山陰(鳥取・島根)発 新技術説明会
日時:2011年07月08日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)生細胞におけるDNA2本鎖切断損傷を検出するバイオセンサーと解析システム
鳥取大学 大学院医学系研究科 機能再生医科学専攻 准教授 栗政 明弘
新技術の概要
がんの放射線治療や化学療法の際にがん細胞で生じるDNA損傷の一つであるDNA2本鎖切断を生きた培養細胞で顕微鏡観察し、その変化を画像解析ソフトウェアで定量観察するシステムの開発を行っている。
従来技術・競合技術との比較
これまでの免疫染色によるDNA2本鎖切断損傷の染色による検出と比較して、がん細胞を生きた状態で細胞周期の移行を観察しながらDNA損傷の動態を検出し、それを画像解析により定量評価が可能となっている。
新技術の特徴
・DNA2本鎖切断損傷の動態の観察
・DNA損傷を誘発する化学物質の定量評価
・放射線による生物影響の細胞レベルでの評価
想定される用途
・新たな抗がん剤候補薬剤のスクリーニング
・抗がん剤の作用機序の解析と評価
・放射線照射の効果判定や放射線増感剤の開発
- アグリ・バイオ
2)実験動物(マウス・ラット)用の片手持ち搾乳器の開発
島根大学 総合科学研究支援センター 実験動物分野 技術専門職員 川上 浩平
新技術の概要
本装置は、実験動物(マウス・ラット)用の片手持ち搾乳器である。ラッパ状に加工したガラス管で乳房の乳輪部周辺を覆い、他方から吸引器により発生させた負圧で搾乳する。効率の良い搾乳が可能であり、かつ、操作や洗浄も容易である。
従来技術・競合技術との比較
従来、小動物用の搾乳器はない。ヘマトクリット管を用いた搾乳法もあるが、手技が困難なため、授乳された仔の胃からの採取が主流であった。本装置は操作が簡便かつ安価であり、母獣、仔とも安全に十分なサンプル量が採取できる。
新技術の特徴
・授乳中の実験用小動物(マウス・ラット)から乳汁サンプルが得られる
・搾乳操作が簡便で安価である
・保存容器への移し替えが不要で、数100μL程度の少量サンプルも採取、保存が可能
想定される用途
・保存した乳汁による仔の哺育(遺伝子改変動物など)
・乳汁中への化学物質などの移行に関する研究(移行抗体、喫煙、放射性物質、環境ホルモン、薬剤など)
・毒性試験
・薬効薬理試験(乳汁分泌量の検討など)
・栄養学的試験(乳汁中の成分分析など)
関連情報
・サンプルの提供可能
- 製造技術
3)空気圧を利用した遮音量可変型軽量遮音構造
鳥取大学 大学院工学研究科 機械宇宙工学専攻 教授 西村 正治
新技術の概要
袋状の薄膜を金網などで挟み込み、内圧をかけることによって、膜の張力、剛性が増加して、特に低周波音領域での遮音効果が増加する。また内圧を調節することにより、ほぼ遮音量0から20dB程度まで調節可能である。更に通常の軽量板との組み合わせで、全周波数帯域に渡って高性能な軽量遮音構造が実現できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の遮音板は通常、板の質量効果によって遮音性能を得る構造であり、高い遮音性能を得るためには必然的に重くなり、また低周波音の遮音は不得手であった。それに比べ本技術は、膜の剛性を利用しているため、軽量で低周波音の遮音に効果的という特徴がある。
新技術の特徴
・遮音量を0から20dB程度まで一瞬に変化できる
・軽量で高い遮音効果が得られる
・通常の遮音板の間に挟みこんで使用することも可能である
想定される用途
・遮音量を可変にしたい窓、イヤーマフラー、耳栓など
・車両や航空機、自動車などの車体
・住宅用間仕切り、壁など
- アグリ・バイオ
4)節水型土壌修復技術のための表層吸引溶脱装置の開発
鳥取大学 農学部 生物資源環境学科 准教授 猪迫 耕二
新技術の概要
地表面から少量の水を供給し、土壌表層に集積した塩類をはじめとする諸物質を溶解させ、そのまま地表面より吸引除去する装置を開発した。供給水が少量のため、溶解物質が土壌下層に流下せず、容易に表層から吸引できる。
従来技術・競合技術との比較
従来のリーチング法は溶解させた物質を下層に浸透させるため、多量の水が必要で、かつ、溶解物質の除去が困難であった。本法では、少量の水で物質を溶解させるため、溶解物質は表層に留まる。そのため、節水的でかつ確実に除去できる。
新技術の特徴
・土壌表層に集積している可溶性物質を少量の溶媒で溶かし、下層に流下させない
・土壌表層に保持させた溶解物質を表面から吸引除去する
・スポット状に集積した物質をピンポイントで除去できる
想定される用途
・土壌の表面に過剰集積している塩類の除去
・土壌表面に付着している環境汚染物質の除去
・排水不良土壌からの過剰水分の除去
関連情報
・試作品あり
- 環境
5)リサイクル資材を用いた省力型持続的節水灌漑法
鳥取大学 乾燥地研究センター 緑化保全部門 教授 井上 光弘
新技術の概要
本方法は、無電源で水位を一定に保ち、廃タイヤと廃ガラスのリサイクル資材を用いて、土壌と作物根の吸引に応じて自動的に水が供給され、土壌面蒸発と下方への浸透損失が極めて少ない省力的で究極的な節水灌漑システムである。
従来技術・競合技術との比較
従来の地中灌漑法は、微孔性ポリエチレン、素焼陶器、ポリエステル製シートなどを用いているが、本方法では資源にやさしいリサイクル資材で耐久性があり、目詰まりしにくいゴム製多孔質管を用い、節水効果を確認している。
新技術の特徴
・植物工場などの野菜栽培で、エネルギーの節約に寄与する。(施設園芸分野)
・粉末状の材料など,品質上,湿度を一定に維持する必要がある場合の装置として利用できる。(材料分野)
・本システムに仮にバキューム装置を付随させると、排水不良地や汚染地帯の地盤改良が可能になる。(土木分野)
想定される用途
・砂質土壌の灌漑では、リサイクル資材が浸透抑制層の役割を果たし、土壌層全体の保水性を高め、収量を高める
・地下水に塩分を含む場合、リサイクル資材の層が毛管上昇遮断の役割を果たし、塩類集積を軽減する
・水耕栽培への応用が確立されれば、培養液の使用量が極端に少なくなり廃液処理問題が解決する
関連情報
・サンプルの提供可能
- アグリ・バイオ
6)ガラス発泡材を利用した生物膜汚水処理法
鳥取県 農林総合研究所中小家畜試験場 環境・養鶏研究室 研究員 池岡 進
新技術の概要
汚水を浄化する微生物(生物膜)が付着する資材(担体)に、廃ガラスのリサイクル資材であるガラス発泡材を利用することで、低コスト化を図った。またこのガラス発泡材を汚水槽上部に吊し、汚水を上部から散水することで、微生物への酸素供給を増やし、浄化能力を向上させた。
従来技術・競合技術との比較
従来の微生物が付着する資材(担体)はセラミック等高価なものが多かったが、本技術は低コスト化できた。従来の生物膜法では担体を水没させて使用する方法が多かったが、担体を空中に吊すことで微生物への酸素供給量を増加させた。
新技術の特徴
・微生物担体にガラス発泡材を使用
・微生物担体を空中に吊し、上部から散水
・既存の汚水処理施設に追加設置が可能
想定される用途
・畜産汚水処理
・生活排水処理
・産業排水処理
- アグリ・バイオ
7)シトルリン高含有スイカ酒およびスイカ酢の製造方法
鳥取県産業技術センター 電子・有機素材研究所 発酵生産科 科長 西尾 昭
新技術の概要
スイカに多く含まれている機能性アミノ酸シトルリンのアルコール発酵段階での減少を抑えることにより、シトルリン含有量の多いスイカ酒およびスイカ酢の製造を可能とするものである。
従来技術・競合技術との比較
アルコール発酵に使用する酵母をワイン酵母等の実用酵母に替えて、実験室酵母、特にアミノ酸要求性株を用いることにより、スイカ酢中のシトルリンを従来の70%から90%以上(原料対比)維持することが可能となった。
新技術の特徴
・シトルリン高含有のスイカ酒およびスイカ酢の製造を可能にする
・アルコール発酵段階でのシトルリンの減少を抑える
・アミノ酸要求性酵母を用いたアルコール発酵
想定される用途
・健康ドリンク
・ドレッシング
・調味料
関連情報
・試作可能
- アグリ・バイオ
8)腎臓病患者も家族と一緒に食べられる「低カリウムメロン」の生産
島根大学 生物資源科学部 農業生産学科 教授 浅尾 俊樹
新技術の概要
養液栽培の培養液をコントロールすることにより、食事において厳しいカリウム摂取制限を受けている腎臓病患者向けの低カリウムメロン生産が可能となった。
従来技術・競合技術との比較
ホウレンソウは茹でる等で低カリウムとなり、腎臓病患者用食材として利用可能になるが、生食するメロンは腎臓病患者にとっては摂取制限を受ける食品であった。本技術により低カリウムメロン生食が可能となった。
新技術の特徴
・植物体内の養分調整が可能
・養液栽培による生産が必要
・培養液中特定肥料分の随時改変による生産
想定される用途
・病院食用食材
・お見舞い用贈答品
・ケータリング用食材
- 材料
9)電子線アシスト型触媒反応の可能性
島根県産業技術センター 技術部 環境技術グループ 科長 田島 政弘
新技術の概要
電子線と触媒を利用し、常温・常圧においてベンゼンを過酸化水素によりフェノールへ転換することができた。また、電子線アシスト型マイクロリアクターを開発し、流通法によるフェノールの製造も可能となった。
従来技術・競合技術との比較
従来の過酸化水素を利用したベンゼンの部分酸化は、高温・高圧が必要であった。しかし、本発明は、常温・常圧でのベンゼンの部分酸化を可能とし、省エネルギーな反応を可能とした。
新技術の特徴
・常温・常圧によるベンゼンの部分酸化反応
・電子線を励起源として利用
・有機化合物の結合を容易に切断して、ラジカルを生成できる
想定される用途
・医薬品の製造プロセス
・ラジカル重合反応プロセス
・低エネルギーな貴金属ナノ粒子の連続合成
- 材料
10)蛍光性有機化合物の合成 -アザキンクフェニル-
島根大学 総合理工学部 物質科学科 准教授 高橋 和文
新技術の概要
有機発光材料の開発の一環として、青色の蛍光(発光波長 400nm)を発するパラモノアザキンクフェニルの合成に成功した。従来芳香環の中にヘテロ原子をたくさん導入して、赤から緑の蛍光性化合物を合成していたが、今回ヘテロ原子を窒素一原子に限定した結果この色素を得た。
従来技術・競合技術との比較
EL材料として、たくさんの有機蛍光性物質が合成され、これを用いる発光技術は高輝度・フィルム状表示材料の創成等の成果を見せたが、高価であることと耐候性の短さという面で液晶材料やプラズマ表示材料程の需要を喚起するには至っていない。が、この技術が至高の表示材料となるとの期待は消えておらず、蛍光性有機材料の模索はなお続いている。
新技術の特徴
・可視光にさらされてはいけない状況下の暗黒闇における誘導路等の表示材料
・他者に明示してはならない情報を、限定された人のみに知らすための表示材料
・メルヘンを演出するための表示材料
想定される用途
・超薄型高輝度テレビ
・LED照明
・発光インク
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