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広島大学 新技術説明会

日時:2011年05月20日(金)

会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 材料

1)面内配向制御を目指した液晶性単分子膜の作製法の開発

広島大学 大学院工学研究院 物質化学工学部門 准教授 今栄 一郎

新技術の概要

有機デバイスの新機能発現・性能向上を目指し、基板表面に面内配向制御能力を持つ単分子膜を作製する目的で、末端に反応性置換基を有する液晶性化合物の合成を行うとともに、それらの配向状態を維持したまま基板表面に固定化する手法を開発した。

従来技術・競合技術との比較

これまでにも基板表面を有機単分子膜で修飾し、有機デバイスの性能向上を行った研究例はあるが、その単分子膜内の分子配列を面内方向に積極的に制御した研究は全くない。本研究で開発した技術は、液晶分子の両末端に反応性置換機を導入することにより、液晶分子の配向方向を基板平面に平行な面内に反映した単分子膜を作製できる。

新技術の特徴

・基板面に平行な面内に単分子膜を配向制御できる
・単分子膜が基板表面に固定化されているので配向状態を安定に維持できる
・作製した配向単分子は、その膜上に作製する有機機能性分子膜の配向方向の制御が期待できる

想定される用途

・高性能有機電界効果トランジスタ
・3Dテレビに応用可能な偏光発光型有機ELディスプレイ
・磁気記録媒体

  • 材料

2)新型D-π-A型蛍光性色素を用いた色素増感太陽電池

広島大学 大学院工学研究院 物質化学工学部門 応用化学専攻 准教授 大山 陽介

新技術の概要

色素増感太陽電池用色素として、ピリジン環を電子吸引性固定基として有する新型D-π-A蛍光性色素を開発した。

従来技術・競合技術との比較

カルボキシル基を電子吸引性固定基として有する従来のD-π-A色素と比べて、本発明のピリジン環を電子吸引性固定基として有する新型D-π-A蛍光性色素を用いた色素増感太陽電池は高い光電変換特性を示す。

新技術の特徴

・酸化チタン電極への吸着基としてピリジン環を使用している(カルボキシル基不要)
・色素のピリジン環と酸化チタンのTi間で強い配位結合を形成し、高効率な電子注入を達成
・色素へのカルボキシル基の導入が不要なため、本発明の新型D-π-A蛍光性色素を安価に製造できる

想定される用途

・色素増感太陽電池用および有機薄膜太陽電池用色素
・有機エレクトロルミネッセンス(EL)用発光性色素
・有機トランジスタ(FET用)半導体

  • 材料

3)電池電極を想定したナノワイヤ及びタッチパネル用透明薄膜

広島大学 大学院工学研究院 材料・生産加工部門 准教授 加藤 昌彦

新技術の概要

電池容量向上に有効な電極表面積向上のための表面処理技術として新たに開発したナノワイヤ、および新たな原理に基づくタッチパネル作成を可能とする高ゲージ率を有する透明導電性薄膜

従来技術・競合技術との比較

スパッタ技術を使用して、直径が1μm以下のナノワイヤの形成に成功。ナノワイヤは基材に接合不要であり、接触抵抗はない。 また、ゲージ率(ひずみに対する感度)が300を上回る透明圧抵抗薄膜の形成に成功。

新技術の特徴

・サブミクロンの直径を有するナノワイヤの形成により、表面が著しく増加
・ナノワイヤは、電子放電特性を向上、摩擦特性を改善、あるいは界面密着力を改善させる
・透明圧抵抗薄膜は、その極めて高いゲージ率に特徴がある

想定される用途

・リチウムイオン電池等の電極材料
・タッチパネル
・エミッタ

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 計測

4)搬送ラインに特化した高速3次元形状計測システム

広島大学 大学院工学研究院 電気電子システム数理部門 教授 石井 抱

新技術の概要

一定方向の高速搬送対象に特化した形で、複数のコード化されたスリット光が投影された計測対象について、フレームレート10000fps以上で動作する高速ビジョンを用いて空間コード画像に基づく3次元形状を実時間取得可能とする手法である。

従来技術・競合技術との比較

当該技術は、従来のコード化パターン光投影法における、時分割されたコード化パターン光投影による運動対象に対する同期ずれの問題について、計測対象の一方向搬送を前提とした上で、時分割ではなく空間分割したコード化スリット光投影を行うことにより、高速搬送対象に対する3次元形状を実時間取得可能とする。

新技術の特徴

・空間分割されたコード化スリット光投影に基づく3次元形状計測法
・処理に用いる画像領域の効率化及び同期ずれの問題を解決した3次元形状計測法
・10000fpsを超える高フレームレートでの高速3次元形状計測の実時間実現

想定される用途

・高速搬送ラインにおけるワーク検査システム
・複数ラインセンサの導入による高空間解像度3次元形状計測システム
・メディア入力のための高速3次元スキャナ

  • 製造技術

5)制御器のワンショットチューニング法 ~操業データから制御器を直接設計する~

広島大学 大学院工学研究院 電気電子システム数理部門 教授 山本 透

新技術の概要

産業システムを際御する際、制御パラメータの調整は、生産効率向上や省エネルギー化に大きく影響を与えるために、極めて重要な問題となっています。本技術は、産業システムの操業データを利用し、制御パラメータを直接調整する方法です。

従来技術・競合技術との比較

制御パラメータの調整には、これまで対象とするシステムのモデルを構築する必要がありました。しかしながら、モデルが良好に構築されることはほとんどなく、これに基づいて調整した制御パラメータは必ずしも良いものではありませんでした。本技術によると、操業データから制御パラメータを直接調整することができるため、モデルを構築する必要がありません。

新技術の特徴

・制御パラメータの調整に、対象とするシステムのモデルを構築する必要がない
・所望の制御性能を予め設定し、これに基づく制御パラメータが算出できる
・対象とするシステムの構造や機能が分からない場合でも、データから制御パラメータが簡単に調整できる

想定される用途

・石油・化学プロセスに代表されるプロセス産業におけるプラントの効率的な稼働の実現
・オートチューナ(電子温度調節器など)における、制御パラメータのオンライン短時間調整
・福祉機器やリハビリテーション機器など、人間を対象とした機器における制御システム

  • 医療・福祉

6)外周長よりビーム軌道が数倍長いシンクロトロン加速器

広島大学 放射光科学研究センター 教授 佐々木 茂美

新技術の概要

荷電粒子加速器或は蓄積リングにおいて、偏向電磁石中でビーム軌道が交差するようなラティスを組むことにより、ビームが多数回周回した後に元の軌道に復帰するようにできる。このため、コンパクトな占有面積で極めて長い閉軌道が得られる。

従来技術・競合技術との比較

従来のリング型加速器では、リング1周で軌道が閉じるため、リングの周長が決まれば蓄積できる最大電荷量も決まっていたが、新技術では最大蓄積電荷量を2倍3倍にできる。さらに、自由な直線部が増えるため利用目的に応じて種々の装置を挿入できる。

新技術の特徴

・加速器サイズに比べ、ビーム軌道長が長いため多くの荷電粒子数を蓄積できる
・従来型に比べ、多数の自由な直線部を設けることができる
・シングルバンチ運転によりバンチ間隔を従来型リングより格段に大きくすることができる

想定される用途

・多数の挿入光源を擁する放射光源リング
・自由電子レーザーあるいはコヒーレント放射光リング
・医学応用コンパクト重イオンシンクロトロン

  • 材料

7)ジホウ素化アルケン類の新製造法

広島大学 大学院工学研究院 物質化学工学部門 准教授 吉田 拡人

新技術の概要

種々のアルキン類とビス(ピナコラート)ジボロンとのカップリング反応が銅触媒存在下、速やかに進行することを明らかにした。本手法により多様なジホウ素化アルケン類を一段階合成できる。

従来技術・競合技術との比較

従来、ジホウ素化アルケン類は白金触媒を用いて合成されていたが、本手法を用いることにより格段に安価な銅触媒への移行が可能となり、コストを大幅に縮小できる。

新技術の特徴

・入手容易性の高い原料の使用
・安価な銅触媒の利用
・ジホウ素化アルケン類の一段階合成

想定される用途

・市販ジホウ素化アルケン類の新合成法
・ジホウ素化アルケン類試薬の拡充
・多置換アルケン類合成のための合成中間体

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 材料

8)水素吸蔵材へのカーボンナノチューブ直接合成による伝熱促進

広島大学 大学院工学研究院 エネルギー・環境部門 准教授 井上 修平

新技術の概要

水素吸蔵材は容器の中で粒径10μm程度の充填層として存在する。このため有効熱伝導率の低さが応用への課題である。本技術は既存の水素吸蔵材上に単層カーボンナノチューブを直接合成する技術である。単層カーボンナノチューブは伝熱特性に非常に優れているため大幅な有効熱伝導率の向上が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

これまで充填層の伝熱特性の改善方法として、フィンなどの伝熱媒体を挿入する方法があった。しかしフィンとの接触が結局は点接触であり十分な効果が得られていない。またフィンの挿入により容器の実効容積が減少することも問題である。これに比べてナノチューブは粒子に比べて非常に小さく容積を減少させる心配が無いこと、粒子と強固に結びつくことで接触熱抵抗が小さくなるという利点がある。

新技術の特徴

・伝熱特性の改善
・緩衝材としての機能
・吸着剤

想定される用途

・ガス吸着剤
・充填層の有効熱伝導率の向上
・脆性材料の保護

関連情報

・開発中のため共同研究等であればサンプル提供は可能

  • 材料

9)パームトップ分析装置、バイオチップ、発光増強に利用できるナノ粒子

広島大学 自然科学研究支援開発センター 低温・機器分析部門 教授 齋藤 健一

新技術の概要

巨大な増強効果を持つ金ナノ粒子を生成した。これを用いると、10-20molという極めて希薄な有機分子や医薬品の「指紋」解析を1秒できた。その他、可視発光するSiナノ粒子の発光強度を10万倍程の増加させることもできた。

従来技術・競合技術との比較

ナノ粒子の生成法は、我々が開発した世界初の手法である。この手法で、ワールドレコードクラスの増強度を有する金ナノ粒子が得られた。その他、光の三原色(赤・緑・青)で発光するSiナノ粒子の発光強度の増強にも成功した。

新技術の特徴

・極めて希薄な有機分子や医薬品の微量分析
・発光体の発光強度の著しい増加と低消費電力化
・溶液試料の分析時間の短縮化、低消費電力化、ならびに低コスト化

想定される用途

・パームトップ型分子構造解析装置(パーソナル分析機器、アウトドア型分析機器)の開発
・低電力照明、高輝度ディスプレー
・プラズモンバイオチップ(バイオ系分子、有機分子の高感度分析基板)

関連情報

・サンプルの提供 応相談
・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

広島大学 産学・地域連携センター 国際・産学連携部門

TEL:082-421-363FAX:082-421-3639
Mail:techrdアットマークhiroshima-u.ac.jp
URL:http://www.hiroshima-u.ac.jp/techrd/
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

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