早稲田大学 新技術説明会
日時:2011年12月20日(火)
会場:科学技術振興機構 JSTホール(東京・市ヶ谷)
参加費:無料
発表内容一覧
発表内容詳細
- アグリ・バイオ
1)海洋生物由来抗原虫薬リード化合物
早稲田大学 先進理工学部 化学・生命化学科 准教授 中尾 洋一
新技術の概要
海洋生物は新規の化学構造を有する化合物の宝庫であり、医薬品資源として非常に有望である。特に、マラリアなどの原虫感染症に対しては、ユニークな作用機構を有する新規化合物が数多く報告されている。有効な特効薬がないリーシュマニア症について、抗原虫活性を指標として活性化合物の探索を行ったところ、有望な活性を有する新規化合物を見出すことができたので紹介する。
従来技術・競合技術との比較
既存の抗リーシュマニア剤である、アムホテリシンBと比較して同等の抗原虫活性を示すが、構造が全く異なるため、異なる作用機序で効能を発揮していると考えられる。抗原虫活性と細胞毒性が約20倍の選択性を示したため、低毒性の抗原虫薬として期待できる。
新技術の特徴
・従来の抗原虫剤にない化学構造を有する新規化合物
・高い選択活性、低い毒性
・これまでにない作用機序
想定される用途
・原虫感染症薬
・家畜薬
・薬剤開発のためのターゲット分子探索
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
2)C末端にL-プロリンを配したジペプチドの酵素合成法
早稲田大学 先進理工学部 応用化学科 教授 木野 邦器
新技術の概要
NRPS(非リボソーム型ペプチド合成酵素)の構成モジュールを利用した、C末端にL-プロリンを配した直鎖状ジペプチドXaa-Proの効率的合成法。Xaaは基質アミノ酸の光学活性を反映し、g/Lオーダーでの合成が可能。
従来技術・競合技術との比較
有機合成法は縮合剤や基質アミノ酸の保護・脱保護が必要で合成工程が煩雑である。タンパク質の酵素分解や近年開発された酵素による既存のジペプチド合成法では、本発明のアミノアシル-L-プロリンの合成は困難であった。
新技術の特徴
・プロリン含有ペプチドの機能性開発研究を推進
・基質アミノ酸の光学活性を反映したアミノアシル-L-プロリン生産が可能
・プロリン含有機能性アミノ酸ポリマーの原料
想定される用途
・機能性補助食品(血圧降下作用)
・医薬品合成用基材
・機能性化成品原料
関連情報
・外国出願特許あり
- 情報
3)ヒトにやさしい立体視コンテンツの制作支援技術
早稲田大学 基幹理工学部 表現工学科 教授 河合 隆史
新技術の概要
コンテンツ制作の困難さや、観察に伴う負担等が、立体映像の普及に伴う主な阻害要因とされている。これに対し本技術は、観察者の安全性や快適性、制作者の利便性に配慮した立体視コンテンツの制作を支援する。
従来技術・競合技術との比較
従来の関連技術では、立体視コンテンツの制作者の意図、あるいは観察者の安全性や快適性の、いずれかに重点が置かれていた。本技術では、人間工学的な手法により、それらの両立を支援する点に優位性がある。
新技術の特徴
・ヒトの生理・心理的特性を考慮した映像処理
・ヒトの生理・心理的特性の観点による映像評価
・多様な次世代ディスプレイへのコンテンツの最適化
想定される用途
・立体視コンテンツの制作システムへの応用
・立体視コンテンツの上映システムへの応用
・立体視コンテンツの流通システムへの応用
関連情報
・展示品有り
- 情報
4)空間充填曲線を用いた新しい暗号技術
早稲田大学 大学院情報生産システム研究科 教授 鎌田 清一郎
新技術の概要
G.ペアノやD.ヒルベルトなどの数学者が確立した「一筆書きの要領で空間内のすべての点を通過する空間充填曲線」を用いた、高速かつ頑健な新暗号技術。従来の暗号技術に適用して、より頑健な暗号技術に発展させることができる。
従来技術・競合技術との比較
これまでに多くの共通鍵暗号や公開鍵暗号が提案され、標準化がなされてきた。本暗号技術は、整数の集合に空間充填曲線による写像を施すという全く新しいアイデアにより、高速かつ頑健な暗号を実現した。
新技術の特徴
・膨大な種類の空間充填曲線を発生させることができる
・写像関数が規則的な曲線となるため、高速計算が可能である
・公開鍵暗号、共通鍵暗号に適用可能
想定される用途
・ハイブリッド暗号
・遠隔監視システム
・バイオメトリクス
- 情報
5)汎用性を有する高速な隠れマルコフモデル推定法
早稲田大学 基幹理工学部 情報理工学科 教授 松山 泰男
新技術の概要
情報源のモデル化や認識に有効な隠れマルコフモデルの推定において、従来法をしのぐ高速方式を提供する。方法は過去情報の利用に基づいており、離散、連続、混合記号のすべてについて対応可能である。システム複雑度の増加はない。
従来技術・競合技術との比較
従来の隠れマルコフモデル推定法は、すべてが提案手法の特例となる。これは、本手法(α-HMM;alpha-Hidden Markov Modelと仮称)において、過去情報を用いないようなパラメータ選択を行っているためである。
新技術の特徴
・過去情報の利用による高速な隠れマルコフモデル推定
・システム負荷の増加がない
・離散、連続、それらの混合のすべてに対応可能である
想定される用途
・時系列の認識と予測(音声、音響、脳信号、電波、身体動作信号、ロボット動作、画像、手書き文字、経済データ)
・生命情報配列のモデル化と認識
・スマートフォンに関連する機能(誤り訂正、データマイニング、センサーデータ処理)
関連情報
・サンプルの提供可能
・動作の様子を見せる動画像(講演後)の展示品有り
・外国出願特許あり
- 製造技術
6)自動車用の大型中空Al合金鋳物の鋳造方法
早稲田大学 創造理工学部 総合機械工学科 教授 吉田 誠
新技術の概要
独自の低圧鋳造法と離型剤技術を開発し、大型二輪車の車体フレーム、自動車用大型車体部品をターゲットとし、長寸1メートル程度、平均肉厚3ミリ以下の中空・複雑曲面形状のアルミニウム合金鋳物の製造を可能とした。
従来技術・競合技術との比較
従来の金型低圧鋳造法に比べ、組織の微細化による高強度化により20%以上の軽量化を達成できる。また、高圧ダイカストでは不可能であった鋳物の中空閉断面化が可能となり、部品剛性の向上を図ることができる。
新技術の特徴
・メートルサイズの超大型鋳物で中空閉断面化
・2次デンドライトアーム間隔の超微細化
・細粒化強化により大幅な軽量化
想定される用途
・2輪車の車体フレーム
・4輪車のサスペンションメンバー
・高圧ダイキャストの代替
関連情報
・2輪車の車体試作フレームの展示品有り
- 機械
7)極短バンチ電子ビームによる大強度テラヘルツ波発生システム
早稲田大学 先進理工学部 応用物理学科 助教 坂上 和之
新技術の概要
本電子銃はサブピコ秒(数十μm)の電子ビームを生成する構成であり、小型かつ高強度なテラヘルツ光を生成することが可能である。原理は電子銃内において制御された速度差を電子ビーム内で持たせることによって長さを圧縮することにある。
従来技術・競合技術との比較
電子ビームを使用した従来のテラヘルツ光源は10m×10m以上の巨大な装置である。これを2m×2m程度で実現でき、平均強度・ピーク強度は同等の性能を有する。また極短パルスレーザーを用いた手法はピーク強度が小さく用途が限られるため優位性がある。
新技術の特徴
・MeVオーダーの電子ビームの進行方向位置・運動量制御
・フェムト秒領域の非常によく制御された放射線源
・広帯域な高強度テラヘルツ光の生成
想定される用途
・大強度テラヘルツ光源
・非破壊検査装置
・超高圧電子顕微鏡
- 機械
8)発電・自動車・極超音速機のための万能型超高効率エンジン
早稲田大学 基幹理工学部 機械科学・航空学科 教授 内藤 健
新技術の概要
本エンジンは、パルス状の超多重衝突噴流を用いることで、圧縮比・膨張比・吸排時期・回転数を無限的に可変できる。高効率高出力・騒音低減・排気クリーン化の三者を同時に満足し、かつ、安定な常温核融合炉の可能性もある。
従来技術・競合技術との比較
従来エンジン(レシプロ、ジェット、スクラム)は、巡航速度範囲が限られていた。本エンジンは、全速度領域をカバーでき、しかも、出力や効率を「倍」レベルで高くでき、単純構造で信頼性が高く、バルブ機構や回転型圧縮機が不要である。
新技術の特徴
・ターボファンや複雑なバルブ機構がないので信頼性が高く、軽量・安価で、メンテナンスフリー極超音速機の可能性
・常温核融合は放射能を出さず、かつ、燃焼エンジンよりも格段に発生エネルギが大きく、ウラン型原子力発電に変わる
・今後10年間に期待される自動車用エンジンの多くのメリットをも全てあわせ持つ
想定される用途
・エアカー(始動・地上走行・極超音速飛行可能で、宇宙航行の可能性もある。)
・発電所(放射能がなく、かつ、高密度のエネルギ生成の可能性あり。)
・自動車用の高効率エンジン
関連情報
・部品の一部(予定)の展示品有り
・外国出願特許あり
お問い合わせ
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