九州工業大学 新技術説明会
日時:2011年12月16日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)静脈血栓症予防のための小型下肢運動補助装置の開発
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 脳情報専攻 教授 石井 和男
新技術の概要
深部静脈血栓症(DVT)の予防装置として、ふくらはぎの筋ポンプ作用を利用し、踝を中心として足首を上下運動させることにより下肢の血流量を増加させる下肢運動補助装置を開発した。
従来技術・競合技術との比較
DVTの予防法として、弾性ストッキングの着用,間欠的空気圧迫法を用いた機器が開発されているが、動作音や暑さによる蒸れなど課題が多い。本発明は、ふくらはぎの筋ポンプ作用を利用し従来の機器の問題点を解決した。
新技術の特徴
・足首運動による筋肉の伸張
・装置回転軸と足首回転軸のずれをスライダ機構により吸収
・二重のカムの採用による小型化
想定される用途
・健康管理
・航空機での旅客サービス
・リハビリ
関連情報
・血栓症予防装置の試作品を持参し、面談する企業の方に動作や機能を紹介
- 医療・福祉
2)酵素分解したエラスチン由来ペプチドによる血圧降下作用
九州工業大学 大学院情報工学研究院 生命情報工学研究系 准教授 前田 衣織
新技術の概要
生物由来の材料より水溶性エラスチンを精製し、消化酵素の一種であるエラスターゼにより酵素消化の処理を行ったところ、その分解物がアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害能(血圧降下作用)を有することを見出した。
従来技術・競合技術との比較
これまでに使用されているACE阻害作用をもつ血圧降下剤は、副作用が問題となっていた。本技術により調製された生体のタンパク質由来のペプチドを利用すれば、副作用の少ない素材となることが期待される。
新技術の特徴
・生体由来成分
・タンパク質の酵素消化
・生理活性ペプチド
想定される用途
・健康食品
・血圧降下剤
・抗動脈硬化予防薬
- 医療・福祉
3)読唇技術を用いたコミュニケーション支援システム
九州工業大学 大学院情報工学研究院 システム創成情報工学研究系 准教授 齊藤 剛史
新技術の概要
本技術は、音声情報を使わず口の動きのみを用いて発話内容を認識する読唇技術である。読唇のリアルタイム処理を実現し、コミュニケーションを支援するシステムの提案である。
従来技術・競合技術との比較
本技術は音を用いないため、発話障害者など従来の音声認識技術を利用できない人が利用可能である。またこれまで読唇技術が提案されているが、本技術はリアルタイム処理を実現しており、実用性が高い。
新技術の特徴
・音声情報を用いないコミュニケーション支援システムである
・単に認識するだけでなく、発話内容の登録から認識まで一連の処理を組み込んでいる
・実際にリアルタイムで利用可能なシステムを開発し、被験者実験による評価を実施している
想定される用途
・障害者のコミュニケーション支援システム
・音声認識インタフェースとの統合システム
・公共の場所における音声通話の実現
- 医療・福祉
4)球体駆動式全方向移動装置とその応用例
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 脳情報専攻 准教授 宮本 弘之
新技術の概要
球体駆動式全方向移動機構は、床面の凸凹等の影響を受けにくく走行性能・走行安定性が高く、球の半径より低い段差を乗り越えることができ、低振動・低騒音である。機構的にも無理や無駄がないので低コスト化が図れる。
従来技術・競合技術との比較
従来、全方位車輪は、比較的高速移動が可能で制御が容易なオムニホイール式が多く用いられるが、小径のローラが車輪の円周に沿って配置されているため段差の乗り越えは困難である。オムニホイールの回転による振動と騒音の問題も残され、床面の凸凹等の影響で走行の挙動が不安定となりやすい。
新技術の特徴
・高い走行性能・走行安定性
・低振動・低騒音
・低コスト
想定される用途
・電動車椅子
・搬送台車
・ロボット用台車
- 医療・福祉
5)DCTによる生体電気信号の交流雑音除去法
九州工業大学 産学連携推進センター 若松分室 教授 佐藤 寧
新技術の概要
圧電素子を利用した生体信号や心電波形などの微小生体電気信号に含まれる交流雑音や運動時に発生する雑音を、DCTなどの直交変換により周期性を正規化し雑音除去する技術。
従来技術・競合技術との比較
従来は単なるフィルタや適応フィルタなどで除去していたが、本技術は周期性に着目し正規化することで周期性以外の雑音を全て効率よく除去でき、演算量も少なく組込み機器に対応が可能である。
新技術の特徴
・心電波形、脈波などの交流雑音の除去
・心電波形、脈波計測において運動時に受ける雑音の除去
・光心拍や血圧計測における雑音除去
想定される用途
・医療機器(血圧計測機器、心電計測機器、心音計測機器)
・健康管理グッズ(リストバンド型の脈波計測、ベルトタイプに脈波計測)
・自動車などの運転時における生体信号の検知(いねむり運転やストレスなど)
関連情報
・リストバンド型の生体センシング
・システムの展示あり
- 材料
6)生体親和性を有するセラミックナノチューブ
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 生体機能専攻 准教授 宮崎 敏樹
新技術の概要
炭化ケイ素や二酸化ケイ素等のセラミックスからなるナノチューブに、生体適合性に優れたリン酸カルシウムセラミックスを、簡便な水溶液プロセスによりコーティングする技術を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
従来、炭化ケイ素系セラミックス表面にリン酸カルシウムセラミックスを形成させることは難しかったが、ナノチューブ化することと、新規な表面改質法を導入することでこれを実現した。
新技術の特徴
・被覆するセラミックスに希土類などを微量添加することもできるので、新規センサデバイスなどとしても展開可能である
・水溶液中で反応を進めるので、有機物質や酵素などの導入も可能であり、触媒担体としても有用である
・ナノチューブ化することで比表面積を大きくできるので、吸着材としても有用である
想定される用途
・医用材料・歯科用材料
・分離・吸着材(クロマトグラフィー用カラムなど)
・耐摩耗性部材
- 医療・福祉
7)靴型歩行計測装置を用いた歩行訓練支援システム/歩行ナビゲーションシステム
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 生体機能専攻 准教授 和田 親宗
新技術の概要
靴に様々なセンサを取り付け、無線により足底圧力や足位置などの歩行情報をリアルタイムで取得する。その情報をもとに、歩行訓練者にわかりやすく足の動きを知らせ、いつでもどこでも一人で歩行訓練を可能にする。さらに、GPSなどでは計測不可能な場所での歩行者の位置特定を可能にする。
従来技術・競合技術との比較
既存の靴型装置では、足底圧力のみを使い歩行評価を行っている。新技術では、足位置の計測も可能であるため、歩幅調整訓練や足挙げ訓練が可能となり、より効果的な歩行訓練ができる。さらに、GPSを用いた視覚障害者に対する歩行誘導システムで問題となっている環境によっては不可能となる現在位置の特定を、足位置の計測結果から行うことが可能となる。
新技術の特徴
・各種センサを搭載した靴型計測装置
・ワイヤレスで、計測範囲を限定せず、使用者を拘束しない計測技術
・現在位置特定技術や路面状態計測技術
・遠隔リハビリ技術
想定される用途
・計測結果を見ながら一人で行う歩行訓練
・自宅や介護施設において歩行状態を計測し、遠隔の医師が計測結果に基づき行う遠隔リハビリ
・健常者の歩行状態の計測(例えば高精度な万歩計機能)
・GPSと組み合わせることで、計測不能範囲のない、歩行者の現在位置特定
・足の高さや傾き情報も利用することで、傾斜や階段等の路面状態の計測
関連情報
・靴型計測装置のデモの展示あり(予定)
- 医療・福祉
8)命をつないで健康生活
九州工業大学 大学院工学研究院 機械知能工学研究系 知能制御工学部門 教授 田川 善彦
新技術の概要
人工呼吸時の気管チューブの挿管訓練や挿入後の同チューブの管理が可能なシステムにより医療事故から患者の命を守り、生体電気刺激システムのユビキタス利用で筋骨格系萎縮の防止によって健康な生活を支援する。
従来技術・競合技術との比較
挿管訓練が不要なシステムがあるが医者や救急救命士の技術向上に寄与しない、また医側の操作時に挿管状況を判別可能な機器があるが医側の負担の軽減にはならない。一方、電気刺激装置単体はあるが、ユビキタス利用向きでは無い。
新技術の特徴
・人工呼吸時の医療事故防止
・廃用萎縮への対応
・ユビキタス利用
想定される用途
・人工呼吸
・長期臥床者・高齢者・宇宙飛行士の廃用性萎縮対策
・ストーツ先週の筋力強化
関連情報
・外国出願特許あり
- 材料
9)天然多糖類から調製された電気化学キャパシタ用炭素材料の開発
九州工業大学 大学院工学研究院 物質工学研究系 応用化学部門 准教授 坪田 敏樹
新技術の概要
セルロースやデンプンから高性能な電気化学キャパシタの電極材料を調製する方法。
従来技術・競合技術との比較
比較的安全な試薬と調製条件で、簡便で安価に高性能材料を調製できる。
新技術の特徴
・比較的安全で安価な試薬(難燃剤)を使用
・比較的低温(800℃)で熱処理
・簡便な調製条件
想定される用途
・キャパシタ用電極材料
関連情報
・サンプルの提供可能
- エネルギー
10)風力発電装置
九州工業大学 大学院工学研究院 機械知能工学研究系 機械工学部門 教授 金元 敏明
新技術の概要
大径の前段風車ロータと小径の後段風車ロータが発電機の内外回転電機子をそれぞれ駆動する、新たな水平軸風力発電ユニットである。特別な制動機構を必要とせず、風車ロータと発電機の的確な連携プレー能力により、極微風から強風まで、現存風車に比べて高出力で安定した連続稼働ができる。
従来技術・競合技術との比較
本ユニットは、(a)従来通りの風力発電施設の新設機に加え、(b)7年と言われている風車ロータの代替、(c)単機出力の増加による初期コストの早期回収あるいは売電単価の低減が期待でき、(d)低風速域(1m/s)から高風速域まで高出力、を武器に適用範囲は格段に拡大され、風車ロータ径の選定如何により、街中の小型風車から湾岸/洋上大型風力発電機として自在に適用できる。
新技術の特徴
・前後二段の風車ロータ間/内外回転電機子間で回転トルクが相殺され、外部に反作用が働かない。
・磁界を切る相対速度が速くなるので、増速機構が不要になり、小型、高起電圧化が期待できる。
・ピッチコントロール機構なしで、出力一定運転が期待できる。
想定される用途
・風力発電
・潮流発電
・水力発電
関連情報
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
産学連携推進センター 知的財産部門
TEL:093-884-3499FAX:093-884-3531Mail:chizaijimu.kyutech.ac.jp
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp