東京理科大学 新技術説明会
日時:2011年07月29日(金)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- エネルギー
1)新しい蓄電デバイス“ ナトリウムイオン二次電池”
東京理科大学 総合研究機構 助教 藪内 直明
新技術の概要
風力、太陽光発電など自然エネルギーの効率的な利用がサスティナブル・エネルギー社会の実現への鍵である。我々の研究グループではそのエネルギーを貯めるための蓄電池として、ナトリウムと鉄をベースとした新規二次電池に関する研究を進めている。
従来技術・競合技術との比較
電気自動車用電源として二次電池の需要は今後も大きな成長が見込まれる。しかし、同時に資源埋蔵量の制限からリチウム価格の高騰は不可避である。リチウムイオン二次電池の代替電池として、無尽蔵の資源量を有するナトリウムからなるナトリウム二次電池はコストという観点から大きな利点を有する。
新技術の特徴
・余剰エネルギー貯蔵を低コストシステムで実現
・低温から高温で動作可能な電池
・小型から大型電池まで全ての用途を網羅可能
想定される用途
・電気自動車用電源
・風力発電、太陽光など自然エネルギーの蓄電
・定置型大型蓄電池
関連情報
・電極材料の提供は一部可能
・外国出願特許あり
- 材料
2)安全・安心・安価な次世代太陽電池材料と作製プロセス
東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科 講師 杉山 睦
新技術の概要
現在、太陽電池≒Siであるが、原料・製造コストの観点から、より安価な材料を用いて簡便に作製する事が必須である。また、家庭用太陽電池=屋根の上の発想では、設置面積に限界がある。本技術では、これらの問題を材料サイドから解決する。
従来技術・競合技術との比較
従来の太陽電池は半導体製品の一部として扱われてきたが、材料や製造プロセスを変えることにより、全く新しいコンセプトでの太陽電池開発が可能となる。各社が所有する既存技術を応用した作製技術の開発など、ビジネスチャンスが広がる。
新技術の特徴
・異種業界の太陽電池材料開発(化学分野・印刷分野 等)
・異種業界の太陽電池システム開発(建築分野・窓ガラス分野 等)
・半導体光デバイスの新機能開発(モノシリック光デバイス開発 RoHS対策 等)
想定される用途
・次世代太陽電池、透明太陽電池
・レアメタルフリー半導体デバイス
・スマートウィンドウ、透明酸化物デバイス
- エネルギー
3)圧電ポリマーを用いたエネルギーハーベスティングシステムの開発
東京理科大学 理学部第一部 応用物理学科 助教 中嶋 宇史
新技術の概要
近年、身の回りに存在する照明光、電波、体温、音波や振動などの環境エネルギーから、微小な電力を回収し有効に活用しようとするエネルギーハーベスティング技術が注目を集めている。本技術は、圧電体ポリマーを用いた振動発電システムの実施方法ならびに効果的な利用方法に関するものである。
従来技術・競合技術との比較
圧電体を用いた振動発電システムは、一般的にセラミックス材料を中心としたものである。本技術はポリマーの可撓性に注目し、大きな変形を与えることで発電特性の不利を克服するというものである。ポリマー材料を用いているので、破壊の心配が少ない、任意形状への加工が容易、環境に優しいなどの特徴がある。
新技術の特徴
・普段は廃棄されている振動等を与えることで、その場で発電する技術
・押付る力、引張る力、回転する力など様々な方法で発電することが可能
・大面積化、積層化が容易。任意形状に素子を加工することも可能
想定される用途
・バッテリーなしで動作する無線通信システム(メンテナンスフリー、半永久動作可能)
・携帯端末等の電源補助
・生体デバイスへの電力供給
- エネルギー
4)スマートグリッドへの適用を高めた太陽電池故障診断機能の開発
諏訪東京理科大学 システム工学部 電子システム工学科 准教授 平田 陽一
新技術の概要
従来、発電の行われる昼には運転を停止して、計測装置により測定することで行われていた太陽電池の故障診断を、発電の行われていない夜間などに行うことで、故障を自動的に、定期的に診断することを可能にした。
従来技術・競合技術との比較
太陽電池の故障診断は、発電量を監視して、その値に異常があれば、診断を簡易なテスターによる値を基にする場合が多い。更に詳しく調べるには、電流?電圧特性を調べる装置から測定して形状などからも診断している。
新技術の特徴
・従来、昼に発電を停止して行っていた保守・点検を、夜・自動的に行うことができる
・保守・点検で発見されていた太陽電池の故障を、自動的に早く発見することができる
想定される用途
・太陽光発電システム
・保守・点検業務
・省エネルギーシステム
- 材料
5)近紫外LED光により低色温度白色発光する希土類フリー照明用ガラス
東京理科大学 基礎工学部 材料工学科 教授 安盛 敦雄
新技術の概要
近紫外光で低色温度(暖色)系の白色発光する照明用のガラスを開発した。この発光ガラスは一般的な発光中心である希土類イオンを含まず、銅イオンを含むアルカリホウケイ酸塩系であり、耐熱性・化学耐久性が非常に高く、環境負荷は小さい。暖色系の白色LED用発光チップなどとして、適用可能と考えられる。
従来技術・競合技術との比較
現在の白色LED用発光チップである蛍光体微粒子分散有機樹脂と比較して、低色温度発光するため、暖色系かつ全方位への発光が可能となり、一般照明用への応用が可能となる。また耐熱性・化学耐久性が非常に高く、白色LED照明の高輝度化・長寿命化が期待できる。
新技術の特徴
・ケイ酸塩系ガラスが母材なため、耐熱性・化学耐久性・機械的強度が高い
・無色透明なため、発光時も未発光時も背面を見ることが可能である
・希土類イオン、有害元素イオンを含まず、材料単体で低色温度発光する
・RGB蛍光体の混合・分散体ではなく、材料単体で低色温度発光する
・励起光を短波長紫外光にすれば、同じ材料で青色発光も可能である
想定される用途
・暖色系照明に用いる白色LED用の発光チップ
・液晶ディスプレイに用いる白色LED用の発光チップ
・透明な発光表示板(表札や看板など)
関連情報
・サンプルの提供可能
・外国出願特許あり
- 材料
6)光塩基発生剤および塩基増殖剤を利用した高感度アニオンUV硬化材料の開発
東京理科大学 理工学部 工業化学科 准教授 有光 晃二
新技術の概要
高効率で有機強塩基を発生する光塩基発生剤を開発した。これを用いることにより、従来困難であったエポキシ樹脂等のアニオンUV硬化が可能となった。
従来技術・競合技術との比較
UV硬化材料としてラジカルUV硬化系とカチオン硬化系が盛んに研究されているが、ラジカル硬化系は空気中の酸素阻害を受け硬化不良を起こしやすく、カチオン硬化系は強酸を用いるため金属基板の腐食等が問題となっている。アニオンUV硬化を用いれば、これらの問題をいっきに解決することができるが、これまでは感度が低すぎるために研究対象とならなかった。当グループで開発したアイテムを用いれば、高感度のアニオンUV硬化材料が構築できる。
新技術の特徴
・高効率で光化学的に塩基を発生する
・脂肪族アミンだけでなく、有機強塩基を光化学的に発生できる
・光化学的に発生した塩基の濃度を熱化学的に増大させることができる
・影の部分を光化学的に硬化させることができる
想定される用途
・UV接着剤、UVインク
・UVコーティング
・光パターニング
関連情報
・サンプルの提供可能
- 材料
7)水からのソーラー水素製造光触媒
東京理科大学 理学部第一部 応用化学科 教授 工藤 昭彦
新技術の概要
太陽エネルギーと水から水素を製造できる粉末光触媒を開発した。これは、水素と酸素をそれぞれ生成できる2種類の粉末光触媒を用いており、簡便な粉末光触媒懸濁系を用いても、水素と酸素を分離して生成することができる。
従来技術・競合技術との比較
ソーラー水素製造が可能な技術として、太陽電池と水の電気分解を組み合わせた系やバイオマス利用などが挙げられる。それらに比べて、本技術は現時点で効率は低いながらも、低コストで大面積利用が可能な技術になりうる。
新技術の特徴
・化石資源を使わずに水から水素を生成できる
・再生可能エネルギーを利用できる
・広大な敷地での大面積利用が可能な技術である
想定される用途
・水素製造
・化学工業
・エネルギー産業
- 情報
8)生産または物流の生産性向上のための新たなシミュレーションの開発
東京理科大学 理工学部 経営工学科 准教授 篠田 心冶
新技術の概要
生産や物流では、ものの流れの設計、改善、評価に離散型シミュレーションを用いる。しかし、現場のモデルを構築するためには多くの工数が必要になる。本発明では、従来とは、全く異なる視点からものの流れの構築に役立つ効率的で精度がよい活用法を提供する。
従来技術・競合技術との比較
離散型シミュレーションの構築のための方法については、現在までの多くのものが出願されている。しかし、本発明は従来とは全く異なり、離散型シミュレーションを現場の課題発見や改善案導出の道具として利用するものである。
新技術の特徴
・誰もが簡単に精度よく離散型シミュレーションを活用できる
・現場の実態を把握したシミュレーションによる検証が行える
・変種変量生産によるものの流れの設計と改善に役立てることができる
想定される用途
・工場内物流における在庫の削減、リードタイムの把握と短縮
・組立ラインの払い出し場の設計や管理
・従来離散型シミュレーションで活用していた方法に対し、提案法による利用法
- 材料
9)液晶が形成する光応答性ナノ構造
東京理科大学 理工学部 工業化学科 助教 岡野 久仁彦
新技術の概要
加熱することでナノ相分離構造を発現する新しい液晶高分子を開発した。発現するナノ構造は偏光によって一軸に配向できるだけでなく、非偏光を照射することでナノ構造を消去することができる。さらに熱と光のプロセスを組み合わせることでナノ構造の書き込み、配向、消去を可逆的に制御できる。
従来技術・競合技術との比較
ナノ構造を発現するフィルム材料は数多く報告されているものの、これを光制御した例は数少ない。本開発では、光と熱のプロセスを組み合わせたナノ構造の可逆的な制御に成功している。照射スポットサイズを制御すればより高次にナノ構造を制御できる。
新技術の特徴
・光応答性を発現するナノ相分離フィルムを得る
・光と熱の過程でナノ構造を可逆的に制御できる
・誘起したナノ構造をガラス転移点温度(70℃程度)以下で保存
想定される用途
・リオトロピック液晶配向膜
・リソグラフィー用テンプレート材料
・ナノインプリントテンプレート
関連情報
・外国出願特許あり
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連携・ライセンスについて
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