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信州産学官連携機構 新技術説明会

日時:2011年08月09日(火)

会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)

参加費:無料

発表内容詳細

  • 電子

1)省エネ方式による感度・ダイナミックレンジ可変型電流/磁界センサ

信州大学 工学部 電気電子工学科 助教 曽根原 誠

新技術の概要

磁性膜利用の電流/磁界センサの感度等は、磁性膜の透磁率に依存し、それは外部磁界によって調整可能である。本方式は磁石膜とその再着磁用コイルを組合せ、極少量の電力で感度等を調整できるセンサである。

従来技術・競合技術との比較

コイルのみの電流磁界による外部磁界調整する電流制御方法では、膨大なエネルギーを消費するが、永久磁石を用い且つパルス着磁方式をとるため、必要最小限のエネルギーで感度等を制御できる点。

新技術の特徴

・磁性膜を用いたあらゆる電流/磁界センサに適用可能
・センサ部となる磁性膜と磁石膜と再着磁用コイルを組合わせただけの簡単な構造
・1μs未満のパルス電流で調整可能な省エネデバイス

想定される用途

・CPU等パワーマネージメント用電流センサ
・電子機器の不要輻射磁界測定用磁界センサ
・その他、各種電流/磁界センサ

  • アグリ・バイオ

2)昆虫生体高分子・シルクタンパク質のナノファイバーの開発と応用

信州大学 繊維学部 応用生物学系 教授 塚田 益裕

新技術の概要

絹タンパク質を蟻酸等の有機溶媒に溶解し、ゲル化しない温度でエレクトロスピニングすることにより微細でバラツキの無い絹タンパク質ナノファイバーの製造に成功した。

従来技術・競合技術との比較

絹タンパク質であるセリシンを蟻酸に溶解した絹タンパク質ドープを室温で紡糸する技術はあったが、絹タンパク質ドープがゲル化しない温度、好ましくは20-55℃でエレクトロスピニングする点においてオリジナリティを有する。

新技術の特徴

・天然のタンパク質素材であり生体適合性に優れる
・表面積が広く、物質吸着性に富む
・水溶性高分子であるため他の水溶性素材との複合化が可能である

想定される用途

・化粧品分野
・医薬品の徐放材、バイオ材料関連(人口皮膚)
・酵素固定化担体

関連情報

・共同研究、技術指導等対応可

  • 電子

3)低電圧大電流駆動を可能とする高移動度有機トランジスタ

諏訪東京理科大学 システム工学部 電子システム工学科 講師 渡邊 康之

新技術の概要

本有機トランジスタは、シンプルな積層構造を有しており、ゲート絶縁膜を用いない等、簡単なプロセスで作製が可能である上、低電圧駆動、大電流動作、高速応答性に優れた有機トランジスタをフレキシブル基板上に作製することが可能である。

従来技術・競合技術との比較

ほとんどの有機トランジスタでは、大面積のディスプレイ駆動用マトリクス素子等へ応用するための十分な移動度や電流値が得られていないのが現状である。それらの問題点をクリアするために、本有機トランジスタでは、有機薄膜中のキャリア伝導を支配するエネルギーバンド構造とキャリアを輸送する向きを考慮したデバイス設計を行った。

新技術の特徴

・材料分野:積層構造に適した有機半導体材料の開発
・プロセス分野:印刷技術等を用いたフレキシブル基板上へ電子デバイス作製技術
・評価技術:積層方向のキャリア移動度等評価技術の確立

想定される用途

・大面積有機ELディスプレイ駆動用、大電流駆動トランジスタ
・RFIDタグなどICタグ用、高速駆動トランジスタ
・各種フレキシブル電子デバイス、駆動用トランジスタ

  • アグリ・バイオ

4)ソバを原料とした優れた降圧作用食品「発酵キョウバク」

信州大学 農学部 応用生命科学科 准教授 中村 浩蔵

新技術の概要

「発酵キョウバク」とは、食経験が十分にある食材「ソバ菜(ソバの葉茎)」を伝統的手法である「乳酸発酵」で加工した、いわゆるソバ菜の漬物である。本講演では、発酵キョウバクの降圧作用、降圧メカニズム、降圧成分、地域資源を活用した機能性食品としての可能性を紹介する。

従来技術・競合技術との比較

有効性:高血圧自然発症ラットへの単回経口投与試験で有意な降圧作用(収縮期・拡張期)を示す用量は、他の降圧食品の1/10以下。降圧メカニズム:主に血管拡張作用とACE阻害作用であり、特に、優れた血管拡張作用を示す。有効成分:発酵で生じた新規ペプチド類。

新技術の特徴

・他に類のない優れた降圧作用
・新規ペプチドによる降圧作用、血管拡張作用、ACE阻害作用
・信州食文化の融合
・他機能の可能性

想定される用途

・機能性食品
・機能性食品素材
・転換作物としてのソバの有効利用

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 材料

5)常温圧縮せん断法を用いた燃料電池用セパレータ材料の開発

信州大学 工学部 機械システム工学科 准教授 中山 昇

新技術の概要

本発明では、Ti粉末に気相法炭素繊維(VGCF)を添加した混合粉末を対象として常温圧縮せん断法を用いて薄板を成形し機械的性質の測定および接触抵抗測定を行った結果、Ti圧延材の約2倍の硬さ、接触抵抗は約75%減少する材料を開発することが出来た。

従来技術・競合技術との比較

燃料電池のセパレータにカーボン、ステンレスが使用されているが、それぞれ板厚の厚さや接触抵抗の大きさが問題になっていた。軽量、成形性からTi製セパレータが望まれていたが電気抵抗が高い欠点があった。

新技術の特徴

・高融点材料を母材にした複合材料を室温において容易に作製することができる
・高強度材料を作製可能
・機能性材料を容易に作製可能

想定される用途

・燃料電池用セパレータ
・航空・宇宙用材料
・自動車用材料(構造材料)

関連情報

・サンプルの提供可能

  • 医療・福祉

6)幼児や要介護高齢者による歯磨きの際に発生する不慮のケガを防ぐ歯ブラシ

松本歯科大学 歯学部 歯学科 助教 水谷 智宏

新技術の概要

歯ブラシに対して指もしくは手を覆うリングを付加することにより、口の中や周囲のケガを防ぐことが出来るものである。付加したリングは歯ブラシを軸として回転するため、上下の歯を磨く際にも歯ブラシを持ち替えて着脱し直す必要は生じない。また、既存の歯ブラシに対して追加することが出来るほか、乳幼児以外にも障がい者(児)、要介護支援者にも提示が可能である。

従来技術・競合技術との比較

これまでにも乳幼児を対象とした外傷予防機能付き歯ブラシは製品化されているが、使いづらさから使用頻度が少なく、また、障がい者(児)、運動機能に制限を有する要介護支援者が使用することを考慮した歯ブラシは見当たらなかった。そこで、既存の歯ブラシに追加装着することにより、手もしくは指を覆い、転倒時においても口腔内外傷の発生を予防することができる歯ブラシである。

新技術の特徴

・指もしくは手を覆う2種類の提示
・不慮の事故を予防するリングが回転することにより、上下の歯を磨くことが出来る
・既存の歯ブラシに対して追加装着が可能である

想定される用途

・幼児の歯磨き時における不慮の事故防止
・要介護高齢者の歯磨き時における不慮の事故防止
・障がい者(児)の歯磨き時における不慮の事故防止

  • 材料

7)低温高速電気化学的製膜法による金属酸化物薄膜の創生

諏訪東京理科大学 システム工学部 電子システム工学科 助教 石崎 博基

新技術の概要

特許取得した新製膜技術では、製膜温度が100℃以下と低く、高品質なセラミックス薄膜を低温材料上ならびに基板形態によらず、作製できるなどの多くの利点を有し、大面積基板上に低コストで製膜できる技術である。この技術は、半導体産業分野ならびにエネルギー分野の発展に貢献できると考えられる。

従来技術・競合技術との比較

従来法(陽極酸化法)による酸化皮膜の形成では、基板材料により作製できる酸化膜が制限されること、製膜前後での製品寸法に影響を与えることなどの問題がある。そこで本特許技術では、基板材料によらずいろいろな高品質酸化皮膜を形成できること(製品寸法に影響を与えない)、製膜速度(約50um/h)と高速であることなどの利点を有し、低コストで高品質な酸化皮膜を作製する技術である。

新技術の特徴

・陰極電解による高速めっき技術
・高品質な酸化皮膜の形成が容易
・電気化学的パラメーターによる組成および機能特性の制御が容易

想定される用途

・自動車等の鋼板の腐食防食膜への応用
・セルフクリーニング用フィルムへの応用、太陽電池デバイスへの応用
・透明導電膜への応用(帯電防止フィルム)、光学および電子デバイスへの応用

関連情報

・外国出願特許あり

  • 機械

8)超音波振動の共振を利用したねじ締結法

長野工業高等専門学校 機械工学科 准教授 岡田 学

新技術の概要

超音波振動を加えると見掛け上の摩擦力が小さくなる現象を利用して摩擦係数の影響を減らしながら、簡便な「トルク法」によってねじの締め付け管理を行う方法であり、さらに共振を利用して振動の効果を高めている。

従来技術・競合技術との比較

従来からある、摩擦のばらつきの影響を低減してねじの軸力を安定させる方法としては、特殊な潤滑材や表面処理を利用したものがあるが、本技術では、特殊な薬剤や表面処理等が必要なく、作業手順も一般的なトルク法が利用できる。

新技術の特徴

・超音波振動及びその共振を利用して、摩擦力を低減させながら、ねじの締付を行うこと
・締付管理法として、一般的な「トルク法」が利用できること
・薬剤や表面処理を使わずに摩擦の影響を低減していること

想定される用途

・自動車のエンジン等、大量生産され、かつ、ねじの締付軸力が均一であることが要求される機械製品
・信頼性と低コストを両立させることが要求される精密機械製品のねじ締結
・高清浄性が要求され、かつ、ねじの締付の信頼性が要求される精密機械組立分野

  • アグリ・バイオ

9)水熱処理によるペクチンからのフェルラ酸基を有するオリゴ糖の製造

信州大学 工学部 物質工学科 講師 佐藤 伸明

新技術の概要

植物細胞壁由来のペクチン含有原料に飽和蒸気圧以上の圧力制御下で水熱処理を施すことにより、フェルラ酸結合型アラビノオリゴ糖やフェルラ酸結合型ガラクトオリゴ糖を含む糖質を効率的に製造することができる。

従来技術・競合技術との比較

本技術は水のみを作用させる方法であり、酸やアルカリを作用させる方法に比べて環境負荷が低く、フェルラ酸結合型糖質の回収率が高い。酵素を作用させる方法に比べて反応速度が速く、特殊で高価な酵素を使用する必要がない。

新技術の特徴

・飽和蒸気圧以上の圧力制御下での水熱処理(処理温度160~180℃、処理時間5~15分)
・連続処理プロセスに対応可能(ベンチプラントで実証済み)
・プレバイオティクス効果が期待される機能性オリゴ糖の量産化
・フェルラ酸(ポリフェノール)が結合した新タイプのオリゴ糖

想定される用途

・甜菜糖の製造工程で発生する残渣から機能性糖質を生産する
・果実飲料の製造工程で発生する残渣から機能性糖質を生産する
・ジュース、ジャムなどの新しい加工技術

関連情報

・サンプルの提供:応相談

  • 材料

10)燃料電池に用いる高活性長寿命シリカ担持白金触媒

信州大学 繊維学部 化学・材料系 教授 村上 泰

新技術の概要

固体高分子形燃料電池のカソードに用いられる触媒として、導電性のないシリカに担持した白金触媒を開発した。この触媒は市販のPt/Cに匹敵する活性を示し、耐劣化性に優れている。

従来技術・競合技術との比較

燃料電池に用いる触媒の担体は、導電性カーボンが用いられるが、消耗劣化しやすい。導電性酸化物担体が検討されているが、汎用性に難点がある。本技術は、導電性のないシリカに数珠状白金を担持することで触媒とした。

新技術の特徴

・白金が微粒子状ではなく平滑状であるため、過酸化水素への還元が抑制され、酸素還元効率が高い
・白金が微粒子状ではなく配位不飽和サイトが少ないため、溶解再析出が抑制され、凝集も抑制される
・酸化物担体を表面処理することで、酸素還元活性を高めている

想定される用途

・燃料電池用白金触媒
・様々な酸化還元反応に含まれる酸素還元に有効な触媒
・これまで凝集が問題になっていた白金触媒の代替

関連情報

・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

株式会社信州TLO

TEL:0268-25-5181FAX:0268-25-5188
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