わかやま地域 新技術説明会
日時:2010年08月26日(木)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)半導体絶縁膜用の低温硬化性ポリシルセスキオキサン樹脂
和歌山大学 システム工学部 精密物質学科 助教 中原 佳夫
新技術の概要
芳香環を主成分として含むポリシルセスキオキサンについて、比較的低温処理(〜120℃)で硬化可能な樹脂を開発した。この樹脂はメタクリロキシ基(またはアクリロキシ基)を含むことを特徴としており、得られる膜は半導体用の絶縁膜として使用可能である。
従来技術・競合技術との比較
本技術で作製したポリシルセスキオキサン膜では、従来技術とは異なり、低温硬化後に有機溶媒に不溶となるために、この樹脂を絶縁層として用いることで、半導体素子をプラスチック基板上で塗布(ウェット)プロセスで製造可能である。
新技術の特徴
・一般的な芳香環を主成分とするポリシルセスキオキサンと比較して、熱硬化温度(〜120℃)が低い
・製膜性に優れ、スピンコート法で塗膜することで、ナノレベルで平滑な膜を得ることできる
・一般的な有機高分子と比較して、耐熱性(〜400℃)に優れる
想定される用途
・電子デバイス用の絶縁膜
・電子デバイス用の保護膜
・半導体層間絶縁材料
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
2)ベンゾジチオフェン誘導体からなる有機エレクトロニクス材料
和歌山大学 システム工学部 精密物質学科 准教授 大須賀 秀次
新技術の概要
結晶性・溶解性・発光色などの物性を調整した多様な誘導体の合成が可能であるベンゾジチオフェンを、熱に強く非常に安定な特性を生かして、有機EL材料、有機FET材料、有機太陽電池用材料といった有機エレクトロニクス材料に応用する。
従来技術・競合技術との比較
ベンゾジチオフェンには最高6個まで各種置換基を位置選択的に導入できることから、結晶性・溶解性・発光色などの物性を調整した多様な誘導体の合成が可能であり、使用目的に応じた多様な材料を提供可能。
新技術の特徴
・各種置換基を位置選択的に導入でき、物性を調整した多様な誘導体を提供可能
・熱に強く非常に安定な化合物
・母核のベンゾジチオフェンは比較的高い正孔輸送性を有している
想定される用途
・有機EL用発光材料、正孔輸送材料
・有機FET用半導体材料
・有機太陽電池用半導体材料
関連情報
・サンプルの試作可能
- 材料
3)天然由来蛍光材料の開発
和歌山県工業技術センター 化学産業部 有機化学グループ 主査研究員 三宅 靖仁
新技術の概要
米ぬか由来ポリフェノールの1種である「フェルラ酸」を原料として、溶液状態でも固体(結晶)状態でも、さらには樹脂中に分散した状態でも蛍光を発する材料の開発を行った。また、これらの材料は350〜400℃程度の耐熱性を有しており、様々な用途に対応可能な材料である。
従来技術・競合技術との比較
溶液中で蛍光を発する有機蛍光剤は多いが、固体状態においても蛍光を発する材料は多くはなく、さらに350℃程度の耐熱性を有する有機蛍光剤はほとんど得られていないのが現状である。また従来品の多くは枯渇資源である石油由来化合物であるのに対して、バイオマス由来であることも特徴の1つである。
新技術の特徴
・樹脂に分散可能
・結晶状態、溶液(各種有機溶媒に可溶)、樹脂中分散状態のいずれの状態においても蛍光を発する
・置換基(パーツ)を変えることで、溶解性の調製が可能(親水的〜親油的)
想定される用途
・蛍光増白剤
・有機EL用発光素子
・バイオマーカー
関連情報
・共同研究のパートナー募集
- 材料
4)天然由来スチレンダイマー類の開発
和歌山県工業技術センター 化学産業部 有機化学グループ 主査研究員 森 一
新技術の概要
プロティック溶媒中でヒドロキシ桂皮酸類の脱炭酸を行うことでヒドロキシスチレンダイマーが良好な収率で得られることを見出した。さらに、このダイマーはヒドロキシル基を保護することで安定化され、連鎖移動剤として利用可能であることを見出した。
従来技術・競合技術との比較
芳香環に置換基を有するスチレンダイマー誘導体の製造例は極めて少なく、その製法も特殊な金属触媒の利用が必須であり、本発明の方法にくらべ複雑である。さらに、本発明の化合物が連鎖移動剤として利用可能であることはこれまでに報告されていない。
新技術の特徴
・天然由来化合物を原料に製造
・短段階で効率的に製造可能
・重合反応の連鎖移動剤として利用可能
想定される用途
・連鎖移動剤
関連情報
・少量であれば対応可能(要応談)
- 計測
5)低分子ゲル化剤を用いる医療分析用イオンセンサーの開発
和歌山大学 システム工学部 精密物質学科 准教授 矢嶋 摂子
新技術の概要
低分子ゲル化剤を用いてイオン選択性電極のイオン感応膜を作製し、そのセンサー性能について検討した。感応膜中にイオン感応物質を添加していないにもかかわらず、カリウムイオンに対する優れた応答と高いカリウムイオン選択性を示した。
従来技術・競合技術との比較
従来の技術では、感応膜にイオン感応物質を加えることでイオン選択性が付与していたが、今回は、ゲル化剤を用いることで高価な感応物質を加えなくても高いカリウムイオン選択性を示し、プロセスが簡単で、安価なKイオンセンサとなる。
新技術の特徴
・特定の金属イオンと選択的に結合できる
・妨害する金属が共存しても、特定の金属を検出できる
想定される用途
・医療分析用イオンセンサー
・環境分析用イオンセンサー
・金属吸着剤、金属感応膜
- 材料
6)静置有機溶液からの高分子微粒子合成法
近畿大学 生物理工学部 遺伝子工学科 准教授 仲 幸彦
新技術の概要
均一有機溶液系からの高分子微粒子の合成方法に関する特許である。もともと、放射線重合や光重合で研究していたが、撹拌が均一な微粒子形成を阻害することがわかっていた。今回、熱重合法においても重合開始の誘導期間を利用し、静置下での微粒子合成を可能にすることができた。
従来技術・競合技術との比較
きわめて簡単な方法で微粒子合成が可能である。共重合微粒子も可能である。少量から大量(研究室では1L)まで様々な規模で合成できる。
新技術の特徴
・簡便な方法で微粒子を合成できる
・表面に反応性官能基をもつ微粒子を得ることができる
・架橋性モノマーを主剤とするので、ほとんどの溶媒に溶解しない
想定される用途
・分離カラムの充填剤
・分子認識試薬
・液晶パネル
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
7)粉体を用いたダイラタント流体の特徴を利用したリハビリ用ロボットの開発
近畿大学 生物理工学部 医用工学科 准教授 渡辺 俊明
新技術の概要
リハビリ運動時に運動する手指を優しく、サポートするために、 粒径が十数ミクロンから 数十ミクロンで揃ったダイラタント流体(dilatant fluid)状にした物を、ある程度伸縮性のある 袋体でつつみテーパーの付いた外郭で指を、柔らかく固定し運動時の状況に応じて 指を把持する固定具を有した手指リハビリ運動支援用ロボット。
従来技術・競合技術との比較
従来技術は、ありません。
新技術の特徴
・理学療法士の動きに近い運動が可能
・リハビリ運動の引っ張るような感じにも追従する
想定される用途
・リハビリ運動に限らず、人体を優しくサポートできる
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
和歌山大学 産官学連携フェロー 鈴木 義彦、山本 裕子
TEL:090-4291-4188 or 080-3131-4156FAX:073-457-7550Mail:suzukicenter.wakayama-u.ac.jp
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