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中部公立3大学 新技術説明会

日時:2012年01月20日(金)

会場:JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 材料

1)セルロースブロック共重合体による新規複合材料の創製

静岡県立大学 環境科学研究所 教授 坂口 眞人

新技術の概要

セルロース主鎖の末端から成長させたブロック共重合体の合成技術であるとともにセルロースナノ粒子固体表面の化学修飾技術でもある。

従来技術・競合技術との比較

従来のセルロースの化学修飾はグルコピラノース環状のOH基の修飾(側鎖の修飾)に限られていた。本新技術はセルロース主鎖末端から成長させたブロック共重合体の合成(主鎖の修飾)であるとともにセルロース固体表面の化学修飾技術でもある。

新技術の特徴

・重金属触媒・有機溶媒を使用しない。環境負荷の小さい合成技術
・セルロースナノ粒子の固体表面化学修飾
・ラジカル重合モノマーを限定しない

想定される用途

・樹脂へのセルロースナノ粒子充填剤
・保湿剤等化粧品基材
・ドラッグデリバリー担体

  • 材料

2)酵素と金属触媒の協同作業:光学活性エステルの高収率・簡便合成法

静岡県立大学 薬学部 薬科学科 教授 赤井 周司

新技術の概要

ラセミ体アルコールを光学活性エステルに高収率(最高99%)、高光学純度)最高99%ee以上)で変換する技術。新規に開発した固定化金属触媒と市販の固定化加水分解酵素を同時に用い、室温~50℃で進行。触媒の回収再利用可能。原料基質の選択も柔軟に対応可能。

従来技術・競合技術との比較

酵素単独使用による従来の光学分割法では収率は最大50%。今回、メソポーラスシリカの細孔内に金属を固定化した新触媒を発明し、これを酵素と同時に用いることで従来法の収率を2倍にアップ(?100%)。この触媒は酵素との共存性に優れる。2つの触媒を加えて攪拌するだけの簡単な操作。触媒の回収再利用可能。

新技術の特徴

・不安定物質の構造変換
・化学平衡を偏らせる手法

想定される用途

・光学活性な医薬品、農薬の製造
・光学活性な化学中間原料、機能性有機化合物の製造
・光学活性な香料の製造

  • 創薬

3)細菌の産生する抗血液凝固タンパク質

名古屋市立大学 大学院薬学研究科 生体防御機能学分野 講師 伊藤 佐生智

新技術の概要

黄色ブドウ球菌の分泌タンパク質の標的分子を探索する過程で、血液凝固因子を標的とする分泌タンパク質を見出した。このタンパク質は抗凝固活性を示すこと、およびその部分ペプチドも血液凝固を抑制することも見出した。

従来技術・競合技術との比較

今回見出した抗凝固タンパク質は凝固因子に共通に存在するドメインを直接認識し、凝固因子の活性化を抑制することにより抗凝固活性を示す。これは既存の抗凝固薬とは異なる新規な作用機序である。

新技術の特徴

・細菌毒素の標的分子の探索、作用機序の解明
・組み換え細菌毒素を用いた、生理活性物質の精製
・細菌毒素の宿主タンパク質機能かく乱作用の創薬への応用

想定される用途

・新たな作用機序を持つ抗凝固薬の開発
・ヘパリン禁忌の患者に用いる抗凝固薬の開発
・緊急性を要する患者に対する抗凝固薬の開発

  • アグリ・バイオ

4)大津波による海水被害にも負けない作物を作り出す技術

静岡県立大学 大学院生活健康科学研究科 食品栄養科学専攻 助教 丹羽 康夫

新技術の概要

独自に開発した手法により、海水の主成分である塩化ナトリウムを高濃度に含む条件下でも生育可能な塩耐性突然変異植物体を見つけ出し、その原因となっている遺伝子(stc5)を特定した。遺伝子導入によりSTC5量を増やすことで、植物の耐塩性を強化することに成功した。

従来技術・競合技術との比較

自然界でおこる突然変異体の多くは、遺伝子が壊れることが原因となっている場合が多く、その性質を他の植物に付与することは非常に難しい。また、非植物遺伝子を用いる技術に対しては抵抗を感じる人が多い。植物遺伝子の機能を増強する本技術は、いずれの問題点も克服している。

新技術の特徴

・多様な作物の耐塩性強化が可能
・植物本来の遺伝子を利用
・耐塩性以外の性質への応用が容易

想定される用途

・耕作地の拡大による食糧の増産
・植物の生育地拡大による二酸化炭素の低減
・耕作不適地でのバイオマス生産

  • 創薬

5)ビキシン誘導体及び細胞保護剤

岐阜薬科大学 大学院薬学研究科 薬学専攻 教授 原 英彰

新技術の概要

アナトーはベニノキの種子から抽出される色素であり、食品添加物として使用されている。我々はアナトーおよび主成分であるカロテノイド類のビキシン、さらにビキシンから合成した誘導体(Bx-1~4)に細胞保護作用を見出した。

従来技術・競合技術との比較

我々は、ビキシンが小胞体ストレス誘発細胞死に対する細胞保護作用を有することを見出した。この細胞保護作用はカロテノイド類で一般的に知られている抗酸化作用以外によるものであった。さらに我々が合成したビキシン誘導体(Bx-2)に最も強力な作用が認められた。

新技術の特徴

・新たな作用機序による細胞保護作用
・天然物の修飾による作用の増強
・天然物の修飾による吸収および組織移行性の改善

想定される用途

・網膜疾患(緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症、網膜色素変性症など)の予防
・神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病など)の予防
・その他小胞体ストレスと関連のある疾患の予防

  • 創薬

6)iPS細胞腫瘍化防止技術の開発

名古屋市立大学 大学院医学研究科 細胞生化学分野 教授 中西 真

新技術の概要

iPS細胞等の幹細胞が個体内において造腫瘍性を示す原因として幹細胞での未分化性があると考えられる。従って、未分化状態から強制的に分化状態に移行させ、個体内での造腫瘍性を消失させる技術を開発した。

従来技術・競合技術との比較

分化誘導後の細胞を選別して分化した細胞のみを移植する方法が提唱されているが、完全に未分化細胞を除去することができない。また細胞死を誘導する遺伝子を発現させる方法も報告されているが、未分化幹細胞同様に分化誘導細胞に対して細胞死を誘導してしまう可能性がある。

新技術の特徴

・一過性のテトラサイクリン処理により未分化幹細胞の造腫瘍性を恒久的に消失させる。
・一過性のテトラサイクリン処理により、分化・移植細胞の機能に影響を与えない。
・移植後個体内において腫瘍を形成した場合でも、テトラサイクリン処理によりその増殖を停止させることが出来る。

想定される用途

・ES細胞、あるいはiPS細胞等の多能性未分化幹細胞を用いた分化誘導・移植再生医療において、移植後の残存未分化幹細胞による腫瘍形成を防止する目的に使用可能
・移植後の腫瘍形成に対して、テトラサイクリンを抗腫瘍薬物として使用可能

  • アグリ・バイオ

7)酸化ストレス防御酵素EC-SODの高感度微量測定法

岐阜薬科大学 大学院薬学研究科 薬学専攻 教授 足立 哲夫

新技術の概要

酸化ストレス防御酵素であるEC-SODのタンパク発現の解析は病態の把握や有用化合物の探索研究に有益な情報を提供するものと考えられるが、培養細胞におけるEC-SOD発現は非常に微量であるため、これを測定する超高感度微量測定法を開発した。

従来技術・競合技術との比較

確立した測定法は、従来法に比べ10倍高感度であり、ヒト培養細胞上清やヒト培養細胞ホモジネート中のEC-SODを感度良く測定することが可能であった。また、非侵襲的に随時、簡便に入手できる検体である唾液中のEC-SODを測定することができ、臨床検査法としての活用も可能である。

新技術の特徴

・組織・細胞イメージング
・健康増進の評価
・機能性食品開発

想定される用途

・抗酸化活性をもつ有用化合物の探索
・培養細胞を用いた病態モデルでの評価系
・生体成分を用いた臨床検査

  • アグリ・バイオ

8)PPARδリガンドのスクリーニング法

岐阜薬科大学 大学院薬学研究科 薬学専攻 准教授 中西 剛

新技術の概要

本発明の課題は、PPARδリガンド(アゴニスト又はアンタゴニスト)としての被験物質の有効性を、酵母two-hybrid法を用いてハイスループットに評価できる手段を提供することにある。

従来技術・競合技術との比較

本発明は、従来の試験法である受容体試験法やレポーターアッセイよりもスループット性が高く、またリガンド依存的な受容体とコファクターとの相互作用をマクロタイタープレート上で検出することで評価を行うin vitro試験法では検討できない天然物の粗抽出物の評価を行うことも可能である。

新技術の特徴

・PPARδリガンド作用を有するような環境汚染物質のリスク評価
・PPARδリガンドスクリーニング受託試験
・酵母two-hybrid法を応用した他の核内受容体リガンド試験法への応用

想定される用途

・医薬品の候補となる新規化合物のPPARδリガンドスクリーニング
・天然物の粗抽出物からPPARδリガンド医薬品シーズを探索するためのスクリーニング
・生体内に存在するPPARδリガンドのトレース実験

  • アグリ・バイオ

9)新規抗体を用いた、神経疾患に関わる蛋白質の迅速定量

名古屋市立大学 大学院薬学研究科 病態生化学分野 教授 服部 光治

新技術の概要

リーリンは、神経回路網形成や機能発現に必須の蛋白質であり、その定量は様々な疾患(アルツハイマー病、統合失調症、気分障害、自閉症等)にとって有用である。今回、リーリンの迅速定量法に使用できる新規モノクローナル抗体を樹立した。

従来技術・競合技術との比較

リーリンの多くは分解産物として存在するため、全長(活性型)リーリンの定量には電気泳動での分離が必要であった。我々の抗体は、非分解型リーリンだけを認識するので、ELISA等での検出が可能になった。

新技術の特徴

・従来の抗体と異なり、非分解型(活性型)リーリンだけを認識する
・モノクローナル抗体なので、半永久的に供給可能である
・マウス、ヒト、ラットなど、ほぼ全ての哺乳動物におけるリーリン蛋白を検出可能である

想定される用途

・ヒト血清における全長リーリンの定量
・ヒト脳脊髄液における全長リーリンの定量
・リーリン分解阻害物質のスクリーニング

関連情報

・サンプルの提供可能

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

静岡県立大学 教育研究推進部 産学連携室

TEL:054-264-5124FAX:054-264-5099
Mail:renkeiアットマークu-shizuoka-ken.ac.jp
URL:http://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/

名古屋市立大学 リエゾン・センター(事務局学術課)

TEL:052-853-8041FAX:052-841-0261
Mail:kikaku2アットマークadm.nagoya-cu.ac.jp
URL:http://www.nagoya-cu.ac.jp/

岐阜薬科大学 知的財産管理・発明委員会 (事務局庶務会計課)

TEL:058-230-8100FAX:058-230-8200
Mail:syomukアットマークgifu-pu.ac.jp
URL:http://www.gifu-pu.ac.jp/top.html
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

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Mail:scettアットマークjst.go.jp

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