構築することで、新しい芸術作品やデザインの創作支援をする。その一例として、毛筆フォントデザインの支援システムを示す。
従来技術・競合技術との比較
既存の芸術作品等を参照事例として利用する従来技術では、参照事例の持つローカルな特徴のみに着目している。そのため、獲得される出力には視覚的クオリティに課題があったが、本技術ではその解決例を示し質感の向上を実現している。
新技術の特徴
・CGデザインの支援
・簡便で直感的なデザインの実現
・参照事例と処理対象の組合わせを変えるだけで多様なデザインを実現
想定される用途
・フォントデザイン
・画像資源の再利用
・年賀状等のデザインツールへの実装
- 環境
3)発電量を予測する太陽光発電の天気予報
岐阜大学 大学院工学研究科 環境エネルギーシステム専攻 教授 小林 智尚
新技術の概要
局地気象予報モデルを用いて対象域内の高精度気象予報を行う。そしてその予報結果を元に日射スペクトル強度予測、太陽光発電システム発電量予測を行う。これによって雲など天候の変化による発電量変化を予測できる。
従来技術・競合技術との比較
提案する太陽光発電システム発電量予測では、気象予報から日射スペクトル強度予測まで物理プロセスにのっとって行われている。このため、従来技術に使われている経験則のような不確実性が排除されており、また対象地点は任意、国外でも使用することができる。
新技術の特徴
・太陽光発電システム発電量を短期(36時間程度)予測することができる
・観測装置や過去の観測データは不要.計算機のみで予測することができる
・観測データの蓄積がない海外などでも予測することが可能
想定される用途
・太陽光発電など不安定な電源が存在する送電網での電力供給計画策定
・大規模太陽光発電システムによる発電電力の売電計画策定
- 機械
4)波動のエネルギー集中を応用した制振および発電技術
三重大学 大学院工学研究科 機械工学専攻 准教授 小竹 茂夫
新技術の概要
結合した多数の振動子に広がる振動エネルギーは特殊な条件下で、局所的な一部の振動子に集中させることが出来ます。今回はこの技術を利用して、建物の制振であるTMDへの応用、ボイラーのヒートパイプや原子力発電所の燃料棒の除振、さらには自然エネルギー(波力や風力)による発電への応用について説明します。
従来技術・競合技術との比較
従来の制振機構は、振動子一つ一つにダンパーを使用してきたが、多数の振動子からなる系全体の振動に現れる内部共振を応用した制振法は、あまり提案されて来なかった。また薄く広く広がる自然エネルギーは、個々の発電機構を取り付けるために従来の技術ではコスト高になっていたが、本発明では、一カ所での発電機構で済むため、コストの低下が期待できる。
新技術の特徴
・ダンパーを取り付けることなく多数の振動子を制振機構として利用できる
・燃料棒やヒートパイプなどの直接取り扱うことが困難な振動子を非接触で制振できる
・空間的に広がるコヒーレントな振動エネルギーを一カ所に集めることができ、また全体に分散させることもできる
想定される用途
・建物の制振
・原子力発電所の燃料棒やボイラーのヒートパイプの制振
・自然エネルギーによる発電
- 材料
5)室温形成ナノ材料・構造を用いたフレキシブル透明デバイスの開発
名古屋工業大学 大学院工学研究科 未来材料創成工学専攻 教授 種村 眞幸
新技術の概要
透明フレキシブルな基板に、可視光の波長以下のナノ材料・構造を室温形成することで高機能化し、湾曲面にも自在に装着でき丸めて持ち運びも可能な透明フレキシブルなディスプレイ、デバイスの実現を可能とする技術。
従来技術・競合技術との比較
ターゲットは次世代製品であり、本命となる技術は確立されていない。例えばディスプレイでも、自発光タイプで透明フレキシブルなものは実現されていない。
新技術の特徴
・様々なサイズのナノ材料・構造を室温形成
・プラスチックにも適用可能
・高品質カーボンナノチューブなどの極めて高価な材料を使用しない
・容易に大規模製造が可能
想定される用途
・ディスプレイ
・着衣型コンピュータ
・医療
・各種光学製品
関連情報
・試作可能
- 材料
6)耐腐食性に優れたアルミニウム合金鋳造用イットリア系耐火・コーティング材の開発
岐阜大学 工学部 機能材料工学科 准教授 櫻田 修
新技術の概要
溶融アルミニウムは還元性が強く、溶融状態でその容器を還元する。この問題を解決可能な耐還元性に優れたイットリア系素材と、この素材を作製及びコーティング剤として利用できるイットリアゾル水溶液を開発した。
従来技術・競合技術との比較
アルミニウム合金溶湯等の溶融金属と接触する鋳造用治工具等に、一般的に鋳鉄が使用されてきた。しかし、鋳鉄は溶湯に対する非濡れ性が時間とともに低下し、表面に固着等による腐食が生じる等、問題となっている。
新技術の特徴
・耐還元性を向上させた材料
・液体を用いるため、コーティング剤としても利用可能
・イットリウム以外の成分を低く抑えた低環境負荷の水溶液
想定される用途
・アルミニウム合金鋳造用耐火物
・耐還元性向上のための耐火物のコーティング剤
・イットリウムを含む化合物の前駆体
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
7)メタルフリー熱CVD法によるカーボンナノチューブの製造技術
三重大学 大学院工学研究科 分子素材工学専攻 助教 小塩 明
新技術の概要
アルコールを原料とした熱CVD法により、金属触媒をまったく使用しないにも関わらず、極めて効率よく高純度のCNTを製造することができる。また、本製造方法を適用すると、高充填率の金属化合物内包CNTやSiナノワイヤーも製造できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の熱CVD法によるCNT製造では金属等の触媒が必ず必要であり、不純物として残存する。本製造方法の原料は硫黄分を含む気化したエタノールだけで、生成物は金属不純物を全く含まない。その生成物は両端が開いたCNTであることも特徴である。
新技術の特徴
・完全に金属フリーのカーボンナノチューブ
・両端開口型のカーボンナノチューブ
・一段階だけの製造工程で様々な素材へのCNTの直接成長が可能
想定される用途
・医薬・バイオ・生体材料
・物質の高効率内包による新規CNTハイブリッド材料
・電池電極等への導電性付与
関連情報
・サンプルの提供について要相談
- 材料
8)無鉛圧電セラミックスを用いた骨補修材料
名古屋工業大学 大学院工学研究科 物質工学専攻 准教授 柿本 健一
新技術の概要
高誘電率かつ白色審美性に優れた無鉛圧電セラミックスの表面に生体親和性を付与する製法を考案した。分極効果によって新骨形成を迅速誘導する骨充填材など医用材料に応用可能となる。
従来技術・競合技術との比較
生分解性圧電高分子は誘電率が低く、骨形成速度が遅い。有鉛圧電材料は生体内での安全性に問題がある。これに対して、本材料は高誘電率かつ無毒な白色審美性に優れた新材料である。
新技術の特徴
・高誘電率、軽量、鉛フリー
・骨組織の方位制御
・強誘電性、圧電性あり
想定される用途
・骨補修材料
・骨粗鬆治療材料
・体内センサー材料
- 材料
9)クレーズフィルムの孔径制御並びにクレーズフィルムの応用
岐阜大学 工学部 機能材料工学科 准教授 武野 明義
新技術の概要
ナノからマイクロサイズに孔径制御できる多孔高分子フィルムを開発した。色素、抗菌剤、医薬、酵素などを閉じ込め、あるいは放出する。水中に気体を放出すると、医療、環境、IT分野に応用が期待されるマイクロバブルを発生する。
従来技術・競合技術との比較
競合技術に比べ高コストあるいは環境負荷の大きいプロセスを含まず、薬剤の導入から孔径の制御までを後処理で行うため、パターン印刷による機能化もできる。多孔層が規則構造を持つため、異方性を持った機能付加が可能である。
新技術の特徴
・汎用樹脂からフッ素樹脂まで低コストな多孔質化が可能
・薬剤の放出量を自由に制御でき、徐放と薬剤の補充を繰り返し行える
・0.3MPa程度の気圧のみで、洗浄、水環境管理などに使用できるマイクロバブルを発生する
想定される用途
・孔を閉じる=>ポリプロピレン繊維の後染め、静電気防止、異方導電性フィルム、ブラインドフィルムなど
・孔を小さくする=>医薬、香料などを徐放するフィルム・繊維、抗菌・防臭フィルム、耐水通気性フィルムなど
・孔から気体を放出する=>マイクロバブル発生装置、水生生物の管理、炭酸ガス温泉、半導体洗浄など
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
10)微小液滴を用いた動的表面張力の測定
名古屋工業大学 大学院工学研究科 物質工学専攻 助教 岩田 修一
新技術の概要
液滴に含まれる界面活性剤は、静止では気液界面に多く存在し、表面張力はその物性に影響されます。しかし、動的な状態では、界面は不安定になり、表面張力は変化します。本シーズは、動的な状態で表面張力を測定します。
従来技術・競合技術との比較
多点の液滴形状データによって表面張力が評価されるため、データにわずかな誤差が含まれていても測定は可能です。また、使用する液量がわずかですみ、微粒子分散系や比較的粘性が高い液体でも測定可能です。
新技術の特徴
・わずか1滴で動的表面張力の測定が可能
・簡便な装置で評価が可能
・温度条件の設定や固体試料の交換が容易
想定される用途
・インク、界面活性剤などの新規物質の開発
・塗布装置、塗布剤の評価など
・蒸留装置や気液分離装置など気液2相流が関連する装置の設計など
関連情報
・測定可能、要相談
お問い合わせ
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