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農研機構 新技術説明会(1)

日時:2011年06月07日(火)

会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • アグリ・バイオ

1)高精度なPCR法による鳥インフルエンザウイルスの迅速な亜型判定

農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 ウイルス・疫学研究領域 上席研究員 塚本 健司

新技術の概要

16種類のHA亜型と9種類のNA亜型の組合せからなる鳥インフルエンザウイルスの亜型を、PCRまたはリアルタイムPCRで一度に判定する方法である。本法は300株以上のウイルスで利用できることが確認されており、増幅産物の塩基配列解析から病原性の推定、鶏への馴化の推定、分子疫学解析も可能である。

従来技術・競合技術との比較

従来の抗血清パネルを用いた現行の亜型判定法は、専門機関だけで利用されている方法で、交差反応、非特異反応、操作の煩雑さ、時間を要するなど問題がある。一方、今回開発した遺伝子亜型判定法は、特異性・感度が高く、簡便・迅速で、多検体処理できる点で優れており、一般検査室でも利用可能である。

新技術の特徴

・特異性、感度が高い
・簡便・迅速、多検体処理が可能
・一般検査室で利用可能

想定される用途

・鳥インフルエンザウイルスの診断
・野鳥調査
・海外での利用の可能性

関連情報

・サンプルの提供可能

  • アグリ・バイオ

2)農場現場で利用可能な牛の脳幹機能検査技術

農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 病態研究領域 上席研究員 新井 鐘蔵

新技術の概要

痙攣や起立不能などの神経症状を示す牛について、牛を立たせたまま安全に聴性脳幹誘発電位(BAEP)を測定・解析できる技術及び本技術を用いた携帯型の測定装置を開発した。本技術は、農場現場で家畜の脳神経疾患を早期診断できる臨床検査法として期待できる。

従来技術・競合技術との比較

従来は、牛の脳神経疾患の診断は死後の病理検査等でなされてきた。また、生前にMRI等の画像検査を行うことは設備的に困難であった。本技術は、農場現場において生前に脳幹機能検査が実施できるため、異常牛の早期発見・早期摘発を迅速に行うことが可能となる。

新技術の特徴

・農場現場など野外で牛のBAEP測定をすることが可能
・牛の脳幹機能検査が少人数で安全にできる
・波形解析が容易

想定される用途

・農場現場での異常牛の早期発見・摘発
・家畜診療所、大学病院(獣医系)等における家畜の脳機能検査
・犬・猫などペットの脳機能検査

  • アグリ・バイオ

3)組換え型リゾチームの製造法

農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 動物疾病対策センター 主任研究員 土屋 佳紀

新技術の概要

ブタリゾチーム遺伝子およびヒトリゾチーム遺伝子を人工合成し、昆虫細胞やカイコで発現して細胞培養液やカイコ体液、絹糸表層(セリシン層)に組換え型リゾチームを大量に分泌生産させる技術である。シグナル配列の改変や培養液の改良で生産性を向上させている。

従来技術・競合技術との比較

従来、大腸菌など微生物でリゾチームを生産すると、立体構造が天然型と異なる上に生産量も低く精製も困難である。本技術は昆虫細胞やカイコで生産するため、天然型と同一の構造と活性を有し、精製も容易で大量生産ができる。

新技術の特徴

・抗生物質の代替薬として期待されるリゾチームの大量生産を実現している
・シグナル配列を改変する事で組換え型リゾチームの分泌生産量を向上させている
・培養液の浸透圧を調整することで組換え型リゾチームの分泌生産量を増加させている
・絹糸の表層に組換え型リゾチームを蓄積させ、抗菌絹糸を実現している

想定される用途

・感染症治療において抗生物質に代わる抗菌剤としての利用
・飼料添加剤としての抗生物質に代わる抗菌剤としての利用
・抗菌繊維としての医療用素材への利用

関連情報

・サンプルの提供可能

  • アグリ・バイオ

4)少数細胞・組織内におけるDNAメチル化状態の簡易検出

農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 畜産草地研究領域 上席研究員 高橋 昌志

新技術の概要

初期胚、少数細胞、凍結組織等の試料について、制限酵素のメチル化依存的な配列認識・切断特性を活用することで、DNAを抽出処理することなくメチル化状態を簡易かつ短時間に検出する手法である。

従来技術・競合技術との比較

従来法では、全メチル化シトシンを認識する抗体による網羅的メチル化検出のみ可能であったが、メチル基の有無に依存した制限酵素による認識配列の消化・切断部位を検出する本手法によって、より特異性の高いメチル化状態の評価解析が可能となった。

新技術の特徴

・簡易・短時間検出
・少数の浮遊・培養体細胞、生殖細胞および組織での適用が可
・組織発生・分化、エピジェネティクス解析への利用

想定される用途

・体細胞クローン動物作出
・発生・分化研究におけるエピジェネティクス評価・解析
・ガン組織のエピジェネティック解析

  • アグリ・バイオ

5)食品・サプリメント・ペットフードに老化抑制機能をプラス!

農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 畜産物研究領域 主任研究員 木元 広実

新技術の概要

乳酸菌H61株は老化促進モデルマウスへの老化抑制作用(老化の進行に伴う脱毛の抑制、皮膚機能低下抑制等)を示すとともに、当該作用が生菌・死菌に関わらず認められることから、ヨーグルト作製等生菌としての利用に加え、広く一般食品及びペットフードへの添加も有効である。

従来技術・競合技術との比較

従来の乳酸菌の老化抑制に関する技術は、若齢?成マウスを用いた寿命延長効果に関するものが多く、老化していないか否かは検討されていない状態であった。しかし、乳酸菌H61株は、老齢マウス等を用いた研究によって、老化が始まってから摂取しても、老化に関連した脱毛・皮膚炎症等を抑制することを示した。

新技術の特徴

・老化の進行に関連する脱毛抑制、皮膚機能低下抑制
・生菌、死菌体に関わらず効果あり
・老化が始まってから摂取しても効果あり

想定される用途

・食品/サプリメント
・ペットフード
・化粧品/脱毛抑制剤

関連情報

・サンプルの提供可能

  • アグリ・バイオ

6)植物病原ウイロイドの新たな検出法を開発

農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター 病害虫研究領域 上席研究員 津田 新哉

新技術の概要

我が国が特定重要病害として侵入を警戒しているポテトスピンドルチューバーウイロイド(PSTVd)の新たな検出法である。

従来技術・競合技術との比較

従来は、PSTVdと近縁のトマト退緑萎縮ウイロイド(TCDVd)とを識別できなかったため、同様の作業をそれぞれ実施しなければならなかった。本検定法を開発したことで、1回の操作でPSTVdの全系統をTCDVdと識別しながら検出することができる。

新技術の特徴

・1回の操作で2種ウイロイドの検出・同定が可能
・世界中で発生しているPSTVdの全系統を検出可能
・植物からの核酸抽出操作がない簡単なPCR法

想定される用途

・種苗会社における海外輸入植物種苗のウイロイド自主検査
・種苗会社から出荷した国内一般流通植物苗のウイロイド自主検査
・行政部局による植物検疫事業

関連情報

・外国出願特許あり

  • アグリ・バイオ

7)放射冷却強度指標による近隣気温観測値からの地上気温推定法

農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター 傾斜地園芸研究領域 主任研究員 植山 秀紀

新技術の概要

本技術は、農業分野への応用を想定した高解像度での正確な予測が可能な気温推定手法である。アメダス等の既存の気温観測値と新たな気象要素である放射冷却強度指標を採用した開発者独自の気温地点間差推定法が、その基礎技術となっている。

従来技術・競合技術との比較

従来の気温推定は、数値モデルによる計算や観測値の空間内挿であったが、数値モデルの値はモデルバイアスのため観測値による補正が必要であり、空間内挿では、将来予測や観測期間外の予測は不可能であった。しかし、本技術により、近隣の気温観測値に基づく現在及び将来の気温予測が可能となった。

新技術の特徴

・屋外作業者を対象とした熱中症の発生予測等の健康管理技術
・冷房暖房予測費にもとづく建築物の立地および構造の評価
・気温予測値にもとづく冷暖房費予測

想定される用途

・農地環境(気温、湿度、霜外危険度、病害発生危険度、潜在収量、最適作期)の評価
・数値気象モデルの予報値にもとづく農地環境(高温発生、霜発生、病害発生等)予測
・クラウドコンピューティングによる生育、品質予測情報の配信

関連情報

・本技術の原著論文及び利用法に関する論文の提供が可能

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 連携広報センター

TEL:029-838-7311 FAX:029-838-8525
Mail:fukyuアットマークnaro.affrc.go.jp
URL:http://www.naro.affrc.go.jp/patent/policy.html
新技術説明会について

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Mail:scettアットマークjst.go.jp

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